史跡等の土地を国又は地方公共団体に対して譲渡した場合に係る所得税の特別控除額及び法人税の損金算入限度額の拡充
個人又は法人が史跡名勝天然記念物として指定された土地を国又は地方公共団体に譲渡した場合の譲渡所得について、現行の控除額・損金算入限度額を2千万円から5千万円に引上げる。
文化庁文化財部記念物課
平成24年度以降
昭和44年度 上限 300万円(創設)
昭和46年度 上限 1,200万円(要望)
昭和49年度 上限 2,000万円(措置)(現在に至る)
平成2年度 上限 4,000万円(要望)
平成3年度 上限 4,000万円(要望)
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史跡等は我が国の歴史を具体的に示す遺跡や、国土美を代表する景勝地や古庭園、国土の自然を記念する動植物等のうち重要なものとして文部科学大臣が指定したものであり、いずれも日本の歴史、文化、国土の成り立ちを物語る記念物として後世に伝えるべき貴重な財産である。
史跡等の維持管理には多額の経費がかかるとともに、各種の行為規制が課されるため、経済的事情等の問題から個人・法人所有者が適切な管理を行うことができない場合がある。したがって、史跡等の適切な管理の観点から、国又は地方公共団体による公有化を促進することが必要である。
公有化に伴う税制措置が設けられていることにより、個人・法人所有者が史跡等の譲渡先を考慮する際に、国等への譲渡が促され、史跡等の公有化が促進される。また、公有化を前提とした史跡等への指定に際しても、所有者の同意取り付けを容易にするものである。
このことは、多様な主体の参加が期待される史跡等において、地権者の理解と協力を得た円満な用地交渉を経ることにより、史跡等を核とした観光振興の推進、ひいては、地域経済の活性化を早期に実現することにもつながる。
史跡等の買上げ事業(公有化助成事業)等の予算措置と併せて推進することにより、史跡等の公有化予定率を高めることで、史跡等の適切な保存・活用を図る。
史跡等の公有化率
本要望の措置により、国等への史跡等の譲渡がさらに促進され、文化財のき損・滅失防止に資することになるとともに、その後の整備も推進されることが期待できる。
(参考)
【法人税】
212件、約78百万円
※調査実績をもとに推計
954百万円
指定面積から社寺有地を除く面積(公有化対象地)の6割未満(57.7パーセント)を公有化
公有化率増加推定値 約1.2パーセント
近年3年間の公有化率を検証してみると、以下の通り公有化率はほぼ横ばいで推移しており、租税特別措置が拡充されなかった場合、今年度の公有化率も同様に上昇しないことが予想される。
平成20年度57.5パーセント
平成21年度57.9パーセント
平成22年度57.7パーセント
史跡等の公有化が促進し、適切な整備を図ることができる。
平成22年度の公有化の実績は866件(推計)あり、本税制優遇措置を活用して公有化が促進されている。本要望により、個人・法人所有者から国等への譲渡が促され、史跡等の公有化が促進されるとともに、公有化後の整備事業も促進されるため、本要望措置は妥当である。
本税制措置は、史跡等の土地の所有者に対するものであるが、予算措置は、買い上げを行う地方公共団体に対するものである。両措置が相互にあいまって働くことにより、史跡等の公有化が促進される。
※史跡等公有化助成国庫補助事業
(平成23年度予算:13,626百万円)
史跡等の公有化は国又は地方公共団体が実施
特になし
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成23年10月 --