平成24年度要求・要望額:40,871百万円
高等教育局大学振興課(藤原 章夫)
高等教育局高等教育企画課(義本 博司)
高等教育局学生留学生課(松尾 泰樹)
「新たな時代を拓くグローバル人材育成のための大学改革の新展開」
世界に誇れる高等教育の質保証システムの再構築を果たすため、制度と予算両面で改革を集中展開する。
1.大学教育改革新展開推進事業
学長のリーダーシップにより、大学としての使命を設定し、学生の「出口」を見据えた学部の壁や大学の垣根を超えた学位課程を構築するための全学的な教学システムの確立を、国公私立大学を通じた競争的環境のもとで重点支援を行う。
上記目的を達成するため、大学としての使命に応じ、以下の2つの類型で最大6年間支援する。
2.グローバル人材育成推進事業
高等学校段階における外国語能力・海外経験の適切な評価を伴う大学入試の導入や実践的語学力測定試験の開発・実施、学生の留学を促進するための環境整備等の学生のグローバル化を推進するための全学的な取組を最大5年間支援する。
本事業においては「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」を具体化するため、以下の事項を実施する。
3.博士課程教育リーディングプログラム
優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援し、最高学府に相応しい大学院の形成を推進する。
上記目的を達成するため、養成すべき人材像及び解決すべき課題の分類に応じ、「オールラウンド型(オールラウンドリーダー養成)」「複合領域型(複合領域リーダー養成)」「オンリーワン型(オンリーワンリーダー養成)」の3つの類型で最大7年間重点的に支援する。
4.アカデミック・パイオニア養成支援事業
世界最高水準の教育研究拠点が、世界で活躍できる優秀なアカデミアの人材を引きつけ、輩出していくことができるよう、そのキャリアパスを見据えつつ、必要な経費を支援する。
具体的には、博士課程の学生をアカデミアの後継者として養成する教育システムの構築とキャリアパスの一層の明確化を図り、大型の競争的外部資金(大型科研費、COE)の獲得実績を有する卓越した専攻・専攻群を選定し、優秀な学生が教育研究活動に専念するために必要な経費(リサーチ・アシスタント(RA)経費等)を5年を単位に支援することで、知のフロンティアの開拓を担う人材を持続的に輩出する教育システムを構築することを目的とする。
5.大学の世界展開力強化事業
世界に雄飛する日本として誇れる人材の育成を目指し、国際的な枠組みで、高等教育の質の保証を図りながら、日本人学生の海外留学と外国人学生の戦略的受入を行うアジア・米国等の大学との協働教育による以下の5つのタイプの交流の取組を最大5年間支援する。
6.留学生短期受入れと日本人学生の海外派遣を一体とした交流事業(派遣)
我が国の大学等が海外の大学との大学間交流協定等に基づき実施する学生の派遣・受入れの支援、及び、海外の大学院に留学する日本人学生を支援することにより、我が国と諸外国との相互理解・有効親善の増進、我が国の大学の国際化、国際競争力の強化、国際的にも指導的立場で活躍できる優秀な人材の育成等を目的とする。
「新たな時代を拓くグローバル人材育成のための大学改革の新展開」
高等教育機関は、我が国の高度な教育と研究の中核を担っており、幅広い教養と、各学問分野の専門的知識・能力を有する人材の育成に重要な役割を果たしている。
今日、我が国においては、東日本大震災や世界的な金融経済危機により、競争力低下や産業空洞化、人材流出などが懸念され、また欧米の大学が戦略的にグローバル展開を加速させる中、大学の国際的プレゼンスも低下している。
更に、世界的には、急速なグローバル化の中、国際的な学生の流動や国籍を問わない人材獲得競争が激化する一方、我が国の若い世代は内向き志向である。
また、環境問題や少子高齢化など複雑化・高度化する社会の困難な課題に取組むためには、既存の教育のみでは不可能である。
以上のような現在の課題に対応するためには、我が国の高等教育の質保証システムを世界に誇れるものとして再構築することが不可欠である。
1.大学教育改革新展開推進事業
東日本大震災や世界的な金融経済危機などにより社会が激変し、また学生の国際的流動性が高まる一方で我が国の大学の国際的プレゼンスが低下する中、今後の社会の展開と創造に大学としていかに向き合うかが問われている。
平成15年度から組織的な教育改革に関する新たな取組や、社会的要請に対応した取組に対する公募型の財政支援を実施し、個々の教育は進展したが、学部毎に細分化された構造で、学生の学修成果が社会から見えにくく、キャリアパスとの関係も曖昧である。
そのため、学長のリーダーシップにより、大学としての明確な使命を設定し、学生の「出口」を見据えた学部の壁や大学の垣根を超えた学位課程を構築するための全学的な教学システムを確立する強力な取組が不可欠であり、明確な評価基準の下、競争的な環境で優れた取組を支援する必要がある。
2.グローバル人材育成推進事業
政治・経済・文化等の社会のあらゆる分野で進展する急速なグローバル化に対応するためには、基本方針(平成23年9月2日閣議決定)に記載されているとおり「世界に雄飛する人材の育成」が急務である。そのために、我が国の大学に所属する日本人学生を中心とした学生のグローバル化を一気に進展させるべく、「グローバル人材育成推進事業」による大学の環境整備等が不可欠である。
3.博士課程教育リーディングプログラム
我が国は、急速な経済成長を遂げ、これまで繁栄を築いてきたが、世界に先んじて少子高齢化と人口減少を迎え、さらに、東日本大震災は未曾有の複合的被害をもたらし、戦後最大の危機に直面している。我が国がこの国家的な危機を克服し、持続可能で活力ある新たな社会システムを創造し、国際社会の信頼と存在感を保ち続けるためには、俯瞰的視点から物事の本質を捉え、危機や課題の克服を先導し、人類社会の持続的発展・成長にリーダーシップを発揮する高度な人材を養成することが不可欠である。
グローバル化や知識基盤社会の中で、産学官を問わず世界の様々な分野でリーダーシップを発揮する高度な人材を戦略的に輩出していくため、体系的な教育を展開する組織的な教育・研究指導体制を備え、質の保証された博士課程教育の飛躍的な充実が急務である。
4.アカデミック・パイオニア養成支援事業
RA経費については、科研費やCOE等の競争的な資金を主な財源としてきたが、学生の経済的支援としての性格と優秀な研究者を育成する教育効果の双方を認識した上で、RAとして雇用される学生のキャリアパスも考慮しつつ、計画性と展望を持ったRA制度により優秀なアカデミアの人材を養成する教育システムを構築し運用している例は少ない。世界で活躍できる優秀なアカデミアの人材の育成は急務であるため、本事業の推進による、RA制度を通じた人材養成のための教育システムの構築が不可欠である。
5.大学の世界展開力強化事業
「新成長戦略」が掲げる日本人学生とアジア・米国等の外国人学生の垣根を越えた協働教育、日本人学生の留学・研修等海外経験を増やすための取組等を行う我が国の国際化の拠点となる大学を支援することにより、「新成長戦略」の「海外への日本人学生の留学・研修等の交流30万人、質の高い外国人学生の受入れ30万人」の達成に貢献するべく、平成23年度より、アジアや米国等を対象とし、取組を開始している。
6.留学生短期受入れと日本人学生の海外派遣を一体とした交流事業(派遣)
現状では、外国人学生の受入れ支援のための施策が中心となっており、日本人学生の国際化への支援が不十分。このため、外国人学生の受入れを引き続き推進するとともに、近年、減少傾向にある日本人学生の海外交流を強力に支援する必要がある。
1.大学教育改革新展開推進事業
2.グローバル人材育成推進事業
3.博士課程教育リーディングプログラム
4.アカデミック・パイオニア養成支援事業
5.大学の世界展開力強化事業
6.留学生短期受入れと日本人学生の海外派遣を一体とした交流事業(派遣)
1.大学教育改革新展開推進事業
2.グローバル人材育成推進事業
3.博士課程教育リーディングプログラム
4.アカデミック・パイオニア養成支援事業
5.大学の世界展開力強化事業
6.留学生短期受入れと日本人学生の海外派遣を一体とした交流事業(派遣)
「新たな時代を拓くグローバル人材育成のための大学改革の新展開」
世界的な経済状況の悪化や、東日本大震災等により、我が国が危機的な状況となる中で、高度な能力を持った人材を養成する機能を持った大学等の高等教育機関の果たすべき役割は非常に重要である。
本政策は、グローバル化の進展の中で、将来的に我が国に必要となる国際的な通用を備えた高度な人材を育成することを目的とし、事業の対象となる学生が卒業・修了する4~6年後を見据えて行う事業であり、この時期において事業の実施を行うことには高い必要性が認められる。
「新たな時代を拓くグローバル人材育成のための大学改革の新展開」
これまでも高等教育に関する財政支援等は行われてきたが、近年の財政状況による高等教育予算の削減や、経済状況の悪化により、大学が自ら根本的な教育システムの改革等を行うことが厳しい状況にある。また、各国政府が高等教育の質保証システムの整備や、国際展開等を積極的に推進する状況において、我が国及び我が国の高等教育の国際的なプレゼンスを高める上で、国と大学が一体となった取組を行うことが必要である。
1.大学教育改革新展開推進事業 全学的な視点で大学を改革し、学部の壁や大学の垣根を超えた学位課程を構築するための全学的な教学システムを確立するには相当なエネルギーを要し、大学側の負担だけで賄うことは困難である。
また、競争的環境の中で各大学が切磋琢磨することにより、改革へのモチベーションを高めることも必要である。
「政策推進の全体像」(平成23年8月15日閣議決定)を踏まえた「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」を具体化するためには、同中間まとめのとおり「大学関係者・団体や企業関係者・経済団体等を主導的な起点とする一つの社会的な運動」としての取組が不可欠。そのためには、行政・政府が先頭に立ち、より優れたグローバル人材育成のための体制の整備を推進し、かつ大学等に競争的な環境を提供することで、大学等の活動が活性化し、多くのグローバル人材の育成に資することができる。
3.博士課程教育リーディングプログラム世界に通用する質の保証された学位プログラムの構築、展開を促し、大学院教育を抜本的に改革するためには、国が全国の国公私立大学における優れた取組に対して、重点的な財政支援を行い、早急かつ確実に教育拠点形成を進めていくことが必要である。
4.アカデミック・パイオニア養成支援事業知のフロンティアの開拓を担う優秀なアカデミアの人材を引きつけ、世界で活躍できる人材を輩出するためには、大型な競争的外部資金獲得実績をベースに選定した専攻又は専攻群に、国が戦略的・重点的な財政支援を行う必要がある。
5.大学の世界展開力強化事業「新成長戦略」が掲げる「海外への日本人学生の留学・研修等の交流30万人、質の高い外国人学生の受入れ30万人」の達成には、大学等自らの取組のみならず、行政・国がそれぞれ担当する分野において環境の整備を行うことが不可欠である。また、大学のグローバル化という極めて重要且つ多大な労力を要する取組を推進するためには、行政・国が旗振り役となり、大学同士を切磋琢磨させることで、グローバル社会における我が国の大学の競争力を底上げさせることが必要である。
6.留学生短期受入れと日本人学生の海外派遣を一体とした交流事業(派遣)「新成長戦略」が掲げる「海外への日本人学生の留学・研修等の交流30万人、質の高い外国人学生の受入れ30万人」の目標の達成に資するため、我が国全体で政府を挙げて取り組む必要がある。
「新たな時代を拓くグローバル人材育成のための大学改革の新展開」
1.大学教育改革新展開推進事業「新たな時代を拓くグローバル人材育成のための大学改革の新展開」
当該政策における事業は主として競争的資金で構成されており、経常費用の支援という性格が強い基盤的経費と異なり、競争的環境の中で質の高い取組を行う大学への支援を行うことが可能であることと、明確に政策意図を反映できる点に優位性がある。
今回当該政策で推進するグローバル人材育成は、教育研究水準の向上やキャリア教育の推進、学生の学修支援という大学の本来業務の枠を超え、今後の我が国の新時代を創出するため、大学の協力を得て推進することが必要な政策事項であり、事業の性質と政策の趣旨が合致しているものといえる。
本事業の実施により、各大学における大学教育改革の取組が一層積極的に行われると見込まれる。
これまでに実施してきた「特色ある大学教育支援プログラム」、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」等により、大学改革への意識の高まりが醸成されている。本事業は、学部の壁や大学の垣根を超えた学位課程を構築するための全学的な教学システムの確立を国公私立を通じた競争的な環境の下で展開することで、大学教育が社会からの信頼に応え、求められる学習成果を確実に達成するものへと展開し、更なる質の向上が図られるものと考える。
2.グローバル人材育成推進事業世界の大学におけるグローバル化が急速に進展し、国際的に優秀な留学生の交流や獲得競争が活発化する中、内向きと言われる日本の学生のグローバル化が喫緊の課題となっており、本事業による学生のグローバル化のための大学の環境整備が行うことは大変意義深く、その有効性は高いと考えられる。
3.博士課程教育リーディングプログラム国内外の第一級の教員・学生を結集し、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えた博士課程前期・後期一貫した学位プログラムの構築・展開を支援し、俯瞰力と独創力を備え、広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーを養成することにより、将来にわたる持続的な成長と人類社会への発展への貢献による国際社会の信頼と存在感の保持・向上が図られるものと考える。
4.アカデミック・パイオニア養成支援事業東日本大震災の影響等により、優秀な人材の流出や雇用への影響が懸念される中、RAによる経済的支援により、博士課程の学生が経済的不安を持つことなく研究に専念できる環境を整備することは、新たな知の開拓を担う優秀なアカデミアの人材を持続的に輩出し、大学の教育研究体制強化・機能強化を図るうえで非常に効果的であると考えられる。
5.大学の世界展開力強化事業政治・経済・文化等の社会のあらゆる分野でグローバル化が急速に進展するにつれ、我が国の大学も激しい国際競争の時代に突入してきており、各大学のグローバル化は避けて通れない課題となっている。そのため、海外の大学と協働した質の保証を伴った学生の受入れ・派遣双方向型の交流プログラムの開発や日本人学生の海外留学・研修等の促進のための外国語教育への関心は急速に高まってきている。このような状況において、本事業による各大学の取組に対する支援を行うことで、有効な取組がなされる見込みは高いと考えられる。
6.留学生短期受入れと日本人学生の海外派遣を一体とした交流事業(派遣)本事業は、外国人学生の受入れとともに、近年、減少傾向にある日本人学生の国際交流活動を強力に支援するものである。なお、海外の大学との大学間交流協定は、過去5年間で約4千件増加し現在では約1万5千件となり、我が国の大学の国際化に向けた意欲は確実に高まっており、着実な目標の達成が期待できる。
「新たな時代を拓くグローバル人材育成のための大学改革の新展開」
1.大学教育改革新展開推進事業本事業の平成24年度予算規模は、10,050百万円である。
(内訳)
※ 新規採択は2カ年行い、計120件程度選定予定
2.グローバル人材育成推進事業本事業の平成24年度予算規模は、12,140百万円である。
(内訳)
本事業の平成24年度予算規模は14,705百万円(うち日本再生重点化措置6,950百万円)である。
(内訳)
※ 新規採択は平成25年度まで行い、計65件程度選定予定
4.アカデミック・パイオニア養成支援事業本事業の平成24年度予算規模は6,970百万円である。
(内訳)
※ 新規採択は2カ年行い、計200件程度選定予定
5.大学の世界展開力強化事業本事業の平成24年度予算規模は、4,087百万円(うち日本再生重点化措置2,126百万円)である。
(内訳)
本事業の平成24年度の予算規模は、日本再生重点化措置2,634百万円である。
(内訳)
「新たな時代を拓くグローバル人材育成のための大学改革の新展開」
1.大学教育改革新展開推進事業本事業においては、平成24年度に60件程度(予定)の優れた取組を選定し財政支援を行うとともに、ウェブサイトでの公開等を通じて採択大学以外の大学等関係機関に提供し、全学的な教学システムの確立の優れた事例を発信する。
2.グローバル人材育成推進事業本事業においては、平成24年度に60件程度の学生のグローバル化を推進するための体制を整備するプログラムを採択し、財政支援を行う。これらの取組は当省のホームページや各採択大学の広報等を通じて採択大学以外の大学等を始めとした関係機関に提供し、グローバル人材育成のための優れた事例を発信する。
3.博士課程教育リーディングプログラム広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーを輩出するリーディング大学院が46拠点形成される。46拠点から1年間に輩出されるリーダーが1,170人の見込みである。
4.アカデミック・パイオニア養成支援事業1年間に3,000人の学生がRAとして雇用され、生活費相当の経済的支援を受ける。
5.大学の世界展開力強化事業本事業においては、平成24年度に30件程度の日本人学生と世界各国の外国人学生の垣根を越えた協働教育、交流のためのプログラムを採択し、財政支援を行う。これらの取組は当省のホームページや各採択大学の広報等を通じて採択大学以外の大学等を始めとした関係機関に提供し、グローバル人材育成のための優れた事例を発信する。
6.留学生短期受入れと日本人学生の海外派遣を一体とした交流事業(派遣)平成24年度に日本人学生3,200人の支援を目指す。
特になし
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成23年10月 --