18.産学官民連携による地域イノベーションクラスター創成事業(仮称) 【達成目標7‐3‐3】

平成22年度要求額:1,500百万円
(平成21年度予算額:‐ 百万円)
事業開始年度:平成22年度
事業達成年度:‐

主管課(課長名)

 科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(地域科学技術担当)(増子 宏)

事業の概要等

1.事業目的

 地域をフィールドに研究開発から技術実証、社会還元まで一貫した地域イノベーション・システムを構築する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

 第3期科学技術基本計画において、地域における科学技術振興は、地域イノベーション・システムの構築や活力ある地域づくりに貢献し、ひいては、我が国全体の科学技術の高度化・多様化やイノベーション・システムの競争力を強化するものであり、国として積極的に推進し、世界レベルのクラスター形成支援とともに、小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスターを各地に育成することとされている。
 これらを踏まえ、文部科学省ではこれまでに、地域の大学等を核として産学官の網の目のようなネットワーク  を形成し、イノベーションを連鎖的に創出する地域クラスターを形成するため、平成14年度から、世界中からヒト・モノ・カネを惹きつけ、世界を相手に勝負できる世界レベルのクラスターの形成を目指した知的クラスター創成事業及び、小規模でも地場産業等の地域の特色を活かした強みを持つクラスター形成を目指した都市エリア産学官連携促進事業を実施している。
 これまで、地域活性化の観点から、地域のポテンシャルを重視して、数多くのクラスター形成が進められ、一定の成果をあげつつある。今後は、我が国の国際競争力強化の観点から、国として取り組むべき分野を設定した上で、地域に世界を相手に勝負できるクラスターの形成を図ることに加え、地域住民が科学技術による地域活性化の成果を実感できるよう、研究開発、技術実証、社会還元まで一貫して、地域をフィールドに国、地方自治体、大学、産業界及び市民が連携して実施する地域拠点を育成することが必要である。

3.事業概要

 地域をフィールドに研究開発から技術実証、社会還元まで一貫した研究開発・社会実証システムを構築し、地域における新たなイノベーションの創出及び地域実装を図り、グローバル型の地域科学技術拠点を形成する。
 具体的には、環境調和型の社会や健康長寿社会の実現等、国として重点的に取り組むべき分野において、地域の主体性のもと将来的に有望で、市場ニーズがある課題について、産学官連携による技術シーズの育成、出口を見据えた研究開発、市民参加による実証試験等を実施し、地域への社会還元を実現する。併せて、持続的に発展可能な基盤を形成するため、人材育成等のソフト支援も行う。また、ベストプラクティスについては、全国のイノベーション支援機関のネットワークを活用し、他地域への展開も図ることとする。

(申請者)都道府県又は政令指定都市(共同提案も可とする)
(採択地域数)5地域程度
(実施期間)1地域当り原則7年間(3年目・5年目で中間評価)
(事業費)3年目まで、1地域当り2~4億円(3年目以降は徐々に国費を縮減するとともに、自立化を促進するため、地域負担を増加)   

(事業スキーム)

3.事業概要

4.指標と目標  

 事業終了後の評価において、優れていると評価される地域の割合を5割以上とすることを目指す。事後評価にあたっては、クラスター施策や産学官連携に関する専門家等からなる有識者により、参加機関・研究者数、特許出願数、実用化・企業化件数等の推移と共に、事業計画の妥当性、技術評価、国際的なネットワーク形成等のクラスター形成のための取組、地域への波及効果、今後の発展可能性等の評価項目に分けて、総合的に評価する。

事業の事前評価結果

A.20年度実績評価結果との関係  

 特になし

B.必要性の観点  

 1.事業の必要性  

 国際競争力の激化や、人口減少・少子高齢化の急速な進展等、我が国の経済状況を取り巻く環境は厳しさを増しており、地域経済についても地盤沈下が一層進んでいる状況にある。
 これまで、地域活性化の観点から、知的クラスター創成事業や都市エリア産学官連携促進事業により、地域のポテンシャルを重視して、数多くのクラスター形成が進められ一定の成果を上げつつある。一方、今後我が国が長期的観点から目指すべき社会の姿は低炭素社会や健康長寿社会等であり、これらの姿は国と地域、NPOや人一人の市民が協働して成し得るものであることから、今後は、戦略的長期的に取り組むべき重要な技術を念頭に、国が、国家的・社会的ニーズを踏まえて大きな目標や課題を設定し、地域が主体となりつつ、地域単独では実施できないような新たな研究開発システムの形成を目指す必要がある。

2.行政・国の関与の必要性  

 地方自治体における科学技術の振興は、成果の出やすい中小企業の技術開発に向けられることが多く、地方自治体が、地域に立地する大学等を核に産学官共同研究を推進し、その成果を活かしつつ、地域産業の大きな構造改革を目指すための投資を行うことには困難を伴う。
 国は、地域が有する科学技術のポテンシャルを活かした新たな産業の創出、地域社会への貢献等を地域との協働により推進するとともに、これを支える大学等の研究開発、人材育成基盤を強化するための広域的な地域連携や、大学等における研究成果の社会還元機能の強化等を推進することにより、科学技術による地域活性化を目指す総合的な取組としての地域イノベーション・システムの強化を国家戦略として推進していくことが必要である。
 また、地域における科学技術の振興やイノベーション創出をより効果的・効率的に図る観点から、これまでのように単一の自治体単位の枠ではなく、複数の地方自治体による広域的な連携・協力体制の構築を促進する必要があることからも、このような取組を国が支援する必要がある。

3.関連施策との関係  

1.主な関連施策

○知的クラスター創成事業(文部科学省)
 世界中からヒト・モノ・カネを惹きつけ、世界を相手に勝負できる世界レベルのクラスターの形成を目指す。(事業開始年度:平成14年度)

○都市エリア産学官連携促進事業(文部科学省)
 小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスター形成を目指す。(事業開始年度:平成14年度) 

2.関連施策との関係

 知的クラスター創成事業や都市エリア産学官連携促進事業は、地域の主体性のもと、大学等を核として産学官の網の目のようなネットワークを構築し、イノベーションを連鎖的に創出するクラスターの形成を目指した事業であるが、本事業は、これまでの産学官連携の取組をベースとしつつも、国が国家的・社会的ニーズを踏まえ、例えば環境エネルギーや医療福祉など、社会システム改革に繋がるような課題を設定し、産学官の関係者だけでなく、市民とも協働した形で進めることによって、国が目指すべき姿を地域単位で実現するとともに、地域住民が科学技術による地域活性化の成果を実感できることを目指す事業である。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等  

  • 「平成22年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針」
     (平成21年10月8日総合科学技術会議)
     記載事項(抜粋):2.科学技術が大きな役割を果たす喫緊の最重要政策課題への重点化
    ○地域活性化を図るため、多様性や国際競争力のある地域科学技術拠点群の形成、地域イノベーション人材力や地域の特性を活かした技術開発を強化。
  • 「科学技術による地域活性化戦略」(平成20年5月19日総合科学技術会議決定)
     記載事項(抜粋):地域科学技術施策の目指すビジョン~地域拠点のエコシステムを目指して~
     1.多様性強化戦略
     (2)地域の多様性強化
     1.地域の多様性を踏まえ、地域が主体的に策定する構想に柔軟に対応
     4.事業実施期間の柔軟化や府省間の連携により、地域科学技術施策間の継続性を高める
     2.グローバル拠点強化戦略

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み  

 1地域あたりの事業実施期間である7年間の3年目・5年目には、科学技術振興機構(JST)や関係府省と共同で外部有識者による中間評価を実施し、進捗状況等と評価することとしている。評価結果を踏まえて、優れたプロジェクトはJSTや関係府省の施策へ優先的に措置されるような仕組みを構築する事から、出口を見据えた研究開発の実施が可能になるとともに、また、4年後以降は、回収可能な資金等を徐々に導入することを組み込んでおり、事業終了後も地域が自立的な取組が可能となり、目標は達成される見込みである。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか 

 本事業によって、研究開発、技術実証、社会還元まで一貫して、地域をフィールドに、国、地方自治体、大学、産業界及び市民が連携して実施する地域拠点が育成され、他の地域に波及・展開するような仕組みが構築されれば、地域における科学技術の振興が図られる。

D.効率性の観点

1.インプット

1地域当り (国費)2~4億円
 (地域資金)3年目までは国費の1/2程度、それ以降は国費と同額程度

2.アウトプット  

 大学等の知恵を活用した新規事業の創出、製品の高機能化・高付加価値化等に繋がる成果の創出が見込まれる。また、それらの成功事例を通じて、各地域における産学官の交流・ネットワーク形成が進み、科学技術を活用した地域活性化の取組が地域に定着する。

3.事業スキームの効率性 

 都道府県等地方自治体が提案主体となり、事業の実施は地域が指定する中核機関に担わせることで、地域のニーズや特色を踏まえた事業計画の下で、最適な体制を構築し、効率的な事業の実施が期待される。また、地域負担を増加させることで、より地域の自立性を高め、国費投入終了後も継続的に地域の主体により事業に取り組む体制を構築することが可能。

4.代替手段との比較  

 大学や企業の自主性に任せた産学官連携では、個別の研究開発に留まり、地域におけるイノベーションを連鎖的に創出するまでには至らないことが多い。我が国には、独自のポテンシャルを有する特色ある地域が多数ある。地域のイニシアティブの下で、地域内の大学や産業界との連携を進め、クラスターを形成するという当該事業は国際的にも多く用いられている手法であり、高い成果をあげていることから、有効な施策である。また、地域が単独で行うよりも、国が競争的に支援することにより、優れた構想に対して重点的な投資をすることが可能となるとともに、競争的な環境の下で、地域の構想自体がより洗練されたものになる。

E.公平性の観点  

 地域(都道府県及び政令指定都市)からの提案に基づき、外部有識者による審査会を経て採択地域を決定し、採択された地域において事業を実施することで公平性を確保している。

F.優先性の観点  

 「平成22年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針」(平成21年10月8日総合科学技術会議)でも指摘されているとおり、科学技術による地域活性化は、最重要課題であり、他の事業よりも優先して実施すべき事業である。また、本事業は知的クラスター創成事業や都市エリア産学官連携促進事業、更に他省庁との関連施策と緊密に連携することで、我が国全体の科学技術の多様性を保ちつつ、高度化を図ることが可能となるため、これらの地域イノベーション事業を総合的に推進する必要がある。

G.総括評価と反映方針

 平成22年度概算要求に反映予定。

H.審議会や外部有識者の会合等を利用した中間評価の実施予定

 特になし

指摘事項と対応方針

【指摘事項】

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

 特になし

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要

 特になし

3.政策評価に関する有識者委員からの指摘・意見等

 特になし

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年02月 --