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2-3.中小企業者等の試験研究費に係る特例措置(拡充)

1.政策評価の対象とした租税特別措置等の名称

中小企業者等の試験研究費に係る特例措置
(地方税10) (法人住民税:義)

2.要望の内容

・制度概要
 法人住民税法人税割の課税標準となる法人税額は、原則として税額控除を行う前の法人税額を用いることとされているが、中小企業者の試験研究費の税額控除については、これらの税額控除後の法人税額を法人住民税の課税標準として用いることとされている。(大企業は税額控除前の法人税額が課税標準となる。)

 ・要望内容
国税にて要望している総額型控除上限の再引き上げ(法人税額の20%→30%)の地方税への適用

3.担当部局  

科学技術・学術政策局基盤政策課

4.評価実施時期

平成24年8月

5.租税特別措置等の創設年度及び改正経緯

昭和60年度 創設(税額控除率6%)
昭和63年度 2年間延長
平成2年度   3年間延長
平成5年度  2年間延長 
平成7年度  2年間延長
平成9年度  1年間延長
平成10年度 税額控除率の拡充(6%→10%)
平成11年度 1年間延長
平成12年度 1年間延長
平成13年度 1年間延長
平成14年度 1年間延長
平成15年度 税額控除率の拡充(12%の恒久化)
         税額控除率の3%上乗せ措置の拡充(12%→15%))
平成18年度 増加額に係る税額控除(増加額の5%)の拡充
         税額控除率3%上乗せ措置の廃止(15%→12%))
平成20年度 増加額に係る税額控除(増加額の5%)または売上高の
        10%超過に係る税額控除の選択制の追加
平成22年度 2年間延長(上乗せ措置)
平成24年度  2年間延長(同上)

6.適用又は延長期間

  • 総額型(中小企業技術基盤強化税制、特別共同試験研究に係る税額控除制度含む):期限なし
  • 増加型・高水準型:平成25年度末まで

7.必要性等

丸1 政策目的及びその根拠

《租税特別措置等により実現しようとする政策目的》

2020年度までに、官民合わせた研究開発投資をGDP比4%以上にする。

《政策目的の根拠》

「2020年度までに、官民合わせた研究開発投資をGDP比4%以上にする。」
(日本再生戦略:平成24年7月閣議決定)

「我が国の産業競争力の源である民間企業の研究開発力の維持・強化を図るため、研究開発税制の維持等を図る。」
「ものづくり基盤技術を支える中小企業の研究開発やその集積を支援」
(日本国内投資促進プログラム(総理指示):平成22年11月29日決定)

丸2 政策体系における政策目的の位置付け

政策目標7 科学技術・学術政策の総合的な推進
施策目標7-3 科学技術システム改革の先導

丸3 達成目標及び測定指標

《租税特別措置等により達成しようとする目標》

民間研究開発投資の対GDP比率を、主要先進諸国の中で最高水準(第1位)とする。

《租税特別措置等による達成目標に係る測定指標》

民間研究開発投資の対GDP比率の国際比較

《政策目的に対する租税特別措置等の達成目標実現による寄与》

我が国全体の研究開発投資の7割以上を占める企業の研究開発投資を押し上げることにより、国全体の研究開発投資の対GDP比率を高めることに大きく寄与することが可能。

8.有効性等

丸1 適用数等

適用数について、想定外に僅少および偏っていない旨を以下に示す。
国税における利用実績 (うち、税法上の中小企業分)
平成21年度  7,172事業年度(4,411事業年度)
平成22年度  8,508事業年度(5,313事業年度)
【出典:国税庁 会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」】

(参考)
国税(総額型)における利用実績
平成21年度  5,628事業年度(3,392事業年度)
平成22年度  6,640事業年度(4,029事業年度)
【出典:国税庁 会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」】

国税(総額型控除上限20%→30%)における利用実績
平成21年度  1,127事業年度(733事業年度)
平成22年度  1,722事業年度(1,269事業年度)
【経済産業省企業アンケート調査より推計】

国税及び本租特(地方税)を利用したことがある中小企業の割合
平成21年度  51.1%
平成22年度  50.7%
【中小企業庁アンケート調査結果より算出】

以上より、本租特における利用実績を算出すると以下のとおりとなる。

本租特における利用実績
平成21年度  2,254事業年度
平成22年度  2,693事業年度
 したがって、中小企業庁アンケート調査より算出をした結果、中小企業技術基盤強化税制を利用した企業のうち半数以上が本租特を利用していることから、適用数が想定外に僅少であるとは言い難いといえる。
 また、主な業種別の本租特利用実績は以下のとおり多岐の業種にわたっていることから、偏り無く適用されていると見なすことができる。

主な業種の本租特利用実績

 

平成20年度

平成21年度

平成22年度

金属製品工業

11.8%

9.7%

6.3%

精密機械工業

11.8%

11.1%

8.5%

化学工業

8.2%

8.3%

12.7%

輸送用機器工業

8.3%

6.9%

4.2%

食品工業

7.1%

8.3%

4.2%

電気機械工業

5.9%

5.6%

12.7%

卸売・売業

5.9%

8.3%

4.2%

ソフトウエア業

3.5%

2.8%

4.2%

 【中小企業庁アンケート調査結果より算出】

将来推計としては、アンケート調査を基に試算を行った結果、約2,000~2,500事業年度程度と推測される。

丸2 減収額

地方税における減収額
減収額実績
平成21年度 23億円
平成22年度 30億円
【国税庁会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」より算出】

減収額見込み
平成23年度見込み 23億円
平成24年度見込み 21億円
平成25年度見込み 22億円
【経済産業省・中小企業庁アンケート調査結果より推計】

(減収額実績の算出方法)
「税務統計から見た法人企業の実態」より中小企業技術基盤強化税制の利用実績及び増加型を利用した資本金1億円以下の企業の実績を足し合わせて中小企業者による国税部分の減収額を算出したものに、17.3%を乗じて地方税にかかる減収額を試算した。

(参考)国税における減収額
減収額実績 (うち、税法上の中小企業分) 
平成21年度 2,565億円(131億円)
平成22年度 3,726億円(174億円)
【出典:国税庁 会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」】

減収額見込み(うち、税法上の中小企業分)
平成23年度見込み 3,857億円(137億円)
平成24年度見込み 3,938億円(126億円)
平成25年度見込み 4,373億円(131億円)
【経済産業省・中小企業庁アンケート調査結果より推計】
※平成24年度及び25年度は、控除上限20%として推計

(参考)国税のうち、総額型における減収額
減収額実績(うち、税法上の中小企業分)
平成21年度 2,432億円(125億円)
平成22年度 3,502億円(165億円)
【出典:国税庁 会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」】

総額型のうち、控除上限20%→30%
平成21年度  342億円(9億円)
平成22年度  663億円(12億円)
【経済産業省企業アンケート調査より推計】

減収額見込み(うち、税法上の中小企業分) 
平成23年度 3,735億円(131億円)
平成24年度 3,759億円(120億円)
平成25年度 4,178億円(126億円)
【経済産業省・中小企業庁アンケート調査結果より推計】

 (参考)
総額型のうち、控除上限20%→30%における減収見込み額
平成25年度見込み  589億円(11億円)
【経済産業省企業アンケート調査」より推計】

丸3 効果・達成目標の実現状況

《政策目的の実現状況》(分析対象期間:平成17年~平成21年)

 我が国は、主要先進国の中で第2位の対GDP研究開発投資比率であるが、4%には届いていない。

 主要国の対GDP研究開発投資比率(単位:%)

 

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

日本

3.32

3.40

3.44

3.45

3.36

中国

1.32

1.39

1.40

1.47

1.70

韓国

2.79

3.01

3.21

3.36

3.56

アメリカ

2.59

2.64

2.70

2.84

2.90

イギリス

1.73

1.75

1.78

1.77

1.85

カナダ

2.04

2.00

1.96

1.86

1.92

ロシア

1.07

1.07

1.12

1.04

1.25

フランス

2.11

2.11

2.08

2.12

2.26

ドイツ

2.51

2.54

2.53

2.69

2.82

イタリア

1.09

1.13 

1.17

1.21

1.26

 出典:OECD「Main Science and Technology Indicators 2012/01

 現在、我が国の官民合わせた研究開発投資のGDP比率は3.36%(2009年)であり、当該目標は政府による研究開発投資と民間研究開発投資とを合わせて達成すべきものであるところ、本租税特別措置は、民間研究開発投資の促進に資するものである。また、民間研究開発投資の対GDP比率は2009年時点で2.54%という世界的にみても高い水準にあることからすれば、主要先進諸国との研究開発投資拡充競争の中で、本租税特別措置の効果により、民間研究開発投資の対GDP比率を世界最高水準に維持し続けることができれば、政策目標の達成に大きく寄与することが可能と考えられる(当然、政府の研究開発予算の拡充も必要であることからすれば、本租税特別措置のみで達成可能な目標とは言えない)。

《租税特別措置等による効果・達成目標の実現状況》(分析対象期間:平成17年~平成21年)

我が国は、主要先進諸国の中で韓国に次ぐ対GDP民間研究開発投資比率となっている。

主要国の対GDP民間研究開発投資比率(単位:%)

 

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

日本

2.54

2.63

2.68

2.70

2.54

中国

0.91

0.99

1.01

1.08

1.25

韓国

2.15

2.32

2.45

2.53

2.64

アメリカ

1.80

1.86

1.93

2.04

2.04

イギリス

1.06

1.08

1.11

1.10

1.12

カナダ

1.14

1.14

1.09

0.98

0.99

ロシア

0.73

0.72

0.72

0.66

0.78

フランス

1.31

1.33

1.31

1.33

1.39

ドイツ

1.74

1.78

1.77

1.86

1.91

イタリア

0.55

0.55

0.61

0.65

0.67

出典:OECD「Main Science and Technology Indicators 2012/01

《租税特別措置等が新設、拡充又は延長されなかった場合の影響》(分析対象期間:平成25年度~平成34年度)

増加型・高水準型相当分:
 中小企業庁アンケート調査結果(平成24年度)より、平成25年度の中小企業技術基盤強化税制のうち、総額型相当分の減収額を11億円と推計。その上で、上記要望に相当する内容について、減収額及び投資押上げ効果に基づき、今回の拡充要望が実現しなかった場合のGDP押し下げ効果を試算する。なお、今回の要望は恒久措置を求めるものであるが、経済波及効果を分析するに当たっては、モデルを用いて計算をする前提として、一定の期間を区切る必要があり、分析対象期間は平成25年度~平成34年度までの10年間とした。)

・平成25年度地方税における減収額 1.9億円
  ↓ (マクロモデルによる計算)
・10年間(平成25~平成34年度)累計のGDP押し下げ影響:11.1億円

上記の試算に基づき、平成25年度に増加型・高水準型の措置がなされなかった場合におけるGDPの押し下げ効果(平成25年度~平成34年度の累計)は約11.1億円

《税収減を是認するような効果の有無》(分析対象期間:平成25~34年度)

経済波及効果の試算 (※経済産業省・中小企業庁アンケート結果に基づく)

【研究開発税制今回要望:控除上限20%→30%(国税)】
・平成25年度減収額
(大企業579億円、中小企業11億円)
  ↓ 研究開発税制による研究開発投資押上げ効果
     大企業:1.49倍
     中小企業:1.41倍

・研究開発投資押上げ額
     大企業:863億円(579億円×1.49倍)
     中小企業:15.5億円(11億円×1.41倍)
  ↓ GDP押上げ効果(マクロモデルによる計算)
     大企業:3,532億円
     中小企業:64億円

・平成25年度の控除上限引上げ(20%→30%)による減税が、平成25年度~平成34年までの10年間に及ぼすGDP押上げ効果:3,596億円

※地方税部分(要望措置の適用時)
 ・平成25年度国税減収額 11億円
  ↓ 地方税に換算:0.173倍
 ・平成25年度での地方税減収額:1.9億円
  ↓ 研究開発税制による研究開発投資押上げ効果:1.41倍
 ・研究開発投資押上げ額:2.6億円(1.9億円×1.41倍)
  ↓  GDP押上げ効果(マクロモデルによる計算):11.1億円
 ・10年間(平成25~平成34年度)累計のGDP押上げ効果(地方税分):約11.1億円

9.相当性

丸1 租税特別措置等によるべき妥当性等  

・我が国においては、

 丸1 企業の実施する研究開発費は国全体の研究開発費総額に占める割合が高く(75.3%。 主要国中トップ)
 丸2 企業が実施する研究開発費をほとんど企業自身の資金で賄い(98.2%)、
 丸3 政府による企業への直接支援が少ない(1.2%、主要国中最低)。

 すなわち、我が国のイノベーションは、企業が牽引しており、かつ、企業が自らの負担で推進しているということができる。そのため、企業の創意工夫のある自主的な研究開発を促進することが、成長力・国際競争力強化の観点から極めて重要である。
 研究開発税制は、企業の法人税額負担を減少させることにより、創意工夫あふれる自主的な研究開発投資を直接促す措置であり、妥当性があると言える。
 予算上の措置(委託費等)は、それぞれ国の政策に基づき助成等の対象者及び研究テーマ等を設定することで、より特定された分野又は研究開発段階における成果の獲得を目指す制度であることからすれば、あくまで誘導的な政策支援であり、民間活力による自主的な研究開発投資を幅広く促進することにより、我が国の経済成長を実現するためには、本税制措置による支援が適切と考えられる。

丸2 他の支援措置や義務付け等との役割分担

 予算上の措置(委託費等)は、それぞれ国の政策に基づき助成等の対象者及び研究テーマ等を設定することで、より特定された分野又は研究開発段階における成果の獲得を目指す制度であり、民間活力による研究開発投資を幅広く促進する制度である税制措置とは支援目的と対象が異なる。
 また、諸外国においても、民間研究開発投資に対し、予算・税制両面から積極的な支援が行われている。

丸3 地方公共団体が協力する相当性

 我が国の法人企業が産出する付加価値額は、地域に根ざす中小企業によって全体の5割強が産出されてきた。(2009年版中小企業白書)。
 本税制を通して、その中小企業の研究開発環境を大企業よりも優遇することにより、国全体でのイノベーションの促進・ものづくり産業の底上げに加え、地域経済に対しても新規産業・雇用創出等、地域経済の持続的な経済成長の実現につながることから、本税制は地方公共団体と国とが一丸となって、取り組むに値する特例措置となっている。

10.有識者の見解

11.前回の事前評価又は事後評価の実施時期

平成23年度

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成24年10月 --