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1-5.「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ【施策目標4-1、6-1】

平成23年度要求額:1,504,120百万円
(うち、「元気な日本復活特別枠」要望額:119,971百万円)
(平成22年度予算額:1,457,094百万円)
事業開始年度:平成23年度
事業達成年度または定期評価実施年度:平成23年度

主管課(課長名)

高等教育局高等教育企画課(義本 博司)

関係課(課長名)

高等教育局大学振興課(藤原 章夫)、高等教育局国立大学法人支援課(杉野 剛)、高等教育局学生・留学生課(松尾 泰樹)、高等教育局私学部私学助成課(小山 竜司)

事業の概要等

1.目的

 「「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ」
 「強い人材」すなわち将来にわたって付加価値を創出し、持続可能な成長を担う若年層や知的創造性(知恵)(ソフトパワー)を育成し、大学を核とした成長サイクルを形成する。

【成長を牽引する教育拠点形成事業】
 高い国際感覚を備えた人材と、卓越した専門性を備え世界を牽引するリーダーを養成する拠点を形成し、成長を力強く牽引する。

  1. 「博士課程教育リーディングプログラム」
     グリーンイノベーション、ライフイノベーション、アジア社会経済等の成長分野などで世界を牽引するリーダー(卓越した専門性、広範な知識、豊かな教養とリーダーシップを備えた博士人材)を養成するため、一貫した学位プログラムとしての国際標準の博士課程教育の構築、企業等との連携によるキャリアパスの確立、学生の国際性を涵養するグローバルな教育活動など、大学院教育に関する卓越した取組を実施する「リーディング大学院」を形成する。
  2. 「大学の世界展開力強化事業」
     「新成長戦略」を踏まえ、外国人学生・日本人学生の垣根を越えた協働教育、外国人学生の戦略的受入れ、日本人学生の留学・研修、海外交流等の機会の提供を強化し、「新成長戦略」が掲げる「海外への日本人学生等の留学・研修等の交流30万人、質の高い外国人学生の受入れ30万人」の達成に貢献。「キャンパス・アジア」構想(注)の牽引役となる交流拠点を形成や米国等の大学との協働教育プログラムの開発を支援することにより、日本人学生とアジア・米国等の外国人学生の双方向交流を推進。
    (注)キャンパス・アジア構想…「日中韓サミット」(平成21年10月)の三カ国首脳合意に基づき、三カ国の大学間で単位認定や成績管理、学位授与等を一定の共通性の下で行う構想。
  3. 「学生の双方向交流の推進」
     「大学の世界展開力強化事業」に選定された大学等に交流経費を措置し、日本人学生と外国人学生の双方向交流を推進する。特に学部並びに大学院の日本人学生を海外で切磋琢磨させることにより、国際社会で広く活躍できる人材の基盤を形成する。

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

  1. 国立大学の教育研究基盤強化
     国立大学法人は、我が国の学術研究と研究者等の人材養成の中核的機関としての機能を担うほか、本年6月に閣議決定された「新成長戦略」の実現に向けて「成長の牽引役」としての機能も期待されている。
     各国立大学法人が各々の中期目標及び中期計画に定められた教育研究活動等を継続的・安定的に実施するとともに、「新成長戦略」に掲げられた戦略分野の実現に向けた取組を推進するためにも、成長の土台となる教育研究基盤を強化するため、運営費交付金を措置することが必要である。
     また、国立大学法人が第二期中期目標期間を迎えたことを契機として取りまとめた「国立大学法人化後の現状と課題について(中間まとめ)」においても、運営費交付金は各法人の日常的な教育研究活動を支える基盤的経費として依然、極めて重要な役割を果たしているものの、法人化以降の減少により深刻な影響を懸念する意見も多く、今後は従来以上に各国立大学法人が教育研究を確実に実施できるよう、所要額の確保に努めるとともに、新たな政策課題への対応のための経費の拡充に努めることとしている。
  2. 私立大学の教育研究基盤強化
     私立大学等は我が国の大学及び大学生の約8割を占めており、また、建学の精神に基づく多様な人材育成や特色ある教育研究の展開を担うなど、我が国の高等教育の質・量両面にわたる発展に重要な役割を果たしている。
     私立大学等の質の高い教育研究活動を支援するとともに、「新成長戦略」を踏まえ、私立大学等のマネジメント改革を伴った組織的な取組の定着を図る。

2.事業に至る経緯・今までの実績

 高等教育機関、とりわけ大学は、我が国の高度な教育と研究の中核を担っており、幅広い教養と、各学問分野の専門的知識・能力を有する人材の育成に重要な役割を果たしている。
 国立大学は、その存立基盤や制度的特色に照らして、(1)人文社会から自然科学分野にわたる世界最高水準の教育研究の推進や大規模の施設・設備を要する研究、(2)社会的な需要は必ずしも多くなくとも多様な価値観を創造する学問の承継・発展、(3)教員、医師等の社会的要請に応じた計画的な人材養成、(4)全国的な高等教育の機会均等の確保、(5)地域の産業界等と連携して地域活性化を図る知的拠点の中核などの役割・機能を主な使命として担っている。
 私立大学は、建学の精神に基づく特質を活かした教育研究を担うなど、我が国の高等教育の質・量の両面にわたる発展に貢献してきた。その上で、基礎・応用・開発の幅広い研究、社会の先端的動向を先取りした教育内容・方法の開発,地域から国際社会まで多様な舞台で活躍する人材養成など、私立大学は、極めて多様な教育研究を展開しており、公教育の重要な一翼を担い、高い公共性と社会的責任を有している。
 国から大学への財政支援は、大学の教育研究活動を継続的・安定的に支える基盤的経費(国立大学法人運営費交付金、私学助成等)に加えて、国公私立大学を通じた競争的な環境下で、大学の組織的な教育改革に関する新たな取組や、社会的要請に対応した取組への財政支援を行っている。
 基盤的経費と国公私立大学を通じた大学教育改革に関する支援は、両者あいまった支援方策(デュアル・サポート)として、教育の質保証・向上や個性・特色の明確化と機能別分化を促すために重要な役割・機能を果たしている。

【成長を牽引する教育拠点形成事業】

  1. 「博士課程教育リーディングプログラム」
     知識基盤社会が進展する中、国際競争力を強化するためには、イノベーションを生み出し社会に新たな価値を創造する人材や、膨大な知識の中から全体を俯瞰し、高度な地球規模の課題の解決のために国際社会でリーダーシップを発揮する人材が不可欠となっている。
     このような中、先進主要国やアジア諸国においては、国際競争力の強化のために博士号取得者を増加させ、世界から優秀な人材を獲得しており、既に、世界の研究・ビジネスの場では、博士号を保有していることが、高度な専門性に裏付けられた資質能力を有する証として、必須要件になりつつある。
     我が国ではこれまで、「21世紀COEプログラム」、「グローバルCOEプログラム」、「組織的な大学院教育改革推進プログラム」等の支援策の実施などにより、大学院教育の実質化をはじめとする改革が着実に進展し、多くの成果が上がっている。しかしながら、博士号取得者の質を保証するための学位プログラムとしての博士課程教育が確立されておらず、博士のキャリアパスが不明確となっており、他の主要国と比較して、博士号取得者が少ない状況である。
     人口減少期を迎え、人材こそ成長と発展の鍵となる我が国にとっては、この世界的な潮流から乗り遅れている深刻な事態を打破し、社会からの大学院生に対する評価の向上、博士課程への優れた人材の結集、博士号取得者のキャリアパス確立、という好循環を作り出す必要がある。
  2. 「大学の世界展開力強化事業」
  3. 「学生の双方向交流の推進」
     現状では、外国人学生の受入れ支援に偏り、外国語教育の強化等、日本人学生の国際化への支援が不十分である。また、日本人学生がアジアをはじめとする海外において研鑽を積む機会の提供が不十分であることが課題となっている。併せて、大学教育自体の一層の国際化が必要。現在、「日中韓サミット」(平成21年10月)の三カ国間首脳合意に基づき、三カ国の大学間で単位認定や成績管理、学位授与等を一定の共通性の下で行う「キャンパス・アジア」構想が進展しており、これに取り組む大学への支援が必要である。

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

  1. 国立大学の教育研究基盤強化
     国立大学法人運営費交付金は、平成22年度予算として1兆1,585億円を計上しているが、法人化時の平成16年度と平成22年度を比較すると約830億円の減額となっており、今後の成長の土台となる日常的な教育研究活動を支える各大学の教育研究基盤の維持が困難になりつつある。
  2. 私立大学の教育研究基盤強化
     経済成長等による国民の進学希望の急速な高まりにともない、私立大学等の教育研究の充実向上を図り、学校経営の健全化・安定化に寄与するため、昭和51年には私立学校振興助成法が施行され、私立大学等自身の努力と、私立大学等経常費補助により、教員学生比率の改善等、教育条件の改善等が図られてきた。

3.概要

 「「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ」
 「成長の土台となる教育研究基盤強化事業」により、我が国の成長を支える国立大学及び私立大学の教育研究基盤の強化を図る。
 国立大学及び私立大学の強化された教育研究基盤を基礎としつつ、「成長を牽引する大学教育拠点形成事業」により、国際標準の博士課程教育を実施する「リーディング大学院」の形成など、世界的な視野に立った教育拠点の形成を図る。
 両事業の実施により、我が国の成長の原動力としての機能を、大学がより一層発揮できるようにする。

【成長を牽引する教育拠点形成事業】

  1. 「博士課程教育リーディングプログラム」
     「リーディング大学院」を形成するため、高度な教育研究基盤を有し、グローバルな教育活動で実績ある大学の大学院博士課程教育に関する卓越した取組(教育拠点プログラム)に対して、以下の3タイプに分類し、最大7年間、重点的に支援する。
    • タイプ1(オールラウンド型)
      • グローバルな知識社会を見通し、社会を拓く新たな価値を創造し、国内外の各界を牽引するグローバルリーダーを、大学の叡知を結集し養成
      • 国内外の多様な分野の優秀な学生を選抜し、異なる背景の学生が混ざり活発に切磋琢磨する環境の下、文理統合型のコースワークにより、人文・社会科学、理学・工学、生命科学の体系を俯瞰させ、世界、歴史、文化、生命に関わる価値軸を確立
      • 全学的な教育研究体制を構築し、分野の枠を超えた学内外の第一線の指導者による研究指導を通じて、従来の発想や手法を革新し、社会を拓く新たなビジョンやコンセプトを描き、実現に導くリーダーシップを育成
    • タイプ2(複合領域型)
      • 複数領域についての専門的知識とスキルを必要とする新しい成長分野において、イノベーションの創出を通じて新たな価値を創造し、産業界や国際機関等で世界を牽引するリーダーを養成
      • 国内外の優秀な学生を選抜し、領域横断型の体系的コースワークや研究室ローテーション等により、環境、生命、情報など人間・社会・自然が高度に絡む領域に対する俯瞰的なものの見方を育成
      • 修了試験を経て専攻分野を選択し、産業界等との連携や研究プロジェクトの企画・遂行など豊富な研究経験の実践、分野の異なる複数教員による指導体制を通じ、卓越した専門性や課題設定・解決能力等を育成
    • タイプ3(オンリーワン型)
      • 世界的にオンリーワンの教育研究資源を生かしたユニークな博士課程教育を通じ、新たな分野を拓くリーダーを養成
      • 国内外の優秀な学生を選抜し、領域横断型の体系的コースワークを展開するとともに、独自の教育研究資源を生かし、研究プロジェクトの参加等により、卓越した専門性や課題設定・解決能力等を育成
  2. 「大学の世界展開力強化事業」
     「キャンパス・アジア」構想の牽引役となる交流拠点を形成や米国等の大学との協働教育プログラムの開発を支援することにより、日本人学生とアジア・米国等の外国人学生の双方向交流を推進。
    • 「キャンパス・アジア」中核拠点支援
       東アジア共同体構想の中核となる拠点を形成するため、日中韓政府が策定するガイドラインに沿って、単位認定や成績管理、学位授与等を共通的な枠組みで行うトライアングル交流プログラムやアジアを中心とする大学との受入れ・派遣双方向での交流プログラム、外国人学生の戦略的受入れのための海外拠点における日本語教育等を実施する大学を公募により選定。
    • 米国大学等との協働教育創成支援
      米国等の大学との教養教育の共通基盤の育成、e-learningの活用による協働の専門教育の開発、ダブル・ディグリー・プログラムの拡充など新たな学びのスタイルによる協働教育プログラムの開発支援。
  3. 「学生の双方向交流の推進」
     双方向型の国際交流活動を推進するため、従来は支援対象となっていなかった3ケ月未満の派遣・受入れを支援対象に追加。

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

  1. 国立大学の教育研究基盤強化
     これまで運営費交付金の中で新たな教育ニーズに対応し、各国立大学等の個性や特色に応じた意欲的な取組を支援してきた「特別運営費交付金」について大幅な見直しを行う。具体的には、新たな取組については、原則「新成長戦略」やマニフェストに位置付けられた事項のみを認めることとし、特に「新成長戦略」の実現に大きく寄与すると考えられる以下の事項について重点的に支援する。
    1. 「新成長戦略」の実現に資する新たな教育研究プロジェクトの推進
       グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーション、先端医療、人材育成等の戦略分野に係る新たな教育研究プロジェクトを推進
    2. 世界最先端の研究を支える大学共同利用機関の新たな事業展開
       新しいステージに向けた学術情報ネットワーク(SINET)整備等の新たな事業展開を推進
    3. メディカル・イノベーション構想の実現に向けた国立大学附属病院の教育研究環境の充実強化
       メディカル・イノベーション構想を下支えする国立大学附属病院が行う、質の高い医療人の養成や新しい治療法の開発に向けた環境整備等を重点的に支援
    4. サポート体制の強化による教育研究設備の有効活用の促進
       「設備サポートセンター(仮称)」の整備による教育研究設備の有効活用を促進
    5. 特別なニーズを抱える学生の受入れ支援強化
       社会人、留学生、障害を有する学生など特別なニーズを抱える学生の受入れ支援体制の強化
  2. 私立大学の教育研究基盤強化
     新成長戦略を踏まえ、私立大学等のマネジメント改革を伴った組織的な取組の定着を図るため、以下の取組を重点的に支援する。
    • 医療(医学部の定員増への対応を含む。)、介護、教育、保育、観光、国際ビジネス、外国語、安全・安心な製品、農林水産(6次産業化)、情報通信技術等の分野の地域ニーズに沿った人材育成。
    • 社会人の就業力向上やキャリアアップに直接つながるコース等の支援。
    • 海外からの教職員・留学生の受入れや日本人学生の海外派遣によるグローバル化に対応する人材の養成環境の醸成。
    • サステイナビリティを持って人材育成や次世代イノベーションを担う大学の基盤・環境の整備や女性研究者の積極的登用、設備の共同利用を促進。
    • 大学の責任の明確化と、大学を取り巻く関係者との有機的な連携を図りながら、学校運営を適切に推進する大学を支援。

「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ

4.指標と目標

 「「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ」
 「成長を牽引する大学教育拠点形成事業」、「成長の土台となる教育研究基盤強化事業」に係る指標と目標は各々次のとおりである。

【成長を牽引する教育拠点形成事業】

1.「博士課程教育リーディングプログラム」

【指標】

  • 修了者の就職状況、修了者が採用される企業等からの評価(アンケート等により把握)
  • グローバルスタンダードな教育の実施状況(外国人教員比率、外国人学生比率、他大学出身者比率、海外の大学・企業等との交流者数など)、交流先の大学等からの評価
  • 学生の研究能力の状況(学会発表数(特に海外)、論文発表数など)
【目標】

  • 平成31年度までに、「リーディング大学院」として博士号を授与する学位プログラムを60程度構築し、当該プログラムに必要となる組織(研究科・専攻)を整備し、60研究科・専攻が、成長を牽引する博士学生を輩出できる環境を構築
  • 当該プログラムで5年間の体系的な教育を受けた博士学生が、修了後、社会のあらゆる分野で活躍

2.「大学の世界展開力強化事業」、3.「学生の双方向交流の推進」

【指標】

  • アジア、米国等海外大学との質の高い交流・教育プログラムの実施状況
    • プログラム数
    • 開発したプログラムによる交流等人数(派遣日本人学生数、受入れ外国人学生数)
    • 一定の英語能力スタンダードをクリアした日本人学生数
    • 海外大学との交流協定締結数
  • 外国人学生の戦略的受入れ及び日本人学生の海外交流の推進状況
    • 交流学生数
【目標】

  • 我が国の企業等のアジアをはじめとする海外への展開を支えるグローバル人材の養成
  • 日本人学生と外国人学生の垣根を越えた協働教育や外国大学との単位認定の拡大
  • ダブル・ディグリー等教育連携の拡大
  • 外国人学生の受入れとともに、日本人学生を海外で切磋琢磨させ、国際社会で広く活躍できる人材の基盤形成
  • 「海外への日本人学生の留学・研修等の交流30万人、質の高い外国人学生の受入れ30万人」への貢献

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

1.国立大学の教育研究基盤強化

【指標】

  • 大学院における学位授与率
  • 医師国家試験等合格者数
  • 医学部における地域枠の設定状況
  • 附属病院における治験実施件数
  • 教育研究設備の共同利用・再利用件数
  • 社会人学生、留学生、障害を有する学生の受入数
【目標】

 グリーン・イノベーションやライフ・イノベーション等に資する教育研究上の取組を推進し、国立大学等における教育研究基盤の強化を図る。

2.私立大学の教育研究基盤強化

【指標】

  • 医療、介護、教育、保育、観光、国際ビジネス、外国語、安全・安心な製品、農林水産(6次産業化)、情報通信技術等の分野での卒業者数
  • 社会人の受入れ数
  • 外国人留学生の受入れ数、日本人学生の海外派遣数
  • 大学院における学位授与率
  • 外部理事を複数化している法人数
【目標】

 成長分野で雇用に結ぶつく人材の育成や社会人学生の受入れの促進等の組織的な取組の定着を図るとともに、私立大学等における教育研究基盤の強化を図る。

事業の事前評価結果

A.必要性の観点

1.要望パッケージ全体としての必要性

 新成長戦略においては、『「強い人材」の実現が、成長の原動力として未来への投資であることを踏まえ、教育力や研究開発力に関し世界最高水準を目指し、効果的な施策に対する公的投資を拡充する』とされているところである。
 「強い人材」の実現のためには、大学の人材養成機能の一層の強化が必要である。その際、(1)大学の教育研究基盤を強化することで、成長の土台となるべき大学の基礎的な教育研究機能を一層向上しつつ、同時に、(2)「リーディング大学院」構想等の実現により、大学の国際競争力の強化、グローバル人材の育成等に対応する、成長を牽引する教育拠点の形成を図ることが併せて必要である。
 これらを踏まえ、「成長を牽引する大学教育拠点形成事業」、「成長の土台となる教育研究基盤強化事業」を『「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ』として一体的に実施し、施策全体として、大学による「強い人材」育成に資するものである。

【成長を牽引する教育拠点形成事業】
 知識基盤社会が進展する中、国際競争力を強化するためには、社会に新たな価値を創造する人材や、高度な地球規模の課題の解決のために国際社会でリーダーシップを発揮する人材が不可欠となっている。我が国においても、先進主要国やアジア諸国に遅れをとることなく、国際競争力の強化のために国内外から優秀な人材を結集し、成長を牽引するリーダーを育成する必要性は極めて高い。
 また、これまでの大学の国際化を支援する取組は主として留学生の受入れの推進が中心であり、外国人学生の受入れ支援が中心で、日本人学生の派遣への支援が不十分。「受入れ重視型」から「双方向交流型」への転換を図り、内向き志向と言われている日本人が、国際意識を高め、グローバル社会の中で活躍できる人材へと転身することが求められる。

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

  1. 国立大学の教育研究基盤強化
     「強い人材」を育成するためには、持続可能な成長を担う若年層や知的創造性を育成することを目的とした大学を核とした成長サイクルを形成することが必要である。運営費交付金において、国立大学の教育研究基盤を強化することは、大学を核とした成長サイクルの形成に大きく寄与することからも極めて必要性が高い。
  2. 私立大学の教育研究基盤強化
     私立大学等は、建学の精神に基づく多様な人材育成や特色ある教育研究の展開を担うなど、我が国の高等教育の質・量両面にわたる発展に重要な役割を果たしており、私立大学等のマネジメント改革を伴った組織的な教育研究の充実のための取組の定着を図ることにより、我が国の成長の土台となる教育研究基盤の強化することが不可欠である。

2.行政・国の関与の必要性

【成長を牽引する教育拠点形成事業】

  1. 「博士課程教育リーディングプログラム」
     我が国全体が知識基盤社会として一層の発展を遂げていくためには、国が全国の国公私立大学における優れた取組に対して、重点的な財政支援を行い、早急かつ確実に教育拠点形成を進めていくことが必要である。
  2. 「大学の世界展開力強化事業」
  3. 「学生の双方向交流の推進」
     「新成長戦略」が掲げる「海外への日本人学生の留学・研修等の交流30万人、質の高い外国人学生の受入れ30万人」を達成には我が国全体で取り組む必要がある。また、「日中韓サミット」の三カ国間首脳合意に基づき「キャンパス・アジア」構想が日中韓の政府間で進展しており、交流拠点として本構想の牽引役となる大学に対し国が積極的に支援をする必要がある。

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

  1. 国立大学の教育研究基盤強化
     国立大学法人は、その存立基盤や制度的特色から、(1)世界最高水準の教育研究の推進や、(2)社会的な需要は必ずしも多くなくとも多様な価値観を創造する学問の承継・発展、(3)教員、医師等の社会的要請に応じた計画的人材養成、(4)全国的な高等教育の機会均等の確保、(5)地域の産業界等と連携して、地域活性化を図る知的拠点の中核、などの役割・機能を担っており、本年6月に閣議決定された「新成長戦略」の実現に向けて「成長の牽引役」としての機能も期待されていることから、運営費交付金を措置し、教育研究基盤の充実と活性化を図ることが必要である。
     また、国立大学法人法第35条で準用する独立行政法人通則法第46条において、「政府は予算の範囲内において、独立行政法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付することができる」とされており、文部科学大臣の認可を受けた中期目標・中期計画を確実に実行するためにも国の財政支援が必要である。
  2. 私立大学の教育研究基盤強化
     我が国の大学及び大学生の約8割は、私立大学が占めており、高等教育における私学の役割は極めて大きいことから、更なる国の財政支援が必要。
     また、教育基本法第8条において、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならないとされているとともに、私立学校振興助成法第4条において大学等の経常的経費についての補助は国が行うことと規定されている。なお、私立学校振興助成法が成立した時の国会の附帯決議において「できるだけ速やかに2分の1とするよう努めること」とされているが、現在の補助率は10.9パーセントにとどまっている。

3.関係する施政方針演説、審議会の答申等

【成長を牽引する教育拠点形成事業】

  1. 「博士課程教育リーディングプログラム」
    • 「新成長戦略」(平成22年6月閣議決定)
      (5)科学・技術・情報通信立国戦略 P29~P30
      (6)雇用・人材戦略 P35
      「21世紀の日本の復活に向けた21の国家戦略プロジェクト」
       15.「リーディング大学院」構想等による国際競争力強化と人材育成 P47
    • 「中長期的な大学教育の在り方に関する第四次報告」(平成22年6月中央教育審議会大学分科会決定) P25~P33
  2. 「大学の世界展開力強化事業」
  3. 「学生の双方向交流の推進」
    「新成長戦略」(平成22年6月閣議決定)
     「21世紀の日本の復活に向けた21の国家戦略プロジェクト」
      8.「グローバル人材の育成と高度人材の受入れ拡大」 P42

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

  1. 国立大学の教育研究基盤強化
    • 「新成長戦略」(平成22年6月18日 閣議決定)
       第1章 7つの戦略分野の基本方針と目標とする成果(1)(2)(5)(6)
    • 「民主党マニフェスト2010」 4 子育て・教育 6 雇用
  2. 私立大学の教育研究基盤強化
    • 「新成長戦略」(平成22年6月18日 閣議決定)
       第3章(6)雇用・人材戦略
    • 「中長期的な大学教育の在り方に関する第四次報告」(平成22年6月29日 中央教育審議会大学分科会)第6 2 (1) 1-3

B.有効性の観点

目標の達成見込み

【成長を牽引する教育拠点形成事業】

  1. 「博士課程教育リーディングプログラム」
     中央教育審議会大学分科会大学院部会において、大学院教育の実質化等の進捗状況や課題を検証したところ、修士課程や博士課程(前期)を中心に、多くの大学院において、教育の実質化に向けた取組が進展しており、特に修士課程段階では、産業界等に就職する職業人の養成や、多様な分野における高度で知的な素養のある人材の養成等、多様な教育が展開されていることや、グローバルCOEプログラムや大学院GP等の支援を受けている研究科・専攻では、博士課程(後期)を含めて、体系的な大学院教育への改善が確実に実施され、特に、産業界等と連携した研究、国際的な経験を積む機会の充実、RA等の経済的支援の充実等に関して、有意義な改革が進んでいることが明らかとなった。
     このような、近年の大学院教育改革の進展状況を踏まえると、本事業の実施により目標が達成される見込みは高いと言える。
  2. 「大学の世界展開力強化事業」
     海外大学との大学間協定数は過去5年間で約4千件増加し現在約1万5千件であるなど、我が国の大学の国際化に向けた意欲が高まっており、受入れ・派遣双方向型の交流プログラムの開発、日本人学生の海外留学・研修等の促進のための外国語教育の進展により、我が国の高等教育の国際化が更に促進され、目標が達成される見込みは高いと言える。
  3. 「学生の双方向交流の推進」
     本事業は、双方向型の国際交流活動の推進を目的としており、外国人学生の受入れとともに、近年、減少傾向にある日本人学生の国際交流活動を強力に支援する。海外の大学との大学間協定数は、過去5年間で約4千件増加し現在では約1万5千件となり、我が国の大学の国際化に向けた意欲は確実に高まっているため、本事業の実施により目標が達成される見込みは高いと言える。

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

  1. 国立大学の教育研究基盤強化
     国立大学法人運営費交付金の拡充により、国立大学法人が質の高い教育研究を行うことができるような基盤的な環境の整備が図られることが見込まれるとともに、「新成長戦略」の実現に資する取組に対する重点支援を行うことで、国立大学を核とした成長サイクルの形成が見込まれる。
  2. 私立大学の教育研究基盤強化
     本事業により、私立大学等の教育研究活動の基盤的な環境の整備が組織的に図られ、各指標の増加、上昇が見込まれる。

C.効率性の観点

1.インプット

【成長を牽引する教育拠点形成事業】

  1. 「博士課程教育リーディングプログラム」
     本事業の平成23年度予算規模は5,150百万円である。
    (内訳)
     タイプ1 300百万円× 2プログラム(半期分)
     タイプ2 300百万円×12プログラム(半期分)
     タイプ3 150百万円× 6プログラム(半期分)
     審査・評価等経費 50百万円
  2. 「大学の世界展開力強化事業」
     本事業の平成23年度予算規模は、3,000百万円である。
    (内訳)
    「キャンパス・アジア」中核拠点支援事業 99百万円×10件
    米国大学等との協働教育創成支援 99百万円×20件
    審査等経費 45百万円
  3. 「学生の双方向交流の推進」
     本事業の平成23年度予算規模は、3,360百万円である。
    (内訳) 派遣・受入れとも:240千円×7,000人

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

  1. 国立大学の教育研究基盤強化
    国立大学法人運営費交付金
     平成23年度概算要求・要望額 1,165,490百万円(うち要望額 62,973百万円)
  2. 私立大学の教育研究基盤強化
    私立大学等経常費補助金
     平成23年度概算要求・要望額 327,120百万円(うち要望額 45,488百万円)
 

2.アウトプット

【成長を牽引する教育拠点形成事業】

  1. 「博士課程教育リーディングプログラム」
     リーディング大学院としての学位プログラムが20構築される(25年度まで採択を行い、最終的には60程度構築される)。この20プログラムからは、年間約500人の博士号取得者が毎年度輩出される見込み。(60プログラムでは、年間約1,400人)
  2. 「大学の世界展開力強化事業」
     日本人学生とアジア・米国等外国人学生の垣根を越えた協働教育、交流の拠点が30拠点形成される。この30拠点から、支援期間(5年間)中に約9千人、10年後には約2万人のグローバル人材が輩出される見込み。
  3. 「学生の双方向交流の推進」
     質の高い外国人留学生の受入れ及び日本人学生の海外交流を促進することにより、外国語教育や外国人学生・日本人学生の垣根を越えた協働教育をはじめとする高等教育の国際化の促進が図られる。将来、学位・単位取得を目的とした留学等を志す契機となる3ヵ月未満の交流を新たに支援することにより、2020年には、日本人学生等30万人の海外交流及び質の高い外国人学生30万人の受入れが見込まれる。

【成長の土台となる教育研究基盤強化事業】

  1. 国立大学の教育研究基盤強化
     今後の成長の土台となる国立大学法人の教育研究基盤の整備を図るとともに、国立大学を核とした成長サイクルの形成を実現する。
  2. 私立大学の教育研究基盤強化
     今後の成長の土台となる私立大学等の教育研究基盤の組織的な整備を図る。

今後の方針及び外部評価・有識者委員からの指摘等

 計画のとおり実施していくことが適当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年09月 --