政策目標1 生涯学習社会の実現

概要

国民一人一人が、生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会を実現する。

主管課(課長名)

生涯学習政策局政策課(藤野 公之)

評価

 生涯学習社会の実現に向けた、教育改革に関する基本的な施策の推進、生涯を通じた学習機会の拡大の取組について、おおむね目標が達成された。

平成24年度実施政策の取組状況

○教育改革に関する基本的な政策の推進等 (施策目標1-1)
 モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

○生涯を通じた学習機会の拡大 (施策目標1-2)
 モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

○地域の教育力の向上 (施策目標1-3)

 平成18年に改正された教育基本法第12条及び第13条に規定されているとおり、国は、社会教育の振興に努めるとともに、学校・家庭・地域の連携協力を推進し、地域の教育力の向上を図り、地域において様々な課題解決に取り組むことの出来る人材を育成する必要がある。
 まず、多くの地域が自主的に課題を解決する力を強化することを目指し、地域の様々な主体が連携・協働して学び、活動することによって地域に存在する課題を解決するための具体的な仕組みや手法を開発し、全国に普及を進めている。また、社会教育に関わる地方自治体の職員等の活動の質を高めるため、それら専門職員の能力の向上を目指している。平成22年度から都道府県等における社会教育の専門的職員を対象にした研修の事業受講者に対して、研修内容が今後の仕事に役立つかアンケートを実施した結果、ほぼ全ての受講者から「役立つ」と回答を得ている。平成24年度の実施内容に係る評価を踏まえ、研修内容の更なる充実を図る。
 さらに、地域住民等の参画による地域の実情に応じた取組を有機的に組み合わせて、学校支援や放課後等支援等の様々な教育支援活動を行っている。学校支援地域本部および放課後子供教室の実施市町村数、実施箇所数ともに目標値を達成している。また、学校支援・放課後の活動等に参画した地域住民等の数についても、増加傾向にあり、子供たちの教育環境の改善と、地域住民の生涯学習の成果の活用の場の充実、ひいては地域の教育力の向上に効果を上げている。今後も、「第2期教育振興基本計画」(平成25年6月14日閣議決定)に明記されているように、全ての学校区において、学校と地域が組織的に連携・協働する体制の構築を目指すためにも、引き続き本事業の成果検証を行いつつ、適正な予算設計・確保を図り、更なる施策の推進等に努める必要がある。

○家庭の教育力の向上 (施策目標1-4)
 都市化、核家族化等による地域とのつながりの希薄化や、親が身近な人から子育てを学ぶ機会の減少などにより、家庭教育が困難な社会と指摘されている。このため、地域や学校との連携をはじめとする豊かなつながりの中で家庭教育が行われるよう、子育てサポーターリーダーなど家庭教育を支援する人材の養成や、地域人材を活用した「家庭教育支援チーム」による相談対応や学習機会の提供などの取組を補助事業により支援した。また、平成23年度文部科学省が開催した家庭教育支援の推進に関する検討委員会が取りまとめた報告書の提言を踏まえ、今後の家庭教育支援の充実に向けて、実践のための課題や取組について協議する機会として研究協議会を開催した。さらに、各自治体で実施されている家庭教育支援の取組の実態調査や家庭教育支援チームの組織体制や活動状況について調査を行った。これらの取組により、家庭教育支援チーム数等は着実に増加している。

 子供の生活習慣づくりのため、企業と働く保護者向けの啓発資料を作成し、関係機関へ配布した。また、取組の一層の推進を図ることを目的に、優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進に係る文部科学大臣表彰を創設し、全国50の活動に対して表彰を行った。

 今後は、各地域における家庭教育支援の実施状況に地域差があることから、各地域の実態の分析も行い、家庭教育支援員の配置や家庭教育支援チームの組織化の推進等による家庭教育支援体制の強化や家庭教育支援の取組の促進が図られるようその方策を検討し、それらを普及していくことが必要である。
 また、中高生への生活習慣づくりの普及啓発の推進や、地域で取り組まれている好事例の情報共有等、引き続き子供の生活習慣づくりを推進していくことが必要である。

○ICTを活用した教育・学習の振興 (施策目標1-5)
 子供たちの学習に対する興味・関心を高め、分かりやすい授業や子供たちの主体的な学びを実現するためには、動画や音声等の機能を有するICTを活用し、子供一人一人の能力や特性に応じた個別学習や、子供たちが教え合い学び合う協働学習を効果的に実施する必要がある。
 子供たちの情報活用能力の育成については、「情報教育の推進等に関する調査研究」において、子供たちの情報活用能力の把握に向けて、調査の実施方法の検討、調査問題の作成、予備調査の実施に取り組んだ。平成27年度以降は、調査結果に基づき、子供たちの情報活用能力の向上を目指す。また、ICTを活用した学校教育の充実については、「学びのイノベーション事業」において、モデルコンテンツやICTを活用した指導方法の開発を進めるとともに、ICT活用の教育上の効果・影響について検証を実施しており、平成25年度は、ICT活用の効果について学力調査等を用いて成果を把握することとしている。さらに、教員のICT活用指導力及び学校におけるICT環境は着実に向上・充実しており、教育におけるICT活用のための環境の整備が進んでいる。
 「教育用コンテンツ奨励事業」においては、平成24年度も、目標としていた数値を達成することができ、教育用コンテンツを普及するための取組は効果的に実施された。
 このように、成果の把握に向けて実施中の取組があるものの、ICTを活用した教育・学習の振興のための様々な取組は有効に実施された。今後は、引き続き事業を着実に推進するとともに、その成果を広く全国に周知する必要がある。

25年度以降の政策への反映方針

○地域の教育力の向上(施策目標1-3)
・地域に存在する様々な課題を、様々な主体が連携・協働して学び、活動することによって解決するための具体的な仕組みや手法を開発し、全国に普及することを進めていく。「社会教育による地域の教育力強化プロジェクト」は平成24年度に事業が終了した。平成22年度から24年度までの3か年に実施した本事業の成果については、今後とも広く周知を行っていく。なお、社会教育を活性化し、地域コミュニティの再生を通じた地域活性化を図るために、平成25年度から新規事業として「公民館等を中心とした社会教育活性化支援プログラム」を実施していく。
・中央教育審議会生涯学習分科会においてその方向性が示された「社会教育行政の再構築」に向け、その中核的役割を担う社会教育主事など、地方自治体の社会教育に関わる専門職員等の更なる資質向上を図るため、引き続き本事業による講習、講座等を着実に実施していく。
・学校と地域が組織的に連携・協働する体制の構築が着実に進捗している。しかしながら、「第2期教育振興基本計画」に明記されているように、全ての学校区において、学校と地域が連携・協働する体制構築を目指す必要がある。そのための必要な予算を要求するとともに、引き続き、先進事例等の情報提供や共有を図ることで、各地域の実情に応じた取組を推進していく。なお、「土曜授業に関する検討チーム中間まとめ(平成25年6月)」が出されたことを踏まえ、これまで以上に土曜日の教育環境を豊かなものにする必要があることから、施策を検討する必要がある。

○家庭の教育力の向上(施策目標1-4)
・家庭教育支援について、第2期教育振興基本計画における基本施策に掲げられた施策を着実に実施していくため、引き続き、補助事業を活用した地方公共団体の家庭教育支援に関する取組の支援を行うと共に、来年度新規事業により、子供の発達段階に応じた学習プログラムの開発の普及促進、父親やシニア世代、大学等の専門的知識の活用などの多様な主体の参画を促進、企業等における家庭教育支援の充実を図っていく。
・子供の基本的な生活習慣づくりについて、課題となっている中高生への対応は平成25年度に啓発資料を作成し、普及啓発を行う予定としている。引き続き、各地域で行われている子供の生活習慣づくりに関する良い取組の共有や優良な取組を評価する表彰制度の活用など、全国的な普及啓発を図り、各地域において生活習慣づくりの取組の定着が図られるよう推進していく。

○ICTを活用した教育・学習の振興(施策目標1-5)
・子供たちの情報活用能力の育成については、「情報教育の推進等に関する調査研究」において進めている情報活用能力に関する評価指標の開発を行い、実態を把握し、分析の結果も踏まえ、子供たちの情報活用能力の育成に向けた施策の展開、学習指導の改善、教育課程の検討に生かしていく。
・学校におけるICTの活用の効果については、「学びのイノベーション事業」において検証を進めているICT活用の効果や、ICTを活用した指導方法について早急に取りまとめ、広く全国に周知を図るとともに、学校におけるICT活用の全国展開を図るため、必要な予算を要求する。
・学校教育や社会教育の場において、教育上価値が高い映像作品等の利用を促すため、引き続き、教育用コンテンツ奨励事業を実施するとともに、本事業の趣旨や制度、選定作品について、教育委員会や学校などに対して幅広く周知を図る。さらに、教育上価値が高いデジタルコンテンツについても同様に審査を実施し、その質の保証、普及、利用促進を図る。
・上記に必要な予算を要求するとともに、デジタルコンテンツの質の確保のために必要な定員を要求する。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成25年12月 --