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特定非営利活動法人 森の学校

自然に学ぶ森の中の自然学校

所在地…〒104-0061 東京都中央区銀座7-18-13-203
TEL…03-5565-1144 FAX…03-5565-1199
URL…http://www.morinogakkou.jp/
E-Mail…morinogakkou@kankyou.info

東京都中央区

1 団体の概要

代表者名…佐伯剛正
設立年月…1993年7月 認証日…2002年10月25日
有給スタッフ数…常勤/0名、非常勤/0名
事業規模(09年度決算収入)…1,882,500円
(内訳:事業収入500,100円、補助金・寄付金1,382,400円)

活動の目的・趣旨

 子どもから大人、家族、団体と幅広い層に対して、自然体験、野外教育、環境教育などに関する事業、そして、それらに関係した様々な事業を行い、自然の営みの奥深さ生命の尊さへの気づきと、人との触れ合いの中から、豊かな心を育み、健全な人間性の形成を行うと共に、すべての生き物、すべての人類がともに暮らすことが出来る社会の実現に寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 「森の学校」は、1993年の夏に「ハックルベリーくらぶ」として自然体験のツアーを開始したのが始まりである。当時、日本では家庭内の暴力事件や登校拒否などが急増し、子どもたちを取り巻く環境の悪化が社会問題になっていた。そんな子どもたちや社会に自然からの学びが必要だと考え、自然の中で遊び学ぶ体験から生きる喜びを発見し、生きる知恵と力を育む自然の学校「森の学校」を開校した。
 独自の自然観に基づいた環境教育を行うようになったのは、1994年に出会ったカナダのパークワーデン(国立公園のレンジャー)の自然観に由来する。彼らは自然の価値のひとつである「命のつながり」を伝えるために、人間は自然の一部で、自然は人間などよりとても大きな存在であり、自然との関わり方や自然との対話を表現するのにアプリシエーション(Appreciation=物事の真価を見極めること、賞賛するなどの意)を大切にすることを提唱していた。このときの貴重な出会いから、日本の四季と日本人の豊かな自然観に基づいた森の学校の多くのプログラムが生まれた。

主な活動内容

 里地・里山・里海などでの自然体験、野外体験、農林水産業体験などを中心に、人々が長い時間をかけてつくりあげてきた知恵を活かし、自然の恵みの奥深さ、生命の尊さを伝える活動を展開。

1.主催事業:環境教育をより深く子どもや大人、親子に伝えるための活動
2.受託事業:環境教育の専門的なスキルとノウハウを提供
3.行政との連携:より大きな社会的広がりをもって環境・自然・地域を保全し、次世代に伝えていくための活動
4.企業との協働:企業のCSR活動等に協働し、社会の持続性を実現するための活動

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 主催事業

里山の木造校舎(廃校)を学びの拠点に

 校舎は学びの原点の場である。里山の廃校になった木造校舎を市町村から借り、校舎を整備して様々な体験活動を展開している。初代校舎は群馬県南牧村。2009年末に栃木県に移転。校庭の横を渓流が流れる山里の中の校舎「前日光・かぬま校」(鹿沼市)、田園風景が広がり校舎下を清流が流れる「那須・なかがわ校」(那須郡那珂川町)の2カ所。「那須・なかがわ校」では30年ほど耕作放棄されていた谷津田を開墾し再生させて、古代米などを育てている(森の学校農園)。
 「森の学校」は、自然の中で遊び学ぶ体験から、生きる喜びを発見し、生きる知恵と力を育む自然学校であり、大人も子どもも同じ「自然の生徒」であると考えている。自然を見つめることから得られる「生命(いのち)の尊さ」、自然と人との交流の中から生まれる「心の豊かさ」を学びとる場として「森の学校」の校舎を位置づけている。

初代の校舎の外観
初代の校舎の外観 

キッズキャンプ・プログラム

 里山の木造校舎の森の学校の拠点では、1泊2日~2泊3日程度のテーマキャンプ・プログラムを実施している。
 テーマキャンプには様々な内容があるが、なかでも小学3年生~中学2年生の子どもたちを対象にした「キッズキャンプ」は、年齢の異なる子どもたちが互いに協力し影響しあって育つことを目的としたプログラムで、そこで行う「リバートレッキング」や「滝飛び込み」プログラムには定評がある。
 川の水流が生み出す自然の計り知れないエネルギーを五感で感じ、子どもたちは年齢の壁を越え、互いに助け合いながら進んでいくことで、リーダーシップやフォロアーシップを学び、自分がどんな役割でこれからの人生を生きていくべきか、大きなヒントを得ることができる。
 3日間の「滝の飛び込みプログラム」に参加していた小学4年生の男の子は、内向的な性格だったが、森の学校のインストラクターの補助を受けながらも数々の自然が産み出す難関をこなした。中学校を卒業すると、自分が小学生の子どもたちの面倒を見る森の学校のスタッフとなった。
 このほかに家族で参加する「ファミリーキャンプ」もあり、親子で一緒に自然から多くのことを学ぶプログラムになっている。
 自分への挑戦・仲間との協力を学ぶ「リバートレッキング」「滝飛び込み」。水生昆虫を観察し川の自然環境を学び自然とふれあう「フライフィッシング」。縄文食づくりや原始火起こしなど自然とともに暮らした古代人の知恵を体験から学ぶ「縄文プログラム」。自然をカタチにする「アートプログラム」。耕作放棄された谷津田を開墾し古代米などを育てる(森の学校農園)「農育プログラム」、「食育プログラム」など、様々なプログラムを実施している。

みんなで力を合わせるリバートレッキング
みんなで力を合わせるリバートレッキング 

事業名称 企業との協働

自然の恵みと命のつながりを学ぶ「TaKaRa田んぼの学校」

 宝酒造株式会社のCSR活動「TaKaRa田んぼの学校」に企画段階より全面的に協力。宝酒造では、それまで毎年、湘南海岸でのクリーンナップイベントを行っていた。10年間続いたのを一区切りに、新たなプログラムを行おうと、自然保護団体の財団法人日本自然保護協会を通じて相談を受けた。これをきっかけに、田んぼを使った環境教育の新たなプログラム「TaKaRaお米とお酒の学校」を2004年より開校した(2008年に「TaKaRa田んぼの学校」に名称変更)。
 「TaKaRa田んぼの学校」は、農作業を目的としたプログラムではなく、稲を育てながら田んぼ周辺の多様な生き物を観察し、稲を中心とした“自然の恵みと命のつながりを学ぶ”プログラムである。自然の仕組みや尊さを理解し、自然を守り大切にする心を養っていくことを趣旨としている。

企業とNPOと地元との協働

 田んぼの学校の先生は人ではない、田んぼやそこに住む生き物たちと自然が先生である。そして、自然の素晴らしさを学びとるお手伝いをするのが、地元の農家の方や自然観察指導員、NPO法人森の学校、そして宝酒造株式会社や宝グループ会社の社員の方々である。
 参加者は、小学生の子どもとその家族で、「田植え編」「草取り編」「収穫編」「恵み編」と年4回開催。体験田んぼでは、田植えから草取り、稲刈りと、稲を育てながら自然のしくみを体験から学ぶ。「恵み編」では、宝酒造株式会社の工場で、収穫したお米が微生物の力で本みりんになることなどを学び、子どもたちは体験田んぼの稲ワラで作った和紙で本みりんのラベルを作り、翌年には子どもが描いたラベルを自分たちで育てたお米で造った本みりんのビンに貼って参加者の家庭に届けている。1年間を通して、自然の恵みと命のつながり、そして、その中に私たち人間がいることを伝えている。

3 事業の成果と課題

280名のネイチャーツアーガイドを育て上げる

 2001年に福島県で開催された「うつくしま未来博」で、環境教育をテーマにしたパビリオン「森のネイチャーツアー&森の学校」で活躍するネイチャーツアーガイドを、約3年間かけて280名育て上げた。博覧会協会との10年来の話し合いで実現したネイチャーガイドの育成は、当時日本で先駆けて行った環境教育の人材育成であった。

環境教育は「人間教育」に繋がる

 子どもたちの親から「環境教育を受けると子どもは変わりますか?」と聞かれることが多いが、「そんなにすぐに変わるものではない」と答えている。環境教育とは“人間教育”だと考えている。環境教育を受けたから、明日からゴミの分別を行うようになるとか、ご飯を残さないようになるとか、マナーが良くなるというたぐいの教育ではない。

 日常生活の中で「ゴミをその辺に捨てない」などの環境マナーは、しつけとして教えることである。本当に知ってもらいたい環境教育とは、自然との関わり中で命を尊ぶことや、多様な生き物との繋がりの中で人間も存在しているのだという「生きる哲学」を自然から学ぶことであると考えている。
 例えば、自然界では、食べられる側の生き物も、食べる側の生き物も存在し、互いに重要な存在である。“自然界に存在するものは全て役割があり何かの役に立ち、無駄なものがない。”このようなことを観察や体験を通して理解することで、安易に他者を仲間はずれにするイジメや、自己を否定して自殺に走るということも少なくなると考えている。

哲学を持った人材の育成

 スタッフは活動の核である。現在、森の学校でスタッフの育成は大きな課題である。自然の中で行う活動の中には「リバートレッキング」などハードなプログラムもあり、参加者の安全面の確保からスタッフには充分な体力と安全に対するスキルが必要である。伝える技術も必要である。しかし、最も大切なのは何のためにこの活動をするのかという哲学を持つことである。
 そのため、カナダのパークワーデンのレンジャーから学んだ、アプリシエーション(Appreciation=物事の真価を見極めること、賞賛するなどの意)という考え方をもとに、日本独自の自然を敬う哲学を持ったスタッフを育てなければならないと考えている。資金や育成にあたる人手の面など課題は大きいが、将来を担う人材の育成は重要である。

4 今後の展望

人間教育をもとに、すべての生き物・人類が暮らし続けることができる社会の実現を

 環境教育は“人間教育”だと言ってきたが、自然を通して命を尊ぶことや、他者を思いやることを学んだ感覚を地域に生かしたいと考えている。未来の財産である子どもたちを育てる重要な環境は、住んでいる地域にある。昔日本は、住んでいる地域に日常的な付き合いがあり、隣に住む人が誰か、外で遊んでいる子どもはどこの家の子どもかみんなが知っていた。自然界のように多様な繋がりの中で生活していたのである。
 地域の繋がりの中で子どもたちを育てることで、子どもに関する危険や犯罪も少なくなり、共働きの家庭も安心して子育てができるなど、少しずつ社会が変わってくる。このような考えから、事務局がある東京都での活動にも注力し、2010年には月島の商店街やもんじゃ振興会の方々、森の学校がある那珂川町の方々に協力をいただき、月島地域の子どもたちと那珂川町の子どもたちの、キッズ交流キャンプを開催した。このように次世代の育成とともに、地域理解、地域間理解を進めていき、すべての生き物、すべての人類がともに暮らすことができる社会の実現に寄与していきたい。

(ヒアリング応対者:代表理事佐伯剛正氏)

 森の学校では、『自然と人間の哲学』(内山節著、岩波書店)の環境に対する考え方や哲学を活動するうえでの参考にし、迷ったときなどに読み返し、活動にブレが生じないようにしている。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(生涯学習政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年02月 --