政策目標1 生涯学習社会の実現

●概要

 国民一人一人が、生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会を実現する。

●主管課(課長名)

 生涯学習政策局政策課(藤野 公之)

●評価

 生涯学習社会の実現に向けた、教育改革に関する基本的な施策の推進、生涯を通じた学習機会の拡大の取組について、概ね目標が達成された。

●23年度実施施策の取組状況

○教育改革に関する基本的な政策の推進等(施策目標1-1)

 教育政策は、「論」と「証拠(エビデンス)」が両輪となって実施されるべきものであり、その企画立案等に必要な基礎情報を収集・提供することは必要不可欠である。
 過去の政策の検証や先行的な調査研究、教育統計調査及び国際研究協力活動等について、例えば、国立教育政策研究所ホームページアクセス件数が、平成22年度の6,649,986件から平成23年度の7,180,580件へと530,594件増加するなど、成果を上げている。
 事業の実施にあたっては、当該施策目標の達成手段である各事業の予算額が減少しているにもかかわらず、ほぼ全ての成果指標が目標値を上回っており、効率的に実施することができた。
 今後は、エビデンスベースに基づいた施策立案を図るため、省内外の教育情報に対するニーズやその活用成果のきめ細やかな状況把握に基づき、教育統計調査等の検証作業を行うことが必要となり、統計調査部局と政策担当部局との連携をより一層深めること等が課題である。

○生涯を通じた学習機会の拡大(施策目標1-2)

 生涯学習社会の実現のためには、教育機関等において学習者の多様なニーズに対応した生涯を通じた幅広い学習機会の提供を行うことが必要である。
 放送大学、専修学校、大学や民間教育事業者等による自主的な取組に対する支援は、多様な主体による生涯学習機会の提供や生涯学習概念の普及・啓発に資するものである。例えば、成長分野等における中核的専門人材の養成や、社会人が学びやすい学習システムを構築するための取組、専修学校に関する最新の情報を提供するためのパンフレット等の作成・配布による積極的な情報提供等を通じて、私立専修学校における社会人受入数が、平成22年度の101,362人から平成23年度の107,854人へと6,492人増加し、私立専修学校における社会人受入学校数が、平成22年度の1,489校から平成23年度の1,504校へと15校増加するなど、実績値を伸ばすとともに、専修学校留学生総合支援プランについては、23年度に就職支援・生活支援をより効率的・効果的に行うために、広域的な支援体制の整備に重点化するなど、コストの縮減を図った。
 また、男女共同参画に関する教育・学習については、女性のライフプランニングに係る学習プログラムの開発やワークショップの開催等の学習機会の提供等を行い、受講者から「就職にもその後の将来にも重要だと思う」等の高い評価を受けるとともに、事業の実施にあたっては、大学など他機関との連携を図ることで、事務負担の効率化を図る一方で、連携先との協働した事業計画の立案により内容の質の向上に努めた。
 今後も、効率的な執行や各事業の成果等の検証を行いつつ、政策推進上の諸課題への対応の優先度を考慮しながら適切な予算設計を図るとともに、生涯学習分科会や次期教育振興基本計画の検討の状況等を見据えながら、さらなる施策の推進等に努める必要がある。

○地域の教育力の向上(施策目標1-3)

 モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

○家庭の教育力の向上(施策目標1-4)

 モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

○ICTを活用した教育・学習の振興(施策目標1-5)

 モニタリングとしたため、モニタリング結果を参照。

●24年度以降の政策への反映方針

○教育改革に関する基本的な政策の推進等(施策目標1-1)

 記入者負担の軽減など統計法に基づき一定の制約を受ける統計調査と、政策担当部局の教育情報に対するニーズとの調整に留意するとともに、国際比較(例えばOECDなどの国際教育統計へのデータ提供)の観点も踏まえながら、データの取得に努めることとする。
 また、政策的ニーズや社会の変化に対応して変更した調査事項を含め、統計調査の結果や諸外国の教育政策の教育事情に関する資料が教育施策の企画立案などにどのように利活用されたのか、その有用性について、引き続き検証していくとともに、この検証結果をもとに有効な調査手法の改善について検討していくこととする。
 なお、国立教育政策研究所では、各研究の進捗状況等についてヒアリングを実施している。引き続き、進捗状況のヒアリングを年に1、2回程度実施し、進捗状況等の適切な管理の下で研究を進める。

○生涯を通じた学習機会の拡大(施策目標1-2)

 放送大学について、今後も質の高い大学教育の機会を提供していくため、引き続き多様なニーズに対応した教育内容の充実や、BSデジタル放送への移行による視聴機会の拡大や放送のデジタル化を活かした学習環境の整備等を推進していく。
 全国生涯学習ネットワークフォーラムについて、平成23年度同様、幅広い関係者の協力を得て広報の充実を図り、より多様な関係者の参画を促進し、大学の活動や地域の関わりを生かした効果的な仕組みによる開催を目指す。
 専修学校について、社会人等の多様な学習ニーズに応えるための学習機会の充実を図るために、単位制・通信制の導入や各成長分野ごとの産学官コンソーシアムにおける職域プロジェクトのモデル・カリキュラム基準や達成度評価等の実証・開発、専修学校の留学生に対する就職支援・生活支援等を総合的に推進する取組を引き続き推進していく。
 高等学校卒業程度認定試験について、都道府県教育委員会、関係省庁、経済団体へ制度を周知し、社会的通用性を高めるよう努めるなど、これまでの取組を引き続き推進していく。
 消費者教育について、引き続き、消費者教育の基本的方針を示した「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」等の普及・啓発に努めるとともに、来年度の概算要求にあたっては、地域等への指導・助言を行うアドバイザーの派遣や実証的調査研究等、消費者教育の学習機会の充実につながる取組を行い、消費者庁と連携を図りながら、実効性を高めていく。
 男女共同参画に関する教育・学習について、引き続き、既存事業の成果の積極的な広報活動を行うとともに、来年度の概算要求にあたっては、男女共同参画の視点からの多様なキャリア形成支援のための教材等を作成し、性別にとらわれない進路選択を支援していく。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成24年10月 --