2-5.大学教育質向上推進事業(新規)【施策目標4-1】

平成23年度要求額:7,228百万円
(平成22年度予算額:9,202百万円)
事業開始年度:平成23年度
事業達成年度または定期評価実施年度:平成25年度

主管課(課長名)

高等教育局大学振興課(藤原 章夫)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

 明確な知識・技能体系に基づく組織的な教育体制の下、開かれた教育活動を通しての学修成果の保証や、今後の成長につながる分野でのカリキュラム開発など、大学教育の質向上を促進することを目的とする。

2.事業に至る経緯・今までの実績

 平成15年度から「特色ある大学教育支援プログラム」、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」等、国公私立の大学等を通じた競争的な環境下で、組織的な教育改革に関する新たな取組や、社会的要請に対応した取組に対する公募型の財政支援を実施してきた。
 国公私立大学を通じた大学教育改革支援は、競争的環境の中で教育力向上に向けた改革意欲や学長のリーダーシップの発揮など、大学教育の活性化に大きく貢献しているが、中教審大学分科会大学行財政部会の審議を踏まえ、修得すべき知識・技術体系が明確な学位プログラムを確立する取組への支援を明確にするとともに、取組の成果・効果を測る指標を明確化し、教育の質の向上という政策目標に沿った事業の展開が図られるよう効率的な方策を講じていくことが必要とされている。
 新成長戦略に盛り込まれた「大学の質の向上と機能別分化」などの社会的要請が高く、大学教育政策の優先順位が高いものに重点化し、明確な評価基準の下、競争的な環境で優れた取組を支援する必要がある。

3.事業概要

 大学教育の質の向上に資するため、以下の取組を実施。

  1. 大学教育の質の向上を図る取組
    • カリキュラムの実践を通した分野別・機能別の質保証に関する指標・評価方法等の開発
    • 到達目標の明確化を図りつつ、学修成果を保証する教学システムの構築
    • 参加型・双方向型学習やICTを活用した教育方法の展開 等
  2. 今後の成長につながる分野に対応した質の高い教育カリキュラムの開発等を行う取組
     環境・エネルギー、物流システム、健康科学、医療・福祉の経営、保育、観光マネジメント能力等に関する人材養成等

 選定に際し、大学の機能や規模などを勘案しながら取組の成果・効果を測る指標を明確化し、多様な大学が採択されるよう配慮。
 選定にあたっては、有識者・専門家等で構成される委員会において公正に審査を行い、平成23年度は70件程度を選定する予定である。選定された取組については、広く社会に情報提供を行うとともに、2年から3年の期間で財政支援を行う。

4.指標と目標

指標

  • カリキュラム改革を行っている大学数
  • FDやGPA等の大学教育改革の取組を進める大学数
  • すべての授業科目でシラバスを作成している大学数
  • 学生による授業評価の結果を授業改善に反映させている大学数
  • きめ細やかな履修指導や学習支援(アドバイザー制、学修ポートフォリオ)の取組をすすめる大学数
目標

 今後3年間で、大学教育改革の取組を進める大学数を増加させる。特に下記の取組について、大学における展開を進める。

  • 質の保証がなされた学生の学修指導体制の確立
  • 大学等の各分野・機能に応じた適切な評価制度の開発
  • 卒業時における学生が修得すべき知識・能力の体系の明確化とその質の保証

 選定を行った取組を対象に、取組の財政支援期間終了後に状況調査を行い、各取組の進捗状況や得られた成果を把握する。あわせて各種調査の結果等も勘案して、本事業の効果を把握する。

事業の事前評価結果

A.必要性の観点

1.事業の必要性

 新成長戦略で「高等教育においては、奨学金制度の充実、大学の質の保証や国際化、大学院教育の充実・強化、学生の起業力の育成を含めた職業教育の推進など、進学の機会拡大と高等教育の充実のための取組を進め、未来に挑戦する心を持って国際的に活躍できる人材を育成する。」と記載されており、新成長戦略工程表には「大学教育の質の向上と機能分化」が明記されていることから、本事業の必要性は極めて高い。

2.行政・国の関与の必要性

 各大学等が切磋琢磨することにより、教育研究の実質的な展開が促進され、大学教育の質の向上が図られる。大学間の競争的な環境を醸成するためには、先導的な取組に対して国として積極的に支援していくことが必要不可欠である。

3.関係する施政方針演説、審議会の答申等

  • 新成長戦略(平成22年6月18日 閣議決定) 第3章 P35
  • 新成長戦略 工程表 第3章 6雇用・人材戦略~子どもの笑顔あふれる国・日本~(3)
  • 中長期的な大学教育の在り方に関する第四次報告 (平成22年6月中央教育審議会大学分科会決定) P41
  • 学士課程教育の構築に向けて(答申)(平成20年12月24日 中央教育審議会)第5章 P55

B.有効性の観点

目標の達成見込み

 本事業の実施により、各大学における大学教育改革の取組が一層積極的に行われると見込まれる。
 平成20年度において、教員の教育力の向上のための取組(ファカルティ・ディベロップメント)をおこなう大学は696校(前年度比32校)、厳格な成績評価(GPA)を行う大学は330校(前年度比35校)、学生による授業評価結果を授業改善に反映させる組織的取組を行う大学は582校(前年度比55校)と、それぞれ増加している。
 これまでに実施してきた「特色ある大学教育支援プログラム」、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」等により、大学改革への意識の高まりが醸成されていることから、本事業を、国公私立を通じた競争的な環境の下で展開することで、大学教育が社会からの信頼に応え、求められる学習成果を確実に達成するものへと展開し、更なる質の向上が図られるものと考える。

C.効率性の観点

1.インプット

 本事業の予算規模は7,228百万円である。
(内訳) 20百万円×70大学程度
    成果の検証に関する経費 130百万円

        大学教育・学生支援推進事業(平成21、22年度選定分) 5,698百万円

2.アウトプット

 本事業においては、平成23年度に70件程度(予定)の優れた取組を選定し財政支援を行うとともに、ウェブサイトでの公開等により、優れた取組の内容や成果を広く社会へ提供することとしている。

今後の方針及び外部評価・有識者委員からの指摘等

 計画のとおり実施していくことが適当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年09月 --