子どものための教育・保育給付を受ける際の支給認定手続及び事業者指定制度の創設に伴う所要の措置に係る規制の事前評価書

政策の名称

子どものための教育・保育給付を受ける際の支給認定手続及び事業者指定制度の創設

法令(案)の名称

子ども・子育て支援法案

担当部局

文部科学省 初等中等教育局 幼児教育課(課長:蝦名喜之)

評価実施時期

平成24年3月

1 政策の名称

 子どものための教育・保育給付を受ける際の支給認定手続及び事業者指定制度の創設 

2 規制の目的、内容及び必要性等

(1) 規制の目的

【支給認定手続の創設】

 小学校就学前の子どもをもつ保護者が、子どもの状況に応じた教育・保育に係る給付を受けられるよう市町村に認定の申請を行うこと等を規定する。この認定により、給付を受ける資格要件に該当しているかどうか確認し、客観的に保育の必要性が判断された子どもについては、公的給付を受けることができる地位を付与する。

【事業者指定制度の創設】

 給付の対象となる事業者等が指定基準に従い適正に事業を行うよう指定・指導監督等を行う。これにより、多様な事業主体の保育事業への参入を促進し、質の確保された保育の量的拡大を図り、良質かつ適正な教育・保育の提供の確保につながる。

(2)  規制の内容

【支給認定手続の創設】

 子どものための教育・保育給付を受けようとする保護者は、市町村に対して支給認定に係る申請をすること、また、認定を受けた保護者は、市町村長に対し、保護者の労働又は疾病の状況等の現況の届出を行うことを規定する。

【事業者指定制度の創設】

 給付の対象となる指定教育・保育を提供しようとするこども園の設置者等は、申請を行い、市町村長の指定を受けることを規定する。また、指定を受けたこども園の設置者等は、指定基準に従い、事業を実施しなければならない義務を課すことを規定する。

 なお、指定制度の一環として、指定・指導監督主体に、報告徴収、立入検査、基準遵守の勧告・措置命令、指定取消等の権限を規定する。

(3)  規制の必要性

【支給認定手続の創設】

 支給認定手続を行うことにより、給付を受ける資格要件に該当しているかどうかを確認することができる。

 保育必要量の認定においては、需要を明確化するとともに、客観的に必要性が判断された子どもについて、公的給付を受けることができる地位を付与するという観点から、市町村が客観的基準に基づき、保育の必要性を認定する仕組みとする必要があり、この認定に係る申請手続が必要となる。

 また、給付が確実かつ適正に実施されるため、認定を行う市町村が、保護者の状況を随時確認するための保護者からの現況の届出が必要となる。

【事業者指定制度の創設】

 多様な事業主体の保育事業への参入を促進し、質の確保された保育の量的拡大を図るためには、指定制度を導入する必要があるとともに、指定を受ける事業者については、客観的基準を満たした施設や事業であることを、指定・指導監督主体が確認する必要がある。

 利用対象者が自らの思慮判断によって自己の利益を守ることができない小学校就学前の子どもであることから、適切に保護をする必要性があり、指定制度によって質の確保された施設・事業であることを担保する必要がある。

(4) 法令(案)の名称とその内容

 名称:子ども・子育て支援法案

 内容:全ての子どもに良質な成育環境を保障する等のため、子ども及び子育ての支援のための給付の創設及びこれに必要な財源に関する包括的かつ一元的な制度の構築等の所要の措置を講ずる。

3 想定される代替策

【支給認定手続の創設】

 支給認定手続を設けず、こども園等を利用した場合に、給付を行うこととする。

【事業者指定制度の創設】

 小学校就学前の子どもが利用した施設・事業について、その教育・保育に係る提供体制等に関わらず給付を行うものとする。

4 規制の費用・便益

1 費用

【遵守費用】

<本対策案>

【支給認定手続の創設】

 給付を受けるにあたり、保育を必要とする子どもをもつ保護者については、従前と同様に市町村への申請手続を行うことに変わりはありませんが、保育を必要としない子どもをもつ保護者については、新たに市町村での認定等の申請手続を行う負担が生じる。なお、制度施行の際、現に幼稚園・保育所を利用している子どもに関する認定については、必要な準備期間を設けつつ、簡素な手続となるよう検討する。

【事業者指定制度の創設】

 事業者等については、給付の対象となる教育・保育を提供するため、指定基準を満たすための負担、指導監督等を受ける負担が生じる。なお、制度施行時の経過措置として、現に幼稚園又は保育所の認可を受けている施設については、こども園の指定があったものとみなす。

<代替案>

【支給認定手続の創設】

 新たな遵守費用は生じない。

【事業者指定制度の創設】

 新たな遵守費用は生じない。 

【行政費用】

<本対策案>

【支給認定手続の創設】

 市町村が認定等を行うにあたり、保育を必要とする子どもをもつ保護者については、従前と同程度の事務負担のままですが、保育を必要としない子どもをもつ保護者については、新たに市町村での認定等の事務負担が生じる。なお、制度施行の際、現に幼稚園・保育所を利用している子どもに関する認定については、必要な準備期間を設けつつ、簡素な手続となるよう検討する。

【事業者指定制度の創設】

 指定・指導監督主体は、指定基準を満たす事業者等を新たに指定する事務が生じるが、これまでも認可・届出施設等に対しては指導監督等を行っており、事務負担はほぼ同等である。なお、制度施行時の経過措置として、現に幼稚園又は保育所の認可を受けている施設については、こども園の指定があったものとみなす。

<代替案>

【支給認定手続の創設】

 新たな行政費用は生じない。

【事業者指定制度の創設】

 新たな行政費用は生じない。    

【その他社会的費用】

<本対策案>

【支給認定手続の創設】

 その他の社会的費用は新たに発生しない。

 【事業者指定制度の創設】

 その他の社会的費用は新たに発生しない。   

<代替案>

【支給認定手続の創設】

 認定申請等の手続を設けない場合、保護者は子どもの状況に応じた教育・保育に係る給付を受けることができず、また市町村は教育・保育の必要量を把握することができず、保護者が施設等を利用する際に、市町村が利用の調整等を行うことができなくなる。

【事業者指定制度の創設】

 指定・指導監督等を行わない場合、給付を受ける事業者等が良質かつ適正な教育・保育を提供することが担保されず、利用者が不利益を被ることになる恐れがある。

2 便益

 保護者が市町村に認定申請等を行い、市町村が客観的な基準に基づき、教育・保育の必要性を認定する仕組みとすることにより、不正受給の防止等につながり、教育・保育に係る給付が確実かつ適正に受けられるようになる。

 また、客観的な基準を満たした事業者を指定し、指導監督等を行うことにより、悪質な事業者の排除等につながり、良質かつ適正な教育・保育の提供が確保される。

これらのことにより、子どもの健やかな育ちと、出産・子育て等の希望がかなう社会の実現に寄与するものであり便益は大きいものと言える。  

5 政策評価の結果

 代替案では、遵守費用、行政費用について、新たな負担が発生することはないが、給付の適性化、良質かつ適正な教育・保育の確保を担保することはできず、利用する者等が不利益を被る恐れがある。

 本規制の新設により遵守費用等は一定程度発生するものの、制度の安定的な運営、良質かつ適正な教育・保育の提供の確保に資するものであり、政策目的を達成するための適切な手段であると考えられる。したがって、本規制の新設は妥当である。

6 有識者の見解その他関連事項

 有識者、地方公共団体、事業主代表、労働者代表、子育て当事者、子育て支援当事者等により構成される「子ども・子育て新システム検討会議作業グループ基本制度ワーキングチーム」において、平成24年2月13日にとりまとめられた「子ども・子育て新システムに関する基本制度とりまとめ」において、本規制に係る保育の必要性の認定の仕組み、事業者指定制度の創設について明記している。

7 レビューを行う時期又は条件

 本法案では、法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしている。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

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-- 登録:平成24年04月 --