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特定非営利活動法人 尾道空き家再生プロジェクト

空き家を通じた地域コミュニティの創造!

所在地…〒722-0031 広島県尾道市三軒家町3-23
TEL…080-6323-9921
URL…http://www.onomichisaisei.com/ E-Mail…mail@onomichisaisei.com

広島県尾道市

1 団体の概要

代表者名…豊田雅子
設立年月…2007年5月 認証日…2008年6月30日
有給スタッフ数…常勤/1名、非常勤/0名
事業規模(09年度決算収入)…5,013,883円
(内訳:事業収入3,011,482円、会費345,000円、補助金1,400,000円、その他257,401円)

活動の目的・趣旨

 空き家の再生や空き家バンクの活性化事業などを通して、古い町並みや景観の保全、移住者・定住者の促進による町の活性化、そして、新たな文化・ネットワーク・コミュニティの構築を目的とする。

団体の設立経緯

 大学卒業後、旅行添乗員として働いていた豊田代表は、歴史的な建造物が現代的な町並みの中で美しく立ち並ぶヨーロッパ各地に感動を覚えた。その後、戦火を免れ、歴史のある町並みを残す尾道に2001年に帰郷。久しぶりの郷里は、少子高齢化などで様々な建物が放置されていた。「好きな地元・尾道で、今ある古い民家を活用して何かしたい」と決意。2007年6月、千光寺山斜面に建ち、独創的な設計で「ガウディハウス」の愛称で呼ばれる民家を購入し、修復を始めた。その活動は、ブログ等で大きな反響を呼び、翌月賛同する約20人で前身となる市民団体を設立した。

主な活動内容

1.町並み保全のための空き家再生事業
  • 空き家再生事業
  • 現地でチャリティ蚤の市
     空き家で放置された家財道具の運び出しは困難なため、再生物件で蚤の市を開催し、古い家財の運び出しの負担軽減と集客を同時に実現。
  • 尾道建築塾
2.定住促進とコミュニティの確立を図る事業
  • 尾道空き家談義
     尾道の空き家問題と関わりのあるゲストを招いて情報交換をする。
  • 空き家バンク
     尾道市からの受託事業。市が空き家の登録業務をし、NPOが市民・大家さんの窓口業務を行う。
3.新たな文化とネットワークの構築事業
  • 尾道まちづくり発表会

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 尾道建築塾

目的は尾道建築の魅力再発見

 尾道の各時代を反映するような建物や尾道の地形ならではのオモシロ物件などに注目し、技法や歴史的背景も含めて、広く一般の方に尾道建築を理解してもらおうという塾である。
 尾道は、歴史あるお寺や神社、坂道と海が織りなす美しい風景で有名であるが、それ以外にも、あまり注目されてこなかった住宅や事務所、銀行建築や土蔵など、尾道の賑わいを今に伝えるキラッと光る建築物が多くある。市民に身近な建造物にも興味を持ってもらい、尾道の建築に対する理解を広げてもらう。また、昔の技法や職人の技などを実際目にすることにより、現代の日本建築が失いつつあるものを再認識し、技術の継承を提唱し、これからの尾道の家づくりについても考えるきっかけづくりを目的とする。

●「たてもの探訪編」

 NPO法人会員の大学教授や一級建築士が講師となり、町歩きや空き家のランドマークになっている「旧和泉邸」(通称「尾道ガウディ・ハウス」)をはじめとした建物の内部見学などを行っている。商店街と小路のエリアを中心に再生事例や昭和のレトロ建築などをめぐる中で、建物のオーナーから生の声をじっくりと聞く機会もある。20、30代を主な対象とするが、新聞でイベントを知ったシニアの方、小学生、親子での参加も多い。
 2011年で3年目となる。春に3コースを実施し、毎回20~25名が参加。昨秋は、新しく1コースを追加した。参加費は約500円。

たてもの探訪をして斜面地を歩く
たてもの探訪をして斜面地を歩く 

●「現場再生編」

 ワークショップや公開工事などで、空き家再生の実際の現場を体験するプログラム。講師は、工務店の大工や左官職人等である。左官作業(外壁モルタル仕上げ、内壁漆喰仕上げ、ドイツ壁仕上げ、モザイクタイル貼り)や、木工作業(床板張り、外壁うろこ壁仕上げ、丸太天井仕上げ、廃材での縁側つくり)を一般の人と一緒に行う。
 小学生も親子で参加できる内容を盛り込み、老若男女が広く参加できるような仕組みにしている。新婚夫婦をはじめとして、空き家を探している人の参加が多い。また、空き家購入後の練習台としても活用してもらっている。昨年は3回実施。今まで計20回ほど開催している。参加費は、道具代を含め1,500~2,000円である。

2010年第2回「土壁再生 左官を体験!」
2010年第2回「土壁再生 左官を体験!」 

●「空き家再生!夏合宿」

 普段なかなか参加できない遠方の人や学生を対象の中心に、短期集中型で1軒の空き家を丸ごと再生するという企画である。
 駅裏の山の中腹の空き家に寝袋で寝泊まりしながら、構造補強、屋根の塗り直し、五右衛門風呂の設営などを体験。夕方には洋館群がある景観地区のまち歩きや国宝古寺の見学会、夜には多彩な建築関係のスライドレクチャーと、凝縮されたプログラムを8日間体験することができる。定員は15名で、参加費は5万円。

●「ケーススタディ・ワークショップ」

 2009年より尾道市空き家バンク事業を市と協働で行っていく中で、脱空き家化のために様々な問題があることが判明した。そこで、NPOで担当する空き家バンクの窓口業務で脱空き家化が難しい物件をピックアップし、ケーススタディとして活用方法を考えるワークショップを行っている。今後の類似の物件でも応用できるアイディアや考え方、視点などを見つけ、実現、実行するための課題を整理していく。
 ワークショップでは、物件の魅力を探り、空き家活用案に関するコンペを行う。物件テーマごとにチーム分けして空き家の活用案を考え、プレゼンシートを作成。その後、問題点や障害を整理し、実行性や実現性について考える。

事業名称 尾道まちづくり発表会

 市民に尾道のまちづくり、空き家問題への理解を深めてもらうために、開催するシンポジウム。毎回、切り口を変えながら、斜面地の空き家問題をテーマとした学生の研究発表や、各種活動の報告を行っている。
 特に、「現場の生の声」を行政に届けること、「学生の生の声」を聞くことを目的としており、「研究者からの提言」や「学生は見た!再生現場からのレポート」といったテーマでの発表が行われる。2時間で大学教授や修士課程の学生、建築士等の4名の登壇者がいる。参加者は、行政の関係部署や他のまちづくり団体からも多くが参加し、定員50人をはるかに超える。開催は年1回ペースで、現在まで3回開催している。
 まちづくりに関わる関係者をはじめとして市民全体で、「空き家問題」を考えるきっかけづくりの場となっている。

行政、研究者、学生と多様な関係者が集まる「尾道まちづくり発表会」
行政、研究者、学生と多様な関係者が集まる「尾道まちづくり発表会」 

3 事業の成果と課題

地域内外におけるネットワーク・コミュニティ

 NPO会員の約半数は、斜面地に住んでおり、空き家再生を通じて絆を深めている。空き家への引越しや改装作業を、NPO会員相互で手伝ったりと、「空き家」を通じたまちづくりネットワーク・コミュニティを形成している。
 空き家ツアーには、兵庫や京都をはじめとして近県からも参加者があり、広域的な空き家再生のネットワークが育っている。また、卒業・修士論文のための研究に学生が訪れたりと、学術的なテーマとしても、尾道の事例がおおいに関心事となっている。
 尾道市から2009年より受託している「空き家バンク」事業では、これまで23件ものマッチングを成立させている。尾道市運営時は、年2~3件のマッチングであったというから、驚くべき数字である。また、従来ほとんど登録物件が増えていなかったが、NPOで受託してからは、年に12、13件の登録物件が増えている。問い合わせは月に50件、事務所での相談も月に20件にのぼる。このような数字は、「空き家」に関するネットワーク・コミュニティが育っていることの表れと言える。

多忙な業務も「お互いさま」の精神で

 家屋の補修、改修といった空き家再生事業や各種イベント開催で、多忙なスケジュール、作業量過多で、本来ならスタッフの拡充が望まれる。しかし、今のところ会員をはじめとしたボランティアの参画によって、事業は支えられている。単に空き家を再生するだけでなく、そのプロセスを通じて、建築を学んだり、関わる人同士のコミュニティの確立したりすることを重視しているからである。
 活動を進めるうえでは、それぞれのアイディアや「お互いさま」の精神を大事にしている。例えば再生のイベントにおいて、職人に丸投げするのではなく、参加者が自らできる部分は行ったり、指導を受けながら作業できるようにするという工夫をしているのである。
 空き家バンク事業は、従来行政が単独で行い機能していなかったものを、NPO側から提案したのをきっかけに、2009年10月から尾道市より委託を受けたものである。個人情報を取り扱う登録業務は行政が行い、NPO側は移住者の引越しを手伝うなど細やかさを活かして家主・移住希望者の窓口業務を担うというように、行政、NPO双方の特性を活かした協働が行われている。

4 今後の展望

尾道での暮らし方の発信

 事業全体を考えると、空き家バンクへの魅力的な空き家情報の登録を増やしていくことが重要になってくるが、一方で、情報発信が大事であると考える。空き家への移住に関する情報、具体的には「暮らし方を見えやすく」することである。斜面地での暮らしは、体験してみないと苦労は実感しにくい。今後も、日常の買い物はどうしているのだろうといった日々の暮らし方の情報まで、きめ細やかに発信していく。

家主の意識改革のための提案

 「空き家バンク」に登録されている物件と定住希望者のマッチングが成立すると、どんどん紹介できる物件が少なくなっていく。そのため、新たな物件の掘り起こしももちろん必要である。いったん貸してしまうと、賃借人が退去しない場合への懸念等があるため、賃貸に前向きでない家主もいる。一方、所有されている空き家の「価値」が分からず、賃貸をあきらめている家主の方もいる。そうした家主の方に情報や提案をさらに行っていきたい。
 同時に、バンクに登録されていても定住希望者が現れにくい「動かない」物件をどう動かしていくかも重要である。その場合、家主に価格の変更や修繕等の提案をして、住みやすい物件へとしていくことも必要である。

次世代への教育

 長期的には、尾道の将来を担う世代に、住んでいる街の現状について知ってもらう必要がある。そのためには、教育現場との連携が欠かせない。例えば、小中学校において、道徳の授業で、「空き家問題」を扱ってもらう、「街歩き」を小中学生向けに行ったりといった取り組みを進めていきたい。

(ヒアリング応対者:代表理事豊田雅子氏)

 一般市民を巻き込んだイベント開催や、移住者を連れて地域を視察する際は、地元住民への事前説明を行うなど、地域に対する日頃からの活動への参加のきっかけづくり、信頼関係を大事にしている。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年03月 --