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特定非営利活動法人 芸術資源開発機構(ARDAアルダ)

アートで保育!アートで介護!アートで学ぶ!アートで遊ぶ!

所在地…〒168-0082 東京都杉並区久我山5-23-2
TEL…03-3334-7876 FAX…03-3334-7876
URL…http://www.arda.jp E-Mail…info@arda.jp

東京都杉並区

1 団体の概要

代表者名…並河惠美子
設立年月…1999年 認証日…2002年9月25日
有給スタッフ数…常勤/2名、非常勤/7名
事業規模(09年度決算収入)…8,880,677円
(内訳:事業収入7,335,832円、会費359,000円、補助金1,180,000円、その他5,845円)

活動の目的・趣旨

 芸術という資源を開発して、その新しい可能性を社会に活かすことを目的としている。芸術は個人が人間らしく生きるために欠くことのできない社会的な役割を持っている。同時代に生きる人間が直面している諸問題を、さまざまな視点から、芸術活動を通して共に考え、新しい方向をさぐる。一人ひとりが自分らしく、心豊かに生きられるコミュニティの創造と、社会の実現を目指す。

団体の設立経緯

 21世紀に入り、技術革新と価値観の変容の時代を反映して、芸術をめぐる概念も根底から問い直されてきた。しかし、芸術をめぐる概念の変化に、従来の美術にたずさわる団体や教育関係者や行政は必ずしも十分に対応できていない。さらに、美術と市民生活の乖離が生じている。また、現代社会においては家族や地域社会という人間の基本的な絆の再生が求められ、芸術の果たすべき役割はますます重要なものとなっている。
 このような観点をもとに、芸術とその社会的役割に関心を持つ、現代美術の画廊を経営していた設立代表者をはじめ、美術館学芸員やフリーの美術評論家、アートコーディネーター、公立中学校美術科教諭など現代美術の専門家と市民有志によって、ARDAは芸術を軸に、社会に寄与するために設立された。
 1999年に国際シンポジウム「みんなでつくるアートセンター」を開催した。アートセンターとは、アートの展示や講座を開いたり、またアートを届けに出向いたりするときの地域の拠点となる場所であり、その開設への思いが関係者の間に高まった。そこで、場所がなくてもできる活動をまず進めていき、実績を積み重ねていくことが合意され、それを行う組織としてARDAを設立した。

主な活動内容

1.アートデリバリー(専門家派遣、コーディネート事業)

 アーティストを学校、児童館、高齢者ホーム、福祉施設などへ派遣する。アーティストのユニークな視点を活かした、楽しいプログラムをコーディネートする。

2.アートプロジェクトの企画、運営、支援事業

 「地域のまちづくり」「地域の記念展」「海外交流展」など、独自性のある展覧会の企画、運営を行い、地域をアートで結び、発信する。

3.普及、人材育成事業

 「アーティストトーク」「アートボランティア講座」「アートマネジメント講座」など、アートを学ぶさまざまなセミナー、シンポジウムを開催する。

4.アートの調査・研究事業

 専門的、多角的な視点からアートの調査・研究を行い、芸術資源を保存し、活用する。

5.政策提言事業

 文化政策の提言を行い、地域文化の向上に寄与する。

6.NPO、NGOとのネットワーク

 他のNPO、NGOとも積極的に連携し、ネットワークを広げることで、新しい可能性を追求する。

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 アートデリバリー

アートの力で高齢者施設の空気が変わった!

 1999年、ARDAはメセナ協議会が支援する「ドキュメント2000」プロジェクトに参加し、杉並区文化・交流協会と共催で、杉並区にある高齢者施設「上井草園」でアーティストのワークショップと施設全体を美術館にするイベントを実施した。壁には抽象画、天井には花を這わせ、中庭には陶のインスタレーション(空間全体を使った展示方法)が展示された。「施設の空気がいつもと変わり、ピリッとした」と理事長の並河氏は話す。同プロジェクトでは、施設を利用する高齢者から「なんだね。お正月かね」との声も出るなど、楽しいものと受け止められ好評だった。同プロジェクトが、アートを必要としている所へアーティストを派遣、創造の時間を共有するアートデリバリーの始まりとなった。
 ARDAでは、五感を刺激するというアートの本質が、介護をする人とされる人が互いに尊厳を持つ関係につなげられると考えている。これは「自分のために表現する」という面では、アーティストと高齢者、そして介護者、みんなが対等であるとの考えに基づいている。アートデリバリーのワークショップに参加したアーティストの一人は、「僕は、ここで介護されているようだ」と語っている。

保育園へのアートデリバリー

 2001年にはARDA設立地域である東京都杉並区内の児童館で「とばないタコ」をテーマにアートデリバリーを行った。以来、毎年アートデリバリーは同区内の児童館で順に実施されており、2011年には目標であった、同区内の41館すべてでアートデリバリーが実施される予定である。
 また2007年より、杉並区内の児童館での活動を知った港区からの依頼によって、港区の保育園にアーティストを派遣する「子どもふれあいアート」が開始された。
 この活動は、公立保育園15園から始まり、翌年には私立保育園、さらに児童館、高齢者施設、障害のある子ども施設も加わった。また、保育所不足のため暫定保育室を含め2010年は、33施設で実施した。

「等身大の自画像を作ろう!」(講師:菱山裕子)
「等身大の自画像を作ろう!」(講師:菱山裕子) 

事前に、スタッフにも同プログラムを実施

 ARDAでは、保育園であれば保育士スタッフに、高齢者施設では介護士に、必ず事前にアーティストが指導するワークショップを体験してもらう。一つの施設に対して、スタッフ対象と園児/高齢者など対象と、2回ワークショップを実施する。「こうしたほうがよい」とディスカッションを重ねてプログラムを練り上げ、園児や高齢者とのワークショップをより豊かなものにするためである。打合せを含め、1回のデリバリーに対して4~5回通い、準備にあたっている。
 ワークショップを充実したものにするには園児/高齢者をよく知るスタッフの理解が欠かせない。アートデリバリーは、見本があって、「こういうものをつくりましょう」というタイプのものではなく、毎回内容が異なるからだ。ここでのアートは、アーティストの存在によって呼び起される何か、である。ワークショップを通して、スタッフもまた潜在能力が引き出され、自分を発見することもあれば、同僚の意外な面を発見することもある。働く場でのアート体験は、園児/高齢者などの参加者のみならず、スタッフにとっても日常では得られない貴重な時間となっている。
 また、アートデリバリーは一般の保育ではほとんど行われたことのない内容であり、保育士たちにもよい刺激になり、新しい指導のヒントにもなっている。このようにアートを通して、気づき、発見、想像、表現が生み出すコミュニケーションは一般的な概念でいう「教育」とは異なるかもしれない。しかし、そこには人間としての原点があり、最も大切な生きるための教育なのである。

3 事業の成果と課題

アーティストとの連携

 アートデリバリーの派遣アーティストを選定するに際しては、まずARDAの運営委員会で推薦されたアーティストに事業内容を伝えアイディアを出してもらう。派遣するアーティストを選択するポイントは、作品が素晴らしいことと、どういうコミュニケーションをする人柄かが分かっていることである。どちらも満たすアーティストは少なく、施設数に対し講師の人材が不足気味なのが現状である。並河氏は、アートデリバリーがもっと知られるようになることが第一だが、社会とつながって自分を活かしたいというアーティストを育成することが求められていると言う。
 初めて参加するアーティストの場合は、ARDAのメンバーも一緒にプログラムを考え、当日参加するアートコミュニケーターと一緒に試しのワークショップを行い練り上げて行く。その共同プロセスがアーティストにとっても大切で、実際にワークショップを経験し、楽しく実施できることで自信がついていく。参加者の自然で独創的な反応は、アーティスト自身にも刺激となっていて「才能を持った人に向き合っている、という感覚がある」と、語るアーティストもいる。
 デリバリーするアートには、造形、音楽、身体、3つのジャンルがあり、派遣先がいずれかを選択する。
 さらに、保育園でワークショップを実施したアーティストが、その園から気に入られて、以後直接依頼を受けるケースや、園児がアーティストにお礼の絵手紙を書くといった交流も生まれている。

「ナイトクルーズ~光るまちをつくろう~」(講師:開発好明)
「ナイトクルーズ~光るまちをつくろう~」(講師:開発好明) 

助成金を活用して事業を検証、基礎を固める

 アートデリバリーは、1回ごとに内容が異なり、しかも実行後には形をとどめないものなので、記録が欠かせない。したがって、あらかじめプロジェクトの予算に記録作成の費用を組み入れている。
 活動資金やシンポジウム、セッションの実施には、民間企業や文化庁などの助成金を活用している。例えば、2011年は、高齢者施設の活動を、ファイザー(株)市民研究支援助成金を得て、これまでの10年間を、外部有識者の参加で検証する。高齢者へのワークショップの魅力を、施設やアーティスト、さらには一般市民に理解してもらうための言語化の作業を行う。報告書と、手引きとなるハンドブックの作成、さらにはシンポジウムも開催する予定である。

日常的な収入をいかに確保するか

 地域のアートセンターとしての活動を充実するには、日頃の情報発信や、作品の展示、また高齢者や子どもたちのワークショップもできるスペースの確保が欠かせないとARDAでは考えている。しかし、経済状況から、それを日常的な業務として展開するところまでには至っていない。助成金頼りではない、自立した事業として成り立たせる方法を模索している。
 ARDAでは、行政に対して高齢者施設への文化予算の分配や小中学校へのアートデリバリーの実施を要望している。いつも「うるさい」と煙たがられている高齢者がワークショップでは存在感を示したり、学校でふだんは問題とされている児童・生徒が、とても面白い作品をつくり賞賛されることが、ARDAのワークショップでは少なくない。アートが内包する要素を活用して個々が持っている能力を活かす場を広げたいと考えている。

4 今後の展望

「幼児から高齢者まで」、アートで感覚のマッサージを!

 2010年、ARDAでは「乳幼児と親子でいっしょにアートデリバリー」を開始した。5~6年前から、児童館より「入園前の子どもたちへのプログラムが欲しい」との声を聞いていたからだ。また、企業人へのアートデリバリーの検討も始めた。感覚へのマッサージは年齢を超えて求められている。アートを必要とする世代は、子どもから高齢者までの全世代である。そのため、ARDAでは、まず幅広い世代を対象とするアートデリバリーの普及を図ろうとしている。
 今後、アートデリバリーを取り入れる文化的な予算を持てる施設等が増え、日常的な事業として自立できることを切望している。

メキシコの子どもたち(提供:安田亜希子)
メキシコの子どもたち(提供:安田亜希子) 

(ヒアリング応対者:理事長 並河惠美子)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年03月 --