平成30年度男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議(第2回)議事要旨

1.日時


平成30年8月24日(金曜日)13時30分~15時30分


2.場所


文部科学省生涯学習政策局会議室


3.議題


(1)今後の有識者会議の進め方について
(2)平成30年度「男女共同参画推進のための学び・キャリア形成支援事業」について
(3)意見交換
  1)離職女性の意識醸成に向けた具体的方策
  2)学校現場における「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」の実際と求められる対応
(4)その他


4.出席者


委員
大槻座長、小山内委員、櫻田委員、笹井委員、矢島委員

文部科学省
三好男女共同参画学習課長、毛利女性政策調整官、高橋男女共同参画企画係長 ほか


5.議事要旨


(1)今後の有識者会議の進め方について、事務局から資料1に基づき説明が行われた。


(2)平成30年度「男女共同参画推進のための学び・キャリア形成支援事業」について、「実証事業」及び「研究協議会」は資料2-1、2-2、2-3に基づき事務局から、「調査研究」は資料2-4に基づき委託先の株式会社政策研究所から事業計画・進捗等の説明が行われた。その後行われた「調査研究」に関する質疑応答の委員からの主な質疑は以下のとおりであり、可能な範囲で調査票等を修正の上、調査を実施することとした。

  • 一度離職した女性は、孤立感や自信のなさを抱えて学び直しの場に出てくる方が多いため、アンケート調査内容の学びの講座への応募動機として、気後れ感の克服のためという言葉は修正した方がよいのではないか。
  • 恒常的に中途採用を行っている企業を中心にアンケート調査を行い、学び直しの講座を受けた女性を採用したことがある企業に、そうした女性をどう評価しているか、学びというものをどう評価しているか聞くべきではないか。
  • 学びが社会参画にどのようにつながっているか、またどのような学びが必要であったかという調査項目が少ない。女性がなぜ再就職にアクセスできていないのかという問題意識をもって、学びへのアクセスを妨げる要因を本調査で行うべき。
  • 調査項目に男女共同参画の視点が薄いため、男女共同参画センター等での学び直し、固定的性別役割分担意識に関する学びの有無について聞いてはどうか。
  • 離職理由を聞く項目について、恐らく家庭生活や子育てと両立ができなかった人が多いと思われるため、選択肢に入れてはどうか。
  • 企業へのアンケート調査で、学んできた女性の仕事に対する姿勢について、意欲の高さを感じるという選択肢を入れてはどうか。きちんと学び、それまでの生き方の棚卸しをしてきた方というのは、恐らく働く覚悟を持ってきていると思われる。
  • 講座等で学んできた方に期待することについて、「女性ならではの能力を活かし」というところは違和感があるため、単に能力を生かし、キャリアアップを図ってもらいたいというような表現にすべきではないか。
  • 子どもが何歳のときに、学び直しを始めたかという項目が必要。
  • 再就職を考えてから学び始めたのか、学んだことによって再就職を考えるようになったのか分けて考える必要がある。きっかけとして男女共同参画の考え方やライフプランについて学んだ後、再就職を意識してさらに技術的なことを学んでいる方もいるので、段階をある程度つかめるような構成にしておくとよい。
  • 企業調査では、どの程度の知識や技能を持った人が再就職しているかの目安を再就職しようとしている女性に示すものになるとよい。
  • 全体の調査の設計として、枠組みはあくまで男女の再雇用・中途採用を実施している 企業への調査とするべき。
  • 離職前の仕事の経験や能力を生かして同職種で再就職したいか否かが学びに関係してくるため、その違いを分かるようにしていただきたい。
  • 学び直しにお金をかけられない女性が多いため、学びにいくら掛けたか項目に入れていただきたい。

(3)今後の課題(主な論点)について、事務局から資料3に基づき説明の後、委員による意見交換が行われた。委員からの主な意見は以下のとおり。


1)離職女性の意識醸成に向けた具体的方策

  • 長期に離職状態にある女性の問題と、短期離職の女性と大きく2タイプをターゲットにして考える必要がある。未来都市戦略でも言われているように新しい領域に人を送り込むことが課題となっており、短期離職の女性は就職する意欲はある方が多いため、同職種だけでなく、より高いキャリアでチャレンジしていくという意識醸成も有効。
  • 一度離職した女性、特に長期離職の女性の場合は自分の学びのためにお金を使うことに抵抗感があるため、誘導の部分で「子どものため」ということをキーワードにしてはどうか。
  • 学びを通して再就職した場合とそうでない場合の賃金差を数値として提示することで、ライフプランや再就職を考えるきっかけとなることもある。
  • 再就職する際、すぐにフルタイムで働くことは不安なので、まずパートタイムで入りたいというニーズも根強く残っているが、その先の積極的なキャリアに進める可能性があるところの情報提供もあるとよい。
  • 仕事をするだけでなく、家庭やボランティア、PTAでの活動など、その一つ一つが全てその人を構成するキャリアという考え方もある。
  • 結婚や出産で離職する女性は仕事に対するモチベーションが下がっていることが多いが、これは企業が女性人材の育成や期待することが少なかったことも要因の一つ。女性への期待も高まっているというメッセージを伝えることも重要。

2)学校現場における「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」の実際と求められる対応

  • 男性教員の意識改革が重要。民間企業では女性が育休に入る際に夫と一緒に育児等に関する研修を受講させるケースもある。教員も夫婦で共に子育てしていく意識啓発の研修をすることも必要ではないか。
  • 学校現場は人手不足で過重労働になっているため、教員の働き方も改善しなければ、教員の性別分業意識に影響する。例えば、教員や部活指導教員の半分を女性にするなど、枠組みや構造を変えることで意識が変わるということもある。
  • 学校現場の女性管理職比率は女性教員の割合に照らして明らかに低く、何らかのバイアスがかかっているのではないかと考えられる。児童・生徒にも女性はリーダーになれないというメッセージになってしまう。
  • 教員自身は男女平等に指導していると思っているが、日常の言動が与えるバイアスに気づいていないだけという部分が非常に大きい。教員が持っている無意識の偏見について、具体的な事例を集めて、無意識の偏見というのはいかなる人も必ず持っているということを研修等で教員に示す機会が必要。
  • 児童・生徒に男女平等を教えるためには、教員自身が気づき、理解し、学校における働き方等も含めて体現していくことが重要。

(4)事務局から次回の日程について説明し、会議を終了。


(以上)

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