2-10.海洋資源利用促進技術開発プログラム(うち、海洋生物資源確保技術高度化)(新規)【施策目標10-3】

平成23年度要求額:278百万円
(平成23年度要求額:―百万円)
事業開始年度:平成23年度
事業達成年度または定期評価実施年度:平成32年度

主管課(課長名)

研究開発局海洋地球課(堀内 義規)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

 天然資源の管理、養殖技術の高度化等を行うことで、海洋生物資源の安定供給を通じて、日本の食料資源確保に資する基盤的技術を開発する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

 クロマグロについて、2010年3月にワシントン条約締約国会議で国際取引禁止や乱獲・気候変動等による資源の枯渇が議論されるなど、ここ数年、我が国の食料としての海洋生物資源の確保に関した問題意識が高まっている。これら海洋生物資源の安定した供給を持続するためには、天然資源の管理、養殖技術の高度化が特に重要であり、当該分野においては、農林水産省が、海洋生物資源の安定供給の確保の観点から、既存技術の高度化等により人工的に海洋生物資源を生産する等の研究・開発を中心に実施してきた。一方、生態や生理機能に関する学術的な観点に立った基盤的な研究を担うべき大学等においては、海洋生物資源に関する研究は成果が見えるまでに時間がかかることが多く、評価されにくいため、必ずしも研究が活発に行われてきたわけではない。
 このような状況を鑑み、安定的な海洋生物資源の確保の観点から、特に国民ニーズの高い海洋生物資源については、大学が担うべき基盤研究についても政策として実施する必要がある。そこで、本事業では、大学等の研究機関を対象とした海洋生物資源の確保技術の高度化に資する競争的資金による研究開発を行う。

3.事業概要

 海洋生物資源の確保技術の高度化に関する基盤的技術開発を下記のような競争的資金を供し実施する。

  • 研究の課題は下記の二つからなる。
    1. 海洋生物資源の生態を解明し、正確な資源量予測・管理につなげるための研究開発
    2. 海洋生物資源を直接生産する技術に関する研究開発
  • 魚介類の世代交代には時間がかかるため、長期的・継続的に研究を実施する必要があり、人材育成の観点からも、支援期間は5~10年程度とする。
  • 大学等の研究機関においては、任期付研究員として、助教から准教授クラスの人材を確保するとともに、実験用大型生けす等の特殊な設備整備費の措置も可能とする。

海洋生物資源確保技術高度化

4.指標と目標

指標

 下記、目標の進捗状況を指標とする。

目標

 2020年までに海洋生物資源の資源量予測を行うための新しいモデルを構築する、海洋生物資源を実際に直接生産する技術を確立する。

事業の事前評価結果

A.必要性の観点

1.事業の必要性

 海洋生物資源を安定的、持続的に供給することは、食料自給率が低い我が国にとって、安全保障上必要な取り組みである。また、本施策は海洋生物資源の生態の解明等を通じて、生物多様性の維持にも資する事業である。

2.行政・国の関与の必要性

 食料資源確保の重要性が「新成長戦略」等においても指摘されているが、海洋生物資源確保に関する基盤研究を担うべき大学等においては、成果が見えるまでに時間がかかり、評価されにくい研究についてはは活発ではない。管理・養殖技術の飛躍的な高度化を図るためには、必要な技術について長期的な研究開発を実施する必要があり、国による研究開発が必要である。

3.関係する施政方針演説、審議会の答申等

菅内閣総理大臣所信表明演説(平成22年6月11日)「農林水産業を地域の中核産業として発展させることにより、食料自給率の向上も期待されます。」、新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)P27、P29、新成長戦略(工程表)(平成22年6月18日閣議決定)1 環境・エネルギー大国戦略、4 観光・地域活性化戦略、民主党マニュフェスト 2009 P6、P16

B.有効性の観点

目標の達成見込み

 現在、代理親魚を用いた種苗生産技術の開発やマグロ類の資源変動予測研究など、今後の水産業を大きく変える可能性がある基盤技術の開発が国内の大学等で実施されている。しかし、これら研究は資金、人材面で安定しておらず、これを本事業で補助、安定化することで、技術の早期実用化を促し、海洋生物資源の安定確保という目標の達成を可能とする。

C.効率性の観点

1.インプット

予算規模は年間2.8億円で、5~10年間の継続事業とする予定である。

  • 「3.事業概要」で挙げた両課題合わせて4件程度を採択。
  • 1件あたり年間5000万~1億円程度。
    (※但し、研究費は課題の規模や進捗段階に応じた規模にできるものとする。)

2.アウトプット

 本事業によって得られた海洋生物資源の生態等についての知見及び海洋生物資源を直接生産するための技術は、これらの確保に実際に利活用するために、農林水産省との連携を密に行い、水産業の活性化に貢献する。また、これらの調査、研究によって得られた海洋生物資源に関する知見や技術は、生物学や海洋化学、生命工学など学術の観点からも重要な発展をもたらす。

今後の方針及び外部評価・有識者委員からの指摘等

 計画のとおり実施していくことが適当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年09月 --