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特定非営利活動法人 共存の森ネットワーク

森と人の暮らしをつなげるNPO

所在地…〒154-0004 東京都世田谷区太子堂5-15-3 R-rooms三軒茶屋1-A
TEL…03-6450-9563 FAX…03-6450-9583
URL…http://www.kyouzon.org/ E-Mail…mori@kyouzon.org

東京都世田谷区

1 団体の概要

代表者名…吉野奈保子
設立年月…2003年9月 認証日…2007年12月14日
有給スタッフ数…常勤/4名、非常勤/7名
事業規模(09年度決算収入)…41,974,616円
(内訳:会費・入会金225,000円、事業収入918,121円、補助金等(民間助成金等)40,831,495円)

活動の目的・趣旨

 森とともに生きてきた先人たちの伝統的な暮らしの知恵や技の集積の中に持続可能な社会の基本があることを見据えながら、人と自然・人と人との「共存」を基本とした社会づくりと、新たな価値観の創造に寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 2002年に特定非営利活動法人樹木・環境ネットワーク協会が開催した、第1回「森の聞き書き甲子園」のプロジェクトが独立し、2003年の第2回開催を契機に、「共存の森ネットワーク」が設立された。

主な活動内容

1.森の聞き書き甲子園

 森に関する「名手・名人」を訪ね、その知恵や技、ものの考え方や生き方を一対一で「聞き書き」を行う。全国から100人の高校生が参加し、2010年度で9回目の開催となる。

2.共存の森づくり

 関東、東北、北陸、東海、関西の5地区で、農山村地域を拠点に、人と森、地域をつなぐ活動。

3.なりわい創造塾

 農山村地域での生き方を真剣に探そうとする若者たちへ、研修、実践の場を提供。

4.森林総合利用推進事業

 里山林の整備と資源の活用に有効な里山林再生のマニュアルを作成し、人材育成、情報発信等を行う。

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 森の聞き書き甲子園

団体設立のきっかけとなった「森の聞き書き甲子園」

 「森の聞き書き甲子園」(以下、聞き書き甲子園)は、2002年に林野庁が「森の名手・名人」を選定・表彰する制度を計画し、この委員会に現理事長の塩野米松氏が委員として参画していたことから始まる。
 塩野氏は、高校生がアメリカ開拓時代の智恵や森の叡智を聞き書きし、レポート作成をしていた1977年頃のアメリカの教育プログラム「FOXFIRE」を委員会で紹介した。塩野氏自身が作家活動で聞き書きをしていたこともあり、日本の高校生が「森の名手・名人」を対象に聞いて記録することで、この活動を単なる表彰にとどまらない、学生の成長にすばらしい効果を与える事業として提案を行った。
 その提案に基づき、林野庁は、「森の名手・名人」選定・表彰制度の調査事業の一環として、事業の実施を決定した。文部科学省との連携も実現し、高校生100人が全国の「森の名手・名人」を訪ねて、その知恵や技、ものの考え方や生き方を一対一で「聞き書き」をする、第1回「森の聞き書き甲子園」の開催に至った。

卒業生と行政担当者の支えで継続が可能に

 第1回以後は、聞き書き甲子園を経験した卒業生に手紙を出して、協力を募った。第2回目は卒業生5人が集まり、研修等の運営ボランティアとして参加した。
 第2回目の運営費用の半分は、林野庁から継続的に確保はできたが、残りの半分は協働先企業を開拓しながら実施した。林野庁、文部科学省の担当者の各々のつながりを持ち寄って、企業の営業回りを行った。この経験を通じて、一緒に汗を流してくれるボランティアや支援者が必要であり、お金は後からついてくるということを実感したと、事務局長の吉野氏は言う。
 吉野氏は、第1回、第2回参加の高校生たちから、事業の継続を切望された。ここから協賛企業獲得に本腰が入り、林野庁と文部科学省とも協働し続け、実現にこぎつけた。さらに卒業生も毎年OB・OGとして活動に関わり、支えてくれたことで、長い間にわたって継続する活動となっていった。

森の名人と高校生との出会い
森の名人と高校生との出会い 

事業名称 共存の森づくり

 「共存の森づくり」も、聞き書き甲子園の卒業生の呼びかけから始まった。聞き書き甲子園に参加した多くの高校生たちは、「森の名手・名人」に出会ったことで、自分たちの人生観が変わった。そして、聞き伝えるだけで終わりにするのでなく、任意活動ででも地域の森づくり活動をやりたいと懇願してきた。これが現在の事業の一つである「共存の森づくり」活動につながっている。
 聞き書き甲子園の第1回・第2回の参加者有志が約40人集まり、千葉でセミナーを開催したことを契機に、林野庁、千葉県市原市から県有林を提供してもらうことが決まり、「共存の森づくり」活動がスタートした。
 現在、関東、東北、北陸、東海、関西の5地区の農山村地域を拠点に、地域で暮らす人々から話を聞き、共同作業に参加しながら、その土地に暮らすことへの想いや願いに心を寄せ、人と森、地域をつなぐ活動を行っている。

事業名称 なりわい創造塾

 「なりわい創造塾」は、U・Iターンを希望し、自分の生き方を考え出した「聞き書き甲子園」の卒業生の相談を受け始めたのが契機となり開講された。
 専門家による講義と、現場でのフィールドワークを通じて、若者が農山村地域での生き方を真剣に探し、具体的な将来のキャリアプランの作成を応援する場である。

事業名称 森林総合利用推進事業

 里山林再生・整備のマニュアル化を目的とした林野庁補助事業。地域住民が主体となった自立的・継続的な里山林の利活用の仕組みづくりが必要だという問題意識のもと、同事業を実施している。

「森の聞き書き甲子園」の参加者
「森の聞き書き甲子園」の参加者 

3 事業の成果と課題

生き方をみつめる場としての「聞き書き甲子園」

 聞き書き甲子園の卒業生は、翌年以降も、毎年8月上旬に実施している聞き書き甲子園の研修会に運営ボランティアとして参加している。全国から大学生ボランティア30~40名が参加し、事務局と一緒に聞き書き甲子園の運営を支えている。このような関わり方が継続するのは、聞き書き甲子園の成果発表の場で、運営ボランティアの卒業生が参加高校生へ、今後のつながりの声かけを積極的にしているからである。高校生が大学生の背中を見て、自分たちの将来を考えることができる場として、引率の高校の先生たちも賞賛している。
 また、聞き書き甲子園の運営面だけでなく、「森の名手・名人」と交流を続ける卒業生もいる。事務局が「森の名手・名人」にアンケート調査をしたところ、春夏冬の休みの時期に訪問したり、電話やメールのやり取りを続けている卒業生がいることが見えてきた。聞き書き甲子園が、開催後も名人には生きがいを、卒業生にはもう一つのふるさとを生んでいたのである。環境活動のフレームに収まらず、社会や現場とのつながりを強くしてきた活動となっている。
 卒業生のなかには、林野庁の職員、森林組合に就職したり、山村集落にIターンするなど、進路、就職面でも、森、里山、環境に関わる仕事に就く人も出てきた。また、聞き書きノウハウの海外活用を研究している大学院生もいる。
 進路選択に直面する時期に聞き書き甲子園に参加することで、その後の生き方の選択に直結するプログラムとなっている。名人を訪問することで、多くが初めての一人旅の経験となり、そこでの出会いは、自分が何をしたいかを真剣に見つめるきっかけになる。卒業後、それぞれが“自分の名人”を持つ体験になるとともに、聞き書き甲子園が人生について真剣に話ができる仲間の集う場となっている。
 生き方が変わった例として、中学時代不登校だった通信制の学生が、聞き書き甲子園卒業後、同年代の仲間と学校生活を過ごしたいと思うようになり、普通科高校の受験を決意、入学後、部活を始めるなど自信をつけるきっかけとなったこともある。定時制、通信制、特別支援学校の子どもたちも参加するなど、様々な背景や、学年の上下も関係なく切磋琢磨する場で高校生たちが大きく変わっていく姿が、団体の活動の支えになっている。

4 今後の展望

「聞き書き甲子園」が生んだ協働

 聞き書き甲子園は企業の協賛金で運営している。企業支援の数が多く、支援期間も継続される理由は、成長する高校生を企業も一緒に育てているという意識が持てるという点にある。また、資金面以外にも研修会場の提供、社員参画(写真撮影講座、映像作成、営業研修等)、広報支援等の企業のサポートが事業の継続を支えている。
 林野庁、文部科学省が引き続き主催として協力していることも大きい。また、転任先の新しい学校でも呼びかけてくれる現場の高校の先生もいる。新規参加高校が右肩上がりに増え続け、聞き書き甲子園を支えている。
 現在、「海・川の聞き書き甲子園」の開催も検討している。自治体だけでなく、市民の声を拾いあげるため、海・川に関するNPOと連携し始めた。同様に、これからは海外、アジア展開を考え、高校生の視野を広げていきたい。これらの協働が実現した背景には、本事業が行政主導ではなく、NPO主導で行われ、幅広い市民からの協力を得たことにより、資金、各種サポートを得やすい状況を生んだことがあると考える。
 学生と一緒に成長するNPO活動を基本とするが、今後も企業参画を促すようなトピックスを提供していく。“聞き書き”の番組は韓国、シンガポールでも放映されており、商社等、新しい協働先を見据えたアジア展開を視野に入れていきたい。

ヒアリングに応対頂いた吉野氏
ヒアリングに応対頂いた吉野氏 

次世代育成は47都道府県の行政担当者が鍵になる

 資金確保の苦労は立ち上げ期より落ち着いてきた。現在の課題は、各都道府県の行政担当者のモチベーションの向上とネットワークの構築である。聞き書き甲子園では全国の名人と高校生をつなげる必要があり、名人の選出は各都道府県の担当者が頼りになる。各担当者の協力が必要であり、それが高校生の人生観を変える名人との出会いを生んでいるのだ。
 共存の森ネットワークは、学生の成長とともに歩んでいきたい。2007年にNPO法人化することで、学生の自己満足的な活動ではなく、社会的な活動、地域に関われる活動として聞き書き甲子園は広がってきた。新たな事業展開は、卒業生の農山村地域への意識、自身の生き方等の成熟度合いに合わせて考えていきたい。

(ヒアリング応対者:事務局長吉野奈保子氏)

 テレビや新聞の情報を聞いて、分かったつもりにならないでほしい。自分が何も分かっていないことを分かることが大事。聞くことが大事。
 具体的に聞いて現場に行くことが大事。そこから生き方が見えてくる。生きている人々の声に耳を傾けてほしい。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年03月 --