ここからサイトの主なメニューです

特定非営利活動法人 パンゲア

ことば・文化背景の壁を乗り越える

所在地…〒600-8411 京都府京都市下京区烏丸通四条下る水銀屋町620 COCON烏丸4F
TEL…075-353-4419 FAX…075-353-4182
URL…http://www.pangaean.org/ E-Mail…info@pangaean.org

京都府京都市

1 団体の概要

代表者名…森 由美子
設立年月…2003年4月 認証日…2003年4月15日
有給スタッフ数…常勤/5名、非常勤/7名
事業規模(09年度決算収入)…16,374,150円
(内訳:会費420,000円、事業収入6,445,675円、助成金8,849,035円、寄付金399,265円、その他260,175円)

活動の目的・趣旨

 国内外の教育機関・研究機関および国際機関と連携し、世界の子どもたちが言葉、距離、文化の違いの壁を乗り越えて、個人的なつながりを感じることのできる遊び場「ユニバーサル・プレイグラウンド」を構築することを目的とする。

団体の設立経緯

 パンゲア設立のきっかけは、2001年9月11日の米国同時多発テロにある。当時、アメリカにいて墜落したユナイテッド航空93便に乗る予定だった森理事長と高崎副理事長は、仕事の都合で同便をキャンセルした。
 テロ直後のアメリカではイスラム世界を一方的に悪く報道し、イスラム人は怖いというステレオタイプな見方をするアメリカ人に衝撃を受けた。この経験から、未来を担う世界の子どもたちが、個人的な「つながり」を感じることができる「ユニバーサル・プレイグラウンド」(世界共通の遊び場)を構築することで、一方的なものの見方が減ると考え、2003年に米国マサチューセッツ工科大学メディアラボの支援を受けてパンゲアが設立された。

主な活動内容

1.子ども向けワークショップの開発及び実施事業
  • パンゲアアクティビティ(絵文字ツールを含んだパンゲアネットなど)の開発と国内外での実施
  • 子ども向けインターフェースを用いたアニメーション作りなどのワークショップの開催
2.子ども向け文化芸術コンテンツの創作活動に関する国内・海外の調査事業
  • 子どもたちのつながりを促すコンテンツの開発及び実証実験
  • 小児病棟における国際交流活動の調査

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 パンゲアアクティビティ

「ユニバーサル・プレイグラウンド」(世界共通の遊び場)の創出のために

 「パンゲア」とは、ギリシャ語で5大陸が今のように分かれる前の一つにつながっていた時期の「大陸」を意味する。パンゲアが提案する「ユニバーサル・プレイグラウンド」(世界共通の遊び場)では、世界の子どもたちが安全にインターネットを活用して、言語や文化の壁を越えて「パンゲアアクティビティ」を自発的に楽しみながら、互いの体験や創作物を共有する。月に1~4回、拠点となる小学校や児童館に集まった9~15歳の小中学生が参加している。アクティビティを実施する際にはファシリテーターと呼ばれるスタッフが、プログラム進行の手助けをする。アクティビティには、「ローカルアクティビティ」と「Webcamアクティビティ」の2種類がある。

緊張を和らげるアイスブレイク

 パンゲアWebcamアクティビティでは、Webカメラを使用し、他拠点の子どもたちとゲームを通じて交流を行う。
 各拠点に集まった、20~30人の子どもたちの緊張をほぐすために、まず行うのが「こえつな」(声の綱引き)である。「こえつな」では、子どもたちがグループ対グループに分かれて「パンゲア!」と叫び、声の大きさを競う。
 「マッチゲーム」では、テーマを聞いて相手が何を連想するかを絵に表し、お互いの絵がマッチすることでポイントを得る。各チーム文化の違うメンバーで構成され、相手の環境や知っている情報を基に、相手の考えを想像することから、相手を認識し、相手の立場を考える体験につながっている。

「こえつな」でのひとコマ
「こえつな」でのひとコマ 

国・文化を越えて人をつなぐ「パンゲアネット」

 次に子どもが自分を紹介するために、「パンゲアネット」を使って表現する。「パンゲアネット」では色鉛筆やクレヨンで、好きな家、自分の住みたい家の絵を描きスキャナで取り込み、窓に顔写真を貼る。その絵を顔写真、名前とともに公開する。その家に興味を持った子どもが訪問することから交流が始まる。家の表札には自国語で書いた自分の名前が掲げられ、クリックするとその読み方を録音した声が聞こえる仕組みになっている。文字が読めなくても、声をきっかけに外国の文字に興味を持つ子どもは多い。
 「パンゲアネット」は同じ拠点に集まった子どもたちの家が集合し、村が生まれ、「家→村→国→地球」と4回クリックして地球にたどり着くサイト構成になっている。また、「パンゲアネット」は外部からアクセスできない仕様になっており、個人情報の安全管理にも配慮されたシステムになっている。

絵文字「ピクトン」

 子どもの家を訪問して友だちになった後は、言葉の壁を乗り越えるため、「ピクトン」という絵文字を使ってメッセージを交換する。約850種の絵文字を用意し、これらを広い画面に並べて、自由に絵文字を配置することで文章を作成し、メールで交換するなどしてお互いの気持ちを伝える。言葉の意味が分からなくても、自国の言葉でメールの内容が表示される。また、約500種類の使用頻度の高い文章をデータベース化し、伝えたい内容を選ぶと、自動的に相手の母国語に翻訳されてメールが送られるシステムを開発している。

三重県津市教育委員会との連携

 津市教育委員会は三重大学とともに、2006年から3年間文部科学省の国際教育推進プランの委託事業を受けたことを機に、産学官の連携・協力によってパンゲアの活動を支援。委託事業終了後も支援は継続されている。津市教育委員会は主に子どもたちへの声かけとともに、英語の指導を目的に来日した外国人語学指導助手(ALT)などに対してファシリテーター募集の告知を行っている。
 一方、三重大学では、大学の教授が率先してファシリテーター養成の呼びかけを学生に行っている。パンゲアの活動を軸に、それぞれの役割を生かした取り組みを行うことで、地域で子どもの教育環境を支援する持続的な体制が構築されている。教育委員会には、地域と連携して子どもを育てる環境を支援するきっかけを提示するとともに、大学に対しては、工学部や教育学部など学部間の垣根を越えて交流するきっかけを与えている。

3 事業の成果と課題

世界に広がるパンゲアのネットワーク

 パンゲアの活動地域は、現在5カ国9拠点(日本4拠点、韓国1拠点、オーストリア1拠点、ケニア1拠点、マレーシア2拠点)、子どもの参加者数は日本で2,700人、海外で約1,800人の合計延べ4,500人にのぼる。また、活動を支えるボランティアの登録数は、日本・海外含めて合計350名を超えている。

マレーシアの拠点でのパンゲアアクティビティの様子
マレーシアの拠点でのパンゲアアクティビティの様子 

子どもたちの反応の変化

 パンゲアアクティビティの前後には、相手となったグループの国のイメージ、実際に交流してみたあとの感想をアンケートしている。
 韓国の参加児童へ5段階評価でのアンケートを実施したところ、日本または日本の人について、パンゲアアクティビティ実施前は、「普通、嫌い」と答える児童が約7割を占めていた。それに対して実施後には、「好き」と答える児童が約7割を占めており、楽しい思いを共有した経験が、国のイメージを大きく変化させている。
 また、日本の参加児童も同様に、実施後は「好き」と答える児童が約7割を占める結果となっている。最初は「怖い」と思っていても、顔が見えることで、外国の子ども同士がより親近感を持つことが分かった。例えば、活動中に相手の国の言葉で挨拶をすること、話し相手の名前を呼ぶことなど、ちょっとした工夫で、子どもたちの心理的な距離がぐっと近づいている。

つながりを促すコミュニケーションツールの開発

 「ピクトン」や「パンゲアネット」システムなどの交流ツールをはじめ、子どもたちが気に入り、面白がってもらえるもの、ファシリテーターとなる大人にも理解しやすくかつ世界共通で使えるものを念頭において開発している。また、国や言語の違いに関係なく皆が同じスタートラインで交流できるシステムを意識して開発している。
 これらパンゲア独自のシステムを開発するにあたって、世界各国でアンケートを用いて認識度を調査すると同時に、言語学者や社会学者などの専門家の意見も参考にし、実証実験を重ねてきた。その成果は、国内外の学会で発表され、パンゲア・モデルとして社会的な認知を広げている。

NPOに社会的な信用を

 最近、「新しい公共」など、NPOに対する行政の目が良い方向に変化しているのを感じている。しかし、NPO法人が借入れを行う場合、法人格としては借入れが難しく、理事長などの個人保証が要求されており、銀行から信用されていないのが実態である。また、行政からの委託事業を行う場合でも、事業費の支払いは事業実施後が多いため、NPO法人の運営上厳しい状況である。
 NPO法人も玉石混交ではあるが、行政や民間が担えない部分を担っているNPO法人の活動内容を評価し、正当な社会的評価がなされるべきだと考える。そのためにはNPO法人の信用調査や事業内容の評価を行う第三者機関の設置が必要である。

4 今後の展望

世界中にパンゲアのネットワークを広げる

 パンゲアでは、相手を思いやり、相手の立場になって考えられる想像力をたくましくするために、どの国の子どもも、外国の子どもたちと「つながり」を持てる環境を整えることを目指している。
 ケニアの拠点ではネット環境を整えるところから始まり、地域の大人たちが拠点となる学校にファシリテーターとして出向いている。いろいろな国の人が参加できるようにするためのマニュアルやソフトのパッケージ化を進めている。ネット環境の安全性を確保しながら、言葉が通じなくても一緒に遊べるような場所を広げ、子どもたちが多様な文化を受け入れられる機会を提供していきたい。

笑顔でヒアリングに協力してくれた森氏と高崎氏
笑顔でヒアリングに協力してくれた森氏と高崎氏 

ICT教育の実績を生かした新事業への参画

 活動を開始してから8年経過し、500回近いパンゲアアクティビティを実施するための運営方法、児童にとって楽しめるコンテンツの作り方、画面の作り方などの知見やノウハウが培われている。
 これらICT教育における実績を生かし、開発途上国支援の一環として、メコン川流域の読み書きができない農民が多い地区でインターネットを使用し、農業支援の情報提供をする事業を立ち上げた。
 本事業は総務省事業「ICT重点3分野途上国向けモデル事業(ユビキタス・アライアンス・プロジェクト)」の一環としてベトナム農水省と提携し、NTTコミュニケーションズ株式会社と財団法人ハイパーネットワーク社会研究所の支援を得て実施するものである。
 今後は農業分野に限らず、開発途上国支援としてコミュニティに必要な様々な情報を、ICTを使って子どもたちに届けていきたい。

(ヒアリング応対者:理事長森由美子氏、副理事長高崎俊之氏)

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年03月 --