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特定非営利活動法人 語りと方言の会

民話を次代につなぎ続け、「地域の暮らしと心」を守っていく

所在地…〒963-0202 福島県郡山市柏山町3番地
TEL…024-961-9630 FAX…024-952-6788
URL…http://www.o-minwa.net/ E-Mail…staff@o-minwa.net

福島県郡山市

1 団体の概要

代表者名…三田公美子
設立年月…2002年3月 認証日…2002年7月22日
有給スタッフ数…常勤/0名、非常勤/0名
事業規模(09年度決算収入)…2,250,000円
(内訳:事業収入890,000円、会費790,000円、寄付金48,000円、その他522,000円)

活動の目的・趣旨

 福島県民に対して、地域文化の振興、子供の健全育成、社会教育の推進、社会福祉に関する事業を行い、地域社会に貢献することを目的とする。

団体の設立経緯

 2001年7月~9月に福島県須賀川市で開催された「うつくしま未来博」で、県内各地の民話の語りを行う「からくり民話茶屋」が出展されることになった。86日間のステージを乗り切るために、語り部スクールで「語り部」を養成し、伝承語り部50名とスクール修了者170名、ボランティアスタッフの協力のもと実施し、好評を得て終了。入場者とともに、語り部たちの心にも忘れられない感動を残した。
 その後、「巻き起こった民話を語り継ぐ火を絶やさないように」との声が上がり、各地で民話語り部の会が次々と結成された。「からくり民話茶屋」に参加した語り部やボランティアたちの強い思いが原動力となり、こうした自主的な活動を束ね事務局機能を果たすべく、2002年3月、「語りと方言の会」設立総会を開催した。
 「からくり民話茶屋」の運営を行った広告代理店の代表でもあり、プロデュースに尽力した三田公美子氏が理事長に就任し、7月にはNPO法人の認証を取得した。

主な活動内容

1.「おばあちゃんの民話茶屋」運営

 JR郡山駅2階の待合室内で、県内各地の民話の語りを1日3ステージ、毎日上演。

2.子ども語り部教室の開催

 1年に5~6回コースの子ども語り部教室を開催。郡山を中心に開催しており、毎回10人前後の市内の小学生が参加している。

3.民話祭や方言弁論大会などイベントの開催

 毎年夏には「民話祭」、冬には「わがまち方言弁論大会」を開催。2010年でそれぞれ9回目の開催となった。

4.伝承民話や方言等の調査・研究など

 県内7地域の伝承民話や方言などの情報を集めて出版物、CDやDVDを作成。

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 「おばあちゃんの民話茶屋」運営

JR郡山駅で語りの場を確保

 JR郡山駅2階、新幹線改札口近くの待合室の中に「おばあちゃんの民話茶屋」はある。
 入って正面の奥に民家の囲炉裏端のようなステージがあり、1日3ステージ、365日、語り部による民話語りを行っている。多いときには約30席が満員になる。上演の合間には県内7つの生活圏を代表する民話のアニメも上映し、紙芝居を上演することもある。
 この民話茶屋は、“語りの場の確保”が一番の目的である。民話語りを行うためにイベントを開催すると、そのたびに集客に苦労することになる。それならばと、様々な人が立ち寄る駅の待合室を民話語りの場にすることを思いついた。運営資金で頭を悩ませていたが、経済産業省の市民ベンチャー事業に指定されたことで、とりあえず資金が確保された。こうして2003年からスタートし、駅のリニューアルを経て現在の場所で語り続けている。

郡山駅の憩いの場でもある「おばあちゃんの民話茶屋」
郡山駅の憩いの場でもある「おばあちゃんの民話茶屋」 

語り継ぐ・語り続けること

 ステージの横では「物産會所ふくすま屋」を運営し、懐かしの郷土玩具や、旅の手みやげになるような県内の民芸品などを販売している。茶屋の入場料は無料だが、「物産會所ふくすま屋」の売り上げを民話茶屋の運営資金の一部にあてている。
 現在は物販の売り上げに応じたテナント料をJR東日本に支払っているが、大きな金額ではない。それでも場所を貸し続けてくれるJRの支援もあって、続けることができている。
 待合室の中なので人の多い日もあれば少ない日もある。電車の待ち合わせで、入ってきてもすぐに出て行ってしまう人もいる。しかし、「民話を聞いてもらうことも大事だが、それよりも語り継ぐ・語り続けることが重要」という思いで毎日継続している。

事業名称 子ども語り部教室の開催

世代間交流にもなる「子ども語り部教室」

 「子ども語り部教室」は1年に5~6回、郡山市を中心に開催し、語り部を養成している。対象は、市内の小学1年生から6年生。各小学校への案内や、語り部が訪問している小学校での声かけなど、学校の協力を得て参加者を募集している。
 2010年は、8月に「夏の民話祭」に子ども語り部が出演した。11月からは「子ども語り部教室」を開催し、2月6日には子ども語り部の卒業生発表会(小学6年生対象)を行った。
 これまでの「子ども語り部教室」入門コースでは、「民話とは何か」「方言の大切さ」などの講義とともに、講師の語り部の昔話を耳で聞き、さらに最終日には昔話を一つずつ発表することも行ってきた。また、実際に昔話の伝説の場所に出かけ、自分の目で見て、その土地の人に話を聞いたり昔の遊びを体験したりと、部屋の中だけでなく実際に体感する語り部教室も人気があった。
 語りを通して継承されていく民話の文化を絶やすことのないように、地域の伝統文化や民俗風習について関心を深めてもらい、地域のことばである方言についても継承していくねらいがある。また、高齢者と子どもたちとの世代間交流という目的もある。

子ども語り部教室で昔話を発表する子ども
子ども語り部教室で昔話を発表する子ども 

事業名称 民話祭や方言弁論大会などイベントの開催

方言への思いを語る「わがまち方言弁論大会」

 語りと方言の会では、民話祭や方言弁論大会などのイベントも毎年開催して、方言や語りの普及に努めている。
 「わがまち方言弁論大会おもしぇぞおらほのことば」は、毎年冬に開催されている。子どもの部、大人の部に分かれ、方言についての思いを参加者が語る発表会と、伝統芸能の披露やトークショーなどが回ごとに行われている。
 弁論大会も民話を継承していく活動の一環である。これまではテーマを毎回もうけて方言で語ってもらっていたが、9回目となる2011年1月の大会は、原点に立ち返るためにテーマを「やっぱり方言」とした。方言でしか言い表せない気持ちや、残したい方言などを語ってもらった。子どもの部では前年の倍の22人の小学生が発表し、ユニークな語りを発表。約250人の参加者が集まった。方言は地域に伝わる先人の宝であり、次世代に残していくために、語る場をいろいろな形でつくっていきたいと考えている。
 大会の運営費のために、協力金として500円の入場券を販売している。入場券の販売だけでは運営費としては十分ではないが、会員を中心にボランティアスタッフも加わり、運営をしている。会員には高齢者が多いが、自分たちが会を支えていこうという熱い気持ちを持って参加してくれる。
 会員たちは、それぞれの地域では地域の語り部の会の中心となり、さらに活動の輪を広げている。

「わがまち方言弁論大会」で方言について語る参加者
「わがまち方言弁論大会」で方言について語る参加者 

3 事業の成果と課題

民話を語り継ぐ語り部が増加

 活動を始めてから、県内の語り部が増加していることが一つの成果である。
 他県では語り部が減ってきているのが実情だが、福島県では逆に増加している。「うつくしま未来博・からくり民話茶屋」の開催当時、伝承語り部と呼ばれる人は名簿上は90人ほどいたが、実際に参加できる人は50人足らず。そのため「語り部スクール」を県内各地で開設。にわか語り部の養成で96日間のライブをなしとげた。現在、語りと方言の会の会員は280名。そのうち、郡山駅の民話茶屋に参加する語り部は約80人となっている。
 全国の民話の原型は150から180パターンだといわれているが、やや不完全ながらそのすべてが伝わっているのが福島で、それが福島の民話の特色である。不完全ながらも少しでも後世に残していくことが一つの目的であり、そのためにも地域ごとに伝わる民話を語り継ぐ語り部が増えていることは意義がある。

子どもたちの気づきの広がり

 もう一つの成果は、子どもたちが方言の持つ温かさ、お年寄りから民話を伝え聞くことの大切さに気づいてくれることである。
 子ども語り部教室では子どもたちの笑顔が日常的に見られる。今年の弁論大会で優勝した小学生のメッセージ「ばあちゃんの『おがえり』は、気持ちを落ち着かせてくれる大切な言葉」は聞く人の心に深く刻まれた。また、民話茶屋では、子どもたちはうなずきながら熱心に聞き入っている。置かれているメッセージノートには、「郡山の帰省のときには、ここに立ち寄るのが子どもの楽しみです」「今日は受験だった。おばあちゃんの民話茶屋で元気をもらいました」というような書き込みがたくさんある。
 昔から伝えられてきたものだからこそ、心に響くものがあると考えており、まだ数は少ないが、この気づきが広がっていると実感できることが成果だと考えている。

課題は事務局の運営と後継者

 現在の一番の課題は、事務局の運営である。常駐スタッフも不在で、事務局の運営経費が十分に捻出できず、事務局が負担している部分もある。
 正会員の会費は2,000円、賛助会員が10,000円。年会費を合わせても、1回のイベントを開催することもできない。そのほかに、補助金の活用や、物販の売り上げ、弁論大会の入場券販売などで運営しているが、もちろん十分ではない。
 さらに、NPO法人を設立してから8年が経過し、うつくしま未来博「からくり民話茶屋」の開催からは10年目になる。そろそろ、理事長の交代も必要だと考えている。
 活動はとても意義のあることで、やめるわけにはいかない。活動資金や後継者の問題は、NPO全体に共通する課題であり、今後も何とか活動を継続するための努力をしていきたい。

4 今後の展望

愚直に語りを続ける

 語りと方言の会では、今後も、「愚直に語りを続けたい」と考えている。民話を通じて守りたいのは「地域の暮らしと心」。方言によって伝えられてきた民話には、昔話や誰でも知っているような世間話、笑い話の中に、たくさんの教えが埋め込まれている。
 人の生き方や命の大切さ、感情、作法、暮らしの知恵、家族の絆、地域の生活の形など、民話のストーリーの背後にある“地域の暮らしや日本の心”を方言でつないでいくことが重要である。だからこそ、語り続ける必要がある。

1億円のヒットを目指して

 「おばあちゃんの民話茶屋」での物販の売り上げは運営費の一部になっているが、現在は赤字の状況である。しかし、このままでいいとは思っていない。
 「1億円のヒット商品があれば、そのうち手数料が1割でも1,000万円。NPOの運営費としては十分。意義のある活動を投げ出すわけにもいかない。運営が厳しいと後継者、事務局の担い手も出てこない」と三田氏は語る。
 組織の運営費を賄うためにも、売り上げ1億円のヒット商品が目標である。

(ヒアリング応対者:理事長三田公美子氏)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年03月 --