ここからサイトの主なメニューです

特定非営利活動法人 東京シューレ

学校だけが育つ場ではない

所在地…〒114-0021 東京都北区岸町1-9-19
TEL…03-5993-3135 FAX…03-5993-3137
URL…http://www.shure.or.jp/ E-Mail…info@shure.or.jp

東京都北区

1 団体の概要

代表者名…奥地圭子
設立年月…1985年6月 認証日…1999年11月5日
有給スタッフ数…常勤/14名、非常勤/8名
事業規模(09年度決算収入)…116,700,277円
(内訳:会費・入会金収入3,700,000円、事業収入95,765,706円、助成金等収入6,414,502円、寄付金収入8,313,534円、その他収入2,506,535円)

活動の目的・趣旨

 フリースクールの運営を中心に、学校に行っていない子どもとその親を支援する様々な活動を通して、不登校の子ども及び不登校を経験した子どもと、学校外の学び・交流を求める若者の成長と生活の権利を保障・拡大し、子ども主体の教育のあり方を創造・発展させ、学歴社会の変革に寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 東京シューレ発足のきっかけは、設立当時に奥地代表が経験した自分の子どもの不登校の問題にある。解決策を模索するなか、故・渡辺位(たかし)氏(元児童精神科医・東京シューレ精神保健コンサルタント)と出会い、精神的に苦しんでいる子どもとの付き合い方について深く学習した。
 折しも1980年代は日本の登校拒否の児童・生徒が激増するさなかであったが、不登校の問題に対応できる医師や学校の体制、親の理解が進んではいない状況であった。そこで、奥地氏は子どもの思いを理解し、安心できる学びの居場所を提供しようと、1985年6月に「東京シューレ」という学校外の学びの場・支援の場を立ち上げた。前身となったのは、その1年半前に始めた「登校拒否を考える会」という保護者が集う自主的な会である。
 親が不登校や引きこもりの子どもの立場に立ち、子どもの気持ちを尊重するようになると、「子どもに笑顔が増えていき、表情が柔らかく、いい顔になった」と奥地氏は話す。しかし、子どもたちが元気になっても、いじめなどで傷ついた学校に戻る気にはなれない。そこで、学校以外の場で、定期的に子ども同士が互いに学びあい成長できる場をつくろうと、1985年、東京の北区東十条を拠点に東京シューレを設立したものである。活動規模は年々広がり、現在都内と千葉県に3カ所、約120人の生徒が通うまでになっている。また、この間に約1,200人の子どもたちが社会へ巣立った。

主な活動内容

1.通所型フリースクール事業

 学校外の子どもの居場所・出会い・交流・学習の場の提供や、自然体験、職業体験などの体験活動を行う。
 その他、不登校の子どもの活動支援、相談活動、説明会・見学会・学習会、ひきこもり支援などの実施。

2.知的探求創造の場事業(シューレ大学)

 学校制度によらない学術研究、創造活動、映画祭、公開講座などの実施。

3.ホームエデュケーションネットワーク事業(ホームシューレ)

 在宅での不登校支援、地域交流、交流誌発行、インターネットを活用した交流、学習支援。6歳から20歳の子ども、若者および親、約250家庭が在籍している。

4.東京シューレライフデザイン科

 19歳から35歳までのひきこもり・ニート・社会に出るまでの中間的な場を求めている人を対象に、仲間・居場所づくり、職業体験、学習など、自分の人生をデザインしていく活動。

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 通所型フリースクール事業「東京シューレ」

 「東京シューレ」の理念は、子どもたちのありのままを受け入れ、子どもがやりたいことを尊重している点にあり、各種講座やイベントへの参加は子どもたちの自主的な選択に任せていることに大きな特徴がある。

子どもたちが参画してつくるプログラム

 東京シューレでは、プログラムは学生たちが参画してつくることを主体としている。学習プログラムは、学生とスタッフのミーティングで、どんな力を養いたいか、どんな時間がほしいかなどの意見やアイデアを話し合って決める。希望が1人の場合は個人学習となり、2人以上になれば授業もしくは講座を開設する。

 開設されたプログラムは、数学・社会・理科といった教科学習のほか、ダンス・打楽器など表現力を養う講座、また手話や英会話等コミュニケーションを拡げるものなどがある。プログラムは成長段階の違いによる理解度の差を考慮して、大きく初等部と中・高等部に分かれているが、いずれのプログラムも子どもの自主選択制となっている。

休み時間を使って英語の自主学習をする生徒
休み時間を使って英語の自主学習をする生徒

「せまべん」から「ひろべん」へ(教科学習や生活・体験から広く学ぶ)

 イベントなどの体験型授業や、子ども同士の活動から学習する姿勢も重視しており、週に1回、他の授業を入れない「いろいろタイム」を設けている。町工場に協力を依頼して実現したトレイン製造、ハイキング、山登りなどの体験型授業を用意し、活動や人との出会いを通じて日常生活のなかで広く多くのことを学ぶ機会を提供している。
 また、生活のなかから学ぶ姿勢も大切にしている。学ぶ姿勢は不登校になった時点で終わっているわけではない。パソコン、読書や漫画を読むといった生活のなかで、子どもたちが広く学んでいることを大切にし、子どもの学ぶ意欲を信頼し、興味や関心を重視している。
 以上のように、子どもがやりたいと思うことを主体としてプログラムを構成している東京シューレでは、子どもたちの大きな夢を現実のものにしている。例えば、2010年1月に実施した「アラスカプロジェクト」。9日間の日程で10名の学生が参加し、現地でオーロラ見学をするほか、アラスカの教育システム、アラスカと日本の先住民の生活など、テーマをもって調査を行う研修合宿を行った。

“オーロラを見てみたい”からアラスカプロジェクトが実現
“オーロラを見てみたい”からアラスカプロジェクトが実現

ニーズにあった様々な学びの場をつくる

 東京シューレは、原則、自主入学、自主卒業である。通信制もしくは地域の学校とのダブルスクールをしている生徒も多い。義務教育課程では、不登校になり、フリースクールに通う子が多いが、地域の学校にも籍を置いており、文科省の示す要件に照らし校長の判断により、出席扱いとされている。
 2007年4月には、不登校の子どものニーズにあった様々な学びの場を公的につくるべく、葛飾区から旧小学校の空き校舎を借り受け、構造改革特区制度を利用し、学校法人格を持つ中学校「東京シューレ葛飾中学校」を設立した。

事業名称 ホームエデュケーション事業(ホームシューレ)

ホームシューレが支える在宅不登校の子どもたち

 「ホームシューレ」とは、学校に行かずに家庭をベースにして育っている子どもたちと、その家族のサポートと、お互いを結ぶネットワーキングの活動である。インターネットや交流誌を中心に、1993年の開始から約1,700家庭の参加があり、現在も約250家庭がつながりあい、直接の交流の機会も持っている。
 不登校や引きこもりの子どものなかには、どこかに通うのでなく、在宅で成長している子も多く、ホームシューレでは、こうした子どもたちのために、成長段階に合わせたプログラムを設定している。

ホームシューレの活動

 ホームシューレの活動の柱は、

1.無学年制で基礎学力を身につける学習サポート
2.会員専用のコミュニケーションサイト「サイバーシューレ」による会員やスタッフとの交流
3.会員の親同士とその子どもが出会い共に学ぶ場を提供する地方サロン・全国合宿
4.家庭のパソコンを通じて会員がパーソナリティを務めるWebラジオを聴いたり、会員同士チャットしたりしてコミュニケーションができる「ライブシューレ」
5.保護者の相談や交流を行う専門サイト「親サイバー」や、保護者向け情報交流誌「親から親へつたえたいこと・メッセージ」
である。

ホームシューレのネットワーク

 会員が自主的に集う「ホームシューレ自主サロン」は、首都圏および地方を含めて年100回近く開催されており、子どもの個性に応じた教育について会員同士が学びあう交流が盛んに行われている。
 また家庭にいる子は、学校に通えない自分に対して罪悪感や劣等感を持ち自信を喪失している場合が多い。ホームシューレでは、同年代の子どもが「サイバーシューレ」や「ライブシューレ」を通じて出会い、交流し、仲間を探すことができる。

事業名称 知的探求創造の場事業(シューレ大学)

学びたいことを自由に学べる場

 学生がやりたいこと、探求したいことを尊重する東京シューレの理念に基づき、主に18歳から入学できる学びたいことを自由に学べる場として「シューレ大学」がある。シューレ大学の入学に資格や学歴は必要ない。在学年数も学生が自分で決定する。シューレ大学も、学生が主体となって運営し、講座の内容を決定する。

生徒が探求したいことを中心に講座をつくる

 開講される講座は、不登校研究会、心理学、生き方創造論など、学歴社会や不登校、教育に関するテーマが充実している。その他にもソーラーカーや音楽、映像づくりなど生徒が自分で探求したいことを中心に講座がつくられている。
 また、約50名の講師やアドバイザーが講座に関わり、講座の内容に合わせたグループプロジェクト、個人プロジェクトなどの授業形式を採用している。海外との国際交流プログラムとして、韓国・ロシア・アフリカ・イスラエルなど20カ国以上の地域でオルタナティブ(多様で代替性のある)な教育の場とつながり、交流や研究を深めている。

自分から始まる“自分研究”シューレ大学
自分から始まる“自分研究”シューレ大学

3 事業の成果と課題

多様でユニークな卒業生の進路

 東京シューレは設立以来、学校だけが子どもの成長の場でないことを、実態を通して示してきた。これまで東京シューレでは約1,200名の子どもが巣立っているが、卒業後の進路は多様で、それぞれが自らの個性や自分らしさを生かす道を考えたユニークなものである。
 例えば、仲間とホームページコンテンツなどの制作会社を起業した者、自分が不登校で苦しかったときに話を聞いてもらい支えられた経験をもとに国連職員になり、難民支援の仕事に従事する者、夢をかなえて電車の運転士になった者、様々な国を旅行後、大手の旅行会社に就職し支店長を務める者、携帯から好きな小説を寄稿して「すばる文学賞」を受賞した者など、豊かな才能と個性を持った卒業生を輩出している。
 一方、雇用構造が厳しく非正規雇用が増加するなかで、不登校の経験が影響を与えてリストラにあい、転職先を探すことが厳しいといった現実もあるが、計算どおりではない学歴のルートがあり、個人の生き方に幅があることを東京シューレは示している。

フリースクール間の国際交流や、議連を通じた政策提言活動

 フリースクール間のネットワークを組織化しており、その活動を海外にも広げている。毎年11月には全国のフリースクールが集まる「フリースクールフェスティバル」(フリースクール全国ネットワーク主催)では東京シューレの子どもたちが中心となって実行委員会をつくり、バンドや演劇シンポジウムや模擬店などを行い、300~400名の参加がある。
 また、フリースクールの交流の輪は国内だけでなく、世界にも広がっている。世界フリースクール大会IDEC(International Democratic Education Conference)に98年より毎年参加し、海外の子どもたちやスタッフとの交流が盛んに行われている。
 2007年5月には東京シューレの活動がきっかけとなり、フリースクールの子どもたちの学ぶ場のさらなる発展を支えることを目的に、超党派の「フリースクール環境整備推進議員連盟」が発足、フリースクールに対する社会的認知が広まりつつある。当面の課題として、フリースクールに通う高校生年齢の生徒の通学定期券や学割料金の適用などを目指している。

運営に対する基盤助成の整備が必要

 運動にもかかわらず公的支援がなく、フリースクールの財政面は厳しい状態が続いている。「フリースクール環境整備推進議員連盟」の活動も、不登校の高校生の通学定期実現は成果があったものの、現在は政治情勢からあまり進んでいない。
 また、様々な助成金を獲得するための努力はしているが、助成金は新規事業の資金源にはなるが、運営の根幹となる運転資金としては活用できない。一方、不登校の子どもをもつ家庭の立場から、義務教育課程の子どもがフリースクールに通っている場合、保護者は籍が置いてある学校とフリースクールを支えるために二重の出費となり、負担は大きい。多様な教育、子どもの成長支援の選択肢の拡大を考え、市民によるフリースクールづくりやその運営に対する基盤整備や助成の仕組みづくりが必要であると考えている。

仲間との交流を楽しむ子どもたち
仲間との交流を楽しむ子どもたち 

不登校に対する社会の視線は変わらない

 活動を始めた1980年代から考えると現在、フリースクールの数は増えているが、社会全体の不登校や引きこもりの子どもに対する視線は変わらない。一般的に、不登校の子どもは成長課題を抱えた問題の子であり、特別な子であるという意識や、不登校は学校の問題ではなく家庭に原因があるという見方、また学校へ行くことへの当然視など、この30年弱の間あまり変化がないように見受けられる。
 義務教育課程においては、不登校の子どもがフリースクールに通うことに対し、在籍する学校の先生方や近隣の理解が得られず、心理的に追い詰められる家庭もある。

4 今後の展望

多様な選択肢を選べる環境づくりを

笑顔の奥地理事長、中村事務局長
笑顔の奥地理事長、中村事務局長 

 不登校の子どもや親が心理的に追い詰められる背景には、「学校へ行かなくてはダメだ」という考え方に基づいて、学校への復帰を前提とする国の政策が影響しているように感じている。
 しかし、06年以降はいじめによる自殺が増加し、昨今では不況のために社会に精神的な余裕がなくなり不登校の子どもには苦しい状況がある。このように様々な社会的な状況が影響しているにもかかわらず、学校関係者や行政のなかには「自由のはき違えが不登校を増やす」と発言するなど、登校圧力がかかっている。
 不登校の子どもを無理に学校に復帰させるのではなく、様々な生き方を尊重し、多様な学習の選択肢を子どもが選べる環境を整える必要があり、前述の議連を通じた政策提言活動等の活動を進めていきたい。

(ヒアリング応対者:理事長 奥地圭子氏、事務局長・理事 中村国生氏)

 東京シューレでは2007年3月に「教育多様化への提言――フリースクールの現場から」を作成し、その中で学校復帰を前提とした政策を変更することや、フリースクールに補助金や奨学金など公的支援をつけることなどの提言をまとめた。
 フリースクールがしっかりと既存の事業に取り組むために、社会の仕組みを変える制度改革を行政に働きかけていく必要がある。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年02月 --