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3-4.試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除

政策評価の対象とした租税特別措置等の名称

名称

試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除

税目

所得税、法人税

法律名

租税特別措置法第10条、
租税特別措置法第42条の4、第68条の9

要望の内容

総額型控除上限の10%引上げ等(恒久措置)

担当部局

科学技術・学術政策局基盤政策課

租税特別措置等の創設年度及び改正経緯

  • 増加型:昭和42年度創設
  • 中小企業技術基盤強化税制:昭和60年度創設
  • 特別共同試験研究に係る税額控除制度:平成5年度創設
  • 総額型:平成15年度創設
  • 高水準型:平成20年度創設

適用又は延長期間

  • 総額型(中小企業技術基盤強化税制、特別共同試験研究に係る税額控除制度含む):期限なし
  • 増加型:平成23年度末まで
  • 高水準型:平成23年度末まで
  • 経済対策部分:総額型控除上限の引上げ(20パーセントから30パーセントへ)については平成22年度末まで。繰越期間は最長平成24年度末まで。

分析対象期間

平成15年~平成19年

必要性等

政策目的及びその根拠

 研究開発活動は、新たな「知」の創造やイノベーションによる新産業、新市場の創出等を通じて、我が国経済社会の持続的発展や国際競争力の強化をもたらす源泉である。中でも、企業の研究開発活動は我が国全体の研究開発活動の7割以上を占めており、その更なる活性化を促すことは、我が国のイノベーション創出の基盤を強化し、ひいては成長力強化及び持続的な経済成長につながる。
 諸外国においても、研究開発に係る税制優遇が導入・拡充されており、政策的に、民間企業の研究開発投資促進に向けた取り組みが行われている。
 したがって、民間の自主性と活力を活用して我が国の科学技術の総合的な振興を図るため、本税制措置により民間研究開発投資を促進しつつ、2020年度までに官民合わせた研究開発投資をGDP比4パーセント以上とすることを目的とする。

(新成長戦略)
17.研究開発投資の充実
 2020年度までに官民合わせた研究開発投資をGDP比の4パーセント以上にする。(中略)民間研究開発投資への税制優遇措置など研究開発投資の促進に向けた各種施策を検討・実施する。

(科学技術基本政策策定の基本方針)
4.研究開発投資の強化
 民間研究開発投資の誘発促進を図ることとし、そのための政策手段について、規制・制度の合理的な見直し、税制措置の在り方を含め、検討する。

政策評価体系における位置付け

政策目標7 科学技術・学術政策の総合的な推進
 施策目標7-4 科学技術システム改革の先導

達成目標及び達成指標

【目標】
 民間研究開発投資の対GDP比率を、主要先進諸国の中で最高水準に維持する。
【指標】
 民間研究開発投資の対GDP比率の国際比較

有効性等

適用数等

利用実績 (うち、税法上の中小企業分)
 平成19年度 8,479事業年度(5,747事業年度)
 平成20年度 7,912事業年度(4,657事業年度)
(出典:国税庁 会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」)
(注)上記統計及び同統計における決算期間別の法人数から見て、研究開発税制の利用企業数では、中小企業が6割を占めると推測される。なお、平成18年度以前の会社標本調査においては、事業年度に係るデータが表記されていない。

減収額

減収額実績 (うち、税法上の中小企業分)
 平成15年度 1,046億円( 21億円)
 平成16年度 4,242億円(147億円)
 平成17年度 5,663億円(307億円)
 平成18年度 5,820億円(305億円)
 平成19年度 6,269億円(167億円)
 平成20年度 2,881億円(246億円)
(出典:国税庁 会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」)

(参考)
 平成21年度 2,540億円
 平成22年度 2,358億円
(財務省による減収額試算)

効果ないし達成目標の実現状況

【政策目的の実現状況】(分析対象期間:平成15年~平成19年)
 我が国は、主要先進諸国の中で最高水準の対GDP研究開発投資比率を維持しているが、4%には届いていない。
 ○ 主要国の対GDP研究開発投資比率(単位:パーセント)

2003年2004年2005年2006年2007年
日本3.203.173.323.403.44
中国1.131.231.331.421.49
韓国2.632.852.983.223.47
アメリカ2.662.592.622.662.68
イギリス1.751.691.731.761.79
カナダ2.042.082.051.981.88
ロシア1.281.151.071.071.12
フランス2.172.152.102.102.08
ドイツ2.522.492.482.542.54
イタリア1.111.101.091.13
出典:OECD「Main Science and Technology Indicators 2009/01」

【租税特別措置等による効果・達成目標の実現状況】(分析対象期間:平成15年~平成19年)
 我が国は、主要先進諸国の中で最高水準の対GDP民間研究開発投資比率を維持している。
 ○主要国の対GDP民間研究開発投資比率(単位:パーセント)

2003年2004年2005年2006年2007年
日本2.402.382.542.632.68
中国0.710.820.911.011.07
韓国2.002.182.292.492.65
アメリカ1.841.791.831.891.93
イギリス1.111.061.061.081.15
カナダ1.161.191.151.111.05
ロシア0.870.880.790.730.72
フランス1.361.361.301.321.31
ドイツ1.761.741.721.771.77
イタリア0.520.520.550.550.55
出典:OECD「Main Science and Technology Indicators 2009/01」

【租税特別措置等が新設、拡充又は延長されなかった場合の影響】(分析対象期間:平成22年度~平成31年度)
 平成22年度の減税試算額における、総額型控除上限の引上げ効果:406億円程度 ……後述する研究開発税制による経済波及効果試算に基づき、平成22年度に総額型控除上限を10%引き上げなかった場合におけるGDPの押し下げ効果(平成22年度~平成31年度の累計)を減税額割合で按分して試算:約2,480億円

【税収減を是認するような効果の有無】(分析対象期間:平成22年度~平成31年度)
経済波及効果の試算 (暫定版・旧モデル)

《総額型本体部分(控除限度額20%)》

  1. 減税による研究開発投資の押上げ効果の試算
    研究開発税制利用実態調査結果(平成22年度経産省実施、以下、「利用実態調査」)を基に、平成22年度1年間の減税による研究開発投資押上げ効果を次のとおり試算。
    • 平成22年度減収額:1,678億円(財務省試算)
      研究開発税制による研究開発投資押上げ効果:1.38倍
    • 研究開発投資押上げ額:2,232億円(1,678億円×1.38)
  2. 減税により押し上げられた研究開発投資による経済波及効果の試算
    上記1.を基に、押し上げられた研究開発投資(2,232億円)が中長期的に及ぼすGDP押上げ効果を、マクロモデル(平成16年度経産省委託事業により構築したマクロモデルのデータを最新化して利用)により次のとおり試算。
    • 研究開発投資押上げ額:2,232億円
      GDP押上げ効果(マクロモデルによる計算)
    • 平成22年度の研究開発税制による減税が、平成22年度~平成31年度までの10年間に及ぼすGDP押上げ効果:約1兆円(1兆230億円)

《経済対策・特別試験研究税制・増加型・高水準型》
 上記で試算した研究開発税制全体の経済波及効果を、利用実態調査で得られた各型別の減収額割合で按分して次のとおり試算。

  1. 経済対策(控除限度額10%引上げ)のGDP押上げ効果
    • 平成22年度減収額:406億円(財務省試算を元に経産省試算)
    • 10年間(平成22~31年度)累計で約2,480億円
  2. 特別試験研究税制のGDP押上げ効果
    • 平成22年度減収額:1億円(財務省試算)
    • 10年間(平成22~31年度)累計で約20億円
  3. 増加型のGDP押上げ効果
    • 平成22年度減収額:66億円(財務省試算)
    • 10年間(平成22~31年度)累計で約1,230億円
  4. 高水準型のGDP押上げ効果
    • 平成22年度減収額:19億円(財務省試算)
    • 10年間(平成22~31年度)累計で約120億円

《中小企業技術基盤強化税制》

  1. 減税による研究開発投資の押上げ効果の試算
     中小企業試験研究税制利用実態等調査(平成22年度中企庁実施)を基に、平成22年度1年間の減税による研究開発投資押上げ効果を次のとおり試算。
    • 平成22年度減収額:188億円(財務省試算)
      研究開発税制による研究開発投資押上げ効果:1.70倍
    • 研究開発投資押上げ額:320億円(188億円×1.70)
  2. 減税により押し上げられた研究開発投資による経済波及効果の試算
     上記1.を基に、押し上げられた研究開発投資(320億円)が中長期的に及ぼすGDP押上げ効果を、研究開発税制本体と同一のマクロモデルを用いて試算
    • 研究開発投資押上げ額:320億円
      GDP押上げ効果(マクロモデルによる計算)
    • 平成22年度の研究開発税制による減税が、平成22年度~平成31年度までの10年間に及ぼすGDP押上げ効果:約2,310億円

想定外に僅少、特定の者に偏っていないか

 国税庁会社標本調査結果「税務統計から見た法人企業の実態」における決算期間別の法人数から見て、研究開発税制の利用企業数では、税法上の中小企業が6割程度を占めると推測されるため、僅少または特定の者に偏っているとは想定しにくい。

相当性

租税特別措置等によるべき必要性等

  • 我が国においては、
    1. 企業等が実施する研究開発は、国全体の研究開発に占める割合が高く(72.5パーセント。韓国に次いで2番目)、
    2. 企業等が実施する研究開発投資の殆どを企業等自身が負担し(98.5パーセント)、
    3. 政府による企業等への直接支援は少ない(0.9パーセント、主要国中最低)。
  • このように、我が国のイノベーションは、企業が牽引している傾向が強く、かつ、企業が自らの資金で推進している。したがって、民間の活力と自主性を活用して我が国の科学技術の総合的な振興を図るためには、研究開発税制により企業の創意工夫ある自主的な研究開発を促進することが重要。
  • 研究開発税制は、企業の法人税額負担を減少させることにより、創意工夫あふれる自主的な研究開発投資を直接促すことが可能な措置であり、妥当性があるといえる。

他の支援措置や義務付け等との役割分担

 税制による民間研究開発投資へのインセンティブの付与は、補助金等の他の制度と比較すると、国によるテーマ設定等により研究開発内容が限定されない、企業秘密となりうる研究開発内容の報告義務が生じない、という特徴を有しており、民間活力による研究開発投資を幅広く促進する手段として有効である。

地方公共団体の関与の必要性(地方税)

有識者の見解

特になし。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年09月 --