長寿社会における生涯学習政策フォーラム2012in東京(講演・事例発表)議事録:文部科学省
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長寿社会における生涯学習政策フォーラム2012in東京(講演・事例発表)議事録

【司会】 それでは、定刻となりましたので、午後の部を開始したいと思います。恐れ入りますが、携帯電話をお持ちの方は、電源をお切りいただくか、マナーモードへの切替えをお願いいたします。
午後最初のプログラムですが、八洲学園大学教授・浅井経子様による御講演を行います。
簡単ですけれども、浅井先生の経歴を御紹介させていただきます。
浅井先生は、淑徳短期大学教授を経て、平成16年より八洲学園大学教授に就任されており、御専門は、生涯学習学、社会教育学で、文部科学省中央教育審議会生涯学習分科会臨時委員や日本生涯教育学会の会長、常務理事などを歴任されておられます。本日は、「高齢者の学習活動と健康」をテーマに講演をしていただきます。
それでは、浅井先生、よろしくお願いいたします。

【浅井氏】 浅井でございます。よろしくお願いいたします。
今日は、「高齢者の学習活動と健康」ということでお話し申し上げたいと思います。
まず、「人生80年から人生100年時代へ」というところから話を始めたいと思います。皆さんは恐らく人生80年とお考えだと思います。私もそう思っていたのですが、突然、人生100年と言われまして、ぎょっとしてしまいました。御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、今年の3月に、文部科学省の「超高齢社会における生涯学習の在り方に関する検討会」というところが報告書を出しております。サイトなどで見ることができると思いますので、どうぞ御覧いただきたいと思いますが、サブタイトルが『人生100年いくつになっても学ぶ幸せ「幸齢社会」』となっており、中身よりも、私はこのサブタイトルに本当に驚いてしまいました。ついに100歳かと思いました。
100年という、途方もなく長い時間を私たちはどう生きるのかということに、大きな戸惑いを感じました。皆さんの中には、恐らく「しめた」と思った方もたくさんいらっしゃるのではないかと思いますが、一方で、100年間をどうやって生きていったらよいのかとお考えになった方も多いのではないかと思います。
しかし、よく考えてみますと、長寿というのは人類の悲願でして、古代から王様とかお金持ちは、不老長寿の薬を手に入れるためにどれほどのお金を使い、エネルギーを使い、また人の生命を奪ったりもしてきたかなどを考えますと、私ども、やっとこの悲願の薬を手に入れたということになるのかもしれないわけです。なので、これは、考えてみると非常に喜ばしいことであるのかもしれません。
それでは、本当に人生100年なのかということを、平均寿命のほうから見ていきたいと思います。表1に日本人の平均寿命を出させていただきました。まず一番右側の昨年度の平均寿命ですが、男の人が79.44歳、女の人が85.90歳になっております。御存じのように、昨年、東日本大震災がございましたので、平均寿命が縮んだと言われております。ですから、前の年のものも挙げてみましたけれども、女性はこの前の年の平成21年がピークになっております。ちなみに昭和22年のときの平均年齢は50歳台です。ですから、たった65年間の間に、気の遠くなるような長さの人生を私たちは手に入れたということになります。
でも、やはり人生は80年ではないかと皆さんお考えになるかもしれませんが、この平均寿命というのは、この年に生まれた人、ゼロ歳児の平均余命のことです。平均余命ですから、この年ゼロ歳の男の子は平均で79.44歳まで生きるということです。平均ですから、子供のうちに亡くなられたり、若いうちに亡くなられたり、そういう方がたくさんいるわけです。ですから、79歳まで生きた人は、もっともっと生きることができることになります。
受講されている方の中に昨年70歳の方がいらっしゃるかもしれませんが、昨年70歳の方の平均余命を調べましたら、14.93歳となっております。これも平均です。そうしますと、70プラス14.93歳ということで、85歳ぐらいまでは平均として生きられるということになります。女の人ですと、19.31歳ですから、約90歳まで平均で生きられるということです。その年齢になる前に亡くなる方がいますから、その年齢まで生きた方はもっと生きることになりますので、ちょっと変な計算ではありますが、あながちこの人生100年というのもうそではないと感じられると思います。私どもは、これから、この長い人生をどうやって有意義に過ごすかということを考えなければならないことになります。
そういうときに、人生100年をどう生きるかと考えるときに、やはり基盤になるのは健康でしょうということで、それが今日のテーマでもあるのですが、東京大学の高齢社会総合研究機構とニッセイ基礎研究所が、ヒアリングなどを中心とした調査研究ではないかと思うのですが、75歳以上の高齢者に関心事を聞きましたら、やはり健康が一番高いという結果が出たようでございます。ですから、いかに健康に豊かに生きていこうかという話になるのだろうと思います。
次に、内閣府の「国民生活に関する世論調査」から主な「悩みや不安」を取り上げたものが図1でございますが、これを見ますと、不安とか悩みとかがあるのは、図1の一番下ですけれども、7割ぐらいとなっています。悩みとか不安のない人生はないでしょうから、それほどおかしいデータではないと思われます。それでは、どういうことを悩んでいるか、不安に思っているかを見ますと、選択肢はもっとたくさんあるのですが、主なものだけを図1に挙げさせていただきました。
20歳以上の成人全体ですと、「老後の生活設計について」が1位となっております。しかし、高齢者になりますと、やはり「健康について」が第1の悩みの種や不安材料になっていることがおわかりいただけるのではないかと思います。ですから、健康に生きるということが高齢者にとっては大事な生活課題になっているのではないかと思われるわけです。
それでは次に、2の「健康維持のための学習活動」ですが、健康を維持するためには、皆さん、一体どういうことをなさっているのでしょうか。時間が十分あれば、皆さん方がなさっている工夫をお聞かせいただきたいのですが、今日はその時間がありません。毎朝、軽い運動をしているとか、ジョギングをしているとか、栄養に気をつけているとか、そういう方が多いのではないかと思います。
そういう方法もあろうかと思いますが、健康維持のための1つの秘訣が学習活動なのではないかと思いますので、健康と学習との関係について少し考えてみたいと思います。
まず、日本人のどのぐらいの人が学習しているかというところから始めたいと思います。それを学習率と言っていますが、内閣府が――以前は総理府と言っていましたけれども、調査を数年おきに行っていまして、その変化を示したものが図2でございます。これを見ると、ブルーのところ、これが成人全体です。赤のところが60代、それから、一番下のグリーン、これが70歳以上です。高齢者全体ということで、紫のところを御覧いただきますと、これが60歳以上です。大体平成の一桁のころは40%ぐらいの人が学習していて、平成の10年代の後半になると45%ぐらいの人が学習していて、今53%という値になっております。60歳以上の人口は約4,000万人いますから、53%ということは、2,000万人ぐらいの高齢者が学習していることになります。
なお、この学習率ですが、急に24年に全ての年齢層で1割ぐらい高まっていますが、急に高まっている理由が今のところわかりません。震災後に防災とか、あるいは放射能の勉強をしたとか、そういった要因で一時的に学習者が増えたためなのか、それとも、このまま高い比率が続くのか。それは、次の調査を見てみないとわからないと思っています。総務省のほうで、「社会生活基本調査」を行っておりますが、そちらでも学習率に近い比率が出されております。質問の仕方とかワーディングが違いますので、一概には比較はできませんが、5年ごとに行っている調査ですが、そちらの調査結果をみる限り急に学習率が上がっているとはいえません。そのため、もう一回次の調査をみて、確かに学習率が上がったのか、一時的なものだったのかがわかってくるのではないかと思っております。
それはともかくとしまして、それでは、学習者は何のために学習しているのかということですが、それが図2でございます。学習している理由を聞いたものですが、成人全体ですと、「学習が好き、人生を豊かにするため」がトップになるのですが、高齢者になると、「健康の維持・増進のため」がトップになり、健康のために学習する人が多いという傾向がありますので、やはり高齢者の場合は学習を通して健康になりたいと思っている方がかなりいらっしゃるのではないかと思います。ですから、学習と健康というのは、やはり関係があるのではないかということが理解できるかと思います。
でも、それでは、本当に学習すれば健康になるのだろうかという問題が残ります。それから、これまで、高齢者個人個人のニーズの面から健康と学習を見てみましたけれども、社会の側からみることも大事ですので、社会の課題との関わりで健康と学習の関係について見てみましょうというのが、次の3の「学習活動の効果―医療費の節減について」というところです。
まず、学習と健康の関係は後に置いておきまして、まず社会の問題について目を向けてみたいと思います。表2で取り上げましたことは世代間格差の問題と言われているものですが、世代間格差の問題というのはいろいろありますよね。ここで挙げておりますのは、生涯を通じた受益額と負担額からみた世代間格差の問題です。お金で全部ものを判断していいのかという問題がありますが、今、いろいろなところで指摘され問題視されていることでもありますから、取り上げさせていただきました。表2のデータは世代会計を使って小黒一正さんという人が試算したもので、私が存じ上げている方ではございませんが、ちょうど『日本破綻を防ぐ2つのプラン』という本を読んでいましたら、出てきましたので、取り上げさせていただきました。詳しくはこの本を御覧いただければと思います。
この受益額、負担額とは何かと言いますと、まず負担額のほうから申し上げますと、生涯にわたって政府に支払う負担でございます。税金とか社会保険とかいうかたちで支払っている金額です。それに対しまして、受益額というのは、年金、医療、介護などがあげられますが、それだけではなくて、税金を使って社会が整備されており、その恩恵も受けております。教育などもそうだと思います。生涯にわたって受けたものを金額であらわしたものが受益額でございます。どれだけ負担して、どれだけ利益を得るかという、その差額の計算をしたというのが、この表2です。
1945年以前生まれというのは、60代の後半より年齢の高い方々になりますね。皆さん方の中にもいらっしゃると思います。その方々は、どうも計算すると、払ったものよりも4,000万円も生涯で得をするそうです。これについても、「しめた」と思う方がたくさんいらっしゃるのではないかと思います。でも、一方で、将来世代、これは1986年以降に生まれた方々ですから、20代の半ばよりも若い方で、これから社会を背負っていく方々です。皆様方のお子さんやお孫さんやひ孫さんが、ここに入ってきます。自分はしめたと思っても、そういう方々は、これから大量の高齢者を支えながら生きていかなければなりませんので、8,000万円も損をする世代なのです。自分さえよければよいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり自分の孫とかひ孫がこういうことになると、もう一度考えざるを得ないということになるのではないでしょうか。
60代後半以降の世代と20代半ばよりも若い世代の差額は1億2,000万円にものぼり、サラリーマンの生涯賃金というのは――手取りではないですよ――全部で大体2億円ぐらいだそうです。そうすると、この差額はその3分の2に当たる金額です。そのように考えたら、若い人は働く気がしなくなるのではないでしょうか。この数字こそがキャリア教育の根幹にある隠れた問題だと――文科省でこのような話をすると面倒なことになるので、小さい声で言いますけど――ではないかと私は思っております。
いずれにしましても、自分さえよければということで済む、そういう時代ではないということですよね。自分が健康であることが、自分にとっていいというだけではなくて、これからの世代のために自分たちが如何にあまり負担を残さないようにするかという、そういう工夫や知恵も働かさなければならない世代なのだろうと思います。年金については、これがないと結局は子供とか孫に迷惑をかけるので、これは必要としますと、医療、介護も、これも寝たきりになったら仕方がないのかもしれませんが、しかし、少なくとも健康でいて、医療費を節減する。それは恐らく介護の費用の節減にもつながっていくのだろうと思います。そういう社会の問題というものを念頭に置きまして、先ほどの健康と学習に話を戻したいと思います。
図4を御覧ください。学習と健康の関係を示した図で、報告書は平成9年のものですが、実際に調査をしたのは平成7・8年です。ちょうどこのとき国際高齢者年でした。国際高齢者年だったので、旧文部省ですが、かなりのお金を取っていただき、国立教育会館社会教育研修所、現在の国立教育政策研究所社会教育実践研究センターの前身ですが、そこで調査の委託を受けまして、私ども参加させていただき、6箇国の国際比較調査を行いました。当時筑波大学教授の山本恒夫先生が「提言」の中で、この健康と学習の関係について分析し、しかも、健康であるとどれだけ社会の負担を減らすことができるかを試算されましたので、少しデータは古いですが、御紹介したいと思います。
まず、6箇国の調査ですから、6箇国のそれぞれの国の60代、70代の高齢者の学習率と健康状態を聞きました。健康状態については、高齢者自身が、「自分は健康である」とか、あるいは「ちょっと健康である」とか、「健康ではない」とか答えた結果ですので、ここでは健康状態自己診断といっています。高齢者自身が自己診断で答えた結果をポイントにして累積させたものと考えていただければよいと思います。その結果とどれだけの人が学習しているかということを回帰分析という方法で分析しますと、図4のような曲線ができるということです。図中にrとございまして、約0.9となっておりますが、これは相関係数ですから、学習と健康の相関が0.9ということで、非常に相関が高いことになります。
ただし、回帰分析にしましても、相関係数にしましても、クロス集計にしましても、学習しているから健康になるのか、健康だから学習しているのか、そこの因果関係は確定できません。この点につきましては、今日は紹介できませんのでこの報告書をお読みいただきたいと思いますが、山本先生は、いろいろなデータなどを分析なさいまして、もちろん健康だから学習している面もあるけれども、やはり学習しているから健康であるだということが言えるのではないかということを証明されております。そのことを前提に、学習すると医療費がどれほど軽減されるかという試算をなさっています。
表3を御覧ください。先ほどの回帰分析の理論値から5%学習率を高めると健康状態というのは20ポイント上がることがでてきます。では、この20ポイントというのは、どういう意味があるのかということになります。山本先生は、20ポイントというのは、60代・70代の人たちの3~5%ぐらいの人の健康状態がよくなる、今まで医者にかかっていたのがかからなくて済むようになると、そういうふうに考えることができるのではないかと、資料に基づき証明しながら1つの仮説を立てていらっしゃいます。それに基づいて計算すると、もし3%の人の健康状態がよくなれば、大体3,894億円、これだけ医療費が節減できるということです。もし5%健康状態がよくなれば、8,490億円医療費が減る、こういう計算をなさっています。
先ほど社会の問題に目を向けてくださいと申し上げましたけれども、医療費というのは、社会の負担でもあるとともに、自己負担分も入っています。ですから、医療費が節減できれば、社会もハッピー、個人もハッピーです。個人負担が1割か3割かは人によって違うかもしれませんけど、いずれにしても負担しないで済むことになります。
山本先生が試算されたことを現在に当てはめてみたいと思います。先ほどお見せしました学習率ですが、図2の紫が60歳以上です。先ほど申し上げましたように平成24年の学習率は何とも言えないので、直近の平成20年度を取り上げますと、45%ですから、ちょうど平成11年から大体5%学習率が上がっています。ここに着目して検討してみたいと思います。それで、平成11年と20年の一般診療医療費を調べてみました。
ただし、お断りしたいことがございます。日本のデータというのは、微妙に毎年変わるところがございます。山本先生の試算では60代から79歳までを対象としています。ところが内閣府の「生涯学習に関する世論調査」では対象が60歳以上となっています。また医療費をいろいろ調べて60歳から79歳のデータを探したのですが見つけることはできませんでした仕方なく、60歳から74歳までとして計算しました。ですから、山本恒夫先生の試算とは違いが微妙にありますよということをまず申し上げておきたいと思います。
表4を御覧ください。平成11年の1人当たりの一般診療医療費は約38万円です。それが20年になると、約35万円に低下していますから、高齢者の方々は元気になっていることがわかります。ところが、1人当たりの医療費は低くなるのですが、全体で見ると、高齢者人口が増えていますから、20年度の一般診療医療費全体は増えており、更に20年度でも11年度の1人当たりの医療費約38万円がかかったとしたらということで計算しますと、9兆1,671億円になります。ところが、実際には表4に示したように、約8兆3800万円ですから、その差額分、7,820億円が節減されたと見ることができます。
学習率は5%上がったのですから、健康状態が3%あるいは5%よくなったと考え、もちろんいろいろな要因で一般診療医療費は節減されたのですが、学習をして健康になったことによって節減されたのは3%の場合で約2515.8億円ぐらい、5%の場合で約4193億円ぐらいではないかと思われます。これではちょっと、表3の試算結果と数字が違うのではないかと思われるかもしれませんが、表4の試算では、先ほど申し上げましたように、70代の後半が入っていません。一番医療費のかかるところが入っていませんので、そこが入れば、もう少し高くなると思います。数字の桁が違うということはないので、大体妥当な線なのではないかと思われます。当たらずとも遠からずで、私どもの感覚で言いますと、大体よい線をいっている試算ではないかと思います。こういうところからも、学習すれば健康であり、それから、医療費が節減できて、社会も個人もハッピーということになるということを御理解いただけるのではないかと思います。
最後に、「もう一つの健康」ということでお話し申し上げたいと思いますが、健康には、心身の健康がございます。今までは体の健康のことを申し上げましたけれども、やはり心の健康もあるのだろうと思います。先ほどお示ししました図2を再掲させていただきますと、この中で、「人生を豊かにするため」に学習している人は、やはり多いですね。高齢者でも、健康のために学習している人は多いですけれども、「人生を豊かにするため」も多いです。やはり学習によって心の充実を得たいという方が多いことが、こういうところからもわかります。
その両者の関係につきましては、国際比較の調査のときに、クロス集計ですけれども、その関係を見ております。日本の場合だけ取りだしたものが図5でございます。傾向はほかの国も同じです。青のところが学習活動を行った人、ピンクのところが何も行っていない人で、やはり学習活動を行っている人のほうが、充実感や生活の張りを感じる人が多いという結果になっています。ですから、やはり心の健康と学習との間には関係があるということがおわかりいただけるのではないかと思います。
ただし、これはクロス集計ですから、先ほど申し上げたように、因果関係はわかりません。そこで、1つの経験をお話し申し上げたいと思います。この国際比較調査を行ったころだったと思いますが、会合で、介護の専門家の方に声をかけられました。「浅井先生、先生の生涯学習の本を読んでいます」と言われたので、私は驚いて、“何で?”と思ってお話を聞きましたら、「介護はとても重要です。でも、介護というのは、生活の自立支援なんですね。どうしても心の問題は解決できないんです」とおっしゃられました。その方は、やはり心の問題を解決するためには生涯学習が必要ではないかということで、生涯学習の勉強をしていると言われていました。ですから、そういうこともありますので、やはり心の健康のためにも、学習活動というのはきっと大事なのだろうと思われます。
最後の最後にもう一つ経験したことを申し上げたいと思いますが、更に昔、私がまだ若いときに、今も若いんですけれど、経験したことですが、ある社会教育施設で生涯学習の講座の講師を担当していたことがございます。受講者に妙齢の女性がいらして、「私はこの学習もしました、あの学習もしました、この資格も取りました、あの名取りも取りました、・・・・、だけれどもむなしいのです、どうしたらよいのでしょうか」と言われたのです。それは生涯学習が花盛りのころで、日本中の人が生きがいを求めて学習をしている、そういう時代でした。この人は何とぜいたくなと、私は内心思いました。でも、その方にとっては悩んでいらっしゃることでしたので、その方のために考えたのですが、自分の生きがいを追求するために、つまり自分のためにいろいろな知識や技術を習得し、自分の中に蓄積していても、やってもやっても虚しいということのようです。自分の中でのみ完結させようとする限りは、そうなのだろうと思います。やはりそれを外に出して、人に喜んでいただいたり、感謝されたり、「すごいわね」と褒められたり、そういうときに、苦労してきてよかった、生きてきたかいがあったと思うのではないでしょうか。それが生きがいで、心の健康なのだと思います。
ですから、学習するだけではなくて、教育基本法第3条ではないですけれども、学習成果を生かすということがいかに大事なことか、健康のためにも大事なことということを最後に申し上げまして、柴田先生にお話をつなげたいと思います。
私からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。

【司会】  浅井先生、ありがとうございました。
続きまして、人間総合大学保健医療学部長・大学院教授の柴田博様による御講演を行います。
簡単ですが、柴田先生の経歴を御紹介させていただきます。
柴田先生は、北海道大学医学部を卒業後、昭和41年より東京大学医学部や東京都養育院附属病院に勤められた後、昭和57年より東京都老人総合研究所において副参事研究員、副所長を歴任され、平成14年より桜美林大学大学院老年学教授を経て、現在、人間総合大学保健医療学部長・大学院教授に御就任されておられます。また、専門は、老年学、老年医学で、日本応用老年学会理事長をはじめ、5つの学会の理事を務めておられます。本日は、「高齢者の社会参加活動による健康維持」をテーマに講演をしていただきます。
それでは、柴田先生、よろしくお願いいたします。

【柴田氏】 御紹介いただきました柴田でございます。
私のテーマは社会参加活動による健康の維持ということですが、実は、私が話したいことの本音は、浅井先生が最後におっしゃられた、「学習だけではむなしいわよ」というところです。学習したものを、もう一度自分の中で再構築してアウトプットする、これを私が最近使っている言葉では、社会貢献ということですが、社会参加ということ以上にアクティブな意味を持たせて、そういう意味で、今日は、話は一般的な社会参加というよりも、社会貢献ということに特化した話を、短い時間ですので、させていただきたいと思います。
30分しか時間がございませんので、お集まりの方は皆さん専門家の方ですから、少し早口でお話を申し上げたいと思いますが、あまり細かいことは、また討論時間が設けられているようですので、わかりにくかった点は、また後で御確認をお願いしたいと思います。
健康の問題を含めて、これからよりよく高齢者が生きていくという概念は、これはサクセスフルエイジングとか、アクティブエイジングとか、ヘルシーエイジング、いろんな言葉がありますが、どの年代にも、どのような健康状態にある方にも一応共通して言えるのは、私はウェルビーイングという言葉ではないかと考えているわけですね。サクセスフルエイジングという言葉は、大変豊かなアクティブなアメリカの中産階級によってつくり出されましたが、それはやがてアンチエイジングという、人間の年をとることを認めないという、かなり傲慢な概念に昇華していくというプロセスもあって、弱者切捨てのような概念にもなるし、そういう意味では、もとに戻って、やはりウェルビーイングだと。
この言葉は、御承知のように、1946年のWHO憲章の中に使われている言葉でありますが、やはり原点はここではないかと。しかし、中身は随分推敲されてきておりまして、ウェルビーイングの内容は、1つは、ここにある長寿ということでございます。その次には、長寿というのは、命の量の概念ですけれども、病気の予防とかはここに入ってきます。その次に、高齢者の質という問題、クオリティ・オブ・ライフ、生活の質。それに加えて、3番目の概念は、Productivity、これを私はとりあえず社会貢献というふうに訳しております。この訳語が適当かどうかというのは、まだ学会などで決めているわけではありません。
生活の質というものに関する討論は、今日は時間があれば、後で討論の中でいたしますが、この3番目の社会貢献ということを今日は少し詳しくお話しするわけですが、社会貢献というのは、後で写真を御紹介する、アメリカのバトラー博士の一派が、ザルツブルクで開かれた国際会議で、1983年に、Productive Agingという英語をつくりました。これが社会貢献の意味であります。これは、それを引き継いで、アメリカのカーンが、どういうものかということを言っておりますが、これには有償労働もあれば、無償労働、ボランティア活動、相互扶助、保健行動ですね。浅井先生のお話にも医療費というような問題もありましたが、自分の健康を守るということ自身が社会貢献であるという概念ですね。これは世界的にあるわけです。
それでは、高齢者というものが社会貢献をしうる存在であるかどうか。これは随分最近になって、そういう存在だということが確認されてきたわけでありまして、30年ぐらい前は、高齢者は社会に支えられる存在である。社会の中に高齢者が働くという概念は、私たちはそういうことを言ったら、高齢者の虐待であるという、これは国際学会でもそういう指摘を受けたし、日本とアメリカだけは、いつも高齢者を働かせろという思想というわけで、いつもヨーロッパで会議をやると、我々は孤立するんですね。アメリカに行くと、日本とアメリカは同じことを言って、仲よくやろうということになるのですが、そういう時代からわずか30年で、随分時代は変わりました。
その陰には、老年学の大変大きな進歩があります。これは人間がどういうふうに年をとるかということを描いたモデルで、これは私が1989年に日本経済新聞社から出した本の中にも紹介しているモデルですから、もう一般の人向けの中にもこういうことを言っていい時代があるわけですが、その以前の老化というのは、中年期をピークに、坂を転げ落ちるように老化して、劣化して、人格も能力も衰えて死に向かうと、こういうふうに考えられておりましたが、今から30年ぐらい前から、人間というのは最期までかなり能力が保たれていて、最期に低下するという、これは発達心理学のほうの心理学者は、終末低下、ターミナルディクライン、最期に落ちるんだと、だらだら落ちるのではないという概念です。人口学者のフリースは、直角型の老化という言い方をしますが、いずれも同じようなことを意味しております。
さらに、老年学が進んできまして、単に年をとって能力が保たれるだけではなくて、もっと能力が発達するという、生涯発達理論。これ、従来、生涯発達という概念は、発達期の成長期の子供に当てはまる概念だったわけですが、それが高齢期にも当てはまるという観念、これも30年前ぐらいからだんだん定着してまいりました。これも後で写真を御覧に入れますが、ビレンが、知恵、英知、ウィズダムという概念ですね。一般に動作性能力というのは年とともに落ちやすいのですが、私が信奉しておりました朝比奈隆さん、音楽の指揮者、これは93歳まで現役の指揮者を務めましたが、英知にまで高められた動作性能力は年とともに発達するという、こういう概念が出てきたわけです。
その辺の創始者の、これは私がアメリカの老年学会にQOLのシンポジストで呼ばれたときですから、今から十七、八年前のことになると思いますが。これは、当時、UCLAの教授のカウズマンという方で、ちょうど教授になる直前でしたけれども。これは、御承知のように、今、傾聴ボランティアというのを御承知だと思います。これは私の知り合いの鈴木絹江さんたちが立ち上げたのですが、この直後から。これの元祖ですね。アメリカでは、シニア・ピア・カウンセリングと言います。仲間うちの高齢者のカウンセリングですね。専門家では、こういう言葉を創始して、これはロスのサンタモニカで始めた活動が、ずっと日本でも伝わってきているわけですね。
これがさっきのビレンでございますが、このときも80代だったような印象ですけど、5年前のアメリカの老年学会で、また元気な姿を拝見いたしました。
これが有名なバトラー博士ですけれども、この方ですね。この方は、3年前に残念ながら82歳で亡くなりましたけれども、Productive Agingという概念。1985年に「Productive Aging」という本も出しておりまして、皆さん御承知の、「老いの泉」を書いたフリーダン、この人達の論文も、その「Productive Aging」というグリーンの小さい本の中に載っております。
それで、生涯発達というのは、芸術家ではよく言われるのですが、バルテスというのは、その方面の能力の、例えば、人格の生涯発達というのはマズローとか、エリクソンとか、そういう方面で大変有名ですが、能力の生涯発達を最も研究したのが、ドイツの発達研究所のバルテスですが、そのとき、ルービンシュタインが79歳のときに最も円熟した演奏をしていたころですが、どうしてあなたはそういう円熟した演奏ができるのかということを質問して、これがルービンシュタインが答えているわけですが、加齢に伴って指の動きは遅くなったけれども(喪失)、テンポにコントラストをつけることで速いパートが全体の中で速く感じられるようにする。これが生涯発達の原理というふうになっておりますが。ですから、アンチエイジングではないですね。人間が年をとるということを否定するのではなくて、それを従容として受けとめて、そして、それを逆に発達につなげていくという考え方です。これは芸術の世界だけでなく、いろんな活動の中にそれを見ることができる。若者がすべて若さを持っていないように、高齢者のすべてが生涯発達するわけではないことは言うまでもありません。個人的な問題ではあります。
WHOが、1984年に健康に関するコペルニクス的な転換を提言いたしました。それまでの健康の定義というのは、病気があるか、命があるかということだったのですが、生活機能における自立であるという。これによって、したがって、大病をしていても、仮に腎臓が働かなくて人工透析を受けても社会貢献をしているような方がたくさんおられるわけで、古い概念で言うと、その人たちは大病人ですけれども、新しい健康の定義では、健康ということになります。
1987年に、私たちは、そういうものを受けて、高齢者の健康、日常生活のお風呂に入れる、トイレに行けるとかという能力より高いレベルの活動能力を測定する、13項目の測定をいたしました。午前中お話しいただいた藤原先生も、こういう指標を使って、たくさんの研究をされております。
高齢者は、さっきは年のとり方ということを申し上げましたが、高齢者の健康の分布という、これ、実はアメリカのシュロックという、看護学の女性の准教授ですが、1981年につくったモデルです。これは、実は少し力の及ばない方、通信簿で言うと、1と2ぐらいの方が25%あるというモデル、逆に、右の端、恵まれた高齢者、これは通信簿の4、5の方が25%いるというモデルで、ここが50%だったのですが、これを私が日本の実情に合わせて、数値を少し変更して、こういうことになる。これを見ておわかりのように、人間は、年のとり方も決して大多数が能力がなくなるわけでもないし、生涯発達する高齢者もいるし、そして、65歳以上の中の分布を見ても、圧倒的に自立能力を8割以上は持っているわけだし、その中の大多数が社会貢献をできる能力を持っているということを、ここで確認しておく必要があると思います。
それでは、年々高齢者というのは、新聞の報道とかを見ていますと、障害老人が増えるとか、認知症が何百万人になるという話ばっかりで、高齢人口が増えますから、障害を持った人の数は増えますけれども、年齢を平準化して、標準化して、同じ年齢であるということを想定したときには、実は障害老人というのは大変減っております。これは私たちがずっと責任を持って分析した東京都の定点観測データですが、1980年から15年の間に、障害老人は半分に実は減っております。最近、この減少程度は下がっておりますが、同じように減っております。年々高齢者は元気になる。私たちは、同じ地域を、もう既に15年以上追いかけている地域がございますけれども、20年追いかけている地域がありますが、高齢者の元気度は、10年間に10歳近く若返っているということですね。
これも同じデータですが、いろんな能力が上がってきているということですね。こういう高齢者の生活機能の向上、これがヘルスプロモーションということになりますが、これのためには、自立高齢者には社会参加、社会貢献。虚弱高齢者というのは15%ぐらいいますが、これには、いわゆる部分的なサポートが当然必要で、要支援ということですね。例えば、振り込み詐欺にやられるのは、このクラスが大変多いわけですから、全面介助ではなくても、何らかのサポートが必要になります。障害を本当に持っている方というのは、地域の中で5~6%しかいない。これは、ですから、公的なサポートが中心になるわけですが。
健康の枠組みということは、こういうことでしております。ここの3つまでは、介護予防の厚生労働省の枠組みに3までは入っておりますが、4番目を私たちは加えて考えております。
それで、高齢者の戦略というものは、1つは、物的な環境づくりですね。バリアフリーというのは。それから、拠点づくりというのがあるわけですね。これは半公的な地域包括支援センターのようなものもあるし、最近目立つコミュニティカフェのようなものもあります。それから、3番目には、後で詳しく申し上げますが、人材育成ということが大変重要です。何らか、老年学的な理論武装をした方々をたくさんつくっていくということが求められている。
今日は、高齢者の社会貢献がテーマですので、高齢者に対するサポートというものが、時代とともにどういうふうに考え方が変わってきたかということを、30年を少し振り返ってみたいと思うのですが、1980年代の前半には、専ら高齢者がサポートを受けるということが重要だということが主張されました。しかし、1980年代の中ごろになりますと、高齢者の威信を傷つけるようなサポート、あるいは、自立心を傷つけるようなサポートは有害であるという、高齢者というものはそういう考えが出てきまして、高齢者というのは、サポートを受けるだけではなくて、自分のほうから与えるという授受、Reciprocal exchangeと英語でいいますが、これが両方のバランスがないと、その人のウェルビーイングはよくならないという考えが、1980年代の終わりに出てまいりました。
1990年代に入りますと、社会貢献という考え方がじりじりと出てくるわけでありまして、これは私が1989年に、日本にはないアメリカだけに流通している健康雑誌をちょっとコピーしてきたのですが、このころまで、今日私が申し上げるように、社会貢献をしていると、みんなが元気になったり長生きになるというデータがまだ不十分な1989年のころに、アメリカではこういう、人のためになることが自分のためになってきますよ、情けは人のためならずという日本のことわざのような論文が出てきているわけです。
それで、事実、私たちは、その後、いろんな活動を見ておりまして、これは私の弟分の、現在、桜美林大学の教授をやっている芳賀博教授たちの東北のデータで、震災に遭った登米町でやったデータですが、ボランティア活動をやっている方の健康状態、ボランティア活動の恩恵を受けている高齢者が本当に元気になっているかどうか、これも評価しなくてはいけないのですが、それよりも、ボランティア活動をやっている人の健康状態を見ることは極めて簡単にでき、こちらの研究が先にいっているわけですが、半年あまり見ていったら、ボランティア活動を始める前後で、握力も大変強くなる。片足立ちということで、老化の指標、これもよくなる。生活満足度、これも高くなるという、高齢者の生活満足度と健康度が大変上昇するということがわかりました。
これは私たちの研究ですけれども、これは発表したのは2000年代に入ってからですけれども――1998年か。実際のデータは、1980年から3年間、86年にとられた日本とアメリカの比較研究で、日本側のデータですけれども、3年間の主観的な幸福感、これがいわゆるクオリティ・オブ・ライフの最終的な目標になりますが、これで、もちろん上げる要素はいっぱいあるのですが、受けるサポートが増えるということは、男性はそれもプラスの効果になるのですが、女性の場合は、専ら提供するサポートが増加する、あるいは多いということが、主観的幸福感を上げている。これは日本の女性をよく象徴しているデータなわけです。これは、もちろん、特別養護老人ホームの中に入っているような方ではなくて、日本を代表する方々の2,000名のデータですから、障害者はこの中には数%しか入っていないですね。ほとんどが自立しているという。日本の女性は、自分が社会貢献できるような状態のときには、大変主観的幸福感が高い。逆に、それがなくなると、一遍に主観的幸福感が落ちていく。それが75歳以上の日本の女性の高齢者の自殺率が世界で4位であるということにあらわれてくるわけでありまして、この辺が高齢者のQOLを考える上で大変重要なことですが、これが社会貢献が幸福感をもたらしているというデータでございます。
その後、これは1999年から、私たちは少し若い年代の調査を始めまして、55歳から64歳、定年をまたぐ年代でございますが、この方々は、まだ現職の方がたくさんおられます。そういう方が多いので、これは主としてボランティア活動をしている、その方々の1週間の活動時間を測定いたしました。そして、2年間に生活習慣病にかかる危険性を測定いたしました。活動していない人に比べて、活動時間が多いほど、生活習慣病になりにくいということですね。これは比較的中高年のデータですが、こういうデータ。
それから、これは私が理事長をやっております応用老年学会という学会誌に、最近論文が完成して、長い論文が出たところですが、これは同じく1999年から3年間追跡調査しておりますが、これは70歳以上の方を追跡調査しています。それで、これも、70歳以上の方ですから、一つずつのカテゴリー、最初にお見せしたカーンのカテゴリーの単独ではなかなか有意性が出にくいので、最後に、こういう活動、有償労働、無償労働、全部合わせた総合時間を計算いたしました。有償労働時間だけでは有意な関係になりませんけれども、この3つの総時間が長いほど、日常生活の機能が低下することを予防する。下向きは予防するということです。それから、今、いわゆるぼけ予防なんていうことが大変関心を持たれておりますが、認知症の予防にも役立つ。それから、寿命の延長にも、死亡率も下げます。こういうデータが出てきております。
これは2002年のマドリードで開かれた第2回世界高齢化会議の政治宣言ですけれども、高齢者は社会の荷物ではない、高齢者を社会資源として活用すべきだと。この宣言が出されて、世界的に、高齢者を社会貢献させるということに反対していたカソリック系の国も、ついにそういう方向にかじ取りを始めた、大変大きなエポックメーキングな会議だったわけです。
私はこういう本を6年前に書きまして、80歳以上で活動している現役の方々、この方々を、いろんな分野の方がおられますけれども、インタビューいたしまして、そして、どういう生活信条、どういうライフスタイルを持っているかということをいろいろと。
これ、すみません、インタビューしたときの年齢ではなくて、昨年の年齢なので、両サイドにゲタが入っておりますが、この方は、ちょうど99歳、私が外国人向けの講演をしたときで、英語になっちゃっていますが、ちょうど私が講演しているその時間に、99歳で亡くなりました。これは前川製作所というところで働いておられたエンジニア。この辺は、食品栄養学の第一人者ですね。この方は、私が本を書いてからとみにブレークしまして、今、90歳を超えました室井摩耶子さん、最年長ピアニスト。世界でも90歳を超えている方は少ないと思います。こういう方、これはやなせたかしさんですね。いろんな方を見てまいりました。
時間がなくなりましたので、最後に私が申し上げたいことは、高齢者の社会貢献というのは、社会の中にどうしても必要である。藤原先生などがいろんな活動をされていますが、例えば、栄養という問題一つとってみても、これは1995年から2008年まで見たのですが、御承知のように、日本人のカロリーというのは、おそろしく減っています。今、カロリー全体は、終戦直後の1946年のレベルをついに下回っています。そのために、先ほど浅井先生がお示しされたように、女性の平均寿命が2年連続で低下しています。これ、震災の影響だけではない。震災の影響は2010年にはないわけです。2011年に下がり、また更に下がる。
年代別に見ていきますと、大変残念なことに、子供のほうがものすごく下がっている。20代はものすごく悪い。それで、高齢者だけが、増えてもいないけれども、変わらない、こういう特徴があります。だから、最初、カロリーが減っていることを指摘したとき、したり顔をした栄養学者は手を挙げて、「先生、それは当たり前でしょう。高齢者が増えているのだから、平均の摂取カロリーが減るのは当たり前だ」と言ったのですが、実際にはそうではなくて、高齢者は、70歳以上、上の平均年齢は青天井です。これは減っていないのに、こっちだけ減っている。これ一つ見ても、現在、食育食育と言っていますけれども、高齢者自身が食育の教育の担い手にならなければ駄目、教育の受け手ではもう駄目ですね。
それから、運動習慣も見ていただくとわかりますが、運動習慣も、中高年は上がっている。若いほうは下がっている。これが日本の実態であります。
そういうことで、2006年に、私は日本応用老年学会という学会を立ち上げました。こういう問題をこれまでちゃんとやれる学会がなかったので、今後、社会教育、それから、シニアビジネス、マーケティングの改革、こういうことを含めたことを応用老年学といいますが、これをやっていくために、藤原先生とか、これからコーディネーターをされる澤岡先生とか、いろんな方の力をかりて、現在やっているところでございます。
今年から検定試験を始めました。これはウェブでも試験を受けることができまして、会場試験も年に4回。社会保険出版社がこういうテキストもつくりまして、これは別に検定だけではなくて、いろんな意味で、老年学の基礎・応用、実用まで含めたことを学んでいただくためにも大変有用な本として、私はつくったわけですが、この中にも検定を受けられた方がもうおられるかと思います。
こういうことで、社会貢献の仕組みをつくるということ、それと、それを担えるような人材をつくっていく。私たちは、この検定試験、今、私が教え子たちに、今日、実は午後講義があるのですが、途中でやめて来たんですけれど、この生徒たちにも今受けさせておりまして、コンシェルジュ。試験に合格すると、ウェルビーイング・ピアという称号ができます。その方の持っている既存の資格などを検定委員会で認定いたしまして、ウェルビーイング・コンシェルジュという資格も出しておりまして、学会が将来法人化して、きちんとした組織として機能できるようになれば、この学会の、普通医学部などでやっている専門医のようなものにしていきたいと思っていますが、今は学会にまだその能力がありませんので、商工会議所の外郭団体の生活・福祉環境づくり21という独立行政法人にこの役を担っていただいて、我々の学会はそれをサポートするという役をやって、何とか、一つの学問領域ではなくて、社会思想といいますか、社会思潮といいますか、それとして老年学を広めていきたいと思っております。
それは、高齢者が単に幸せに暮らすというだけではなくて、先ほど浅井先生のお話にもありましたが、現在、人口学的に言いますと、42%の女性は90歳も生きます。ですから、90歳時代ですね。今世紀の中には、人口の42%が高齢者になるという時代に入ります。高齢者の力なくしては社会は成り立っていかないことは自明であります。そのこと、社会のために何かをすることが、高齢者自身のウェルビーイングにつながるという、そういうロジックを身をもって我々は体現していく必要があると思います。
御清聴ありがとうございました。

【司会】 柴田先生、ありがとうございました。
それでは、続きまして、事例発表に移りたいと思います。この時間では、日ごろよりそれぞれの地域で高齢者の学び、また、その成果を生かした社会参加活動を促進し、地域全体の活性化にもつなげていくような取組みを行っておられます2つの団体から、それぞれ具体的な事例について御紹介いただきます。
御報告いただくトップバッターは、財団法人シニアルネサンス財団の河合和事務局長と、受講生の方のお二人でございます。
それでは、簡単ですが、河合事務局長の経歴を御紹介させていただきます。
河合事務局長は、大学在学中より、メディア、映像及び音と人間を中心に、創作活動に携わってこられました。また、アメリカでジロントロジー――これは人間の老化現象を生物学、医学、社会科学、心理学など多面的また総合的に研究する学問でございますけれども――ですとか、あるいは、AARP(全米退職者協会)といったものと出会いまして、平成4年に財団法人シニアルネサンス財団を設立され、現在まで事務局長を務めておられます。また、そのほかにも、高齢社会NGO連携協議会理事、介護福祉士専門学校を附置しています学校法人丸の内学園の理事、十文字学園女子大学非常勤講師などを兼任されておられます。本日は、「高齢者の生涯学習の促進と学習成果の活用」をテーマに、シニアルネサンス財団の取組みを御紹介いただきます。
それでは、河合事務局長、どうぞよろしくお願いいたします。

【河合氏】 紹介にあずかりました河合でございます。
紹介だけだと、すぐに終わってしまうので、「学びを考える」というサブタイトルがついているのですが、今朝、こういったものを持ってきた次第です。
何がしたいかと言いますと、先ほどお話の中にもありましたが、「学びと健康とどういう関係があるのか」ということをこのペーパーで御説明したいと思います。
お手元にある縦のものと横のもの、縦は皆さん御存じだと思いますが、横は何を示しているかわかりますか。縦があり、そして、横があって、このペーパーは完成するのですが、いかがですか。
まず、これを実際絵で見てください。基本的に、この2つ、そして、次、この枠の中にどれだけ入るかという、ちょっと頭の中を回転させてください。先ほど言いました縦のというのは、どれのことを言わんとしているのか。縦はいかがですか。
また、横2つというのは何を指しているとお思いますか。すいません、一番前へ座っちゃったものですから、質問させていただきたいと思いますがいかがですか。
縦3段、横2段となりますと、どこにどんなものが入ってくるか。それをまとめて、毎日の生活を変えていこうということがわかれば幸いです。縦は「学び」を考える。それと、つながりが健康というものです。それから、健康の次が、経済的問題も無視はできないです。最後は心の問題、この3つと横に行く2つを何と答えていただけるか、心の中で決まりましたか。
質と量です。この2つと3つを絡めれば、大体我々の体の問題というのは解決するのではないか。病気にならないように、この5つを常に頭の中で描きながら、毎日を、この5つを理解していただければ、とてもいいものにつながると思います。
それでは、最後に少し例を挙げて終わりにしたいと思います。
質と健康、生活習慣病にならない、そして、経済は、質を考えると、得する知識を持つということです。心。これは自立心をいかに持つかということ。右の体力をつける。そして、経済、定年後の生活費、そして、最後、友人をたくさん持つ。これは1つの例であります。しかし、この6項目だけでも毎日頭の中で回転させるということは、非常にいいことかなと思います。これを機に、是非健康、経済、心と、量と質の問題を考えていただきたいと思います。
それでは、一緒にやっております藤井にバトンタッチいたします。

【藤井氏】 ありがとうございました。
私はシニアルネサンス財団の認定資格で、シニアライフアドバイザーというのがありますが、その資格を持っておりまして、その資格を持って活動している1つの事例を今から皆さんにお聞きいただきたいと思っております。
お手元に、A4の1ページのレジュメがあります。それから、もう一つ、黄色い冊子で、「講師リスト」というのがございます。この2つを机の上に出していただければと思います。
そこにありますように、「シニア大楽」というのは、私たちのNPO法人の活動です。シニア講師です。NPO法人シニア大楽というのを立ち上げまして、今から10年前の平成15年です。「シニア大楽」というのは、大きく楽しいと書いてあります。当初、この名前をつけるときに、いろいろと検討したのですが、大学の「学ぶ」という字を当てようかということで考えてみましたが、「学ぶ」を当てると、文部科学省から叱られるのではないかという意見もありまして、では、「楽しい」という当て字にしようと、音楽の「楽」ではないかということで、無理やり「シニア大楽」と呼んでいるのですが、この変な読み方が結構世間に引っかかるというか、フックになっています。おもしろそうな名前ではないかということで、どんなことをやっているかと言いますと、シニアの社会参加、元気なシニアをもっとバックアップしようということで、生涯学習とか、健康維持とか、そのあたりのところを主に啓蒙していこうというNPOです。
定款の中から抜き出してまいりましたが、私たち、この6行のことが主な事業ですが、赤字で書いてあるところ、上から3行目のところですが、シニアを対象にした生涯学習教育事業、それから、6行目のシニアを対象とした研修・講演等への講師派遣。高知派遣を事業とする、これが今から申し上げる私たちの一番ユニークな事業の一つです。いろんなシニア向けの事業をやっておりますが、今日は、これを中心に御説明させていただきたいと思います。
私たちの「講師紹介センター」の内容です。お手元の黄色い冊子「講師リスト」があります。実は、この講師リスト、私たちが500人のシニアの講師をリストアップして、活動しております。どのような活動かと言いますと、ここにリストアップされておりますのは、60歳以上の講師です。リストアップされておりますのは、企業戦士として40年間ずっと働いてきて、専門知識として、その道一筋、すばらしい経験と知識を持っている講師が、その中にたくさんいらっしゃいます。それをまとめ上げました。私は今72歳ですが、私たちが社会に出たころは終身雇用でしたから、同じ会社で、同じ業界でずっと40年間過ごしてきました。そうすると、40年間の実業界の中の大ベテランになっているわけですね。
この中には、あらゆるジャンルの講師がそろっております。実は、これ、私たちが立ち上げたときに、大新聞、朝日新聞、読売新聞、日経新聞などが、こういうユニークなNPO法人があると紹介していただきました。マスコミに出たおかげで、あらゆる方面から講師が応募してきて、あらゆる分野の講師がいます。
例えば、「シニアの海外旅行」というテーマでお話をする場合も、国際線パイロット、40年間パイロットの経験がある方、その方が二、三人いらっしゃるのですが、そういう方は、我々、コックピットに入ったことはない。しかし、その異次元の世界、まだ知らない世界の話をしていく。あるいは、各国いろんなところを知っていますから、各地の面白いところを紹介していただける。あるいは、客室乗務員、当時、スチュワーデスと言っていましたが、そういう人も入っている。現在、72歳のプロペラ時代のスチュワーデスがいます。当時は大エリートのスチュワーデスだったらしいのです。そういう人だとか、同じ海外旅行の話をするにしても、旅行代理店に40年間勤めたという大ベテラン、もう世界の穴場を知っている。それから、商社の駐在員ですと、そのエリアについては、誰よりも詳しいという方。それから、英会話の先生は、片言英語で旅行ができますよと。外来語だけでも、私たちの今日本語になっている外来語だけでも十分旅行ができますよとか、いろんな方面から海外旅行の講演ができる。
あるいは、健康の話の場合でも、開業医の内科の先生もいます。あるいは、看護師、薬剤師、老人介護の介護士、それ以外に、はり・きゅう、整体師の方、ヨガの先生、あらゆるジャンルから話ができるという、そういう幅広い分野の講師がそろっております。
依頼主というのは誰かと言いますと、自治体の生涯学習の担当の方、こういう方は、市民講座を開くときに、いつも講師を探しています。そういう方からオーダーを頂いて、講師を紹介しています。大体首都圏中心ですが、全国からもオーダーが来ております。全国にも対応しており、立ち上げてから、既に1,900件のオーダーを頂いている、という状況です。
講師のジャンル、お手元の黄色いものをめくっていただきますと、2・3ページ目に出ていますが、ざっとこういう内訳です。
どういう仕組みかというと、御依頼主からシニア大楽にオーダーが来ます。2ページから3ページ目に申込書がありますが、それに書いていただいて、私たちにオーダーが来ます。それを講師に送付し、講師からOKという返事を頂きますと、あとは依頼主と講師で、詳しいやりとりをしていただいて、成立しましたら、講師料を直接講師に払っていただくという仕組みです。この図は、黄色い冊子の裏側にございますが、こういう形で、紹介業務をやっております。
この500人の講師、もともと企業の中で講師をしていた方もいますが、半分ぐらいは、これから講師をやりたいという方もいます。そういう講師には、御紹介する前に徹底的に講師や講演の勉強をしてもらいます。私たちの講師の中には、話し方の専門家がいっぱいいます。元NHKのアナウンサー、話し方教室の先生、落語家など、話し方のベテランがいます。そういう方が、講師のスキルアップ研修、ちょうど今月はこの時間、飯田橋で今やっている最中ですが、たくさん来ています。これは、30人しかいないのですが、写真の撮り方では、こんなに多く見えます。大体30人、毎月徹底的に講師のスキルアップ研修をやっている、そういうことです。
それから、こういう講師があちこちで講演の依頼を受けるのですが、毎月、一般市民の前で、私たちの講師が、公開講座と称して、こういう形で講演をやっています。毎回、これも80名いっぱいになります。それで、私たちの中には、プロの落語家も入っています。あるいは、社会人落語家、それも登録していますが、講演と落語、そのセットで、楽しい公開講座ということを演出しております。
また、中にはエンターテインメントの講師がおりまして、これを出前営業やっておりますが、エンターテインメントですから、少ししゃれていまして、「演多亭」というシニア演芸団をつくりました。いい名前ですね、「演多亭」。これは文京シビックホールで自主公演を行ったときのものですが、300人、超満員です。
それから、もう一つは、生涯学習の御担当の方、先ほど言いましたように、常に講師を探しています。そういう方のために、「成功する市民講座・企画立案と講師の選び方」という、こういう催しを今から2年前から始めまして、第1回目は、まず皆さんにも呼びかけたのですが、80名しか入らないところを、何と160名の応募がございまして、すごい反響でした。いかに皆さんがこういう講師を探しているのかということを私たちは実感しまして、年に2回、これを続けております。
そうしたことで、まとめになりますが、まず、高齢者の方は、先ほど申しましたように、40年間その道専門で、大変な経験と知識をお持ちになっています。これは社会の財産でもあります。この財産を生涯学習に活用しようということで、生涯学習の送り手になっていただく。それから、いざ講演をやろうと思ったら、これまでの知識だとか経験を再整理し、人前で話ができるように再整理をする必要があります。人前で話をするコンディションを整えるために、健康でなければいけないということもありました。さらに、何よりも一番のポイントは、市民目線で話ができる。自分の経験と知識、これを市民目線で、市民講座で話ができるということで、市民同士の交流がここから始まっております。
ということで、NPO法人シニア大楽の活動の実例をお話しさせていただきました藤井敬三でございました。ありがとうございました。

【司会】 シニアルネサンス財団の皆様、ありがとうございました。
次に御発表いただくのは、埼玉県狭山市学校支援ボランティアセンターの諸井寿夫センター長です。
簡単ですけれども、諸井センター長の経歴を御紹介させていただきます。
諸井センター長は、大学卒業後、銀行や自動車製造会社に勤務されて、平成15年に定年退職されました。その後、狭山シニア・コミュニティ・カレッジにおいて、長い間の会社人間から地域社会へ意識変革をしていくきっかけを得まして、ここで学んだ知識や今までの経験をもとに、行政と協働で地域社会活性化事業に取り組んでおられます。本日は、「狭山市の学校支援ボランティアセンターの取組」と題して、学校支援ボランティアの様々な取組について御紹介いただきます。
それでは、諸井センター長、よろしくお願いいたします。

【諸井氏】  皆さん、こんにちは。ただいま紹介いただきました諸井でございます。今日は大変貴重なお時間を頂きまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の事例発表の要旨を簡単にお話しします。狭山市には、住民と協働で進めておりますシニアの学びの場がございます。そこで学んだ知識や今までの経験を地域社会に還元するという、こんな理念から、多くのシニアが子どもたちから元気をもらって活動している学校支援ボランティアを主に御紹介を申し上げたいと思っています。
狭山市は、皆さん御存じかなと思いますけれども、これ、ブランクが出ましたね。これは、私は写真をちゃんと撮って、持ってきたのですが、最近のパソコン技術はどんどん進歩している。マイクロソフトのビジネスに乗っかって、個人はどんどん変えていますね。ところが、企業とか官公庁、やはり慎重ですね。そんなことで、大変申し訳ないのですが、皆さんのお手元の資料には若干残っているかなと思いますけれども、これは、狭山市の駅をおりますと、狭山市の駅がこんな格好で、やっと今年の夏に完成したといった写真です。遠くには秩父連峰まで見えるとか、あるいは、埼玉県でトップの製品出荷額を誇る工業都市でもあり、その周辺には、多くのグローバル企業があります。特に、赤い文字が出ていると思いますが、私は定年までここの企業におりまして、海外をあちこち飛び回っておりました。北米のカナダ・トロントあたりには6年ほど駐在していたり、そんなことをしておりまして、今現在、狭山に落ちついています。落ちついた雰囲気を御覧いただこうと思ったのですが、また写真が出てこなかったですね、これ。残念です。また別な機会にと思っています。
ということで、狭山市は、高齢者の生きがいづくりという観点から生まれた狭山シニア・コミュニティ・カレッジ(SSCC)という学びの場があります。この大きな特徴というのを、先ほどからお話しをしているように、地域貢献がポイント、つまり、勉強したことを生かして地域貢献するという、これはもう既に平成12年からですが、設立当初の12年前からこの目的が非常に明確だったということですね。
このところをもう少し、SSCC、つまり、シニア・コミュニティ・カレッジと地域活動という観点を少し図で御説明を申し上げたいのですが、NPO法人狭山市の高齢社会を考える会というのがあります。ここにこの理事長が応援に来てくれていますけれども、この会がSSCC、つまり、狭山シニア・コミュニティ・カレッジを運営しています。既に13年目になるのですが、延べ、4,000人以上の修了生が出ています。この修了生は、SSCC同窓会というものを結成しています。おかげで、この同窓会の会長も応援に来てくれています。目の前にいます。
これ、文字が逆になっていますね。やはりソフトのバージョンレベルの違いですね。同窓会の中には、2つの部会がございます。クラブ活動部会、14のクラブがあります。これはコーラスとか、マジックとか、いろんな施設に訪問をしています。もう一つは、活動支援部会というのがあります。これは、パソコンとか、福祉とか、いろんな活動をしていますけれども、これから私がお話を申し上げるのは、学校支援、この部分をお話し申し上げたいと思います。これは、SSCCにしても、SSVCにしても、狭山市の教育委員会からいろいろとアドバイスを頂いて、委託を受けているところです。
さて、このSSCCをもう少しだけお話をしておきますと、もう13年目になります。今年の受講生は305名という入学でございました。開講学科は、8学科、例えば、生きがい学科とか、パソコン、ジャーナルとか、右側に英会話とありますけれども、私はその英会話のほうの全体を見ているんですが、2クラスありまして、こんな格好で、ネイティブを招いてやっていますね。
このSSCCは運営委員会を月度で開催しており、いろんな企画の決定機関でもあります。それから、約60名のボランティアがおりまして、各学科の運営に携わったり、あるいは、いろんな学校行事をやっています。ここに写真があるのは、これは入学式。来週あるのですが、運動会、体育祭とか、成果を発表する文化祭といったもの。
それから、修了式ですが、これはたまたま私のところにいたクラスの生徒ですけれども、修了証書を受け取るところです。そして、何日か後には、これは英語の支援授業ですが、中学校で始まりました。こんなストーリーをもう少し詳細にお話をしたいなと思っています。
学校支援が始まった経緯、これは、SSCC同窓会というところに入会するのですが、この同窓会が結成されたのは、平成15年10月からですが、ちょうど今から9年前になります。この同窓会のボランティアの有志が、学校支援をやろうじゃないかというようなことで、校長会とか、学校を訪問し、あるいは、いろんなアンケートを出したり、趣旨をここで説明をしたんですが、どうも学校側は非常に閉鎖的で、クローズな対応で、なかなか入れてくれないというような状況だったんですね。これは9年前です。
そのうちに、翌年の4月、学力向上フロンティアスクールという事業、これは文科省の施策です。この中にも御存じの方がいらっしゃると思います。もっと具体的には、少し荒れたというか、少し学力低下の学校でした。格好よく言いますと、習熟度別の程度に応じた生徒指導ということになるのですが、ここの指定校になった学校がありました。そこが、地域の人を入れてやりたいということから始まりました。これが学校支援の第一歩です。そのうちに、ほかの学校からも是非お願いしたいということで、徐々に拡大していきました。そうすると、いろんな要員の確保だとか、いろんな調整、事務処理、これが必要になり、やはりそれをするためには拠点が必要です。拠点の確保ということがまずありました。
そうしているうちに、平成19年4月、ちょうど6年前になりますが、この市民のボランティアの先駆性が行政から非常に高い評価を頂きまして、狭山市学校支援ボランティアセンターということで、業務委託契約をして、スタートしました。ということで、この辺をもう少しお話を申し上げたいなと思います。
このスクールサポートボランティアセンター、SSVCと呼んでおります。これは当初から変わっていませんが、事業経費として、行政から予算70万ほど頂いています。こんな格好で、細かいことは申し上げませんけれども、中学校の1教室を専用でお借りしまして、徐々に事務環境を整えています。
その辺の写真がこれです。こんな格好で、教室の1教室です。ここには、週3回でございますが、午後から事務員もここにいて、電話を受けたり、メールを受けたり、ファックスを受けたりといったようなことをしていただいております。
もう少し全体的な概念図をお話ししますと、今、狭山市は、小学校が15校、中学校が10校あります。これは今年の4月現在の状況で、この学校から、支援の要請を受けます。各学校にコーディネーターを1人、2人配置しています。と同時に、このSSVCのセンターにも支援要請が入ってきます。この要請に基づいて、ここにあるように、人材データバンクの維持管理をしており、現在400名ほどを登録しています。この人材バンクと学校からの要請に対してマッチングをかけて、支援者を学校に送り出している。詳細はここでは、申し上げませんが、このSSVCの機能というのは、センターには、多くの機能をいろいろとやっております。お手元の資料を御覧いただければなと思います。
この400名の支援者とか、関係者はたくさんおりますので、やはり情報の共有化とか、情報発信という事が非常に重要だと思っています。先ほどのSSCC運営会議だとか、いろんな会議があるのですが、それの議論、決裁事項は、サーバーを借りていますが、ここに全部入れ込むようにしています。ですから、たまたまその会議に欠席でも、サーバーを覗けば、経過が見られるようになっている。当然、IDとパスワードでプロテクトをしています。
同時に、先ほど申し上げた人材データベース、現在約400名ですけれども、これが縦に順に支援者が載っかっています。横に、この方は何ができるというようなことが入っていますね。例えば、ここにある宮川さんという人は、数学の小学校、中学校が支援できますよとか、理科もできますよ、この方は、英語の中学校の支援が可能ですよとか、こんな400人の登録がされています。ここには出していませんが、いろんな情報が入っています。
情報共有化という意味では、非常に重要だということで、これはたまたま載らなかったのですが、会報誌「共に学ぶ」というものだとか、冊子、あるいは、短信といいまして、昨日出ましたけれども、月初に関係者に出している情報、こんなものを発信しています。
SSVCの運営委員会というのが、月に一度、定例的に開催をしています。これは各学校からの要請、あるいは、研修会だとか等々、決定の機関であります。
それから、コーディネーター会議というのを持っています。各学校に、25箇所の学校、1人あるいは2人配置をしています。このコーディネーター会議を年に2回、1学期、あるいは3学期末開催している。各学校現場の状況だとか、そういったことがここで課題として取り上げられる。それから、もう一つ、4つのブロックに分けていまして、もっときめの細かな実践的な各学校の状況について、議論しているのがこのブロック会議です。
これも残念ながら出ていないですね。23年度の活動実績です。約9,000時間ございました。小学校と中学校が約半々で、小学校だと、算数、理科が非常に多いです。約6割いっています。それから、中学だと、英語と数学であり、これがやはり6割ぐらいいきますね。
さて、教育現場に入るためには、こういった腕章を着けて、氏名札も持って参ります。これは学校にとっては、SSVCのメンバーであるなということの証明と、それから、支援者にとって、気持ちを引き締めるという、そんな効果もあるかなと思っています。
支援者だけではなくて、学校の受入れ体制というのも非常に重要です。私は重要と思う点をここに3つ掲げましたが、計画的な支援計画です。できれば4月につくってもらうと、年間の計画が立つのですが、その要請に対する計画的なものが欲しいなと思います。それから、2つ目が、今、先生方は大変お忙しいです。でも、先生との意思疎通というのは非常に重要ですね。これをいかにとっていただけるかということです。それから、3つ目が、支援者が学校に行って、私は、これで役に立っているだろうかなということを非常に疑問に感じているようです。やはり学校側としては、支援者の存在というものを非常に明確にしていただきたいということです。このように、学校の受入れ体制として、3つの大きなポイントだなと思います。
例えば、これはある中学校の、歓迎という言葉が入っていますね。あるいは、校長室の横に、こういう大きなボランティアの顔写真が出ている。でも、この顔写真はちょっと大きすぎる。ある女性から、ちょっと小さくしてくれと。最近、この学校では、もうちょっと小さくなっていますね。というようなことで、学校側はこういうふうに歓迎をしていただいている、非常にうれしいことですね。
こんなことをしているということは、これは、ただ英語のマン・ツー・マンレベルの支援をしている。これはちょっと前の私の写真ですけれども、こういう机の間を巡回して、英語の支援をしたり、あるいは、先ほども読み聞かせという話がありました。小学校、これは大変人気があります。支援者も、一旦やると、これは乗っかっちゃって、私も読み聞かせをやりましょうと言って、続いています。それから、ミシン掛けとか、これも残念、写真が出ませんでした。古民具なんて、これも先週あったのですが、足踏み脱穀の体験だとか、あるいは、洗濯をしている、昔は、こういうことで洗濯した、洗濯機はなかったんですよということで、体育館に子供を集めて、体験実習をしております。
ということで、支援者は、支援を終えて、こうして給食を頂いている時間、遠くのほうに校長先生もいますが、緊張した時間を終えて、ほっとしてというような、こんなことも、支援者にとっては、学校にやっていただいているのは有り難いなと思っています。
それから、もう一つ、年度末に、ある学校ですが、何箇所かの学校ですけれども、感謝の集いということをやっています。「SSVCの皆さん、ありがとうございました」ということで、生徒一人一人からバラの花を頂いたり、お礼の言葉を頂いたり、あるいは、ありがとうございましたと、こんな冊子をもらいます。こういうときに、生徒から感謝されて、あるいは、学校からの評価を頂いて、感動の瞬間です。これは、年度末の3月ですが、また新学期の4月からやろうかなということになります。
ということで、時間が参りましたけれども、こういう支援活動をどういう評価をしているのかということに少し御説明させていただきます。
まず1つは、これは年に一度ですけれども、「諮問会議」というものを開催しています。委員構成は約7名で、大学教授、あるいは小中学校の校長先生、PTAの方、お集まりいただきまして、我々のやっていることを報告申し上げます。結果、いろんな貴重な御意見を頂くというのが、1つの評価です。
そして、2つ目の評価ですが、これは昨年の暮れでしたけれども、狭山市の先生方、これは支援をしている先生方です。ここに数字があるように、570名に個人宛にアンケート調査を出しました。420名、要するに、74%の回収率でした。ポイントを申し上げると、学校を支援している効果はどうですか、と約90%の先生が、「効果が出ているよ」と言ってくれています。その理由を申し上げますと、「多くの目」の効果というのが大変多かったです。66%あります。それ以外に、「準備や片付け」とか、「専門知識を持っている」とか、「地域との触れ合いができる」とか、いろんな効果があると言っていただいております。
でも、この66%の「多くの眼」というのが、私は思っているのですが、昨今大変な課題になっている、いじめ、これにも大きな効果になっているだろうと思っています。特に先生がいない時間があります。私もいろいろ経験がありますが、授業の始まる休み時間に、教室に入っていると、いろいろとそんなことも若干ありますね。そこに「おい、何してるんだ」というと、止まりますね。こんなことで、いじめ予防の1つの役目を果たしているのかなと思っていますね。
それ以外に、「SSVCの活動というのは、学校教育に不可欠である」というような言葉も頂いていまして、大変うれしいです。具体的には、お手元の資料を御覧いただければと思います。
もう一つ、これは、昨年の2月4日、朝日新聞の「のびのび教育賞」を受賞しました。これは、我々もまだまだ、この盾だけではなくて、賞金も50万円ほど頂いたものですから、大事に使わせていただいています。
ということで、3点の評価ポイントについて、申し上げました。
さて、最後になります。今日のまとめですが、学校支援ボランティア活動を通じて、私が感じていること、5点ほど申します。1つ目は、リタイヤ後の人生です。生涯学習の成果とか、人生で培った経験、知識、趣味、これを子供たちに生かす場であるなと思っています。
2つ目が、新しいシニアライフということで、シニアの地域デビュー、これも、私自身も同じでした。SSCCに入って、地域デビューのきっかけだったなと思います。ということで、生きがいづくりや、仲間づくりのためにも、私は、学校支援というのは最高の舞台だなと思っています。
それから、3つ目が、学校と地域が一体となって、地域の教育力の向上、あるいは地域の活性化、これはシニアの力が大変役立っていると思います。
それから、4つ目、これは市民の協働ということもいろいろと出ていますが、この大きな担い手として、シニアがかかわることで、先ほど介護予防と財政の話も出てきましたけれども、この介護予防という部分にも役立っているんだろうなと思っています。
最後に、この活動をもっと拡充したい、あるいは、ネットワークをつくっていくためには、やはり参加者にもっと呼びかけなければいけない。やはりどんどん新しい人も入れていかなければいけない。このためには、最近のICT、情報ネットワークを駆使して、情報発信をどんどんしていかなければいけないなと思っています。
ということで、時間が参りました。御清聴ありがとうございました。

【司会】  諸井センター長、ありがとうございました。
それでは、ただいまから休憩に入ります。午後3時から、これまでの講演など、様々ございましたけれども、それらの内容も踏まえまして、熟議「高齢者いきいき・地域いきいき」の実現のための課題と解決策をテーマに開催いたします。
熟議の会場は、パーティションの後ろで、こちらの後方側にセットしてございます。休憩中にパーティションを撤去しておきますので、参加者の方は、配布した資料の名簿を御覧いただいて、各班ごとに着席してください。また、熟議に参加されない方も、自由に熟議の様子、机の周り等で御覧いただけます。また、机の周りにある椅子も自由に使用していただいて結構でございます。
それでは、午後3時から再開でございますので、よろしくお願いいたします。

( 休憩 )

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課環境・高齢者担当

(生涯学習政策局社会教育課環境・高齢者担当)

-- 登録:平成25年01月 --