法律又は政令の名称 |
学校教育法施行令の一部を改正する政令 |
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規制の名称 |
障害のある児童生徒等の就学手続の改正 |
規制の区分 |
緩和 |
担当部局 |
文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 |
評価実施時期 |
平成30年7月 |
事前評価時は、障害のある子供の就学先について、一人一人の教育的ニーズに応じた教育環境を適切に提供し、障害の有無にかかわらず可能な限りともに教育を受けられるよう配慮することが必要であったが、事前評価後もこのような社会経済情勢等に変化は見受けられない。
事前評価後、本件に関する社会経済情勢等の変化は見受けられないため、ベースラインは事前評価時と変わらず、障害のある子供の就学先が障害の程度等のみによって判断されることが課題となる。
【就学先の決定】
事前評価時と同じく、障害のある児童生徒等の就学先について、障害の程度等のみによって就学先を決定することは、障害のある児童生徒等の教育的ニーズを十分に踏まえた対応を困難にすることが考えられる。このため、障害のある児童生徒等の教育的ニーズに応じた教育環境を適切に提供し、可能な限り共に教育を受けられるよう配慮する観点から、本人・保護者の意見や学校の状況等を踏まえた総合的な就学先の判断・決定に関する規定を設ける必要性は現在も認められる。
【就学先決定後の柔軟な就学先の見直し】
事前評価時と同じく、障害のある児童生徒等は、就学後も障害の状態が変化する場合があるのみならず、学校への適応の状況や発育の状況によって、必要となる支援の内容等が変化する場合があるため、障害のある児童生徒等に適時適切な教育環境をきめ細かく提供する観点から、就学先決定後の柔軟な転学に関する規定を設ける必要性は現在も認められる。
【就学先の決定】
<事前評価時の測定指標>
本改正案は、障害のある児童生徒等の就学手続に関する所要の改正を行うものであり、国民一般に対して新たな経費を求めるものではないことから、新たな遵守費用は生じない。
<遵守費用>
当該規制による遵守費用は発生していない。
<費用推計との比較>
費用推計とのかい離は生じていない。
【就学先決定後の柔軟な就学先の見直し】
<事前評価時の測定指標>
本改正案は、障害のある児童生徒等の就学手続に関する所要の改正を行うものであり、国民一般に対して新たな経費を求めるものではないことから、新たな遵守費用は生じない。
<遵守費用>
当該規制による遵守費用は発生していない。
<費用推計との比較>
費用推計とのかい離は生じていない。
【就学先の決定】
<事前評価時の測定指標>
就学手続に関する情報提供や、就学相談等に関する取組が行われることで、これに伴う諸経費及び事務負担が増加する可能性がある。(ただし、既に多くの自治体で就学に関する情報提供や就学相談に関する取組が行われており、新たな経費や事務負担が生じる行政機関は限られる。)
<行政費用>
事前評価時に想定されていた教育支援委員会等の開催経費及び事務負担の増加はわずかであると考えられ大きな変化は見られなかった。また、特別支援教育支援員数は増加しているが、これは発達障害等の軽度の障害のある子供を含め全体として特別な支援を必要とする子供が増加していることなどが影響していると考えられる。
(参考1)就学先予定者向け教育支援委員会等の開催回数
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0回 |
1回 |
2回 |
3回 |
4回 |
5~9回 |
10回以上 |
平成24年 |
2.6% |
31.9% |
25.3% |
14.2% |
6.0% |
15.4% |
4.5% |
平成29年 |
2.7% |
28.2% |
25.2% |
16.2% |
9.2% |
13.1% |
5.4% |
(参考2)特別支援教育支援員の活用人数(小学校、中学校の合計)
平成24年:44,621 人 → 平成29年:59,714 人
<費用推計との比較>
当該規制の導入後には、事前評価時に想定された経費及び事務負担の増加はわずかであると考えられ大きな変化は見られなかった。
当該規制に伴い生じた経費及び事務負担は自治体の状況によって様々であり、特別支援教育の充実という政策全体の推進のために生じた費用も含まれることから、当該規制により生じた費用を定量的に把握することは困難である。
【就学先決定後の柔軟な就学先の見直し】
<事前評価時の測定指標>
就学後の状況の把握等に関する取組が行われることで、これに伴う諸経費及び事務負担が増加する可能性がある。(ただし、既に多くの自治体で就学に関する情報提供や就学相談に関する取組が行われており、新たな経費や事務負担が生じる行政機関は限られる。)
<行政費用>
当該規制の導入前と比較して、各自治体において諸経費及び事務負担が増加した場合があると考えられる。
<費用推計との比較>
当該規制の導入後には、事前評価時の想定どおり諸経費及び事務負担が増加した場合があると考えられる。
なお、当該規制に伴い新たに生じた諸経費及び事務負担は、自治体の状況によって様々であり、定量的に把握することは困難である。
当該規制による障害のある子供の就学先の変化はわずかであったが、教育支援委員会で保護者の意見等をきめ細かく聴取して就学先が決定される仕組みが構築され、教育支援委員会の議論が就学先の学校に報告されるようになったことにより、障害の状態等に応じたよりきめ細かな支援を行うことが可能となったと考えられる。
(参考1)特別支援学校に就学する程度の障害のある子供の就学先の状況
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公立特別支援学校への就学を指定 |
公立小学校への就学を指定 |
平成25年度 |
6,190 人(73.2%) |
2,230 人(26.4%) |
平成26年度 |
6,341 人(73.3%) |
2,274 人(26.3%) |
平成27年度 |
6,646 人(65.8%) |
3,420 人(33.8%) |
平成28年度 |
6,704 人(68.2%) |
3,079 人(31.3%) |
平成29年度 |
7,192 人(70.0%) |
3,055 人(29.7%) |
(参考2)指定都市の担当者に対する聞き取り結果(対象:全指定都市(20市) 平成30年8月 現在)
・就学先決定手続きにおける制度改正の効果として、「保護者との合意形成を含め、よりきめ細かく対応できるようになった。」(15市)との回答が多かった。そのほか、「制度改正前から丁寧に対応していたため特段の変化はない」(2市)、「県と市の認識の齟齬がなくなった」
(1市)、「関係部局が連携して対応するようになった」(1市)等の回答があった。
・また、教育支援委員会等における議論について「(保護者の意向も踏まえつつ、)就学先の学校に伝えている」(18市)との回答が多かった。
なお、当該規制による障害のある子供の就学先の決定は一人一人の教育的ニーズ等を踏まえて行われるものであり、その効果を定量的に把握することは困難である。
上記のとおり当該規制の効果については定量的に判断することは困難であり、そのため金銭価値化して便益を把握することはできない。
当該規制による副次的な影響及び波及的な影響は特段見受けられなかった。
当該規制に伴い行政費用が発生した場合があると考えられるものの、障害の有無にかかわらず可能な限り共に教育を受けられる環境が整備されるとともに、障害のある児童生徒等に対してその障害等に応じたよりきめ細かな支援を行うことが可能となるなどの効果(便益)が得られたと考えられ、今後も同様の効果(便益)が得られると考えられることから、当該規制を継続することが妥当である。
初等中等教育局特別支援教育課