長寿社会における生涯学習政策フォーラム2012in東京(熟議報告・まとめ)議事録

【司会】 それでは、定刻となりましたので、これから熟議のほうを開催させていただきたいと思います。恐れ入りますけれども、携帯電話をお持ちの方は、電源をお切りいただくか、マナーモードへの切替えをお願いいたします。
今回、熟議ですけれども、本日お越しいただいた方で、もしこれからでも、傍聴ではなくて参加希望という方がいらっしゃいましたら、机のあいているところですとか、あるいは、横にくっつけていただいて、飛び入り参加もオーケーでございますので、その辺は柔軟に御対応いただければと思います。
また、飲物について、皆様から向かって左側、私から向かって右側のところに、幾つかペットボトルと紙コップを用意してございます。セルフサービスということで、恐縮ですけれども、のどがお乾きになった方がいらっしゃいましたら、途中でも適宜とっていっていただければと思います。
それでは、最初、熟議の進め方について、簡単に私のほうから説明をいたします。
熟議の進め方についてという紙、皆様の椅子の上に置いておったかと思いますが、こちらを御覧ください。
熟議とは何かというのが1番目で書いてございます。難しいことを書いていますけれども、基本的には、あまり深く、堅く考える必要はございません。協働を目指した対話ということで、多くの当事者の方々、いろんな立場の方、いろんな御活躍されている方がいらっしゃいます。そういった方々が集まりまして、ある課題について学習・熟慮をして、議論をする。お互いの立場、果たすべき役割の理解を深める。そのため、それを深めた上で、解決策を専念、施策決定、個々人が納得して役割を各々果たしていくというような一連のプロセスということでございます。
2番目、簡単な約束事でございます。よりよい熟議になるように、一応注意しておくべきことということでございます。一つ、ほかの人の発言はよく聞きましょうということ。また、発言は簡潔にわかりやすく伝えましょうということ。人を傷つけるような発言はやめましょうということ。いろんな方の発言に対して共感、あるいは感想、また、自分の考えが変わったことなどはきちんと伝えるようにいたしましょう。最後、1回の発言で言いたいことは、基本的に一つという形でお願いいたします。
3番目、今回の熟議の趣旨。高齢者いきいき・地域いきいき、今回のテーマでございますけれども、それを実現するための課題と解決策ということで、それぞれの立場、皆様の御活動から、いろいろな御意見があるかと思います。下に考えられる課題の例など書いてございますが、これはあくまで一例でございまして、皆様、今回の熟議を深めていく中で、実際に思っておられることを、それぞれの立場の方からどんどん御提案いただければと考えております。
裏面が、おおよその流れでございます。基本的には、ファシリテーターの方、それぞれ班ごとに1名いらっしゃいます。この方が進行を進めていきますけれども、前半、約30分程度、3時40分ぐらいまでに、課題のほうのまず整理、それぞれこんな自分たちが思っている課題がある、自分たちの活動でこんな課題があるといったことを出して、これを付箋に書いて、模造紙にどんどん張りつけていくという作業を行っていただきます。その中で、重要な課題を大体三つから五つぐらいまでに絞っていくという作業がございます。その後、5分程度休憩を挟みまして、後半には、それぞれ出てきた重要課題について、考えられる解決策について検討・提案をしていく。こちらについても、模造紙を使って考えを整理していくというものでございます。最後に、それぞれ各班3分ずつ程度で、簡単に結果の報告をしていただきます。この際に、発表者の方をそれぞれ1人選んでいただきます。これは、ファシリテーターの方ではなくて、参加者の皆様からどなたか1名、基本的には、是非自主性を重んじて、立候補していただいて、それぞれ皆さんが考えた、班の中で出てきた意見を客観的に整理して述べるということをしていただければと思っております。最後に、コーディネーターによるまとめを行うという流れでございます。
今回の熟議の総合司会進行を務めるコーディネーターですけれども、こちら、昨年度文部科学省の「超高齢社会における生涯学習の在り方に関する検討会」で座長代理を務められまして、生涯学習論を専門としておられます、東京大学大学院教育学研究科教授の牧野篤先生にお願いしたいと考えております。
それでは、牧野先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【牧野氏】 皆さん、こんにちは。東大の牧野です。よろしくお願いいたします。
今日は長丁場ですけれども、これからが皆さんの出番ですので、是非よろしくお願いしたいと思います。
私ですけど、今御紹介にあずかりましたように、文科省の「超高齢社会における生涯学習の在り方についての検討会」の座長代理を務めさせていただきまして、今日話題になっておりました、いわゆる人生100年というのを出させていただきました。それから、もう一つが、高齢社会の高齢を「幸齢」というふうに書かせていただいて、これからやはり多くの方々が、学びを通して社会参画を進めていく――今日は社会貢献という話題になりましたけれども、その過程で、やはり幸せな人生を送るということを基本に考えたいということで、このテーマにさせていただきました。
今日、午前中の御講演、それから、昼からの御講演と報告、皆さん、どう受けとめられましたでしょうか。実は、高齢社会のいろんな社会問題、特に社会保障ですとか、いろんなことを言い始めますと、既にもうある意味で議論は尽くされているのではないかなという感じがいたします。課題は課題である、大きな問題であるということは確かですけれども、やはり今日の御講演、それから、事例報告、行政報告等で見えてきているのは、そういう課題はありますが、これからはいわゆる高齢社会、これは高齢者が多くを占める社会ではあるわけですけれども、その中で、子供も、若者も、みんなが一緒に生きている社会である。その中で、高齢者が社会参画、社会貢献をするということをベースにしながら、自らが生きがいを持って健康に生きていくことが、この社会にとってとてもいいことではないかという方向性が見えてきたのではないかと考えております。
その上で、今日これから皆さんに熟議をお願いしながら、今日の大きな方向性を踏まえながら、それを実践に移していく、又は実現していくためには、どういう課題があるのか、そして、その課題を解決するためにはどんなことが必要であるのかといったことを中心に、皆さんに是非御議論いただきたいと思っています。
先ほど御紹介ありましたように、前半が課題の整理という形で、各テーブルにいらっしゃいますファシリテーターの方々に皆さんの御議論を整理していただきながらまとめていきたいと考えております。そして、後半部分ですけれども、その整理に基づいて、今度は、どんなことをしたらいいのか、どんな形でこの社会をつくっていったらよいのかといったことを、是非御議論いただきたいと考えております。そして、最後に、各テーブルから御発表いただいて、そして、今日のこのフォーラムの一つの方向性といいますか、結論を得たいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では、始めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【司会】 それでは、各班に開始していただければと思います。まず、課題のところの前半部分につきましては、今3時7分ぐらいですけれども、3時40分ぐらいまででお願いできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

( 熟議 )

【司会】 それでは、各班のまとめが出そろいましたので、発表のほうに移らせていただければと思います。
1班から順番に、各班、大変活発な議論を頂きましたので、いろいろなものがたくさん書いてございますけれども、コンパクトに3分ずつぐらいで御発表いただければと思いますので、よろしくお願いします。
じゃ、まずは、1班の発表者の方、お願いします。

【園部氏】 東京大学大学院教育学研究科博士課程1年の園部と申します。よろしくお願いします。1班の発表をさせていただきます。緊張します。
私たち1班では、主に四つの課題が出されました。
一つは、都市と地方の格差という話です。
もう一つが、活動の工夫とまとめているのですが、具体的には、学校をもっと多機能にする必要があるのではないかとか、コーディネーターが足りないのはないかというお話が二つ目です。
三つ目が、生活と思いというタイトルをつけたのですが、高齢者の方の孤立というか、けがをきっかけに外に出るのをやめてしまったりとか、退職をきっかけに口数が減ってしまったりとか、そういうことをどうしようというお話と、もう一つ、種類が違うんですけど、高齢者になるほど頑固になるのではないかということとか、やりたいこととか思いが強すぎて、それに若い人がついていかないのではないかというような課題が出ました。
学びの場ですが、これは実際に講座の企画をしたり、事業をやっていく上でどういう課題があるのかということで、これが主にメーンで話されたのですが、例えば、講座を企画しても人が集まらない。集まったとしても毎回同じ人しか来ない。男女で格差みたいなものがある。男性の参加が少ないということや、男女で分かれてしまうというようなことが出ました。
解決策ですが、都市と地方の格差については、ノータッチなので、これからまた考えていかなければいけないのかなと思うのですが、主に出たもので言いますと、シニアだけにこだわって企画をするのは本当にいいのかという話が出ました。シニアの人に来てほしいなら、シニア以外の人、例えば、子供であったりとか、夫婦で参加できるとか、そういうふうに、シニアだけを集めないような工夫をしたら、かえってシニアの人が集まってくれるのではないかという話です。
あとは、テーマの工夫とあり、高齢者の方に合うようなテーマを選択していくということですが、例えば、健康に関するものは、実際にも人が集まるようですし、あと一つ面白いなと思ったのが、防災マップをつくるという話がありまして、防災は、そこの地域にずっと住んでいるからこそわかることがあって、そういうことが高齢者の人は、それに生かせる、高齢者の人だからこそ持っている知識みたいなものを生かして、みんなの役に立つようなことができるのではないかという話が出ました。
あとは、場の工夫ということですが、これは広報とかともかかわってくるのですが、公民館に人を呼びたいのに、公民館でしか広報していなかったら、そこに来ないんだから、誰の目にもとまらないのではないかかという話から進んでいって、例えば、高齢者の人がよく集まるような場所、病院やお店など公民館から少し離れたところに講座の広報を置いてみたりとか、そういうところに働きかけをしていったら何か変わるのではないかという話が出ました。あとは、広報だけではなくて、実際に活動する場も、いつもの場所だけではなくて、いろいろな場所でやってもいいのではないかという話も出ました。
最後に、人材育成や連携に関する解決策が出されました。マニュアルやガイドラインをつくって、それを広げていくという話や、教育委員会や行政との理解は、生涯学習だけではなく、福祉の方との連携を深めていくというような話がありました。

【会場発言】 最後のところをもう少しゆっくりした口調で言ってもらえますか。

【園部氏】 人材育成であったりとか、連携の話ですが、人材育成のために、マニュアルやガイドラインを……。

【会場発言】 どういうマニュアルやガイドラインが必要でしょうか。

【園部氏】 それはちょっと私のほうでは答えられないのですが、誰かお助け願えますか。

【会場発言】 すいません、午前の話にもありましたけれど、シニアのボランティアを活用する上で、ガイドラインを作成しました。東京都健康長寿医療センターで作成させていただきましたので、そういったものを今後いろいろな施設で活用していただくというようなことが必要かな。あわせて、そういったことを使えるような研修もセットで進めていきたいというようなことが、解決策として出されました。よろしいですか。

【会場発言】 はい、わかりました。

【園部氏】 私のほうからは以上です。ありがとうございました。

【司会】 では、続いて、2班の方、お願いいたします。

【加藤氏】 どうぞ、よろしくお願いいたします。東京大学大学院教育学研究科の加藤という者でございます。よろしくお願いいたします。
我々の班では、高齢者がいきいき、地域でいきいきしていくにはどうすればいいかという問題提示をしてもらいまして、かなりいろんなものが出てきました。学習参加の段階で、少しハードルが高いのではないかとか、実際に学習したとして、その成果を発揮するところ、あるいは発表するところがないと、やりがいを感じないのではないかなど、どうやって生きがいにつなげていくか、あるいは学校支援につなげていくとか、地域活性につなげていくという広がりが必要ではないかなという、かなり具体的な課題、あるいは可能性というところについて、多くの意見が出されました。
その中で、特に、社会貢献につながる学習をするにはどうすればいいか、また、参加してもらう、あるいは、それを具体的な活動につなげていくためには、どのようなきっかけ、どのようなシステムが必要かというところの問題をピックアップし、こちらにまとめたという形になっております。
こちらには、マイアクションプランと書いておりますが、この二つの課題に対し、私ならどうする、具体的にどういう活動をしたいかという形で、参加者全員で意見を出していったという形になっております。
まずは、社会貢献につながる学習をするにはどうすればいいかということですが、学生の立場からの提案というか、発案としては、学生向けに講演会を企画して、いろんな人に来てもらう。あるいは、大学という場を利用して、地域と連携したり、情報発信をしていく。せっかく地域に大学があるのですから、学びの場として、その地域の人々とつながらない手はないだろう、という考え方からの発言が出ています。
また、ナナハン大学、こちらはいわゆるシニア大学をつくるというお話を頂きましたが、具体的に、もうつくってやるぞという、かなり積極的な提案を出されております。
また、きっかけ・システムづくりの方法、こちらのほうにつきましては、地域の高齢者にアンケートをとり、その内容を分析して活用していきたいという、NPOの方の、これもかなり具体的な提言が出ております。
また、様々な団体へ声かけをし、学習の場をつくっていく。こちらは、行政に携わる方からの提案です。
そして、地域市民カレッジをつくり、カレッジで学んだ仲間と活動を起こす。こちらは、もう起こしたいではなくて、起こしますというふうに、積極的に活動する気まんまんに、かなり積極的な提案が出されている。
全体的に、既にやりたいことは決まっている方が多い班でしたので、これからの活動に期待ができるのではないかなと、全体として感じました。
以上になります。

【司会】 ありがとうございました。
では、続いて、3班の方の発表をお願いいたします。

【井上氏】 3班の発表をさせていただきます、京都産業大学の井上と申します。
今日は、大学の現場にいる者の非常に参加が少なくて、それと、今日本で起こっていることが、大学の人間が全く理解できていないという時間を過ごさせていただきまして、非常に私にとっては有益な時間を過ごさせていただけたなと思っております。
3班ですけれども、最初の20分、前半のところで、ブレーンストーミング的にそれぞれ問題を付箋で出させていただきまして、それぞれ近いところでグルーピングをし、課題を五つ挙げました。
まず、大きなところでいくと、活動のフィールドをどのようにつくって維持していくかというところ。ここは、当然、かかわる方々の熱意というところ、資金というところ、「ヒト・モノ」というところだけでいいのかどうかというところを問題として挙げました。
2番目ですが、それに続くものというところになりますけれども、価値観をどのように共有するのか。今出ていますように、学習というのが最終的に社会貢献につながるという、成果発表の場につなげるという、例えば、その一つの価値観を、本当にかかわっている方々が共有できるかどうか。ここで方向性がやはりきちんとそろわないと、熱意だけで始まって、冷めたら終わりと、継続性がなくなるというような問題が起こるのではないかという課題。
3番目ですが、その「ヒト・モノ」、それと連携するいろいろな組織というのは当然出てきますので、それを接着するような立場の方、いわゆるコーディネーターをどのようにするのかというところで挙げました。
4番目ですが、地域とのかかわりをどのように持っていくのか、スタートが個人なのか、私のように大学からなのかというところで、大学の立場からすると、6月にアクションプランが出て、COC構想というのが初めて大きく出ました。私は個人的に地域とのつながりは持っているので、そこのバイパスを使って何とかしようとはできますが、では、大学の組織として地域の方と向かい合うというのは、押しつけにならないように、着実に根深く入っていこうとすると、きっかけがやはりない。私は個人的にあったから助かっているのですけれども、無いところはどうするか。逆に、地域から見ると、大学というのは、疎ましい存在でもあり、頼もしい存在でもあるのですけれども、どこに何を言っていけばいいのかわからないというのが大学ですから、そういったところで、お互い、どこでかかわりを持っていくのかという、きっかけづくりというのが非常に問題になるのではないかなと。
5番目は、やはり最終的に対象となる方の稽古問題というところが課題として挙がってきました。少し皆さんの議論とは外れるかもしれないですが、短い時間で端的にまとめると、1から3というところは、個人のスキルですかね、コーディネーター、押しつけでもなく、牽引役でもなく、ファシリテーションでもなく、プロデューサーでもなくみたいな、本当に浮遊性のある立場の方というのが非常に重要ではないかなと思います。大学というのは、そういうところには人材を常に輩出できる場所になるのではないかなと。私の大学には教育学の専門はありませんので、そういった専門性を生かすことはできないのですが、学問として一つとらえる機関ではありますので、そういった機能は使っていただけることができるのではないかなと。そういった機能を、地域に還元するということは、一つの機能として持てるのではないかなと思います。
コーディネーターの役割も、人材育成というのは大学の大きな一つのテーマですので、そういったところでは、先ほどガイドラインができているというところもありましたので、ブラッシュアップなり、実際、本当にボランティアで活躍する学生たちに検証の場として与えていただくというのも、一つの方法かなと思います。
地域との関わりですが、やはり自治会活動の掘り起こしというのは、一つの方法としてあるのかなと思います。私の大学でも、地域の避難場所として契約を組んでいます。場所と最低限の水・食料の供給はできるように契約をしていますので、そういったところから足がかりはつけられるのではないかなと思います。
5番目、健康問題、最初の講演等々の話で出てきましたけれども、運動、食事、学び、ここを継続ということですので、多分に高齢者の方に対する活動の中の一部分としてやはり取り入れていかないと、こういったことだけではなかなかきっかけとしては難しいのかなと思っております。
本当に、今日は有意義な時間を過ごさせていただきまして、どうもありがとうございました。発表を終わらせていただきます。

【司会】 ありがとうございました。
続いて、4班の方の発表をお願いします。

【西澤氏】 4班の発表をさせていただきます、私、西澤と申します。隅田区役所の高齢者福祉課で現在働いております。
4班では、検討のテーマという部分で、生涯学習の後、生涯学習をされて、それをどう活動につなげていくかという点での課題と解決策について考えました。
まず一つ目として、社会参加の方法というところです。実際、生涯学習の講座を受けても、その後の活動の場所がないですとか、そもそもそういうのに参加したくないという人たちを、どのように地域の活動に、社会参加につなげていくかというところで、話し合いました。
その中の解決策としては、コーディネートの仕組みとか、ボランティアの楽しさの演出、人と人との交流など、いろいろ挙がりましたが、その中で一番重要なのは、まず学習の意義というものをよく理解してもらいたいという部分です。これをやればどういうことができるのか、あるいは、その後にどのようにつながっていくのかというのを受講者の方、地域の方が理解すれば、その後の社会参加につながるでしょうし、そういった講座への参加も増えるのではないかということも挙げられました。
あとは、コーディネートという部分もそうですけれども、社会参加の方法には、かなり大枠の意見ですが、個人の意識改革というのがやはり一番重要なのではないか。どういうふうに意識改革するかというのは、やはり「楽しさ」というのがキーワードなのではないか。これは後でも出てくる言葉ですけれども、「楽しむ」「楽しさ」というものがキーワードとして考えられるかなと。実際、社会参加をすれば楽しい、受けるほうも楽しい。そういう関係ができれば、おのずと社会参加というものが当たり前になっていくのではないかなということを話し合いました。
2番のほうに移ります。2番のほうは、環境づくりというテーマを考えました。これは、どちらかというと、活動をするに当たって、団体ですとか、グループですとか、そういうのをつくっていく上で必要なこと、課題というものを挙げました。当然、いろんな活動をするには、会場の確保ですとか、講師をお呼びするのは、講師謝礼というようなものも必要になります。他に、参加者の募集、あるいは、そもそもの団体に入ってくれる人の募集といったものが重要なのではないかということが挙がりました。
その中での解決策としては、行政と市民との協働というのが大きなポイントです。これはもう既に進められている部分はあると思いますけれども、私は行政の職員で言うのも大変恐縮ですが、市民の人たちやNPOの人と対等に、もっと積極的にかかわっていくということが大切なのかなと。実際の話、やはりお金がないと何もできないよねという話も挙がりました。行政のメリットというのは、お金もそうですけど、会場ですとか、様々なところでそういう支援ができるという部分だと思いますから、もう少し今までの制限というものを取り払って、もっと支援できればいいのではないかなと思いました。
あとは、広報、これは先ほど言いましたけれども、参加者の方への講座の内容の周知はもちろんですが、会員を集めるに当たっても、これも先ほど言ったとおり、行政のほうでもう少しバックアップできないかなというところで、環境づくりというのは進められないかなということが挙がりました。
最後、活動内容です。活動内容、これは、活動が単発になるということが、一つ課題としてあるのではないか。何かやっても、それで終わり、その次はないのですかということもあります。あるいは、同じ方が何度も受けられないとか、そういうような部分があると思います。これも、一つ、公平性を確保するという点ではやむを得ない部分もあるとは思うのですけれども、活動内容として、なるべく継続性のあるものをやっていくべきではないかと。継続性といっても、ただ同じことを繰り返すのではなくて、その中でレベルアップした内容を提供できるようにしていくべきではないかと。当然、これは提供する側の人たちのレベルアップということにもなりますから、それは生涯学習という観点からすると、継続して学習をするという意欲にもつながるのではないかなという話がありました。
あとは、当然、企画の充実、レベルアップにもつながりますけれども、企画を充実させていく。企画を充実させるに当たって、ポイントになるのは、やはり社会貢献という部分を十分取り入れていくべきではないか。通常の企業活動とは違って、これは社会活動というものが前面に出ているものだと思います。その中では、営利というよりも、社会貢献というものがもっともっと前面に出てきてもいいのではないかなという話がありました。
最後に、まとめということですけど、やはり活動内容にしても、社会参加の方法にしても、環境づくりもそうかもしれません、それぞれが楽しい。生涯学習の原点というのは、やはり楽しいということだと、これは全員一致で挙がりました。楽しさを持って取り組んでいくということが、全体的な課題解決、意識改革につながるのではないかなというのが、全体と通してのまとめということになります。
以上で4班の発表を終わります。ありがとうございました。

【会場発言】 おっしゃった意味の社会貢献というのは、具体的にどんなことが皆さん方で話し合われました。

【西澤氏】 すみません。ちょっと具体的なのを、時間がなくて飛ばしてしまいましたが、例えば、子供たちに対して、昔の遊びなどを積極的に10年以上やっていただいている方もいますので、そういうことを通じて、子供たちと触れ合うということなど、そうすると、団体の方は、子供たち、親子で元気になる。子供たちも、そういう昔の遊びだとか様々な文化というのを学ぶことで、学習にもなるという意味で、そういう関係をつくれるのが社会貢献かなと私は考えています。
ありがとうございました。

【司会】 ありがとうございました。
では、続いて、5班の方の発表をお願いします。

【浦崎氏】 盛大な拍手、ありがとうございました。シニア大楽の浦崎と申します。
私のグループは、シニアが4名、学生の方も3名おりまして、しかも、中国と韓国から来た方もおりまして、政治の世界とは別に、非常にいい熟議ができたことを報告しておきます。
私自身も、今までみんな若い人がやっていましたけど、ここから、私も高齢者の仲間入りで、定年を終えて、典型的な、やっと地域で目覚めたシニア3年生です。
これから、こちらに対して発表いたします。
ちょっと順番を変えますが、一番先、絵がありますけど、これ、私の似顔絵、全然似ていないと思いますけど、一応、絵があります。
まず、私ども5グループは、やはり一番初めは人集めかなと、マーケティングですね。どうやって集めたらいいか苦労しているというところで、先ほどの前の報告もありましたけど、そこで一番大事なのは、人を集めるためには、地域だと大きな集め方はできないので、声をかけるとか、口コミとか、そういうのが大事かなということで、そのための何か目玉をつくる。先ほどありましたが、楽しい、シニア大楽ですと、PRになりますけど、落語とか、そういうので人集めをするのが大事だと。その方法として、口コミとか、いろんな自治会・町内会などを通じて、地道なことをやっていくのがまず近道かと思っております。
その次、人が集まったら、今度は、そのきっかけづくりというところで、学習成果をどうやって活用するか。ということで、学習成果を、例えば、やりっ放しでなくて、記録するとか、それを活用するシステム、仕組みづくり、これもないと続かないかなということです。それから、自分の会だけでなくて、ほかの会とも相互乗り入れするとか、そういうこともあるのではないかなと。そういう交流の工夫をすることがまず大切かなということが、最初にあります。
次に、こういうことをやる上で大切なのは、やはり資金と組織の仕組みです。まず資金としては、どうやって集めるかということで、今回はいろいろ行政にお願いすることはたくさんあり、あまり補助金はもらえないかなというところもありますが、一つ我々からお願いしたいのは、公的助成金の支給を増やしたり、手続をすべて簡単にしてほしいと、それが、我々、現場を具体的に一緒にしている人たちの声です。
それから、その資金と、我々、介護とか運営している立場でも、ボランティアという意味で、お金を出しているばかりではなくて、やはり収益を考えたことを初めから考えておかなければいけないのではないかというところで、最近、年金も大分厳しくなっておりますので、自分たちで持ち出しにならないような、そういう収益構造をちゃんと明確にしたものを、プランを持ってやっていくのがいいのかなということですね。これはなかなか具体的にするのは難しいですが。
最後は、そういうお金を集めるのと、3枚目は、そうやりながら自分たちの組織を活性化していくというためには、いろんな今の施設、会場、どうしてもやはり足りないというところがあったりしますので、そういうところをもっと充実してほしいのと、それから、私どものグループで特に強調したいところは、異世代交流を図っていくことです。高齢化ですが、我々お年寄り同士だけが集まるのではなくて、若い世代とか、例えば、お年寄りの人たちと幼稚園のところと一緒になって組合せでやるとか、そういういろんな交流方法はあるかなと思いますので、そういうことを図ることによって、我々も元気になる、元気をもらえると思います。
以上、我々、第5グループの発表を終わります。ありがとうございました。

【司会】 ありがとうございました。
続きまして、第6班、発表をお願いします。

【久保田氏】 第6班の久保田と申します。
第6班では、学生さんもいなくて、我々年寄りばっかりで、少し地域、名古屋の方とか、私は港区ですけど、狭山の方とか、神奈川の方がいて、やはり引きこもりの人だとか、一人住まいのいろんな高齢者の人が多いですよね。それで、その人たちを、勉強とか、その前に、少し引っ張り出すにはどうしたらいいかという課題を三つつくりました。一つ目が、高齢者の地域参加をどうしたらいいか。それから、活動の場所づくり。それから、高齢者同士でいじめに遭ったりすると、また出てこなくなってしまうので、どうしたらいいかという、三つの課題について話し合いました。
高齢者の地域参加には、行政や自治会が一緒に組んで、町会、お祭り、盆踊り、小学生とラジオ体操など、そういう地域活動を少し活発にして、2番目もそうですね。健康づくりなどのそういうイベントをやると、引きこもりの人たちも少しずつ出てきたり、お孫さんとおばあちゃんが一緒にラジオ体操をすると、そういうことをしていたら、それから、今、デイケアでお風呂とか、そういういろんな施設を貸し出してくれることがあるので、引きこもっている人たちを、町内会とかそういうので出していったらどうかという、一つ目の高齢者の地域参加については、こういうことを具体的にしていったらどうかという話をしました。
それから、活動の場所づくり、やはり出ていくためには、いろんな場所も必要ですけど、先ほどの方たちではないですけど、お金の問題とか、いろいろあるので、なるべく区の施設の公園、神社の集まる場所、学校など、そういう場所をうまく利用して、健康づくりや地域の参加の場所をつくって、そのうち学びのことも考えていくような、そういう自由な参加ができる場所をつくったらどうかと思います。そういう高齢者に優しい場所を、地域と一緒に組んでつくっていけば、引きこもりのお年寄りとか、勉強をもっとしたほうがいいよということを、そういうところで教えていったらいいのではないかという話合いが生まれました。
それから、高齢者同士集まるのはいいけれども、どういうところでやったらいいかというのを、インターネットカフェの年寄り向きの場所をつくったり、いろいろ話が出たのですが、そういう場所にカウンセラーの人、町内会のリーダーの人、外国人なども多い地域、うちのほうも多くなってきたので、そういう人たちもうまく入れると、会話がどんどんできるのではないか。そういうコミュニケーションの場所をつくったり、それから、さっきも、インターネットを使って随分お年寄りの人たちも会話をするようになったのですが、やはり日本はまだ文字文化で、そういうインターネットは嫌だという引きこもりの人たちもいるので、うまく町内会などの回覧も、やはり文字文化なので、チラシにして回すとか、うちの班では、具体的に、引きこもっている年寄りとか、みんな、そういう集まってきて勉強しようという場所づくりなどを考えたほうがいいのではないかという話合いをしました。
以上です。

【司会】 ありがとうございました。
では、続いて、7班の方の発表をお願いします。

【高野氏】 東京大学大学院の修士課程1年の高野と申します。今日は熟議にも参加する予定ではなく、発表まですることになって、とっても緊張しています。よろしくお願いいたします。
私たちの班では、いろいろな立場で、いろいろな場所で実際に実践をしている方々が多かったので、最初は実践の現場から出てくるようなお話がとても多く挙げられました。例えば、生涯学習がやはりハードルが高くて、なかなか参加を促すことが難しかったり、健康とどう両立していくかという問題とか、そういった問題が挙げられていく中で、最終的に、生涯学習の評価というのは一体誰がするものなのかという話に移りました。
ある意味で、今は自立社会といいますか、この生涯学習をはじめとして、そういった学習の評価というものが自分自身にゆだねられてしまっているという問題が挙げられまして、そうした中で、例えば、組織としてやっていく中で、参加者自身に評価をゆだねてしまうと、到達地点がどこかわからなくなってしまって、組織として成長がなくなってしまうという問題も指摘されていました。話の中では、例えば、そういった講座がきっかけで自主グループができるという例も、一つの成果として、一つの評価として挙げられるのではないかという話も出ました。
そうした話合いをした後で、生涯学習の評価というところに焦点を当てまして、それぞれで考え出したことをここに挙げました。上が、高齢者自身がどう評価すべきかという問題で、下が、組織とか、自治体、企業、大学がどう評価すべきかという問題のことを挙げています。
高齢者自身のお話ですけれども、高齢者自身のお話になりますと、先ほども申しましたように、自己評価といいますか、ある意味で自分にゆだねられてしまうのはしょうがないというところもありまして、そうした中でも、満足する習熟度がチェックできるフォーマットをつくったりとか、あとは、向学心をくすぐるような、例えば、講座が終わるごとに賞状をあげるとか、そういった工夫も必要なのではないかという話も出たのですが、やはり判断は最終的には本人に任せられる傾向になってしまうというお話もありました。
次に、組織のお話に移りますが、ここはとても難しい問題で、いろいろな意見が出ましたが、やはり組織として、先ほども申しましたように、発展性を持たせていくには、ある程度数値というか、データとして成果を出さないといけないのではないかという話が出た一方で、そうした数値ではあらわせないような成果というのもあるのではないかという話になりました。生涯学習が社会貢献につながるかどうかというのは、現場の方のお話を聞いていますと、結果論といいますか、最初から社会貢献が目的ではなくて、何か自分が興味があることであるとか、楽しいと思ったことが、だんだんと社会貢献につながっていくということもあるので、一概に最初から最終的な目標を決めてしまって、到達点を決めてしまうというのもどうなのかなという問題もありまして、そうしたことを考えますと、何かしらの形で続いていく、発展していくつながりができるですとか、ネットワークができるというところが最終的な目標として評価されてもいいのではないかという話が出ました。
以上です。

【司会】 ありがとうございました。
では、最後、8班の発表をお願いいたします。

【大内氏】 お疲れさまでございます。もう時間も過ぎていますので、手短にお話ししたいと思います。8班の大内と申します。私、浦安市役所企画政策課で勤めております。今回は、一つの自治体として参加させていただきました。
8班で、まず課題の洗い出しを皆さんで議論しました。ほかの班とちょっと違ったのが、本質的な部分といいますか、皆さんから同じ共通で出たテーマとしまして、引きこもり老人であるとか、生涯学習に参加しない高齢者に対して、どのように参加を促進していくかというような、ざっとスキームのような議論になりました。いろいろな御意見がありましたけれども、どうしても地域柄であるとか、多様なニーズに対して、行政で講座を構えるであるとか、公民館で講座を開催するというのは、なかなか難しい。それは財政面の問題もあるでしょうし、皆さんが求めているニーズなんていうものも多様化しているものなので、すべてに対して対応できるものではないというものもありました。
そういった地域のニーズに合わせた企画というものは、誰が担うのかといったときに、一つ、意見として出たのが、地域の方々、要は、行政や大学などの大きな方々ではなくて、隣近所であるとか、自治会組織、町内会であるとか、又は支援団体、NPOなどといった地域の方々の力が活用できるのではないかというようなことがありました。
このスキームに入っていきますが、そういった多様なニーズを地域の力で担っていく。又は地域の力で担うということは、そこでニーズがある場所の近くで、その方のニーズに対して対応できる。でも、それにしても、資金の問題、場所の問題、時間的な問題とかといったもので、なかなかやりたいといってもすぐにできるものではないといったところで、一つ、コーディネーターという、これは議論が詰められなくて、これを誰が担うかというのは議論が詰められなかったのですが、地域課題に対して、地域で、自分たちで担っていく、それをコーディネートするという役割が必要なのではないか。
行政については、高齢者の現状であるとか、これからの推移であるというような情報の提供であるとか、地域の活動に対しての全体への情報発信という部分、それから、できれば資金ですよね。活動資金を投入し、それをお金で返していただくのではなくて、行政課題の解決というもので、ここも地域と行政のウィンウィンの関係で成り立っていければいいのではないかというような、こういったスキームを立てました。
最後になりますけれども、今後の課題としましては、このコーディネーター、いろんな課題があると思います。ここを誰が担っていくのか。行政が担うのか、それとも地域の方が担うのか、又はNPOであるとか、生涯学習で言えば、大学であるとか、それから、知見を持った方々が担っていくのかというのを、一つ課題として残させていただきました。
以上で8班の、つたない説明でしたが、終了させていただきます。ありがとうございました。

【司会】 以上で各斑の発表は終了いたしました。皆様、お疲れ様でした。また、発表者の皆様、突然の発表で大変だったと思いますが、非常に丁寧に流ちょうに御説明いただきました。皆さん、改めて発表者の皆様に拍手をお願いいたします。

【牧野氏】 皆さん、お疲れ様でした。総評をせよということですが、総評してしまってよいのかどうかと、ちょっと戸惑っています。
実は、皆さんの各班での熟議と、発表を伺っていまして、これから来る社会というのはこんな感じかなというイメージを今持っています。ちょっと言葉がいい加減ですが、ばらばらだけどもつながっているという感じを持っています。これはどういうことかと言いますと、やはり今までいろんな社会、大きな社会の変革の中にあって、日本は今高齢社会である。それから、従来のいわゆる産業社会から次の社会に移行していて、特に就業問題とか、又は、もう少し言いますと、税収を含めた社会保障的なものを、大きな国の枠組みが変わってきている。その中で、各個人がある種自己責任論に絡め取られながら、ばらばらになっている社会にいるわけですが、やはり私たちは、そこで何らかの形でつながっていたいと思っているのではないか。そして、つながりながら、お互いの力を発揮して、この社会をもう一度新しい社会に組みかえようとしているのではないかということを、今日強く感じました。
その意味では、従来、私たちは我々として生きてきたところがあるのかもしれませんが、これからはみんなとして生きていこうとするところもあるのではないか。今、ちょうどその過渡期にあるのではないかなと、今皆様のお話を伺っていて感じました。
その意味では、高齢社会と言いますと、先ほど申し上げましたが、何となく高齢者だけが注目をされる社会のような感じになっていますけれども、そうではなく、それが普通の社会の在り方なのだ。その中で私たちは、いわゆる老若男女一緒にみんなで生きていこうとする、そういう社会をどうつくっていったらいいのかといったことをこれから考えなければいけないのだろうと思います。
それをもう少し硬い言葉で言い直しますと、今までは税金を納めて分配をしてきた。そして、生活を保障する。分配される客体である私たちから、ある意味では、これからは創造していく主体としての私たちなのであるという形で、私たちの位置づけを変えていかなければいけないのかもしれないと思います。それを、今日、皆さんの各班で表現していただいたのではないかなと感じています。
そして、例えば、具体的な在り方とすると、皆さんが社会参画をし、社会貢献をする。そうして、人とつながっていきながら、お互い認め合っていく。そして、そこに人から認められる楽しさ、更には、楽しさからうれしさに変わっていく。それが更に社会貢献へ持っていこうとする、いわゆる駆動力といいますか、そうしたものを強くしていく。そして、社会が新たに結び直されていくという形になっていくのではないかなと感じています。
その中で、今日いろいろ御提案がありましたコーディネーターの役割、新しい役割を担わなければいけないと思いますが、コーディネーターをどうするのか。例えば、今の社会教育主事のような形で国家資格として準備をしていくのか、それとも、もう少し緩やかな形で、民間ベースでいろんなコーディネーターがいる、そして、その方々が地域に出ていきながら、新しい地域をつくっていく、ある意味でその接着剤といいますか、ハブの役割を果たしていくということになるのか。これは今後議論が必要になるかもしれません。
ただ、その意味でも、今私たちが求めている社会というのは、もう一度やはりつながり直そうとする社会である。その中で、私たち自身がどういう役割を果たしていくのか。それは、ある種、従来のように、一面的にみんなが同じである社会ではなくて、これもうまく言えないのですが、一人一人が多元化、又は多様化している、しかも、多重な層、いろんな層でいろんな生活を営んでいながら、それが全体としてお互いが結びつこうとすることによって結びついているような、しかも、常に動き続けているようなイメージの社会。これはもう少し言いますと、何となくざわざわとした社会といいますか、雑踏のような社会をイメージするのですが、そうしたものをつくり出していくことによって、この社会が新しい力を得ていくのではないかなと感じております。
そのときに、そういう、今、いろんな方々がいろんな団体をつくり、いろんな活動をされていく。そして、その過程でいろんな結びつきをつくりながら、例えば、引きこもっている方々も引き出していく。そして、最後に、どこがやはり社会全体に対して責任を負わなければいけないのかといったことも、当然、これから議論になるだろうと思います。
そして、今日、皆さんもいろんな団体の役職の方、大学の方がいらっしゃっていますけれども、その方々も、御自分の活動をどんどん突き詰めていくということにおいて力を発揮する。しかし、その活動がカバーできないところはいっぱいあります。それをどうお互いにカバーし合うのかといったことを、どこである意味で取りまとめをしていくのかといったことも、これから課題になるのではないか。その意味では、ある種の新しいプラットフォームをつくっていく。しかし、これは一面的にするプラットフォームではなくて、多様に結びつくためのプラットフォームをつくっていくといったことを考えなければいけないのだろうなと思います。
そして、最終的には、国が大きな方針を示しながら、例えば、各自治体が、いわゆる一番基層のところが責任を負っていく。その一番基層のところの責任を負った更に上のところでは、いろんな方々がいろんな活動をしながら、しかも、社会がいろんな多層な面に分かれていながら、ざわざわと動き回っている。それで、その中で人々がつながっていって、自分がそこで生きているという強い実感を持てるような社会、そうしたことを今日皆さんが御議論なさったのではないかなというふうに強く感じています。
私自身も、実はもう少し大学はどうするんだと言ってほしかったなという気が少ししています。しかも、東大というのは、私たちが生涯学習のところにいます。それから、私、今、東大に高齢社会総合研究機構という、日本で唯一の高齢社会の在り方についての研究をし、更に開発をする部門があり、そこの運営委員もやっていますが、どうしても、地域の方々と結びついていかない。しかも、何となく一番偉そうにしている大学ですので、地域に開こうとすると、「それは俺たちの役割じゃない」とか言われるので、なかなか開かれていかないのですが、むしろ、そういう意味では、威張っている東大を何とかしようという、そういうような議論もどこかでしていただけると、ちょっと他力本願、外圧頼みかもしれませんけれども、これからの大学の在り方を考えていく上でも大切なことかなと思いました。
ちょっとまとまりませんが、そんなイメージを持って今日はお話を伺いました。私どもも、できましたら、皆様と連携をとりながら、その雑踏のような社会を実現するために、いろんな形で学び合いたいと思いますので、是非これからもよろしくお願いいたします。
今日はどうもありがとうございました。

【司会】 ありがとうございました。
以上で、プログラム熟議はこちらで終了でございます。皆様、大変お疲れ様でした。熟議に参加いただいた皆さん、会場の皆様、いま一度、お互いに大きな拍手を送り合っていただければと思います。
最後に、簡単ではございますが、主催者を代表して、文部科学省生涯学習政策局社会教育課長の伊藤学司より御挨拶を申し上げます。

【伊藤課長】 皆様、大変お疲れ様でした。
本日は長時間にわたって、午前中から髙畑会長の基調講演に始まり、行政説明、そして、浅井先生、柴田先生の御講演、更に事例発表、そして、3時からは熟議ということで、通常、これまでいろんな会議には参加してきたけれども、傍聴は多いが、それをこういう立場で、一人一人それぞれの立場で参加をしながら問題解決にということは、中央省庁の会議ではなかなかまだ根づいていないスタイルでしたので、こんな形があるんだなと、初めて御参加をされた方も多いかと思います。
文部科学省では、教育政策に皆様のお考えを反映しながら、我々の政策形成にもそれを生かしていきますし、実際にそれぞれの立場、それぞれの地域で皆様がどう取り組むかということを考えていただくことにも役立つのではないかということで、こういう熟議形式の会議を、この二、三年ですが、頻繁に開催をさせていただきました。熟議の様子を私もずっと後ろで拝見させていただきましたが、大学生からアクティブシニアとして御活躍の皆様まで、非常に幅の広い方々、そして、行政の担当者からNPO、企業の方、大学の研究者の方、本当に多種多様な方々が一つの課題について多方面で解決策を御提示いただきました。
しかし、こうすればこの問題は解決するというような絶対正解は当然ないわけですし、地域においても、それぞれの解は異なると思っていますが、最終的には、それぞれの皆様、それぞれの立場で何ができるか、どうしていくかということを真剣にお考えいただいて、行動していただくというもの、そして、それを、国ももちろんですが、それぞれの地域での自治体も、どういう形で支援をしながら進行していけばいいのかということを考えていくのが大変重要だと考えています。
今日は、そういう意味では、キックオフの第一歩です。「長寿社会における生涯学習政策フォーラム2012 in 東京」ですが、この後、少し形は変わりますが、鳥取でもう一度こういうフォーラムを展開していきたいと思っていますし、また、来年度以降も今回を踏まえて、更に発展する形で開いていきたいと思っています。是非また来年度も御参加を頂き、本日を踏まえて、地域でこういう活動をしたということを御発表、御報告いただける形で、毎年度この場に皆様がお集まりいただければ有り難いと思っています。
本当に長時間にわたりまして熱心な御議論を頂きましたことを感謝申し上げ、閉会の言葉といたします。どうもありがとうございました。

【司会】 これにて、「長寿社会における生涯学習政策フォーラム2012 in 東京」のすべてのプログラムが終了いたしました。
改めて、御参加いただきました皆様に感謝申し上げます。御参加、まことにありがとうございました。
この後ですけれども、6時15分から、この建物の1階食堂におきまして、意見交換会・交流会を開催いたします。参加を予定されている方におかれましては、18時15分、直接食堂にお集まりいただければと思います。また、5時30分過ぎから食堂が開きますので、少しゆっくりされてから、下におりていただきければと思います。
また、本日お配りした資料の中にアンケート用紙が入っています。今後の施策の参考にさせていただきたいと思っておりますので、是非御記入いただき、会場の出入口、又は懇親会の会場にもある回収箱に御投函をお願いします。筆記用具が無い方は、受付でお貸ししますので、係員までお申し付けください。
また、本日使用した名札も、同様に回収箱に御投函願います。懇親会に参加される方は、そのまま使用いたしますので、懇親会終了後、お帰りの際に職員にお渡しください。
それでは、お忘れ物のないよう、お気をつけてお帰りください。本日は御参加いただき、どうもありがとうございました。

(終了)

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課環境・高齢者担当

(生涯学習政策局社会教育課環境・高齢者担当)

-- 登録:平成25年01月 --