平成22年度要求額:255百万円
(平成21年度予算額: ‐百万円)
事業開始年度:平成22年度
事業達成年度:平成26年度
参事官(建造物担当)(参事官:大和 智)
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重要文化財(建造物)は、そのほとんどが木造であり、火災等の災害から守るための設備の整備は必須であるが、地震時にも使用できなければならないことから、消火設備の耐震改修を進める。
中部圏・近畿圏では内陸地震による重要文化財(建造物)の被災可能性が中央防災会議において指摘された。これを受けて重要文化財(建造物)とその周辺地域の総合的な防災対策のあり方について検討が行われ、耐震性に優れた管路の整備等、地震時にも使用可能な消火設備の整備が必要であることが提言された。
昭和末年までに設置された消火設備は、地震時に脆弱な石綿管、鋳鉄管等を使用しているものが多く、地震時に機能しない可能性が非常に高く、耐震性を強化した管路及び機器への改修等、耐震改修を行う。特に、緊急的な対策として、国宝・重要文化財(建造物)が密集する近畿2府4県において、消火設備の耐震改修(老朽化対策)を実施する。
○近畿圏2府4県における消火設備の改修が行われていない重要文化財(建造物)の消火設備の耐震改修実施数
○近畿圏2府4県における消火設備の改修が行われていない約120件すべての耐震改修を目指す
○防災設備の耐震設備について、現地にて確認を行う。
特になし
東南海・南海地震の発生が切迫するなか、近畿圏を中心とした地域において文化財建造物の防災対策の必要性が一段と高まっている。能登半島地震や岩手宮城内陸地震があり、このような地域においても大地震が発生しており、全国的な耐震、防災対策の必要性が生じた。
また、本年4月の中央防災会議において、地震時に想定される災害から重要文化財建造物及びその周辺地域を一体として守るための防災対策のあり方及び実現方策等について、早急に取り組む必要がある旨指摘されたところである。
国宝・重要文化財は、貴重な国民の財産であるため、これを適切に保護し次世代へ継承していく必要がある。本事業は、国庫補助事業として行うもので、文化財保護法第35条において、「重要文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、重要文化財の所有者又は管理団体がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、政府は、その経費の一部に充てさせるため、重要文化財の所有者又は管理団体に対し補助金を交付することができる。」としている。
また、本年4月の中央防災会議において、地震時に想定される災害から重要文化財建造物及びその周辺地域を一体として守るための防災対策のあり方及び実現方策等について報告がなされ、国が早急に取り組む必要がある旨指摘されたところである。
○建造物保存修理等(文化庁文化財部参事官(建造物担当))
文化財建造物の修理は、建物を部材単位に解体し、補修後また組立直す解体修理等の根本修理と屋根葺替、部分修理、塗装などの維持修理に分類できる。建物の破損状況に応じて適切な修理を実施する。
また、伝統的建造物群の保存修理は、耐震性能向上のための補強と定期的に実施する必要がある伝統的建造物の修理、歴史的風致の維持・向上のための伝統的建造物以外の建造物の修景を進める。
本事業と同様に文化財建造物を対象とした事業として、「建造物保存修理等」を国庫補助事業として実施しているが、両者は文化財建造物の修理事業と防災施設の設置工事と対象事業が異なるが、文化財建造物を適切に維持・管理することなどについては、互いに連携することで文化財の次世代への継承・発展に寄与する。
「重要文化財建造物及びその周辺地域の総合防災対策のあり方」(平成21年4月、重要文化財建造物の総合防災対策検討会)p35~38
「文化芸術立国」の実現に向けて(平成20年6月、自由民主党文化伝統調査会)P6の7~10行目
本事業は、目標が達成された後も絶えることなく継続して行うことが必要である。
当面の達成年度である平成26年度までに、重要文化財(建造物)の密集地域である近畿圏2府4件において消火設備の耐震改修の完了が見込まれる。
文化財は、火災等によりいったん滅失毀損すれば、再び回復することが不可能なかけがえのない国民全体の財産であり、適切な管理を図るため普段からの努力が求められており、本事業を実施することにより、重要文化財を火災から守ることができ、保存に寄与する。
本事業の予算規模は255百万円である。
(内訳)
国宝重要文化財等保存整備費補助金
防災施設等(緊急防災施設耐震改修) 255百万円
本事業の実施により、近畿圏2府4県において消火設備の改修されていない120件について耐震改修を実施することで、東南海地震の発生時に被災の可能性のある重要文化財建造物に万が一の火災が起こった際、あるいは周辺市街地からの類焼防止の消火活動に対し必要且つ効果的な消火措置が行われるようになる。
本事業の予算規模(255百万円)に対して、アウトプットとして、重要文化財の消火設備が地震時にも使用可能となり、インプットとアウトプットの関係は適切と判断する。
本事業は国の補助事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合には、文化財の特殊性からして多大な経費のかかり、防災対策の促進が図れない。
本事業は、対象事業地域である2府4県からの推薦を踏まえ、緊急性を調査検討し交付先を決定しており、公平性は担保できていると判断する。
中央防災会議において報告された「重要文化財建造物及びその周辺地域の総合防災対策のあり方」において、地震時にも使用可能な水源の確保や耐震性に優れた管路の整備等を含めた消火施設の耐震化を行う必要性が報告されており、本事業を優先すべきと判断される。
本事業は、22年度概算要求に反映。
中央防災会議において、重要文化財(建造物)及びその周辺地域においても、関係者が連携した延焼防止等の取組が必要と報告(H21.4)された。このことを踏まえ、主として建造物単体ごとに図ってきた対策を、大規模地震に際しての延焼防止や消防力の確保、さらに周辺を含めた総合防災対策として図る。このため、文化財建造物の防災対策に関する業務態勢の強化を図る必要があり、整備活用部門を改組し、新たに防災対策部門の設置を行うこととし、主任文化財調査官1名、文化財調査官1名の振り替え及び文化財調査官1名の増員を要求する。
特になし
特になし
特になし
特になし
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成22年02月 --