中小企業等基盤強化税制(教育訓練費に係るもの)
所得税、法人税
租税特別措置法第10条の4、第42条の7、第68条の12
※経済産業省、厚生労働省との共同要望
対象となる中小企業等の範囲等を見直した上で、適用期限を延長する。(2年間)
※見直し(縮減)の内容
適用期限の延長とともに、税額控除が適用可能な教育訓練割合を、百分の〇・二五以上に見直す。また、控除を受ける金額を、教育訓練費の額の百分の十二(当該教育訓練費割合が百分の〇・四五未満であるときは、当該教育訓練費割合から百分の〇・二五を控除した割合に二十を乗じて計算した割合に百分の八を加算した割合(当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときは、これを切り捨てた割合))に見直す。
生涯学習政策局生涯学習推進課
平成17年度 創設
平成20年度 対象を中小企業等に限定、総額型を導入
平成21年度 2年間の延長
平成23年4月1日~平成25年3月31日(2年間)
平成17年度~平成24年度
本税制は、中小企業等における教育訓練費の一定割合について法人税額等から控除することにより、中小企業等における教育訓練費割合の増加を促し、生産性を高めるとともに、社会人の学習機会を増加させるものである。
特に、社会人の学習機会の増加については、新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)において、『今すぐ我が国が注力しなければならないのは、(略)潜在的な能力を有する人々の労働市場への参画を促進し、しかも社会全体で職業能力開発等の人材育成を行う「雇用・人材戦略の推進」の推進である』とされ、2020年までに実現すべき成果目標として、教育機関側の体制整備による高等教育機関への『社会人入学者数の増加』が掲げられている等、我が国の成長に欠かせない重要課題である。
このため、当省として共同要望するものである。
政策目標1 生涯学習社会の実現
施策目標1-2 生涯を通じた学習機会の拡大
国民ひとり一人の資質・能力の向上を通じた社会全体の活性化を図る上で、生涯を通じた学習機会の拡大は不可欠である。
本税制により、一般的に大企業と比して財務基盤が脆弱であるために人材育成が困難である中小企業等における教育訓練費の割合を、大企業並の0.42パーセント程度とすることを最終的な目標とする。
適用件数(経済産業省試算)
平成20年度: 95,329件
平成21年度:120,313件
減収額(経済産業省試算)
平成20年度: 6,802百万円
平成21年度: 7,476百万円
平成22年度に中小企業庁が実施したアンケート調査の回答企業(税制利用企業)データに基づき試算すると、本税制による教育訓練投資の押し上げ効果は1.31倍。
このことから、税制によるインセンティブを考慮すると、中小企業等の労務費に占める教育訓練費割合は、下記のように推移するものと推測される。
○中小企業の教育訓練費割合の推移
平成20年 0.243パーセント
平成21年 0.276パーセント
平成22年 0.286パーセント
平成23年 0.294パーセント
平成24年 0.305パーセント
(出所:厚生労働省「就労条件総合調査」等により経済産業省試算。)
平成22年度に中小企業庁が実施したアンケートによれば、本税制の適用を受けている中小企業等の業種に偏りは特段見られない。
経済産業省の試算によれば、平成20年度に0.243パーセントであった中小企業等の教育訓練費割合は、平成21年度には0.276パーセント、平成22年度の見込みは0.286パーセントと増加傾向にあることから、中小企業等における積極的な教育訓練の実施を促進する上で、本税制は効果的であると考えられる。ただし、一方で、大企業における教育訓練費割合である0.42パーセントとは依然として開きがある。
今回の要望は、こうした状況に鑑み、中小企業等における教育訓練費割合のさらなる拡大のため、税額控除の対象となる教育訓練費の要件を厳格化するものである。
本税制において、優遇の対象となる教育訓練費には、外部の教育訓練機関への教育訓練業務の委託や、外部の教育訓練機関からの講師の招聘等に要する経費も含まれることから、地域の教育訓練機関(民間事業者等)の活性化につながるものである。
また、中小企業等の従業員の能力向上に伴う生産性の向上は、地域の中小企業等の収益の増加、競争力の強化につながるものであり、地域活性化に資することから、地方公共団体の関与が必要である。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成22年09月 --