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24.分子イメージング研究戦略推進プログラム(新規) 【達成目標10‐1‐2】

平成22年度要求額:700百万円
(平成21年度予算額:‐百万円)
事業開始年度:平成22年度
事業達成年度:平成26年度

主管課(課長名)

 研究振興局研究振興戦略官付(渡辺 正実)

関係局課(課長名)

 ―

事業の概要等

1.事業目的   

 本事業は、「分子イメージング研究プログラム」(平成17年度~平成21年度、文部科学省)(以下、「第1.期プログラム」)で整備された拠点機能やそこで開発された基盤技術を活用し、1.難治がん等の診断治療、2.認知症の診断治療、3.再生医療・遺伝子治療の3分野において、臨床に向けたPOC(Proof of Concept:基礎研究で得られた治療学的コンセプトの証拠)を取得し、分子イメージング技術を実証することで、創薬プロセスの改革や、さらには疾患病態の解明等、医学への直接的かつ多様な応用を図ることを目的とする。

2.事業に至る経緯・今までの実績 

 第1期プログラムでは、PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出断層画像法)を中心とするイメージング技術を利用した新薬開発の迅速化や、コスト削減などの創薬プロセス改革、及び疾患診断技術や治療評価技術の高度化を目指し、創薬候補物質探索拠点(独立行政法人理化学研究所)とPET疾患診断研究拠点(独立行政法人放射線医学総合研究所)を整備した。この両拠点においては、分子イメージング研究に関する基盤技術の開発や施設・設備を整備するとともに、大学や民間企業等の研究機関と連携して、人材育成や共同研究を行い、オールジャパン体制の構築を図った。
 その結果、研究者を結集した拠点が整備されるとともに、1.高比放射能プローブ開発等による分子イメージング技術の飛躍的向上、2.疾患モデル動物における機能評価法の確立、3.創薬候補物質の標識化や薬物動態などの基盤技術の開発、などに向けて、両拠点が互いに連携を図りながら効率よく研究が進められた。さらに、拠点との連携により、人材育成や個別研究開発課題の共同研究も進められ、研究開発が発展し、当初計画に対して十分な成果をあげた。
 これらの成果を受けて、プログラムの今後のあり方について有識者委員会で検討した結果、今後は拠点ごとに以下の点に留意しながら、国家プロジェクトとして、引き続き分子イメージング研究を推進することが提案された。
 【1】創薬候補物質探索拠点
 今後は、製薬会社等民間企業や臨床医などの意見・ニーズを踏まえ、開発してきた技術を活用した、より焦点を絞った目標を掲げて、分子イメージング研究を推進することが必要である。そして、外部研究機関、製薬企業などとの連携強化を図り、臨床研究の推進、新規診断薬の創出といった実用化を目指した取組みを継続して進めることが期待される。
 人材育成については、人材教育を受講する大学院生、社会人の数が増えるようなプログラムの検討、人材育成後のキャリアパスの整備が必要であり、また、共同研究については、拠点との連携体制をより明確にし、さらに強化していくことが重要である。
 【2】PET疾患診断研究拠点
 今後は、開発した先駆的技術をいち早く応用研究に結び付け、実用的な診断薬の普及を目指すとともに、次の世代のさらなる高感度な診断薬開発を支援する体制の構築が必要である。
 人材育成については、より実践的なカリキュラムの導入の検討、人材育成後のキャリアパスの整備が必要であり、また、共同研究については、拠点との連携をより緊密にし、研究を進めていくことが望まれる。

3.事業概要  

 分子イメージングは、生物が生きた状態のまま外部から生体内の遺伝子やタンパク質などの様々な分子の挙動を観察する技術である。本技術の発展により、薬剤の用量測定、薬効評価を通じた創薬開発プロセスの改革や、更には疾患病態の解明、個別改良など、医学への直接的かつ多様な応用が見込まれる。
 本事業は、第1.期プログラムで整備された拠点機能やそこで開発された基盤技術を活用し、1.難治がん等の診断治療、2.認知症の診断治療、3.再生医療・遺伝子治療の3分野において本技術を実証するよう、臨床に向けたPOCを取得することを目標として研究を推進していく。本事業の推進にあたっては、厚生労働省・経済産業省等の関係省庁と連携を図りつつ、第1.期プログラムで整備した拠点を活用して、大学や病院、企業等とオールジャパン体制で共同研究を推進するとともに、人材育成をさらに強化する。

3.事業概要

4.指標と目標  

1.難治がん等の診断治療、2.認知症の診断治療、3.再生医療・遺伝子治療の3分野において本技術を実証するよう、

  1. 難治がんをターゲットとしたプローブの臨床開発、最適な薬物送達システムの構築
  2. 認知症の診断治療マーカーの前臨床開発
  3. ES細胞由来移植細胞の生着・機能、がん化等に関するモニタリング手法の確立

等の実施により、臨床に向けたPOCを取得すること。

次期プログラムの目標

事業の事前評価結果

A.20年度実績評価結果との関係  

 第1期プログラムについては、「PET基盤技術開発研究や分子プローブの設計及び創薬、機能評価、応用に関する研究、大学等との連携による分子イメージング専門人材の育成など、分子イメージング研究体制の整備が計画通りに行われ、既に外部機関と連携し、共同研究する体制が整っている。」というA評価であった(達成目標10‐1‐2 判断基準5)。「22年度予算要求への考え方」として、「平成21年度が事業最終年度のため、事後評価及び今後のあり方について、それぞれ有識者委員会で検討」する旨が記載されているところ、本年6月~7月に開催した有識者委員会では、「国家プロジェクトとして、引き続き分子イメージング研究が推進されること」が期待されている。

B.必要性の観点  

1.事業の必要性  

 第3期科学技術基本計画(平成18年度~平成22年度)、新健康フロンティア戦略(平成19年4月策定)、イノベーション25(平成19年6月閣議決定)等に基づいて、第1.期プログラムが推進された。また、最近でも、健康研究推進戦略(平成21年7月31日策定)において、医薬品開発過程の迅速化・効率化や、革新的医療技術の安全性・有効性の評価手法等の開発のためにも、バイオマーカーや分子イメージング等の基盤技術開発が重要と指摘されている。
 第1期プログラムの結果、優秀な研究者を結集した拠点が整備されるとともに、1.高比放射能プローブ開発等による分子イメージング技術の飛躍的向上、2.疾患モデル動物における機能評価法の確立、3.創薬候補物質の標識化や薬物動態予測法など、様々な優れた要素技術等が開発された。しかしながら、それら技術のヒトでの安全性・有効性が実証される段階に至っていないことなどから、革新的な医療技術の開発や、その審査等で十分に活用されていないのが現状である。従って、開発された分子イメージングの要素技術等が、革新的な医療技術の開発加速や審査等に活用できることを、早期に臨床研究等によって実証し、実用化に繋げていく必要がある。このためには、第1.期プログラムにおいて整備した研究拠点を活用し、具体的な技術を創出できる体制を構築して、効率的に研究を進めていくことが重要となる。

2.行政・国の関与の必要性  

 近年、ポストゲノム時代に入り、ライフサイエンス研究の主要ターゲットは、遺伝情報の解読研究から生体分子機能を探る研究に移りつつあり、分子イメージング研究は、このパラダイムシフトを担う重要な研究分野と考えられる。欧米では、この分子イメージング研究を創薬の迅速化や低コスト化、新しい病気の診断・治療法の開発、さらにはそれらの基盤技術となるライフサイエンスを飛躍的に展開させる重要なキーテクノロジーとして強力に推進し始めている。
 一方、我が国には、分子イメージング研究に必要な様々な強い要素技術が備わっており、分子イメージング研究を国際的にリードできるポテンシャルを持っていると考えられるが、これまで、それぞれの技術が分散して研究されており、診断・治療、創薬といった形で実用化され国民が享受できるものとなっていない。このようなことから、中核となる研究機関により、分散された研究を集結させ、国家戦略の一環として分子イメージング研究を早急かつ確実に推進させる必要がある。

3.関連施策との関係  

1.主な関連施策

○「分子イメージング研究プログラム(第1期)」(文部科学省)
 創薬のコスト縮減・開発期間の短縮化及び早期疾患診断の実現を目指し、中核拠点である創薬候補物質探索拠点、PET疾患診断研究拠点を設置し、分子イメージングの基盤技術開発・施設整備を行うとともに、大学等との研究機関と連携して、高度な専門人材育成及び共同研究を実施することにより、分子イメージング研究分野におけるオールジャパン体制の構築を図る。
○「悪性腫瘍等治療支援分子イメージング機器研究開発プロジェクト」(経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))
 従来の形態診断よりも1桁小さいミリメーターサイズの腫瘍を良性/悪性の区分を含めて検出・診断できる分子イメージング技術の開発を厚生労働省との共同事業として実施する。そのためPET、PET‐CT/MRIシステム※についてプロトタイプ機器試作までの開発研究を行っている。
 ※PET‐CT/MRIシステム:PET、CT、MRIの画像を融合させて、より高精度に診断できる技術。全身のどこでも3mm以下の悪性腫瘍等を検出できるというプロジェクト。
○「厚生労働科学研究費補助金 医療機器開発推進研究事業(ナノメディシン研究)」(厚生労働省)
 ナノスケールの超微細技術(ナノテクノロジー)を医学へ応用することにより、非侵襲・低侵襲を目指した医療機器等の研究・開発を産学官の連携をもって推進し、患者にとって安全・安心な医療技術の提供の実現を目指す。製品開発(産業)と臨床研究(医学)とのシームレスな連携を図るため、経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とのマッチングファンドによる共同事業を実施する。

2.関連施策との関係(役割分担・連携状況)

 本事業は「分子イメージング研究プログラム(第1.期)」(文部科学省)を受けて、第2.期プログラムとして展開される事業である。
 関係府省における分子イメージングに関しての施策は、文部科学省では、今後、PETを用いた分子イメージング技術の実証に向けた取組を行っていくのに対して、厚生労働省では産官学の連携による医療機器等の研究・開発、経済産業省では民間企業等が行う技術開発の促進を行っている。今後、本事業の推進にあたっては、これら3省における取組について、合同での成果報告を行うなどにより、分子イメージング技術全体の効率的進展を図っていく予定。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等  

○分野別推進戦略(2006年3月28日閣議決定):1. ライフサイエンス分野 P.14‐15、別紙1.‐2
○新健フロ:3..戦略の具体的内容 P.12、21
○イノベ25:第5章 「イノベーション立国」に向けた政策ロードマップ P.46
○健康研究推進戦略(平成21年7月健康研究推進会議):P.4、8

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み  

 本事業の計画にあたっては、第1.期プログラムで開発された優れた要素技術をいち早く応用研究に結びつけていくために、1.製薬企業、臨床医等の意見、ニーズが高い分野、2.臨床など実用に近い分野、3.関係機関が参加し連携の必要がある分野、等の観点から事業の対象とする分野を絞り込む等の工夫をしているため、目標を達成できる可能性は高い。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか 

 本研究は、医薬品や医療機器の開発等にも直結することから、研究の初期段階から、製薬企業、医療機器メーカー等の産業界とも連携した、我が国全体の研究開発体制を構築することで、国際競争力を高め、経済発展にも寄与する。さらに、少子高齢化社会を迎える我が国独特の状況においては、革新的な医療を提供することが喫緊の課題であり、そのための基盤技術である分子イメージング技術の実証に向けた研究開発を推進することにより、上位目標である施策目標10‐1の「国民への成果還元を抜本的に強化する」ことに必要な効果が得られると期待される。

D.効率性の観点

1.インプット  

1.難治がん等の診断治療、2.認知症の診断治療、3.再生医療・遺伝子治療の3分野を対象に、臨床に向けたPOCを取得するための研究開発 700百万円

2.アウトプット  

 上記3分野において、

  1. 難治がんをターゲットとしたプローブの臨床開発、最適な薬物送達システムの構築
  2. 認知症の診断治療マーカーの前臨床開発
  3. ES細胞由来移植細胞の生着・機能、がん化等に関するモニタリング手法の確立

等の実施により、臨床に向けたPOCを取得

3.事業スキームの効率性 

  • 第1期プログラムで開発された優れた要素技術をいち早く応用研究に結びつけていくために、研究開発分野の選択と集中を行う。
  • 有望な研究シーズを持つ大学、病院、企業等が分野毎にクラスターを形成し、第1.期プログラムで整備された拠点機能を有効に活用して、さらなる連携・共同研究を進めることにより、効率的な研究開発が可能となる。
  • 拠点においては、それぞれの強みを生かした研究や基盤技術の連携を図るとともに、有望なシーズを拾い上げるための仕組み作りや、広報活動などを行うことにより、研究開発が活発化する。
  • 厚生労働省、経済産業省の関連施策との合同成果報告会を開催するなど連携を図り、分子イメージング技術全体の効率的進展を図っていく予定。

4.代替手段との比較  

 近年、ポストゲノム時代に入り、ライフサイエンス研究の主要ターゲットは、遺伝情報の解読研究から生体分子機能を探る研究に移りつつあり、分子イメージング研究は、このパラダイムシフトを担う重要な研究分野と考えられる。欧米では、この分子イメージング研究を創薬の迅速化や低コスト化、新しい病気の診断・治療法の開発、さらにはそれらの基盤技術となるライフサイエンスを飛躍的に展開させる重要なキーテクノロジーとして強力に推進し始めている。
 一方、我が国には、分子イメージング研究に必要な様々な強い要素技術が備わっており、分子イメージング研究を国際的にリードできるポテンシャルを持っていると考えられるが、これまで、それぞれの技術が分散して研究されており、診断・治療、創薬といった形で実用化され国民が享受できるものとなっていない。このようなことから、中核となる研究機関により、分散された研究を集結させ、国家戦略の一環として分子イメージング研究を早急かつ確実に推進させる必要がある。
 このため、本事業の中で、政策的に資源配分を決定し、研究を進展させることが不可欠であり、代替手段は存在しない。

E.公平性の観点  

 本事業を行う主体は、第1.期プログラム開始時に公募され、専門家による審査を経て決定されたものであり、また、個別の研究課題は公募によって採択するため、公平性は担保されている。

F.優先性の観点  

 PETによる生体内分子の可視化は、創薬プロセスの改革や、病気の理解、診断、治療の評価に大きく貢献することが期待されている。第1.期プログラムの成果が適切に今後の分子イメージング研究に反映されることにより、一日でも早く国民に成果が還元され、国民の健康・福祉の向上に資することが期待される。

G.総括評価と反映方針

 以上から、本事業は来年度以降実施すべきであると判断する。平成22年度概算要求に反映予定。

H.審議会や外部有識者の会合等を利用した中間評価の実施予定

 特になし

指摘事項と対応方針

【指摘事項】

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

 本事業の実施に当たっては、分子イメージング技術の臨床応用に向けてオールジャパン体制の構築を図るべく、関係府省による関係施策との緊密な連携を図るための具体的な枠組みを構築することにより、本事業の役割を明確にすることが必要である。

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要

 特になし

3.政策評価に関する有識者委員からの指摘・意見等

 特になし

【指摘に対する対応方針】

 本事業の推進に当たっては、主に医療機器開発を担当する経済産業省と、臨床研究環境の整備等を担当する厚生労働省と、プロジェクトの合同成果報告を行うなど、緊密な連携を図っていく予定。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年02月 --