平成24年度要求・要望額:1,514百万円
初等中等教育局国際教育課(中井 一浩)
初等中等教育局教育課程課(平林 正吉)
国際的な産業競争力の向上や国と国の絆の強化の基盤として、グローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材の育成を図る必要がある。このため、「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」を受け、小中高を通じた英語・コミュニケーション能力の育成、高校留学等の促進等により豊かな語学力・コミュニケーション能力や異文化体験を身につけ、国際的に活躍できる「グローバル人材」の育成を図る。
外部検定試験の活用による英語力の検証と指導改善を図ることで新学習指導要領の着実な実施を促進するとともに、英語等の使用機会の大幅な拡充やモチベーションの一層の向上を図る等の優れた取組を行う英語力等外国語能力の強化地域を形成する。
国際化が著しく進展する現代においては、広い視野を持って異文化を理解し、これを尊重する態度や異なる文化を持った人々と共に生きていく態度の育成が必要であるとともに、国際的な産業競争力の向上や国と国の絆の強化の基盤として、グローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材の育成を図る必要がある。
このため、高校生の留学促進のために、留学経費の一部を支援するととともに、外国人高校生(日本語専攻)を約6週間程度招致する事業を実施することで、高校生段階における国際交流の推進・グローバル人材の育成を図る。
国際バカロレアレベルの教育を実施する学校を増加させるため、国際バカロレアの理念を生かしたカリキュラム作りを行う学校を指定し、国際バカロレアの趣旨を踏まえたカリキュラムや指導方法、評価方法等に関する調査研究を行う。
平成15年3月に策定した「「英語が使える日本人」の育成のための行動計画」において、各学校段階で求められる英語力を、中学校卒業段階で平均実用英語技能検定試験(以下、「英検」)3級程度、高等学校卒業段階で平均英検準2級程度と設定。しかし、達成状況は、中学校約32パーセント、高等学校約30パーセント(ともに平成19年度調査結果)にとどまっている。
このような状況の中、政府は、「グローバル人材育成推進会議」の中間まとめにおいて、グローバル人材の育成に向け、初等中等教育段階における英語・コミュニケーション能力等の育成の重要姓を強調。加えて、文部科学省内に設置された「外国語能力の向上に関する検討会」は、生徒に求められる英語力についてその達成状況を把握・検証すること等を提言。また、平成23年度に全面実施された小学校「外国語活動」に続き、平成24年度は中学校、平成25年度は高等学校において新学習指導要領が全面実施。その円滑な実施が求められている。
以上の経緯等により、学習指導要領の確実な実施とグローバル人材の育成のために本事業を実施するに至った。
文部科学省では、「「英語が使える日本人」の育成のための行動計画」を平成15年3月に策定し、様々な機会をとらえて、異なる文化や生活への理解と関心を深める教育を推進し、英語によるコミュニケーション能力を身に付けることの意義や面白さを理解させるとともに、授業以外で英語を使う機会をできるだけ多く設けたり、挑戦すべき具体的目標を設定したりするなど、英語が使えたという喜びや成就感を与える取組が重要であるとして、平成15年度から高校生留学の促進の事業を行ってきた。
また、当時の日本と米国の二国間の首脳合意により、両国間の高校生レベルの交流を深めることを目的に、平成8年度から外国人高校生(日本語専攻)の短期招致の事業も行ってきた。
しかしながら、近年では、海外留学する高校生は減少に転じているほか、グローバル化の流れは一層加速しており、政府全体としても「グローバル人材育成推進会議」を立ち上げるなどして、我が国の成長の牽引力となるべきグローバル人材の育成と、そのような人材が社会で十分に活用される仕組みの構築を目指している。
なお、高校生の留学促進事業は、当初は1人5万円を1,000人、平成19年度からは1人50万円を50~60人の間で(平成21年度は補正予算により330人を追加)支援してきているとともに、外国人高校生(日本語専攻)の短期招致事業は、これまで92~160人の間で招致してきている。
国際バカロレアのカリキュラムや指導方法、評価方法等を研究し、我が国の教育に取り入れていくことは、新学習指導要領が目指す「生きる力」の育成や新成長戦略に掲げられている重要能力・スキルの確実な習得に資するとともに、学習指導要領の見直し等の際に有効な実証的資料となる。
一方で、我が国において国際バカロレア認定校となっている一条校は5校(平成23年9月現在)(インターナショナルスクールを含めて19校)と少なく、国際バカロレアの認知度も決して高いとは言えない状況となっている。
このような中、「グローバル人材育成推進会議中間取りまとめ」や「成長戦略実行計画(改革工程表)」において、政府として、国際バカロレア資格取得可能校や国際バカロレアレベルの教育を実施する学校の増加に取り組むことが求められているところである。
以上の経緯を踏まえ、国際バカロレア認定校の増加を視野に入れ、そのステップとして国際バカロレア資格の認知度の向上や裾野の拡大を図るとともに、グローバル人材の育成や我が国のカリキュラム等の改善に資するよう、本事業を実施する。
以下(1)~(3)に鑑みたとき、本事業の必要性は極めて高いと考える。なお、本事業の実施は、本事業の上位目的(施策目標)である確かな学力の育成に直結することでもある。
(1)「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」において以下のことが言及。
(2)「外国語能力の向上に関する検討会」は以下のこと等を提言。
(3)新学習指導要領が全面実施。
近年、海外留学する日本人高校生・大学生は減少に転じている一方、経済成長の著しい中国やインドなどでは、海外留学生が大幅に増加しており、その差が拡大傾向にある。
また、日本では人口減少と超高齢化が進むとともに、グローバル化が加速する今日の世界経済の中にあっては、諸外国と同様に国を挙げて、豊かな語学力・コミュニケーション能力や異文化体験を身に付け、国際的に活躍できるグローバル人材を継続的に育成し、若い世代の国際交流を積極的に推進していく必要がある。
国際バカロレアのカリキュラムや指導方法、評価方法等を研究し、我が国の教育に取り入れていくことは、新学習指導要領が目指す「生きる力」の育成や新成長戦略に掲げられている重要能力・スキルの確実な習得に資するとともに、学習指導要領の見直し等の際に有効な実証的資料となる。一方で、我が国における国際バカロレア資格の認知度は決して高いとは言えず、国際バカロレアの認定校である一条校は5校(平成23年9月現在)(インターナショナルスクールを含めて19校)にとどまっている。「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」等の提言を踏まえ、国際バカロレア資格取得可能校等の拡大を図っていくためには、国際バカロレアのカリキュラム等に関する調査研究を行い、認知度の向上や裾野の拡大を図っていくことが必要である。
「グローバル人材育成推進会議」において、「グローバル人材」の育成や、初等中等教育段階における英語・コミュニケーション能力等の育成は国として行わなければならない旨が明記。また、「外国語能力の向上に関する検討会」では、国が行うこととして、生徒に求められる英語力の把握・検証や、各教育委員会が地域の戦略的な英語教育改善を進められるよう支援することを提言。加えて、学習指導要領の確実な実施は図るための条件整備等の実施は国の責務。
以上のことより、本事業は、国の関与の必要性が高いと考える。
高校生の海外との交流については、平成22年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」の成長戦略実行計画(工程表)において、「高校生の海外交流支援の強化」を行うことが盛り込まれた。
また、平成23年6月22日に取りまとめられた「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」においても、「小中高での児童・生徒の国内外における異文化体験や青少年交流等の機会の充実のため、大学や民間団体等との連携を強化する。」、「18歳以下の世代の在外経験や高校生の海外留学を大幅に促進するための環境整備を行うこと等により、18歳頃の時点までに1年間以上の留学ないし在外経験を有する者を3万人規模に増加させることを目指す。」と提言された。
この提言も踏まえ、平成23年8月5日に閣議決定された「日本再生のための戦略に向けて」において、「海外留学等の若手の海外経験の拡大と優秀な外国人留学生との連携を促進し、国内のグローバル化に資する諸施策を初等中等教育、高等教育、経済社会の各段階において推進する。」と盛り込まれるとともに、成長戦略実行計画(改訂工程表)にも、「高校留学の機会の拡大」が付け加えられた。
これらの提言を踏まえた施策を実現していくためには、まずは国が率先して取組を支援していく必要がある。
「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」等、各種の提言において、国として国際バカロレア資格取得可能や国際バカロレアレベルの教育を行う学校を拡大させることとされており、これらの提言を実現するため、国が先導して施策を実施する必要がある。また、国際バカロレア機構は国際的な機関であること、国際バカロレア機構から文部科学省に対して国際バカロレアの活用促進に向けた提案があったことも踏まえ、国として対応していくことが求められる。
外国語によるコミュニケーション能力を培いグローバル人材を育成すべく、生徒の英語力を外部試験により客観的に把握しつつその結果を検証し拠点校における授業改善につなげること、このような改善を教育委員会が主体となった取組により地域全体で推し進めること、文部科学省においても生徒の英語力を把握しつつ教科調査官等による直接的な指導を当該教育委員会や拠点校に行うことなどにより、上記の目標は達成できると見込まれる。
大学生に比して、一般的に留学等への制約が大きい高校生に対し、留学経費の一部支援や外国人高校生の招致による交流機会を提供することは、異文化理解に極めて大きな意義を有するとともに、諸外国との友好親善の増進に寄与し、ひいては大学レベルでの留学やその後の国際交流活動の拡大につながり、グローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材の育成に寄与する。
指定校における国際バカロレアの趣旨を踏まえたカリキュラムや指導方法、評価方法等に関する研究成果などを普及することにより、国際バカロレア資格の認知度の向上や裾野の拡大を図ることができ、国際バカロレア認定校の増加にもつながり、グローバル人材育成推進に寄与するものである。
本事業の予算規模は、518百万円である。
(内訳)
本事業の予算規模は、965百万円である。
(内訳)
本事業の予算規模は、32百万円である。
(内訳)
特になし
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成23年10月 --