譲渡譲受制限の合理化に関する規制項目

主管課(課長名)

文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課 課長:明野 吉成

施策目標及び達成目標

施策目標10-8 安全・安心な社会の構築に資する科学技術の推進
達成目標10-8-3 放射性同位元素等に係る事故・トラブル及び放射線障害の発生を防止し、放射性同位元素等を防護する。

規制の概要

放射線障害防止法では、放射性同位元素の譲渡し・譲受けについて制限されており、輸出については、届出販売業者又は届出賃貸業者のみが認められているが、許可届出使用者による輸出についても認めることとし、規制を緩和する。

規制の必要性

現在、放射性同位元素の輸出については、届出販売業者又は届出賃貸業者による輸出は認められているが、許可届出使用者による輸出は制限されている。これは、使用者は放射性同位元素を国内の販売業者から購入し、使用後は販売業者に引き渡すといった譲渡し及び譲受けしか想定していなかったためである。しかし、近年、放射性同位元素を国内の販売業者からではなく、直接、海外メーカーから購入する使用者が存在するようになってきた。放射性同位元素のうちカプセル等に密封されたもの(以下、「線源」という。)については、適切な廃棄処分が難しいため、使用後は購入先へ返却するのが通例となっており、使用者が海外から輸入した線源について、使用後に返却のため輸出するニーズが高まっている。
現状では、使用者はわざわざ国内の販売業者に使用済み線源を譲り渡した上で、海外メーカーへの輸出を委託している。使用者は、販売業者又は賃貸業者と同等若しくはそれ以上の放射性同位元素の取扱い等に係る知識及び経験を有する者を放射線取扱主任者として選任しており、販売業者及び賃貸業者が放射性同位元素を輸出できるのに使用者が輸出できない合理的な理由はない。
以上のように、許可届出使用者にとって、使用済み線源の輸出のニーズが高まり、輸出の委託という形で、実質的に輸出が行われている現状を踏まえ、許可届出使用者の輸出制限を撤廃する必要がある。なお、無用な規制を撤廃し、合理的な規制とすることになっても、放射線障害防止上のリスクが上昇するわけではないことから、この規制の緩和は上記の達成目標の達成に問題を生じさせることはない。

規制の便益分析

規制を強化・緩和することによって得られると見込まれる便益

直接便益

許可届出使用者が、販売業者に委託することなく、自ら放射性同位元素を輸出できるようになるため、輸出のためのコストが低減される。(受益者:許可届出使用者 約3,000事業所)

社会便益

許可届出使用者が、放射性同位元素を販売業者に譲り渡した上で、販売業者が輸出するという経路をとる必要がなくなるため、放射性同位元素の不用な運搬を行う必要がなくなり、運搬に係る事故・トラブルによる一般公衆へのリスクが低減される。

規制を強化・緩和することによって想定されるリスク

放射性同位元素が十分な知識及び経験をもつ者によって輸出されることに変わりはないため、規制を緩和することによるリスクは想定されない。

規制の費用分析

遵守費用

許可届出使用者が、販売業者に委託することなく、自ら放射性同位元素を輸出できるようになるため、輸出のためのコストはむしろ低減され、新たな費用は発生しない。

行政費用

許可届出使用者が、販売業者に委託するのではなく直接輸出を行うこととなっても、輸出の総数は変化しないため、新たな行政費用は発生しない。

社会的費用

放射性同位元素が十分な知識及び経験をもつ者によって輸出されることに変わりはないため、社会的な負担は生じない。

評価結果

上記の便益分析及び費用分析を踏まえ、今回の放射線障害防止法の改正による譲渡譲受規制に関する規制の合理化は適切である。

想定できる代替手段との比較考量

代替手段としては、許可届出使用者による輸出を認めるのではなく、許可届出使用者に販売業の届出をさせたうえで、届出販売業者として輸出するよう指導するという方法がある。しかし、実際には国内での販売を行わないにも関わらず販売業の届出をすることは無意味である上、事業者にとっても行政にとっても不用なコストが発生するため、このような方法は不適切である。

審議会等における検討結果及び有識者等の意見

審議会等における検討結果は特になし。

文部科学省政策評価に関する有識者会議委員の意見

・意見聴取期間:平成22年1月29日~平成22年2月5日

・評価結果はおおむね妥当。

レビューを行う時期

法律の施行後5年以内に、その時点における科学的知見、施行状況等を勘案して見直しを行う。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年04月 --