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特定非営利活動法人 キッズドア

すべての子どもが夢や希望を持てる環境をつくりたい

所在地…〒104-0033 東京都中央区新川2-1-11 八重洲第1パークビル7F
TEL…03-5244-9990 FAX…03-5244-9991
URL…http://www.kidsdoor.net/ E-Mail…info@kidsdoor.net

東京都中央区

1 団体の概要

代表者名…渡邉由美子
設立年月…2007年1月 認証日…2009年9月15日
有給スタッフ数…常勤/2名、非常勤/2名
事業規模(09年度決算収入)…5,142,000円
(内訳:会費・入会金150,000円、事業収入845,000円、補助金(民間助成金等)4,000,000円、寄付147,000円)

活動の目的・趣旨

 企業、行政、NPO、教育機関や親、そして子どもたちに対して、子どもの健全育成に関わる情報やノウハウの共有をはかるプラットフォームをつくり、企業、行政、団体などが行っている子ども支援活動の活発化を図り、協業することで、日本の子どもたちがもっと育ちやすい環境、楽しく子育てできる環境をつくり、少子化の解消に寄与することを目的とする。

団体の設立経緯

 2001年、代表の渡邉氏はご主人の在外研究のためロンドン近郊のサリー州で1年間の海外生活を経験し、ご子息はイギリスの公立小学校へ編入した。そこで、渡邉氏が体験したのは、イギリスの公平な教育機会と、社会全体で子どもを支えるイギリス人の価値観である。
 例えば、イギリスでは公立小学校の授業料は無料で、学校生活に必要な備品のほとんどが学校から無料で配布される。さらに、地域で子どもを支援するために、学校周辺のスーパーマーケットでは寄付を募るキャンペーンが頻繁に開催されており、買い物でついたポイントを金額換算して学校に寄付する仕組みが普及していた。
 これらのイギリス生活で得た経験をもとに、日本においても地域が連携して、子どもの教育格差を縮めるための支援の仕組みづくりが必要であると考え、無料で参加できるスポーツ・芸術振興などの体験講座やイベントを立ち上げた。

主な活動内容

1.無料や格安の子ども向け体験活動、イベントなどの企画運営
  • 「丸の内キッズフェスタ」(主催:東京国際フォーラム)等の企画運営サポート
2.学生ボランティアによる教育格差の解消を目指す「ガクボラ」
  • 学童保育や学校にいる子どもたちへの学習支援の実施
  • 地域での無料勉強会の実施
  • 経済的な事情で塾に行けない中学生のための高校受験対策「タダゼミ」
  • 特定非営利活動法人セカンドハーベスト・ジャパンと協働し、一人親家庭向けのパントリー(食品提供)
3.国内の子ども支援活動のプラットフォームとなるサイトの運営

 子ども向け情報サイト キッズドア(http://www.kidsdoor.net/kids/)と、国内の子ども支援・教育支援サイト キッズドアスタイル(http://www.kidsdoor.net/style/)等を運営

2 主な教育関連事業の紹介

事業名称 ガクボラ

「ガクボラ」をはじめた動機

 近年の経済状況の悪化をうけて、日本においても子どもの教育機会の貧困があることに社会の認知が高まりつつある。とりわけ、収入が低い傾向にある一人親家庭では、保護者が生活に追われて子どもの勉強をみてあげられず、塾にも行かせられない二重苦をかかえている。その結果、子どもの学習が遅れてしまい、公立の高校に入る学力のない子どもが増えつつある。
 仮に彼らが公立高校を諦めて定時制の高校に入学した場合でも、中退率が高く就職できる見通しが立ちにくい。また、都内の公立中学校特有の問題として、多くの学校が補講や補習授業を定期的に開催することが難しい現状がある。これらの状況をふまえ、経済的に厳しい家庭にいる子どもたちに、基礎的な教育を受けられる機会を多く提供することを目的として「ガクボラ」を開始した。

ガクボラの様子
ガクボラの様子 

「ガクボラ」の事業内容について

 「ガクボラ」の支柱となる事業が、学生ボランティアを中心に運営される「タダゼミ」プロジェクトである。「タダゼミ」とは、収入が低い傾向にある一人親家庭向けに、都内の中学3年生を対象とした高校受験の無料講座のことである。このプロジェクトでは、経済的な理由で学習塾などに通うことができない中学生を対象に、大学生がボランティアで講師となり都立高校の受験対策指導を行っている。
 プロジェクトに携わる大学生は都内及び近県の国立大学、私立大学の現役学生で、学習指導の経験を持つものも多い。2010年度夏から開始した事業であり、活動開始当初の学生ボランティアは20人程度だったが、徐々に増え、最終的には約50名となった。指導科目は数学、英語、国語、理科、社会の5教科で、都立高校の過去問を使った模試を実施するなど、基礎力を養ったうえで受験指導を行い、合格力を身につけることを目指している。
 プロジェクトに登録している中学3年生は、現時点で都内13区5市から計46人。授業は月に2回、第2・第4日曜日に開催され、授業時間は午前11時から午後5時までの6時間に及ぶ。
 登録している子どもたちの学力とやる気を考慮して、1グループあたり6~7人で、6つのグループに分けて行う。学力が高い子どもたちのグループには講義形式の授業を行い、より丁寧な指導が必要な子どもたちには学生ボランティアがマンツーマンで授業を行うことで、子どもたちの分からない問題にきめこまやかな指導を行っている。
 毎回の出席者は平均して1授業あたり30人程度で、夏以降も継続して参加している生徒がほとんどである。また、月2回の「タダゼミ」のほか、中央区のNPO活動の拠点「協働ステーション中央」を利用して、同様に学生ボランティアが主体となり、月2回から3回程度、平日の夜に補習を行っている。

ガクボラ事業の流れ
ガクボラ事業の流れ 

継続するなかで得たネットワークと優秀なボランティア

 「タダゼミ」の開催会場は、特定非営利活動法人エティック(ETIC.)より紹介を受けた新宿区内のIT支援サービス会社スリープログループの協力を得て、同社の会議室を無料で借りている。こうした社会起業家支援組織や民間企業からの支援によって、後続するプロジェクトについても活用できるネットワークの広がりができた。
 現在進行中のプロジェクトとして、河合塾グループと協働して、児童養護施設の子どもたちに対する学習講座を年6回開催している。このプロジェクトのなかで河合塾グループは、キッズドアとともに児童養護施設の子どもたちの学習指導にあたるほか、CSR活動の一環として運営資金の大半を提供している。さらに、特定非営利活動法人リビングドリームスが事業の対象となる児童養護施設との連絡役を担うなど、他のNPOとも積極的に連携している。

「ガクボラ」カレッジ プロジェクト
「ガクボラ」カレッジ プロジェクト 

 「ガクボラ」運営にあたり、鍵となるのが、運営を担うボランティアに参加する学生の確保である。安定して「タダゼミ」を運営するためには、継続して受験生の指導にあたる講師が必要である。そこで、ボランティアとして参加する学生にも活動を継続できるインセンティブを与えることで、ボランティアが意欲的に活動に取り組むような動機づけを行っている。
 その一つが「ガクボラ」カレッジである。「ガクボラ」の講師としての報酬の代わりに、一流企業、官公庁などでの研修実績が豊富な専門家による「ビジネスマナー講座」、就職活動に役立つ「プレゼンテーションスキルアップ講座」などの開催を行っている。

「タダゼミ」活動を継続するための工夫

 学生ボランティアが活動を継続するうえで一番大切なのは、ボランティアの金銭負担を最小限にすることと、限られた時間のなかでボランティアの学生同士が情報を交換しあい、確認するための情報インフラを構築することである。
 ボランティアの大半は、アルバイトやサークル活動をやりながら、ボランティアとして参加し、大学の講義や就職活動にも並行して取り組む真面目な学生たちである。したがって、月2回でも参加しにくい学生の都合を考慮して、6~7人で1チームを組むユニット制による運営形態をとり、モチベーションを維持するための工夫をしている。
 ユニット制により、就職活動や勉学に忙しい学生それぞれの負担が軽くなるよう、チームのなかでスケジュールを調整できるようにした。また、運営スタッフやボランティア間で情報を共有化するために、メーリングリストを活用し、情報の共有やスケジュール管理を行っている。

3 事業の成果と課題

自発的に学習を始める子どもたち

 苦しい経済状況が好転する兆しが見えないなかで、生徒自身が勉強に前向きに取り組むようになったことが最も大きな成果である。「タダゼミ」は塾に比べれば回数が少ないため、勉強量を確保するためには生徒たちにモチベーションを持たせ、自宅でみずから勉強する習慣を身につけるような取り組みが欠かせない。
 講義のほかにも、講義前に個人面談をして進捗確認をしたり、生徒に目標を設定させ、それに至るまでの勉強計画を考えさせたりするような活動が成果となって表れていることを実感している。

●学生ボランティアがロールモデルに

 集中の仕方を覚え、1日8時間勉強に集中できるようになった生徒や、分からなかった問題が分かることの喜びを覚えて勉強が好きになる生徒が増えている。また保護者からも、生徒が家で勉強するようになったなど嬉しい声が届いており、活動を継続する励みになっている。
 また、学生ボランティアがロールモデルとなり、生徒に夢を与える影響も非常に大きい。「タダゼミ」に来るまでは高校に行く意味が分からなかった生徒が、将来の新たな目標ができて生き生きと変わっていく姿を見るのは感無量であるという。

●口コミや推薦で増え続ける、生徒・学生ボランティア

 「タダゼミ」は無料で受けられることもあり、生徒と学生ボランティアそれぞれが参加するための動機づけは薄い。しかし、参加者数も生徒と学生ボランティアともに増え続けているのは、「タダゼミ」の提供内容が支持されていると同時に、それぞれのニーズに合っている証だ。
 最近では、「タダゼミ」に参加する生徒の口コミで、新たに「タダゼミ」に関心を持つ友だちを連れてきて、一緒に勉強に励むケースが増えてきた。また公立中学校の学校関係者から推薦されるケースもある。
 さらに、学生ボランティアのなかから、ボランティアの学生を取りまとめるリーダーが育ち、活動を継続するための基盤をつくっている。学生ボランティアは協力しあい、オリジナルの教材を作成したり、深夜までメールでやり取りしながら積極的に参加している。学生ボランティアの真摯な態度に触れることで、生徒も良い影響を受けて、前向きに勉強に取り組む例が増えている。

社会的認知が薄い日本の教育格差

 活動を開始した当初は、先進国である日本の子どもたちの「子どもの貧困」や「教育格差」に関する社会認知度が薄く、周囲の理解を得ることが難しかった。この背景には、衣食住に困る途上国の貧困問題のほうがイメージしやすいため、先進国における「子どもの貧困」については一般的に認知が低いということがある。

 そこで、先進国のなかでも日本は子どもの教育に対して貧困であることをOECD(経済協力開発機構)の調査報告をもとに裏づけるなど、支援団体に課題を説明して回った。リーマン・ショック以降世界経済が停滞し、経済格差が顕著になるなかで、徐々に活動意義に賛同してくれる人が増えてきた。とりわけ昨年から多数のメディアに掲載されたことで、広く活動が知られるようになり、運営を担う学生ボランティアの確保につながり、民間企業や中間支援組織等からの協力を得ることに成功した。

4 今後の展望

民間企業とCSR事業で連携を図る

 今後の事業展開としては、行政の委託事業や助成金に頼らない事業運営の方策を検討している。一つの手段として、民間企業のCSR部門と協働してCSR事業に取り組むことである。民間企業との連携事業のうち、現在進行しているプロジェクトは、カルビー株式会社からの協力による社員参加型のイベント運営である。本プロジェクトでは、子どもたちが日頃から親しんでいるお菓子の空き箱や空き袋を利用して、社員の指導のもと簡単に作れるおもちゃを楽しみながら作成した。
 このような事業収入は、プロジェクトに限らず団体の活動資金となるので、団体の管理費の確保につながった。この協働事業は、東京国際フォーラム主催で毎年開催される「キッズフェスタ」に出展していたキッズドアに対し、カルビー 株式会社よりCSR活動における提携を打診されたことから始まる。
 一般の民間企業はCSR活動の一環として子ども向けのイベントを開催しても、直接子どもと接する機会がない。開催するイベントに子どもを集めたい民間企業と、楽しみながら学習できる機会を探す家庭の間をつなぐために、お互いにとって有効な情報を日頃からキッズドアポータル等のサイトを通じて公開するよう心がけている。

丸の内キッズフェスタ2010
丸の内キッズフェスタ2010

「タダゼミ」を通じて行政や社会に期待すること

 「タダゼミ」を受講する生徒と、運営する学生ボランティアの双方が、活動を通じて成長している。例えば、学生ボランティアとして参加する学生のうち、ITが苦手な人も苦手意識を克服し、IT技術を身につけている。
 「タダゼミ」のようなボランティアに学生がより参加できるような支援を大学側にお願いしたい。例えば、学生ボランティアが通う大学でボランティア活動を単位認定することが考えられる。ボランティアは地域とつながり、社会に貢献する意識を高めるには大変意義の深い活動だからである。

ヒアリングにご対応頂いた渡邉理事長
ヒアリングにご対応頂いた渡邉理事長

(ヒアリング応対者:理事長 渡邉由美子氏)

 日常的に中高生向けの教育事業を行う社会起業家やNPO関連のメーリングリストを通じて、関心分野が類似する団体と日頃から連絡を取り合っている。具体的には、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークや、合同会社ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京のメーリングリストを活用している。   

お問合せ先

総合教育政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室

(総合教育政策局生涯学習推進課民間教育事業振興室)

-- 登録:平成24年02月 --