ここからサイトの主なメニューです

1-7.元気な日本復活!2大イノベーション ~人(ヒューマン)と社会のためのイノベーション実現~【施策目標9-2、9-3、10-1、10-3】

平成23年度「元気な日本復活特別枠」要望額:78,800百万円
(平成22年度予算額:39,240百万円)
事業開始年度:平成23年度
事業達成年度または定期評価実施年度:平成23年度

主管課(課長名)

研究振興局振興企画課(永山 賀久)

関係課(課長名)

研究振興局研究環境・産業連携課(池田 貴城)、研究振興局情報課(岩本 健吾)、研究振興局ライフサイエンス課(石井 康彦)、研究振興局研究振興戦略官(渡辺 正実)、研究開発局海洋地球課(堀内 義規)、研究開発局環境エネルギー課(田口 康)

事業の概要等

1.事業目的

 大学や研究機関の総力を結集するとともに、研究活動を支える研究基盤を革新し、「新成長戦略~『元気な日本』復活のシナリオ」(平成22年6月18日閣議決定)において示されたライフ・イノベーションとグリーン・イノベーションの2大イノベーションを加速することにより、健康大国、環境・エネルギー大国を実現、元気な日本を復活させる。

  • 健康社会と成長を実現するライフイノベーション加速計画
     再生医療やがん、うつ病・認知症対策、花粉症対策等の重要なテーマに関する研究を、基礎研究から臨床段階まで効率的・効果的に発展させて、国民生活にインパクトの大きな難病・疾患の克服につなげる。我が国に健康社会を実現するとともに、世界の医薬品・医療機器市場の獲得による成長を目指す。
  • グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)
     大学をはじめとする研究機関の「人材力」と「知力」を結集し、革新的低炭素化技術の研究開発、専門人材育成、新技術の実証、人材を通じた技術の国際展開、最先端技術による資源確保等を強力に推進することにより、グリーン・イノベーションによる成長と資源確保を加速する。
  • さらに、これらの取組みを支える基盤を革新し、2大イノベーションを強力に加速する。具体的には、研究者の多様なニーズ応え、格段に精緻なシミュレーションや解析を可能とする最先端の計算基盤となる、次世代スパコン「京(けい)」を中核としたHPCI(革新的ハイパフォーマンス・コンピューティングインフラ)を整備する。
     また、研究成果の社会還元を加速させるため、産業界・関係投資機関等と連携し、民間資金も活用しつつ、基礎研究と実用化の間にある研究の「デスバレー」を乗り越えるための「明日に架ける橋」プロジェクトを推進する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

 「新成長戦略」で「我が国の強みを活かす成長分野」に位置付けられたライフ、グリーンの2大イノベーションを推進するため、ライフ・イノベーション加速計画として、再生医療及び次世代がん医療の実現、うつ病・認知症及び花粉症の克服といった我が国が強みを有する社会的ニーズの強い分野の研究開発を加速し、健康社会を実現するとともに、世界の医薬品・医療機器市場を獲得し、成長を実現することを目指す。また、グリーン・ナレッジ・イニシアティブとして、大学等が有する幅広いポテンシャルやネットワークを活用しつつ、温室効果ガスの削減に向けた革新的な技術開発等を実施する。さらに、2大イノベーションを支える基盤として不可欠な次世代スパコンを中核とした最先端の研究インフラの構築、基礎研究の成果を実用化に橋渡しするための支援や民間資金の活用に向けた取り組みを行う。

  • 「健康社会と成長を実現するライフ・イノベーション加速計画」
     ライフサイエンス分野の研究開発については、「新たなライフサイエンス研究の構築と展開」(平成21年12月7日 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会ライフサイエンス委員会)を踏まえ、ライフサイエンス分野の研究開発を着実に推進し、国民の健康長寿、安全の確保の実現、産業競争力強化および新産業創出を目指している。また、がん研究に関わる現状を踏まえて、我が国のがん研究推進の抜本的な強化方策について、「がん研究の現状と今後のあり方について」(平成22年12月7日 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会ライフサイエンス委員会)を取りまとめ、革新的な予防・診断・治療法を開発し、がん克服を目指した取組を推進するところである。
     「新成長戦略」では、「ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」が、強みを活かす成長分野として位置づけられ、世界をリードするライフ・イノベーションを推進することとしている。
     本事業では、これら「新成長戦略」等を踏まえ、健康社会の実現に向け、我が国が強みを有する社会的ニーズの強い分野を加速し、難病・疾患の克服を目指すとともに、世界の医薬品・医療機器市場を獲得し、成長の実現を図る。
  • 「環境・エネルギー大国」実現のための『グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)』
     文部科学省は、温室効果ガスによる気候変動問題に対応し、「文部科学省低炭素社会づくり研究開発戦略」を策定し、これに基づき、従来の地球観測や気候変動研究に加え、温暖化防止のための環境エネルギー技術の研究開発(緩和策)、温暖化への適応のための研究開発、社会システム研究と新技術の実証事業などを総合的に推進するための体制整備を図ってきたところである。
     また、「新成長戦略」では、「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」が、強みを活かす成長分野として挙げられ、グリーン・イノベーションによる成長と資源確保の推進が盛り込まれるとともに、人材育成や研究開発の推進策の総合的実施により、世界をリードするグリーン・イノベーションを推進することとしている。
     さらに、総合科学技術会議は、本年7月、成長戦略の方針を踏まえ、「平成23年度科学・技術重要施策アクション・プラン」を策定し、その中でグリーン・イノベーションを推進するための「施策パッケージ」が示されており、文部科学省は太陽光発電等に関する革新的技術の研究開発を推進することとされている。
     本事業は、昨年度から進めてきた「低炭素社会づくり研究開発戦略」にも沿いながら、「新成長戦略」及び「平成23年度科学・技術重要施策アクション・プラン」等に示された政府の方針を踏まえ、環境・エネルギー大国の実現に向け、グリーン・イノベーションによる成長と資源確保を効果的・効率的に推進するためのものである。
  • 「イノベーション創出の基盤となる最先端研究環境としての革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」
     次世代スーパーコンピュータは、シミュレーションや解析等において最先端の研究に不可欠なものであり、またその開発そのものが最先端の技術開発である。次世代スパコンは、その利用技術も含め、第3期科学技術基本計画において長期的な国家戦略をもって取組むべき国家基幹技術とされている。
     平成22年11月に行われた事業仕分けの結果等を踏まえ、次世代スーパーコンピュータプロジェクトを進化・発展させ、スパコン開発者側視点から利用者側視点に転換し、多様なユーザーニーズに応えるHPCIの構築を目指すこととされた。平成22年3月、ユーザーコミュニティの代表者、HPCIに計算資源を提供することになる主要機関の代表者等からなるHPCIワーキンググループを設置し、HPCIの在り方やコンソーシアムの在り方について検討を行うとともに、更に幅広い意見を集約するために意見交換会や意見募集を実施し、「HPCIとこの構築を主導するコンソーシアムのグランドデザイン」を策定し、HPCIの構築を図っているところ。
  • 「『明日に架ける橋』プロジェクト」
     大学等の研究成果を実用化につなげるための産学官連携の取組については、平成10年の大学等技術移転促進法による承認TLO制度の創設、平成11年の産業活力再生特別措置法による日本版バイドールの実施や、平成16年の国立大学の法人化等を踏まえ、文部科学省として現在までに産学の人的交流等の促進や技術移転のための仕組みの改革等を行ってきた。これまでの産学官連携は、大学等で生まれたシーズに対して、産業界側が興味・関心のあるシーズを探して実用化につなげていくものであったが、研究成果の事業化・実用化に向け、より効率的なものにするために、大学等と民間企業との間の非競争の段階からの協働による産業界の技術的課題解決に資する基礎研究の活性化や、ライフサイエンス分野における実用化・事業化の支援のための拠点の整備、研究開発の初期の段階から実用化までのシームレスな支援に取り組んでいるところである。
     また、「新成長戦略」において、「「知」のプラットフォームの構築」や「関係投資機関との連携による技術系ベンチャー支援の検討・実施」が産学官連携、イノベーション創出のための重要な取組として位置づけられている。
     本プロジェクトでは、大学等と民間企業による基礎研究領域からの協働を促進するための「共創の場」の構築の推進を図る。加えて、実用化に向けた研究支援においては、研究の視点だけでなく実用化のためのガバナンスや経営視点の不足が課題となっていたことから、民間資金の活用を図り、事業化に向けたより効果的な運営を促進するため、関係投資機関との連携を取り入れた枠組みの導入を図る。特にライフサイエンス分野においては、実用化・事業化を加速するための拠点を中核としたネットワークの形成を図る。また、この連携において、大学等の保有する未利用特許の活用を図る枠組みの構築にも取り組む。

3.事業概要

  • 「健康社会と成長を実現するライフ・イノベーション加速計画」
    • 再生医療の実現
       再生医療のいち早い実現のため、関係省(文部科学省、厚生労働省)が連続的に支援を実施することが可能な仕組み(再生医療の実現化ハイウェイ)を構築し、長期間(10~15年間)、研究開発を一体的に支援・橋渡しする。また、間葉系幹細胞を含む体性幹細胞を用いた研究は1~3年目に、iPS/ES細胞を用いた研究は5~7年目に、それぞれ臨床研究に移行することを目指す。
       また、世界的に新たな研究の潮流である「生命動態システム科学」を推進し、2015年頃を目標に細胞内の1分子の動態や分子間相互作用の計測を実現し、ES/iPS細胞から作製した幹細胞の分化状態や機能を解析する技術の開発をする。
    • 次世代がん医療の実現
       次世代のがん医療の実現に向けて、革新的な基礎研究成果を戦略的に育成し、臨床応用を目指した研究を加速する。基礎段階に近いシーズを育成する「革新的がん医療シーズ育成チーム」では、5年程度で前臨床レベルでの薬効を確認し、一方、臨床情報や患者由来のサンプルの解析により得られる情報を基盤とした研究を行う「がん臨床シーズ育成チーム」では5年程度で臨床研究の段階へ移行することを目指す。また、がん薬物療法において、個人の遺伝的背景に配慮した副作用・効果の予測や診断を可能とする医療の実現に向けて、ファーマコゲノミクス研究の成果を臨床応用するための取組を行う。
    • 心の健康のための精神・神経疾患の克服
       現代社会が直面する様々な課題の克服に向けて、脳科学に対する社会からの期待が高まっており、「社会に貢献する脳科学」の実現を目指し、脳科学研究を戦略的に推進する。2015年までにうつ病、認知症等の精神・神経疾患について、発生の仕組みを解明することにより、診断法の実現や治療・予防法の基盤を確立する。
    • 免疫・アレルギー疾患の克服(花粉症)
       花粉症の基盤研究で得られた成果を花粉症ワクチンの開発へとつなげ、社会へ提供することを目指す。具体的には、ヒトの免疫系を有するモデルマウスを用いてワクチンの薬効・安全性を確認し、アレルギーの新規の予防法や治療法の開発等を実施し、2012年にヒトを対象とした第Ⅰ相の臨床試験を開始し、2018年にスギ花粉症ワクチンの上市を目指す。
  • 「環境・エネルギー大国」実現のための『グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)』
     大学をはじめとする研究機関の「人材力」と「知力」を結集し、革新的低炭素化技術の研究開発、専門人材育成、新技術の実証、人材を通じた技術の国際展開、最先端技術による資源確保等を強力に推進する。具体的には次のとおり。
    • 大学発グリーン・イノベーション創出事業
       教育・研究から実証・国際展開まで、大学が有する広範なポテンシャルを総合的に活用することにより、グリーン・イノベーションによる我が国の成長に不可欠な、人材育成、研究開発、新技術の実証及び技術の国際展開のための体制・能力を抜本的に強化する。
       具体的には以下の取組を実施する。
      1. グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE)の構築
         環境エネルギーに関する重要な科学技術分野・領域毎に、大学等によるネットワークを構築し、人・物・情報を共有し、最先端の研究から人材育成までを一体的に行うことにより、我が国の国際競争力を支える優秀な人材(研究者、プロジェクト管理者等)と研究成果を創出する。
         取組が必要な分野(領域)として、太陽光発電、植物科学、電池、ITS、地球環境情報、水素エネルギー、北極、先進環境材料、水資源、希薄エネルギー利用(スマートグリッド等)の10分野(領域)を予定。
      2. 「緑の知の拠点」事業(大学キャンパス活用新技術実証)
         大学キャンパスは、(1)再生可能エネルギーの設置スペースがある、(2)店舗や学生寮なども含め地域コミュニティとしての省エネの取組の試験等が可能、(3)エネルギー需要の変動が大きくエネルギーマネジメントシステムの効果を発揮し易い、(4)各種規制の障害が少ないなど、実証フィールドとして最適である。このため、環境モデル都市等において、経済産業省資源エネルギー庁と協力して、大学キャンパスを活用した総合的な実証試験を実施し、新技術・革新技術の実用化・普及を加速する。
      3. 「緑の絆」事業(人材を通じた我が国の環境技術の国際展開)
         大学が有する留学生等の国際的な人的ネットワークを活用し、我が国の優れた環境エネルギー技術の人材を通じた国際展開を図る。大学は、多くの海外からの留学生や研究交流を通じた国際的かつ多様な教育研究の人的ネットワークを有しており、これを活用すれば、我が国の優れた環境エネルギー技術の国際展開を効率的・効果的に行うことが可能。しかしながら、これら大学のネットワークの維持・管理は教員個人に依るところが大きく、持続的な関係の構築やそれを活用した新たな事業の展開は困難であるのが現状。
         このため、共同研究や海外でのフィールド研究等により大学の持つ国際交流ネットワークを維持・強化するとともに、産学連携により我が国の環境技術の国際展開に繋げる。
    • 先端的低炭素化技術開発事業
       温室効果ガスの抜本的削減を早期に実現するとともに、グリーン・イノベーションを通じた我が国の成長を図るため、温室効果ガス削減に大きな可能性を有し、かつ、従来技術の延長線上にない新たな科学的・技術的知見に基づく革新的技術の研究開発を競争的環境下で、かつ、PD・POによる適切な研究マネジメントの下で実施する(科学技術振興機構の競争的研究資金)。3~4年間毎のステージゲート方式による厳しい評価を行いながら、優れた研究開発は最大10年間の支援を行い、実用化を視野に入れた革新的な研究成果を創出し、企業等への移転を図る。
    • 低炭素社会実現のための社会シナリオ研究
       科学技術振興機構に設置した低炭素社会戦略センター(センター長:小宮山 宏 前東京大学総長)において、自然科学に加え、人文科学・社会科学の知見を最大限に活用し、温室効果ガス排出削減のための緩和技術の導入・普及や排出削減量の見通し、今後の産業構造・社会構造・生活様式等の変化に伴うエネルギー需要等についての調査・分析を行い、社会システムの改革や研究開発の方向性、技術的対応や適応方策等、将来に向けた具体的な社会シナリオを策定し提示する。
    • 海洋資源探査システムの実証
       広大な探査範囲を効率よく探査するとともに、現在の技術では困難な資源量を把握するために、独立行政法人海洋研究開発機構において、専用の自律型無人探査機群、遠隔操作型無人探査機群、深海掘削技術を開発・整備し、海洋実証試験を実施する。さらに、探査機等の実利用に応じた技術課題を抽出し、探査技術の更なる高度化を図る。また、海洋資源の成因解明を目的とした研究開発をあわせて実施し、海域の有望性の予測等による探査の効率化を目指す。
  • 「イノベーション創出の基盤となる最先端研究環境としての革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」
     次世代スーパーコンピュータ「京」を中核とし、多様なユーザーニーズに応える革新的な計算環境を実現するHPCIを構築するとともに、この利用を推進する。
    • HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)基盤の整備
      1. 次世代スーパーコンピュータの開発・整備
         次世代スパコン「京」を平成22年度末一部稼働、平成24年6月までに10ペタFLOPS級達成、平成24年11月共用開始を目指し開発・整備する。
      2. HPCIの整備・運営
         ユーザー等からなるコンソーシアムを形成し、この主導により、平成24年11月を目途に次世代スーパーコンピュータ、国内の主要スーパーコンピュータ、ストレージを用いた高度なコンピューティング環境を実現するインフラ(HPCI)を構築し、運用を開始する。平成24年11月以降におけるHPCI運用の検討についても、コンソーシアムにおいて議論をしていく。
         また、ユーザーの多様なニーズに応じ、我が国の計算資源を最適に活用するとともにデータの共有や共同分析などを可能とするためのソフトウェアを開発する。
    • HPCI利用の推進
      ・HPCI戦略プログラム
       (1)次世代スパコンを中核としたHPCIを最大限活用して画期的な成果を創出、(2)高性能の情報通信環境を使いこなせる人材の創出、(3)最先端コンピューティング教育研究拠点の形成を目指し、戦略機関を中心に戦略分野の「研究開発」及び「計算科学技術推進体制の構築」を推進する。
      ※平成23年度において、一層利用者視点に立った、「計算科学技術」及び「利用環境の構築」を推進するため、グランドチャレンジアプリケーション開発事業と次世代スパコン戦略プログラムを統合。
  • 「『明日に架ける橋』プロジェクト」
    • 産学共創基礎基盤研究
       産学の対話を行う「共創の場」を構築して、産学連携の領域を基礎研究領域まで拡大し、民間の人的リソースを活用しつつ、産業界から提案された技術的課題の解決に資する研究を支援する。
       1年目は、産業界のニーズに基づき、大学等の研究リソースを有効活用した基礎研究領域からの産学協働により、産業界におけるブレークスルー実現に貢献する仕組みの確立を図る。2年目は、産学が知の共有を行うための「共創の場」の運営ノウハウを確立し、大学等基礎研究機関の知見を産業に活かし、産業の知見を大学にフィードバックする仕組みを構築し、イノベーション創出のためのシステムを完成させる。3年目以降は、2年目までに確立した体制、ノウハウを活用したイノベーション創出のシステムによる産業界でのブレークスルーの実現に向け、新たな枠組みでの中長期的研究を展開する。
    • A-STEP(事業化ファストトラック・システム)
       研究開発の初期段階からの関係投資機関との連携により、潜在的投資先の掘り起こしや事業化に向けた助言等を研究開発支援と並行して行う新たな仕組みの導入により、研究成果の効率的かつ効果的な実用化を目指す。
       1年目は、科学技術振興機構が、採択課題の詳細情報、評価情報について、関係投資機関と円滑に情報共有する仕組みを構築し、情報の共有を開始する。2年目は、共有した情報に基づき、国が最低限支援すべき研究開発、開発企業が負うべき負担、関係投資機関が投資すべき事業育成の部分等での最適化を図り、事業化を加速するとともに、国の研究開発投資の効率を向上させる。3年目以降は、上市を目指した事業育成に繋げる。
    • 橋渡し研究加速ネットワークプログラム
       ライフ分野の有望な基礎研究の成果を実用化・事業化するため、臨床研究や薬事法に基づく手続き等を支援する体制を充実する。
       1年目は、橋渡し研究支援拠点の機能の効果的な活用を図るため、当該拠点と他の臨床研究機関等との橋渡し研究ネットワークを構築する。また、平成19年度より実施してきた橋渡し研究支援拠点整備事業における、各拠点2件の研究シーズを治験に到達させるという所期の目標を確実に達成するとともに、各拠点の機能の更なる強化と自立化に向けた体制の検討を行う。2年目は、橋渡し研究支援拠点の自立化に向けて、橋渡し研究ネットワークを活用しつつ、より多くのシーズ支援と医療への橋渡しが実現できるよう支援する。3年目以降は、先進医療や治験に向けた橋渡しの支援を実施する。
    • 知財活用促進ハイウェイ
       大学等が保有する未利用特許について、社会ニーズを踏まえて特許群の再構築や大学等に対して特許技術を強化するための試験費支援を行うと同時に、パッケージ化した特許を関係投資機関が設立する知財ファンド等へ紹介することにより、未利用特許の事業活用を促進する。
       1年目は、科学技術振興機構がライセンス支援活動を実施する大学等の知的財産について、マップ化、グループ化等の手法により、関係投資機関のニーズに応じた情報提供を可能とする仕組みを構築し、情報提供を開始する。2年目は、データ補強、周辺特許取得等の方策によりマップ化、グループ化された特許の価値を高め、知財ファンドや企業等が有効に活用できる対象と成り得る特許群を形成する。3年目以降は、一連の施策によって、強化した特許群への投資、事業化を推進する。

元気な日本復活!2大イノベーション~人(ヒューマン)と社会のためのイノベーション実現~

4.指標と目標

【健康社会と成長を実現するライフ・イノベーション加速計画】

○再生医療の実現

【指標】

  • 再生医療の実現化ハイウェイにおいて支援を実施した課題の内、臨床研究への移行した課題の比率
  • 再生医療の実現に資する「細胞動態の解析と再構成」のマイルストーンとなりうる技術開発の進捗状況
    (3次元組織構築体の設計技術を確立 等)
【目標】

体性幹細胞を用いた研究は3年以内に、iPS/ES細胞を用いた研究は7年以内に、それぞれ臨床研究に移行する

○次世代がん医療の実現

【指標】

前臨床もしくは臨床研究段階へ移行した有望シーズの数

【目標】

次世代のがん医療の実現に向けて、基礎段階に近いシーズの育成に関しては、5年程度で前臨床レベルでの薬効の確認を目指す
一方、臨床情報や患者由来のサンプルの解析により得られる情報を基盤とした研究では、5年程度で臨床研究の段階へ移行することを目指す 体性幹細胞を用いた研究は3年以内に、iPS/ES細胞を用いた研究は7年以内に、それぞれ臨床研究に移行する

○心の健康のための精神・神経疾患の克服

【指標】

精神・神経疾患の診断・予防・治療法等に関するシーズの数

【目標】

2015年までにうつ病、認知症等の精神・神経疾患について、診断法の実現や治療・予防法の基盤を確立する

○免疫・アレルギー疾患の克服(花粉症)

【指標】

花粉症ワクチンの実用化につながる研究開発の進捗状況(臨床試験の段階へ移行、体内花粉症ワクチンのバイオマーカー探索の進捗状況等)

【目標】

2012年にヒトを対象とした第1相の臨床試験を開始、2018年にスギ花粉症ワクチンの上市を目指す。

【「環境・エネルギー大国」実現のための『グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)』 】

○大学発グリーン・イノベーション創出事業((1)~(3)は「3.事業概要」におけるそれぞれの事業に対応。)

【指標・参考指標】

(1)指標:共同研究件数、施設の共同利用件数、論文(引用)数、特許件数、企業への技術移転件数 等
 (参考指標:参画機関数、研究者数、学生数 等)
(2)指標:実証された技術数、事業終了3年後の技術の実用化件数
 (参考指標:当該大学キャンパスにおいて実現した省エネルギー量(コスト換算))
(3)指標:交流国数、フォローする卒業生数、技術移転数
 (参考指標:派遣研究者・技術者数、国際共同研究数等)

【目標】

(1)実施前の1.5倍(参考指標:5以上の機関、100名以上の研究者、学生の質の向上)
(2)各大学において少なくとも一つの国内初の技術実証(参考指標:実証費用を上回る省エネ量の実現)
(3)途上国人口比7割以上を占める数の国の指導層にコンタクトパーソン1,000人以上を確保、実施前の2倍以上の技術移転数(参考指標:実施前の2倍以上の数)

○先端的低炭素化技術開発事業

【指標・参考指標】

指標:海外特許(申請・取得)の内容、企業等への技術移転数、温室効果ガスの削減度、製品の市場規模
 (参考指標:国内特許の内容、論文等や被引用回数、国際的な科学賞の受賞数 等)

【目標】

温室効果ガス排出量の削減に大きく寄与(定量的な目標は採択時に技術領域毎に確定。例えば、太陽光発電の場合は50パーセント以上のエネルギー変換効率と10円/kwh以下のコスト)する革新的な技術を創出し、事業開始から10年以内に製品開発等を行う企業等に技術移転を行う

○低炭素社会実現のための社会シナリオ研究

【指標・参考指標】

指標:連携・支援する自治体数、採用された政策に関する提言の数(質を考慮)、成果発表等において実施するアンケート
 (参考指標:論文発表・成果発表等の件数)

【目標】

研究成果が、国や自治体における低炭素社会づくりのための施策の企画立案等に活用されること
また、一般国民向けの成果発表等を通じ、我が国国民に低炭素社会づくりの意義や具体的な方策等が理解されること

○海洋資源探査システムの実証

【指標・参考指標】

以下の目標の進捗状況

【目標】

資源探査のためのAUV等に係る技術の実証を実施する
合わせて、調査を行った海域の海洋鉱物資源の分布や資源量を明らかとする

【イノベーション創出の基盤となる最先端研究環境としての革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築】

【指標】

  • LINPACK(注1)を利用したベンチマークテスト
  • HPCIの利用者数(注2)
  (注1)スパコンの性能を測るベンチマークテストのこと
  (注2)具体については今後コンソーシアムにおいて議論

【目標】

  • 平成24年6月までにLINPACKで10ペタFLOPSを達成するとともに、平成24年11月に共用することを目指し、次世代スーパーコンピュータを開発・整備する
  • ユーザー等からなるコンソーシアムを形成し、この主導により、平成24年11月を目途に次世代スーパーコンピュータ、国内の主要スーパーコンピュータ、ストレージを用いた高度なコンピューティング環境を実現するインフラ(HPCI)を構築し、運用を開始する
  • HPCI戦略プログラムにおいて、新薬の開発やクリーンエネルギー生成の高効率化等に資する、重点的・戦略的に取り組むべき研究分野において画期的な成果を創出する
  • 次世代スーパーコンピュータ施設及び計算科学技術を先導する主要分野の中核的な機関において研究教育拠点を整備し、連携体制を構築する

【『明日に架ける橋』プロジェクト】

○産学共創基礎基盤研究

【指標】

産業界の抱える共通課題の解決に資する課題の数

【目標】

産業界における技術的課題の解決への寄与又は基盤技術の強化のための基礎的知見が得られたと評価される課題の割合が6割以上になることを目指す

○A-STEP(事業化ファストトラック・システム)

【指標】

企業化された、もしくは企業化される可能性のある課題の数

【目標】

研究開発期間終了後3年が経過した時点で、企業化された、もしくは企業化に向けて開発等を継続している課題の割合が4割以上になることを目指す

○橋渡し研究加速ネットワークプログラム

【指標】

治験、先進医療(高度医療含む)の段階へ移行、または企業へのライセンスアウトを行ったシーズの数

【目標】

各拠点において、現在橋渡し研究の支援を行っているシーズについて、平成23年度までに2課題を治験の段階まで移行させることで、成功事例を積み重ね、支援機能を確立する

○知財活用促進ハイウェイ

【指標】

大学等の保有する未利用特許のうち、ライセンス契約或いはライセンス契約前提の開発等につながった件数

【目標】

大学等の保有する国内における未利用特許について、企業や関係投資機関に新たにライセンス契約或いはライセンス契約前提の開発等につながった件数が事業開始から5年後を目処に300件/年以上になることを目指す

事業の事前評価結果

A.必要性の観点

1.事業の必要性

  • 「健康社会と成長を実現するライフ・イノベーション加速計画」
    • 再生医療の実現
       再生医療は、難病・生活習慣病等に対して、新たな治療法を実現し、患者のQOLと国民福祉の向上をもたらす先端医療である。今後は、臨床研究が明確に見据えた状況において、学術機関の研究成果と、医薬・医療技術の実用化の間に大きなギャップとして存在する「死の谷」を克服することが求められている。これを踏まえ、いち早く再生医療を実現するため、各種の規制等を見据え、有望なシーズを前臨床研究から臨床研究まで、一貫して関係省庁が緊密に連携して長期的に支援する仕組みを構築することが必要である。
       また、生命科学と数理計算科学の融合させた生命動態システム科学は、新しい治療法の有効性・安全性の予測や創薬、再生医療の開発等の画期的な発展に応用が期待されていることから、積極的に推進する必要がある。
    • 次世代がん医療の実現
       がんは日本国民の最大の死亡原因。現在では3人に1人、近い将来国民の半数が、がんにより死亡すると予測。国内の基礎的がん研究の優れた成果が、バイオベンチャーの不在等により、次世代がん医療の開発に生かされないため、(1)日本発の医薬品が上市されず欧米企業の医薬品が世界市場を席巻し、(2)日米の基礎研究に対する公的投資の格差が拡大しており、研究開発の失速、研究人材の散逸、国際競争力の低下、がん克服に向けた展望の途絶などが懸念。
    • 心の健康のための精神・神経疾患の克服
       現代社会が直面する様々な課題の克服に向けて、脳科学に対する社会からの期待が高まっている。このような状況を踏まえ、『社会に貢献する脳科学』の実現を目指し、社会への応用を明確に見据えた脳科学研究を戦略的に推進するため、重点的に推進すべき政策課題を設定し、その課題解決に向けて、研究開発拠点等を整備することが必要である。また今後は、従来からの取組に加えて、精神・神経疾患に着目し、解明することが重要である。
    • 免疫・アレルギー疾患の克服(花粉症)
       花粉症による経済損失は1.2兆円であり、花粉シーズンにおいては約9,000億円の個人消費の落ち込みが生じている、とされている(第一生命経済研究所調べ)。一方、既存の医薬品による対症療法のみでは、花粉症をはじめとするアレルギー疾患患者の治癒は困難であり、アレルギー疾患の原因究明・免疫メカニズムに基づいた根本治療となるワクチン開発が急務となっている。このような状況において、花粉症ワクチンの実用化に結びつけるため、臨床への応用研究を実施する必要がある。
  • 「環境・エネルギー大国」実現のための『グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)』
     「新成長戦略」における「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」により、高い温室効果ガス削減目標を掲げつつ我が国が成長を実現していくためには、「知の拠点」として大学が有する低炭素化社会に資する潜在能力の総合的な活用や新原理による革新的な低炭素化技術の開発など、文部科学省でしか為し得ない新たな観点から施策を講じる必要がある。
    • 大学発グリーン・イノベーション創出事業
       大学は、「知の拠点」として我が国のグリーン・イノベーションを牽引する役割を担っている。しかしながら、科学技術分野や領域毎に、(1)様々な取組が行われているが大学毎にバラバラで統一性がとれておらず非効率的であったり、(2)個々の大学単位では資源不足等のために効果的な取組が行われていないなどの問題がある。これらの問題を解決し、「知の拠点」として大学等が持つ総合的かつ多様なポテンシャルを最大限に活かすことにより我が国のグリーン・イノベーションの加速を図るため、本事業を新たに実施する。
       本事業は、大学の知の統合化により、地方公共団体や住民のニーズにも対応した地域貢献が可能であり、長期的な戦略として展開することにより、着実にグリーン・イノベーションの創出に繋がることが期待される。
    • 先端的低炭素化技術開発事業
       現時点で既に原理・概念が実証されロードマップに沿って研究開発が進められている将来の効果の見通しがある程度予見できる技術を開発するだけでは、将来の温室効果ガスの大幅な削減はもちろん、我が国技術の国際競争力の維持・強化や我が国技術の国際展開による成長を実現することは不可能である。このため、現時点では未知の新たな科学的・技術的概念を引き出し、発展させ、ブレークスルーを実現するための研究開発を実施する必要がある。なお、総合科学技術会議の「平成23年度科学・技術重要施策アクション・プラン」(平成22年7月)において、本事業は革新技術や将来のブレークスルーを生み出す目的基礎研究を実施するための重要施策と位置づけられている。
    • 低炭素社会実現のための社会シナリオ研究
       我が国は、「新成長戦略」等において、2020年までに25パーセント、2050年までに80パーセント(1990年比)のCO2排出削減目標を掲げているが、その具体的な道筋は必ずしも明らかでなく、「どのような技術・システムをどう開発し、実用化していくか。またその経済性をどう成り立たせるのか。」との問いに答えられるような技術の研究開発と普及に関する定量的なシナリオを描くことが重要。また、描いたシナリオが実現可能な社会を設計し、持続性を確保する経済モデルを占めることが必要である。このため、二酸化炭素排出削減に係る新技術や研究開発動向にも着目しつつ、環境エネルギー技術体系、産業構造、社会構造、生活様式等の相互関連や相乗効果の検討等を行うことによって、持続可能で活力ある低炭素社会の実現に向けた社会システム改革や研究開発の方向性を提示する社会シナリオ研究を集中的に実施する必要がある。
    • 海洋資源探査システムの実証
       資源のほぼ全てを輸入に依存する「資源小国」である我が国において、海洋資源の探査・開発の加速は喫緊の課題であるが、商業化する際に必要な賦存量の把握技術は不十分であるため、探査技術の開発・高度化が必要である。
  • 「イノベーション創出の基盤となる最先端研究環境としての革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」
     計算科学技術は、理論、実験に並ぶ第3の科学技術の方法と言われており、未到科学の探究(宇宙創成の解明や生命現象の理解など)や安全・安心な社会の構築(地震や津波の伝播予測に基づく影響評価、台風の進行経路予測など)、産業競争力の強化(自動車や半導体の開発など)にとって必要不可欠な技術であることから、ライフサイエンス、ナノテクノロジー・材料、地球環境、防災、原子力、航空・宇宙等あらゆる分野において、スーパーコンピュータの利用に対する強い要望がある。
     またHPCIの構築に関しては、平成22年5月に取りまとめられた「HPCIとこの構築を主導するコンソーシアムのグランドデザイン」に基づき、コンソーシアムが主導して推進する。このグランドデザイン策定に当たり実施した意見募集及び意見交換会において、「我が国が継続的にスパコンを開発することが極めて重要」、「分野を超えた連携や取組が期待できるため、HPCIで全国のスパコンが連携することは非常に意義がある」などのご意見を頂き、ユーザーからも支持されている。
     世界トップクラスの性能を有するスーパーコンピュータやその他の主要計算資源をユーザーが容易に利用できる環境を構築することにより、我が国の科学の発展、産業競争力の強化に大きく資するとともに、ライフイノベーションやグリーンイノベーション創出の基盤となることが期待される。また、このような研究基盤の整備は、計算科学技術に関する人材育成や利用者の拡大にも貢献するものであるため、HPCIを構築することが必要。
  • 「『明日に架ける橋』プロジェクト」
    • 産学共創基礎基盤研究
       従来の産学連携に関しては、大学の研究成果が前提となるため、企業は欲しい技術が見つからない場合、自前主義にこだわり国際競争に出遅れるなどの問題が生じていた。このため、産学の対話により産学連携の領域を基礎研究領域まで拡大させることで、産業界における技術的課題解決の基盤強化や産業界からの刺激による大学等の基礎研究の活性化、個別の戦略に基づく応用分野での共同研究への派生など、多様な効果の創出が期待されるとともに、本事業により企業におけるオープン・イノベーションが促進されることで、我が国民間企業の研究開発投資の効率性が向上し、我が国の国際競争力強化につながると考えられることから、本事業の必要性は極めて高い。
    • A-STEP(事業化ファストトラック・システム)
       これまでのA-STEPによる支援の対象となっている案件は、技術的要素について、専門家から高評価を得て採択されているものであるが、研究開発支援が中心であり、経営上の支援(ガバナンスや経営理念、戦略等)が十分ではない現状がある。これらの案件について、経営上の助言と十分な投資の能力を有する関係投資機関と協調連携し、研究開発と事業経営の両側面からの支援を行うことで、上記課題を解決できれば、大学等の成果の社会還元が大幅に加速されると考えられることから、本事業の必要性は極めて高い。
    • 橋渡し研究加速ネットワークプログラム
       平成21年度に行った「橋渡し研究支援推進プログラム」の中間評価において、「本プログラムの成果は、十分な水準に達しており高く評価できる」とされており、橋渡し研究を支援していくための基盤整備は順調に進捗している。他方、橋渡し研究に対する期待はプログラム開始当初以上に高まっており、本事業の必要性は極めて高い。
    • 知財活用促進ハイウェイ
       大学等の保有する特許については、その利用率が20パーセント程度にとどまっており(全体平均50パーセント)、その維持費用の負担が問題になっている。一方、大学等の特許については、単体での活用は困難という実情があり、関連技術の特許を含めて集積してポートフォリオ化し、特許の価値を高める必要がある。関係投資機関の知財ファンド等と事業主体であるJSTの機能を連携させることにより、特許の価値を高め、優れた大学等特許の事業活用が加速されると考えられることから、本事業の必要性は極めて高い。

2.行政・国の関与の必要性

 目標達成型のイノベーション実現のための施策パッケージである。2020年までにライフ、グリーンの分野で我が国の強みを活かした成長を実現するためには、我が国最高水準の「知」と「人材」を結集し、短期間に集中的な投資を行う必要があるので、行政・国の強力なリーダーシップと関与が必要である。また、省庁横断的事業、制度改善の実施などは、現場レベルではなく行政・国が主導して実現する必要がある。

  • 「健康社会と成長を実現するライフ・イノベーション加速計画」
    • 再生医療の実現
       これまでに得られた基礎研究の成果をもとに、早期に再生医療の実現するためには、研究開発段階から厚生労働省や経済産業省等の関係府省庁及びその事業実施者との役割分担や連携が不可欠であるため、国の関与のもと、主体的に連絡・調整を図っていく必要がある。
       また、「新たなライフサイエンス研究の構築と展開」を踏まえ、世界的に新たな研究の潮流となっている生命動態システム科学研究を、我が国の優位性を活かした国全体での研究推進体制を構築・支援していく必要がある。
    • 次世代がん医療の実現
       平成22年7月に策定された「がん研究の現状と今後のあり方について」を踏まえ、革新的な基礎研究の成果を一刻も早く予防・診断・治療法の開発につながる仕組みの構築が、政府として重要な任務である。
    • 心の健康のための精神・神経疾患の克服
       脳科学に対する高い社会的な期待や関心に応えるため、「社会に貢献する脳科学」の実現を目指して、社会への応用を明確に見据えた脳科学研究の戦略的な推進が必要である。第1次答申を踏まえ、科学的・社会的意義が高い脳科学研究を効果的に推進するために、学際的・融合的な研究領域が確立できるような研究体制・研究組織を国の政策誘導のもとで整備する必要がある。
    • 免疫・アレルギー疾患の克服(花粉症)
       多くの国民が花粉症を発症し、大規模な経済損失が生じているといわれているなど、花粉症の根本的治療法が開発されることは大きな国益をもたらすことが予想される。一方で、アレルギー治療の実用化を阻んでいる課題があり、産業界が容易に花粉症ワクチンの開発に参入できない状況である。このような状況を踏まえ、産業界がワクチンの開発を行うことを可能とするための応用研究を実施するために、国が支援を行う必要がある。
  • 「環境・エネルギー大国」実現のための『グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)』
    • 大学発グリーン・イノベーション創出事業
       大学は個々が様々なミッションを有する独立した組織であり、大学における必要性を超えてグリーン・イノベーションに資する事業に集中投資をする積極的な動機はない。また、大学においては、教員の発意によって人材育成、研究開発、国際協力などグリーン・イノベーションに関する様々な活動が行われているが、大学全体の活動の一部に過ぎず、大学を超えた研究者同士の連携や協働作業などが十分に行える体制はない。このため、グリーン・イノベーションによる我が国の成長ために効果的な大学の事業に対して、国が補助することにより、我が国のグリーン・イノベーションに資する大学の潜在能力を引き出す必要がある。
    • 先端的低炭素化技術開発事業
       従来技術の延長線上になく、技術開発や実用化の見通しが立たない新概念に基づく等のリスクの高い研究開発については、国の資金によって研究開発を実施する必要がある。
    • 低炭素社会実現のための社会シナリオ研究
       二酸化炭素排出削減の目標とそれを実現するための社会シナリオについては、環境省や経済産業を含めセクター間の見解の相違が見られる。このため、国際約束や産業政策から中立・客観的な立場で、科学技術・学術の振興を所管する文部科学省において、低炭社会実現のめのシナリオ研究を実施し、その結果を広く提示することが必要である。
    • 海洋資源探査システムの実証
       「海洋基本計画」「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」も指摘しているとおり、海洋におけるエネルギー・鉱物資源の開発は、民間企業にとりリスクが高く、技術的な困難も伴うため、基礎調査や技術開発等について、国が先導的な役割を担う必要がある。
  • 「イノベーション創出の基盤となる最先端研究環境としての革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」
     HPCI検討ワーキンググループにおいて検討し、文部科学省として平成22年5月に決定したHPCI グランドデザインにおいて、ユーザー機関等からなるHPCI コンソーシアムについて国の適切な関与のあり方が課題として挙げられている。HPCIの構築や運営をユーザー等からなるコンソーシアム主導にするという進め方は、利用者視点の新しいプログラムの進め方として期待されているが、この新しい進め方を有効かつ円滑に機能させていくために適切な国の関与が必要となることから、HPCIの構築に当たり、文部科学省内に外部有識者からなるHPCI計画推進委員会を設置し、HPCIに関する国としての必要事項の調査・検討やHPCIコンソーシアムからの具体的提案についての評価等を、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会情報科学技術委員会と連携しながら進めていく。
     また、本事業については、HPCIを利用した研究開発成果が元気な日本の復活を先導し、世界に先駆けた多様な成果を創出し、グリーンイノベーションやライフイノベーション等に貢献することが期待されることから、平成23年度概算要求において、要望枠として要求する。
  • 「『明日に架ける橋』プロジェクト」
     基礎研究によって生まれる成果の将来への波及的効果は大きいだけでなく、研究成果の実用化の促進のためには、実用化に結びついていない課題への積極的な投資による、研究開発段階の死の谷の克服が重要である。しかしながら、民間企業においては、基礎研究に対する投資や、製品化が約束されていない段階の課題への投資はリスクが大きく、過小投資となってしまうため、国としての支援が必要不可欠である。
     当プロジェクトの取組として挙げられている、「知」のプラットフォームの構築、関係投資機関との連携による支援の実施、ライフ・イノベーション創出の推進は「新成長戦略」においても今後取り組むべき課題として位置づけられている経済効果・雇用創出効果の大きいものであり、当プロジェクトは要望枠での予算要求に相当する。

3.関係する施政方針演説、審議会の答申等

  • 「健康社会と成長を実現するライフ・イノベーション加速計画」
    • 再生医療の実現
      新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)第3章(2)ライフ・イノベーションによる健康大国戦略、成長戦略実行計画(工程表)2 健康大国戦略 3.新たな医療技術の研究開発・実用化促進、5 科学・技術・情報通信立国戦略 3.基礎研究の強化とイノベーション創出の加速、新たなライフサイエンス研究の構築と展開(平成21年12月7日ライフサイエンス委員会)P4、P17、iPS細胞研究ロードマップ(平成21年6月24日 文部科学省)「2.目標」、iPS 細胞(人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略 改訂版(平成21年1月20日 文部科学大臣決定)、iPS細胞研究の推進について(第一次とりまとめ)(平成20年7月 総合科学技術会議iPS細胞研究WG)、iPS 細胞(人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略の具体化について(平成20年3月18日 文部科学大臣決定)、iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略(平成19年12月20日 文部科学省)、第3期科学技術基本計画 「分野別推進戦略」(平成18年3月 総合科学技術会議決定)「疾患診断法、創薬や再生医療、個人の特性に応じた新規医療技術の研究開発などについて、国民へ成果を還元する臨床研究・臨床への橋渡し研究を強化する。」P14
    • 次世代がん医療の実現
      第3次対がん10か年総合戦略(平成15年7月25日文部科学大臣及び厚生労働大臣策定)別紙P2、がん対策推進基本計画(平成19年6月15日閣議決定)P35、新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)P18、平成23年度科学・技術重要施策アクションプラン(平成22年7月8日総合科学技術会議決定)P32~34
    • 心の健康のための精神・神経疾患の克服
      新成長戦略(平成22年6月18日 閣議決定)5 科学・技術・情報通信立国戦略 ~知恵と人材とあふれる国・日本~(2) 3.基礎研究の強化とイノベーション創出の加速、新たなライフサイエンス研究の構築と展開(平成21年12月7日ライフサイエンス委員会)P3、長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について(第1次答申)(平成21年6月23日 科学技術・学術審議会)別表:ロードマップP19及び「2.我が国における脳科学研究の基本構想」P20~40、第3期科学技術基本計画 分野別推進戦略(平成18年3月 総合科学技術会議決定)1 ライフサイエンス分野 2.重要な研究開発課題 (1)重要な研究開発課題の選定P9
    • 免疫・アレルギー疾患の克服(花粉症)
      新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定) 第3章(2)ライフ・イノベーションによる健康大国戦略P18
  • 「環境・エネルギー大国」実現のための『グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)』
    第174回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説(平成22年6月11日)、第174回国会における鳩山内閣総理大臣施政方針演説(平成22年1月29日)、第173回国会における鳩山内閣総理大臣所信表明演説(平成21年10月26日)、国連気候変動首脳会合における鳩山総理大臣演説(平成21年9月22日)、新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)P15~17、P29~P30、P38~P39、工程表「1 環境・エネルギー大国戦略」、平成23年度科学・技術重要施策アクション・プラン (平成22年7月科学技術政策担当大臣、総合科学技術会議有識者議員)P7~P24、文部科学省低炭素社会づくり研究開発戦略」(平成21年8月文部科学大臣決定)、地球環境科学技術分野の研究開発課題の事前評価結果(平成22年8月科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会)
  • 「イノベーション創出の基盤となる最先端研究環境としての革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」
    第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日総合科学技術会議)P13~P15、「分野別推進戦略」P69、新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)P16、P29、P30、P47、(別表)成長戦略実行戦略(工程表)「5 科学・技術・情報通信立国戦略」、新たな情報通信技術戦略(平成22年5月11日)P11、P12、[工程表(平成22年6月22日)P49、P50]
  • 「『明日に架ける橋』プロジェクト」
    • 産学共創基礎基盤研究
      新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)P49、(別表)成長戦略実行計画(工程表)「5 科学・技術・情報通信立国戦略」「4.産学官連携、地域イノベーション、知財活用」「世界的な産学官連携拠点の構築」「「知」のプラットフォームの構築」、科学技術基本政策策定の基本方針(平成22年6月16日基本政策専門調査会決定)P17、知的財産推進計画2010(平成22年5月21日知的財産推戦略本部決定)P2、P5、P27、P28、具体的な取組15、16
    • A-STEP(事業化ファストトラック・システム)
      新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)(別表)成長戦略実行計画(工程表)「V 科学・技術・情報通信立国戦略」「3.基盤研究の強化とイノベーション創出の加速」「イノベーション創出に必要な研究・実証・成果普及上の規則・制度・体制の整備」「革新的技術分野に関する官民連携や省庁連携を含めた資金供給の円滑化」「関係投資機関との連携による技術系ベンチャー支援の検討・実施」、科学技術基本政策策定の基本方針(平成22年6月16日基本政策専門調査会決定)P16
    • 橋渡し研究加速ネットワークプログラム
      第3次対がん10か年総合戦略(平成15年7月25日文部科学大臣及び厚生労働大臣策定)別紙P2、分野別推進戦略(平成18年3月28日総合科学技術会議決定):1 ライフサイエンス分野 P13~15、がん対策推進基本計画(平成19年6月15日閣議決定)P35、革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略(改訂)(平成19年4月26日文部科学省・厚生労働省・経済産業省決定、平成20年5月23日改訂)P2~3、8、全文、健康研究推進戦略(平成21年7月31日健康研究推進会議策定):全文、新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)P18、平成23年度科学・技術重要施策アクションプラン(平成22年7月8日総合科学技術会議決定)P32~34
    • 知財活用促進ハイウェイ
      新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)P29、(別表)成長戦略実行計画(工程表)「V 科学・技術・情報通信立国戦略」「3.基盤研究の強化とイノベーション創出の加速」「イノベーション創出に必要な研究・実証・成果普及上の規則・制度・体制の整備」「革新的技術分野に関する官民連携や省庁連携を含めた資金供給の円滑化」「関係投資機関との連携による技術系ベンチャー支援の検討・実施」、「科学技術基本政策策定の基本方針」(平成22年6月16日総合科学技術会議基本政策専門調査会決定)P20

B.有効性の観点

目標の達成見込み

  • 「健康社会と成長を実現するライフ・イノベーション加速計画」
    • 再生医療の実現
       各種の規制等(薬事法、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針等)を見据え、有望なシーズを前臨床研究から臨床研究まで、一貫して関係省庁が緊密に連携して支援する体制を構築することにより、学術機関の成果を、より効率的に医薬・医療技術の実用につなげることが可能となる。
       また、生命動態システム科学では、広範な分野の研究者・研究機関が参画するための仕組みとして、オープンプラットフォームプログラムを立ち上げ、オールジャパンの研究拠点として活動を展開することにより、目標の達成が見込まれる。
    • 次世代がん医療の実現
       「がん研究の現状と今後のあり方について」において、革新的シーズを継ぎ目なく橋渡し研究に繋げる仕組みが提言され、それを踏まえて革新的シーズ育成体制を構築することにより、多くの革新的な基礎研究の成果を効率的かつ速やかに臨床研究の段階へ移行させていく見込みがある。
    • 心の健康のための精神・神経疾患の克服
       「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について(第1次答申)」を踏まえ、「社会に貢献する脳科学」を目指した研究開発拠点等の整備及び政策課題対応型研究の進捗により、蓄積された知見、技術を活用し、精神・神経疾患の早期診断の実用につながると期待される。
    • 免疫・アレルギー疾患の克服(花粉症)
       これまでに理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターでは、花粉症予防・治療ワクチンの基盤技術開発を推進し、特許技術を有するワクチンの安全性/有効性判定システムの確立や、新規治療法の開発を行なっており、目標を達成できる見込みである。
  • 「環境・エネルギー大国」実現のための『グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)』
    • 大学発グリーン・イノベーション創出事業
       大学においては、既に様々な形でグリーン・イノベーションに資する活動を行っており、活動間の連携や成果や効果の持続性を確保するため、社会貢献や国際競争に対して意識の高い多くの教員や大学経営者が、本事業の実施を渇望しており、既に自主的な準備活動を行っている研究コミュニティも存在する。このため、本事業は、極めて実現性が高く効果的である。
    • 先端的低炭素化技術開発事業
       競争的環境により多数の提案の中から優れた研究課題を選定し、技術の実用化に向けた適切なマネジメントとステージゲート方式による厳正な評価を実施することにより、2020年までに革新的な技術が複数育成され、企業への技術移転が可能となることが十分期待できる。
    • 低炭素社会実現のための社会シナリオ研究
       本事業は、科学技術振興機構に新たな組織(「低炭素社会戦略センター(センター長:小宮山 宏 前東京大学総長)」)を設置し、著名な研究者や意欲的な若手研究者を集めて実施している。このため、今後提示される研究成果(社会シナリオ)は、客観性・信頼性が高く、国や自治体の政策立案等に資する有効なものになると期待される。
    • 海洋資源探査システムの実証
       海洋研究開発機構は、自律型無人探査機「うらしま」を用いた海底の微細な地形の把握等、海洋に関する基盤技術開発と深海の科学的調査について多くの実績を有しており、これら目標を達成することは十分に可能であると見込まれる。
  • 「イノベーション創出の基盤となる最先端研究環境としての革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」
     平成21年度実績評価に記載のとおり、システム開発については詳細設計を終了し、施設整備についても建設は順調に進展するなど、次世代スパコンの開発・整備について着実に進んでいる。
     また、HPCI戦略プログラムへの統合後も、ソフトウェアの研究開発に関して、次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェア及び次世代生命体統合シミュレーションソフトウェアの研究開発を引き続き実施するとともに、各戦略分野における研究開発に関して、FS(フィージビリティ・スタディ)を開始するなど、プログラムの本格開始に向けて順調に進捗していることから、目標達成は可能と見込まれる。
     また、HPCIの構築については、平成22年5月にグランドデザインを取りまとめ、HPCIの構築を図っているところ。
  • 「『明日に架ける橋』プロジェクト」
    • 産学共創基礎基盤研究
       本事業においては、産業界が積極的に関与し、産学の対話を行いながら、企業単独では対応困難な産業界全体で取り組むべき技術的課題の解決に資する基礎研究を大学等が推進し、当該研究の成果を通じた産業界における技術的課題の解決及び産業界の視点や知見の大学等へのフィードバックを促進するため、目標を達成できるものと見込まれる。
    • A-STEP(事業化ファストトラック・システム)
       課題採択段階の研究開発計画の最適化、開発初期段階から実用化開発までの切れ目のない進捗管理・指導や、ステージゲート法による効果的かつ簡便な評価システム等に加え、新たに導入する関係投資機関との連携により、効果的な研究支援が行えることから、目標を達成できるものと見込まれる。
    • 橋渡し研究加速ネットワークプログラム
       平成19~23年度の計画で実施している橋渡し研究支援拠点整備については、当初の計画に沿った人材の確保が進むなど、体制が整いつつある。また、平成23年度末までに、各拠点とも最低2件のシーズを治験まで到達させることを目標としているが、既に全体で4件のシーズが治験を開始したほか、企業へのライセンスアウト10件、先進医療3件(平成22年8月時点)等、着実に出口に向かった研究開発が推進されている。
       平成23年度より、拠点を中心としたネットワークを整備することで、これまでの拠点による点としての支援から、ネットワークを通じた面としての支援が可能となり、有望な基礎研究シーズを革新的医療としてより迅速に実用化していくための機能が強化されるため、成功事例の積み重ねによる橋渡し支援拠点の機能の確立が達成できるものと見込まれる。
    • 知財活用促進ハイウェイ
       JSTや大学等の保有特許のうち、3,000件以上を収集し、新たにポートフォリオ分析・パッケージ化する。そのうち、50件程度を特許群強化技術として選定し、周辺特許を追加する等のための特許補強費を支援する。また、実用化のためにデータの補強や試作が必要な技術100件程度を選定し、新たに実用化データ補強費を支援する。これらの支援を行ったものも含め、知財ファンド等に紹介し、利用を促す予定である。複数の大学等の特許をパッケージ化すること及びそのパッケージの有用性を高める効果的な費用支援により、企業による実用化検討の着手のハードルが下がり、ライセンスに結びつくなど、未利用特許の利用促進が期待されることから、達成できるものと見込まれる。

C.効率性の観点

1.インプット

  • 「健康社会と成長を実現するライフ・イノベーション加速計画」
    • 再生医療の実現 5,000百万円
    • 次世代がん医療の実現 3,800百万円
    • 心の健康のための精神・神経疾患の克服 2,000百万円
    • 免疫・アレルギー疾患の克服(花粉症) 500百万円
  • 「環境・エネルギー大国」実現のための『グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)』
    • 大学発グリーン・イノベーション創出事業 5,000百万円
    • 先端的低炭素化技術開発事業 4,500百万円
    • 低炭素社会実現のための社会シナリオ研究 500百万円
    • 海洋資源探査システムの実証 3,000百万円
     
  • 「イノベーション創出の基盤となる最先端研究環境としての革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」 39,800百万円
  • 「『明日に架ける橋』プロジェクト」
    • 産学共創基礎基盤研究 2,000百万円
    • A-STEP(事業化ファストトラック・システム) 9,000百万円
    • 橋渡し研究加速ネットワークプログラム 3,000百万円
    • 知財促進ハイウェイ 700百万円

2.アウトプット

  • 「健康社会と成長を実現するライフ・イノベーション加速計画」
    • 再生医療の実現
      iPS細胞等幹細胞を用いた研究開発について、関係省庁が協働して支援を実施する仕組み(再生医療の実現化ハイウェイ)の構築等により、早期に再生医療が実現する。
    • 次世代がん医療の実現
      多くの革新的ながんの基礎研究のシーズを、臨床研究へと研究を加速させる仕組みが構築される。
    • 心の健康のための精神・神経疾患の克服
      精神・神経疾患の発生の仕組みを究明することで、早期診断・予防・治療法の開発につながる。
    • 免疫・アレルギー疾患の克服(花粉症)
      安全性・有効性等の課題を解決し、ワクチンを実用化に結びつける
  • 「環境・エネルギー大国」実現のための『グリーン・ナレッジ・イニシアティブ(緑の「知」結集計画)』
    • 大学発グリーン・イノベーション創出事業
      • グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE)の構築
        低炭素化技術などの各分野において人材育成と研究開発のための大学間のネットワークが構築され、我が国の国際競争力を支える優れた人材と研究成果が生み出される。
      • 「緑の知の拠点」事業
        大学キャンパスを活用した実証試験等を通じて、新技術・新システムの創出・実用化が加速される。さらに、実証された技術やシステムの水平展開により大学の二酸化炭素排出量が削減される。
      • 人材による我が国の環境技術の国際展開
        我が国の優れた環境技術が海外に普及することにより、我が国の経済成長に繋がる。また、技術の普及を通じて新たな人材育成や国際ネットワークが構築され、それがまた次の技術展開に繋がる。
    • 先端的低炭素化技術開発事業
      温室効果ガスの大幅削減に資する革新技術の創出と企業への技術移転等による当該技術の世界的普及。さらに、これによる我が国の経済成長。
    • 低炭素社会実現のための社会シナリオ研究
      客観的かつ科学的な低炭素社会実現のためのシナリオとそれに必要な技術開発と社会システム改革の方向性を提示することによる、低炭素化社会実現に向けた関係者の効果的・効率的な取組の実現。
    • 海洋資源探査システムの実証
      効果的・効率的な海底資源探査技術の開発・実証及び海底鉱物資源の成因や海底下の構造の解明等の科学的知見の獲得による海洋資源の確保。
  • 「イノベーション創出の基盤となる最先端研究環境としての革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」
     次世代スパコンを開発・整備することにより、我が国の科学技術における研究力・競争力強化の基盤を確立する。
     また、コンソーシアムを形成し次世代スパコンと国内の計算資源を連携して利用するためのHPCIの構築を図ることにより、世界に先駆けた研究環境や成果の創出を実現する。
  • 「『明日に架ける橋』プロジェクト」
    • 産学共創基礎基盤研究
       産学の対話の下、産業界の共通する技術的課題の解決に資する基礎研究を大学等が行うことにより、産業界における技術的課題の解決が加速するとともに、産業界の視点や知見を基礎研究での取組にフィードバックすることで、大学等の基礎研究が活性化し、オープン・イノベーションが促進される。
    • A-STEP(事業化ファストトラック・システム)
       関係投資機関との連携により、大学等のシーズに基づくベンチャー起業、大学との共同研究開発を進める企業の更なる民間資金の獲得、事業化等が促進される。
    • 橋渡し研究加速ネットワークプログラム
       拠点において支援している橋渡し研究について、ヒトに対する安全性・有効性などの概念の証明(POC:Proof of Concept)の取得や、橋渡し研究ネットワークの整備が促進される。
    • 知財活用促進ハイウェイ
       年間300件の大学等やJSTの未利用特許の利用が期待され、特許利用率の上昇が見込まれる(年間7,000件の出願があるとすると約4パーセント上昇)。

今後の方針及び外部評価・有識者委員からの指摘等

 計画のとおり実施していくことが適当。なお、その際、この事業が、大学等の研究成果を他省庁の事業にもうまくバトンタッチされている取組の先駆けとなるよう配慮していくことも重要。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年09月 --