2.地域におけるキャリア教育・職業教育推進事業(新規) 【達成目標1‐3‐3】

平成22年度要求額:168百万円
(平成21年度予算額: ‐百万円)
事業開始年度:平成22年度
事業達成年度:平成24年度

主管課(課長名)

 生涯学習政策局生涯学習推進課 (藤野公之)

 関係課(課長名)

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事業の概要等

1.事業目的   

 地域の人材ニーズに即した人材育成を学校や関係機関等の密接な連携の下で計画的・総合的に行っていくための仕組みを構築するとともに、その過程で生じる課題や対応策等を、関係施策の改善や、関係府省や産業界等との間の連携の強化などに反映させることを通して、地域におけるキャリア教育・職業教育の総合的な推進方策の検討と実現を図る。

(事業内容)

○地方公共団体に、教育・雇用・産業等の分野の関係者からなる「キャリア教育・職業教育推進協議会」(仮称)を設置し、地域のニーズに即した、各学校段階から学び直しを希望する者までを対象とする総合的な「キャリア教育・職業教育推進プラン」を策定し、その推進、フォローアップを行う。
 また、キャリア教育・職業教育を推進する上での課題を吸い上げ、地域における対応策とともに、国における関係施策の改善策等について提案する。
○「キャリア教育・職業教育推進プラン」を推進するため、「キャリア教育・職業教育推進チーム(仮称)」を設置し、取組のための枠組みづくり、学校・産業界・関係機関等に対する働きかけ・助言・調整等を行うとともに、学び直しを希望する者に対する学習相談等の支援を行う。

2.事業に至る経緯・これまでの実績 

【経緯】

(1) 近年、我が国においては、経済・社会情勢の変化に伴う人材育成システムの変化や人材ニーズの高度化と迅速な育成の要請、若者の社会的・職業的自立や社会・職業への移行に向けた準備が不十分であること等、職業との関連における様々な課題が生じており、これらの課題解決のため、キャリア教育・職業教育の充実が求められている。

(2) キャリア教育・職業教育の一層の推進にあたっては、地域によって産業構造・就業構造、人材ニーズ等が大きく異なるとともに、職場体験やインターンシップ等を積極的に取り入れることが必要であることなどから、「地域の人材は地域で養成する」という観点に立ち、地域の学校や産業界、関係機関等の密接な連携のもとに実施することが重要である。
 また、勤労観・職業観や社会的・職業的自立に必要な能力等は、子どもたちの発達の段階に応じて身につけさせるべきものであり、義務教育段階から高等教育に至るまでの体系的な取組、学校教育終了後も職業に関する能力の向上や職業の変更等が可能となるよう、生涯学習の観点に立ったキャリア形成支援や雇用のミスマッチの解消といった観点も含め、地域ぐるみの積極的な対応が求められることから本事業を実施し、地域におけるキャリア教育・職業教育の総合的な推進の在り方について検討する。

<参考:子ども・若者のキャリア形成支援等に関する法令・計画・審議会>

○平成18年に改正された教育基本法(平成18年法律第120号)において、「職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。」が教育の目標の一つとして新たに規定。(第2条第第2項)
○平成20年7月に策定された教育振興基本計画(平成20年7月1日閣議決定)の「特に重点的に取り組むべき事項」として、「キャリア教育・職業教育の推進と生涯を通じた学び直しの機会の提供の推進」が規定。
○平成21年1月、中央教育審議会総会直属の部会として、「キャリア教育・職業教育特別部会」が設置され、キャリア教育・職業教育の在り方についての審議が開始。
○平成21年7月、子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)が成立し、国及び地方公共団体は、子ども・若者の自立した社会生活に向けた支援が適切に行われるよう、必要な知見を有する人材の養成及び資質の向上に努める旨規定。

3.事業概要  

【概要】 

(1)企画委員会の設置

 企画委員会を文部科学省に設置し、地域におけるキャリア教育・職業教育の推進の在り方を検討するとともに、事業の選定、成果の評価、普及促進等を図る。

(2)キャリア教育・職業教育推進体制の構築に向けた調査研究

 1.地方公共団体に、教育・雇用・産業等の関係者からなる「キャリア教育・職業教育推進協議会」を設置。協議会が地域のニーズに即した「キャリア教育・職業教育推進プラン」を策定し、その推進、フォローアップを行う。
 また、キャリア教育・職業教育を推進する上での課題を吸い上げ、地域における対応策とともに、国における関係施策の改善策等について提案する。
<「キャリア教育・職業教育推進プラン」の具体的内容>
 各学校段階(小学校、中学校、高等学校、大学・短期大学、専修学校等)から学び直しを希望する者までを対象とし、キャリア教育・職業教育推進の基本方針やその実現のための支援体制などをとりまとめたもの。

 2.「キャリア教育・職業教育推進プラン」を推進するため、「キャリア教育・職業教育推進チーム(教育関係者・企業関係者等から構成)」を設置し、取組のための枠組みづくり、関係者に対する働きかけ・助言・調整等を行うとともに、学び直しを希望する者に対する学習相談等の支援を行う。

<推進チームの主な機能>

(情報集約・提供)
 大学・短大・専修学校等の講座や取組、小・中・高等学校等におけるニーズ、協力企業、専門家、関連事業等のキャリア教育・職業教育推進に資する情報を集約し提供する。

(学習相談(コンサルティング))
 学び直しを希望する者等に対する学習相談を実施し、ニーズに対応した学び直しの機会の提供等、継続的な支援を行うほか、学校・産業界・関係機関等からの相談に応じる。

(社会に向けた普及啓発)
 地域のキャリア教育・職業教育に対する認識・関心を高めるため普及啓発活動を実施する。

(学校等と関係機関との仲介・調整)
 関係機関と連携しながら、職場見学、職場体験、インターンシップをはじめとするキャリア教育・職業教育を学校・地域等が実施するに当たっての支援体制・枠組みづくりやそのための仲介・調整等を行う。

(人材育成メニュー作成)
 大学、短大、専修学校、職業訓練機関等の公開講座、短期講座、委託訓練等の情報を集約、メニュー化、開発し、これらを組み合わせたより効果的な教育プログラムを学習者へ提示することにより、地域のニーズに合った学習機会の提供を推進する。

【事業概念図】

【事業概念図】

(3)事業計画

 基本的な事業の流れ

  1. モデル地域となる地方公共団体を企画競争により公募。
  2. 関係者及び有識者からなる企画委員会の審査を経て委託先を決定。
  3. 地方自治体において事業を実施。
    • 「キャリア教育・職業教育推進協議会」を設置
    • 「キャリア教育・職業教育推進プラン」の策定・推進・フォローアップ
    • 「キャリア教育・職業教育推進チーム」を設置
    • キャリア教育・職業教育に関する課題を吸い上げ、地域における対応策及び国における関係政策の改善策等について提案
  1. 事業終了後は、文部科学省において、地方公共団体からの事業報告を受け、成果の評価、普及促進を図る。

4.指標と目標 

【指標】

○キャリア教育・職業教育推進協議会が策定した「キャリア教育・職業教育推進プラン」の進捗状況
○キャリア教育・職業教育推進チームの利用・活用状況

【目標】

 地域におけるキャリア教育・職業教育の総合的な推進に関する取組を計画・実施し、モデル事例を全国に普及することにより、地域の人材ニーズに即した人材育成を学校や関係機関等の密接な連携の下で計画的・総合的に行っていくための仕組みを構築することを目標とする。

【効果の把握手法】

 事業終了後、委託先から提出される事業報告書から把握する。

事業の事前評価結果

A.20年度実績評価結果との関係  

 特になし

B.必要性の観点  

1.事業の必要性  

(1)近年、我が国では、経済・社会情勢の変化に伴う人材育成システムの変化や人材ニーズの高度化と迅速な育成の要請、若者の社会的・職業的自立や社会・職業への移行に向けた準備が不十分であることなど、職業に関連する様々な課題が生じており、これらの課題解決のため、キャリア教育・職業教育の充実が求められている。
 キャリア教育・職業教育の一層の推進にあたっては、地域によって産業構造・就業構造、人材ニーズ等が大きく異なるとともに、職場体験やインターンシップ等を積極的に取り入れることが必要であることなどから、「地域の人材は地域で養成する」という観点に立ち、地域の学校や産業界、関係機関等の密接な連携のもとに実施することが重要である。

(2)また、勤労観・職業観や社会的・職業的自立に必要な能力等は、子どもたちの発達の段階に応じて身につけさせるべきものであり、義務教育段階から高等教育に至るまでの体系的な取組、学校教育終了後も職業に関する能力の向上や職業の変更等が可能となるよう、生涯学習の観点に立ったキャリア形成支援や雇用のミスマッチの解消といった観点も含め、地域ぐるみの積極的な対応が求められる。

(3)加えて、地域の産業界等との連携の下でキャリア教育・職業教育を推進していくことは、近年大きな課題とされている地域の自立や活性化の観点からも、大きな意義がある。

2.行政・国の関与の必要性  

 全ての地域において、独自に体制を整備し、地域のニーズに即した人材育成を計画的・総合的に行っていくことには限界があることから、国が主体となって、地域におけるキャリア教育・職業教育の総合的な推進の在り方をモデル事例として提示することにより、全国的に成果の普及を行う必要がある。
 さらに、キャリア教育・職業教育の推進については、国、都道府県、市町村、民間等の様々な機関等が関係しており、例えば、大学など国が所管する機関等の積極的な対応が求められるとともに、国の施策等の改善、国レベルでの連携・調整等もあわせて必要となることから、国が関与して積極的に対応する必要がある。

3.関連施策との関係  

 特になし

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等  

・「教育振興基本計画」
 第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策
 (4)特に重点的に取り組むべき事項
 ◎ キャリア教育・職業教育の推進と生涯を通じた学び直しの機会の提供の推進(P40)

・「中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会 審議経過報告」(平成21年7月)
 5.各学校段階を通じたキャリア教育・職業教育の在り方
 3.学校と産業界をはじめとする地域の連携、学校間や関係府省間等の連携
 (1)学校と産業界をはじめとする地域の連携
 (2)学校間の連携・協力等

・「骨太09」
 第1章 危機克服の道筋
 4.「安心と活力」の両立を目指して
 (3)当面の「最優先課題」(府省に広くまたがる横断的課題)
 1.経済危機克服1.) (P4)

・民主党政策集INDEX2009
 P22,24,31,37

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

 地方公共団体において、関係機関により構成される「キャリア教育・職業教育推進協議会」を設置し、「キャリア教育・職業教育推進プラン」を策定する。協議会の下でキャリア教育・職業教育推進チームが関係者に対する働きかけ・助言・調整等を行うことにより、地域のニーズを踏まえたキャリア教育・職業教育の推進が図られる。これらのモデル事例を、文部科学省においてとりまとめ、全国に普及することにより、地域のニーズに即した人材育成を計画的・総合的に行っていくための仕組みの構築という、上記の目標は達成できると見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか 

 地域のモデル事例を全国に普及することで、地域のニーズに即した人材育成を計画的に行っていくための仕組みが構築される。その結果として、地域の(キャリア教育・職業教育に関する)教育力の向上という上位目標が達成される。

D.効率性の観点

1.インプット  

概算要求額:168百万円

(内訳)

  • 諸謝金 968千円
  • 職員旅費 465千円
  • 委員等旅費 1,509千円
  • 庁費 491千円
  • 生涯学習振興事業委託費 164,507千円

2.アウトプット

 平成22年度の委託箇所数は7地域を予定している。平成23年度以降も同じ委託件数を予定。

3.事業スキームの効率性

 本事業の予算規模に対し、アウトプットとして7地域(予定)に本事業を委託することを通じ、地域におけるキャリア教育・職業教育の推進を図るとともに、モデル事例を全国に普及することを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的かつ効率的と判断する。

4.代替手段との比較

 本事業は国の委託事業として実施されるが、代替手段として地方自治体の事業として実施することとした場合、成果の普及が全国に展開されることにならず、全国的な波及効果を期待する本事業の目標達成には十分な効果が得られない。また、国が各地域における取組を広く情報提供することとした方が、情報交換が活発化され、より優れた取組を生むという効果も期待される。

E.公平性の観点

 本事業は実施する地方公共団体を、全国に公募し、有識者による審査を経て決定するものであり、公平性は担保できると判断する。

F.優先性の観点

 現在、我が国においては、若者の社会的・職業的自立や社会・職業への移行に向けた準備が不十分であること、経済・社会情勢の変化に伴う人材育成システムの変化、人材ニーズの高度化と迅速な育成の要請等、職業との関連における様々な課題が生じており、地域が一体となって、地域のニーズに即した人材育成を計画的に行っていくための仕組みを構築する必要がある。
 なお、キャリア教育・職業教育の推進は平成20年7月1日に閣議決定された教育振興基本計画においても、今後5年間において「特に重点的に取り組むべき事項」として取り上げられており、本事業は優先すべき政策と考えられる。

G.総括評価と反映方針

 ヒアリング等の指摘を踏まえ、22年度概算要求に反映する。

H.審議会や外部有識者の会合等を利用した中間評価の実施予定

 現時点では予定なし。

指摘事項と対応方針

【指摘事項】

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

 「4.指標と目標」に事業実施の成果をはかるアウトカム指標の設定を検討すること。

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要

 特になし

3.政策評価に関する有識者委員からの指摘・意見等

 キャリア教育・職業教育関連事業について、省全体で一貫性を持って推進すること。

【指摘に対する対応方針】

  • 今後、指摘の指標については検討する。
  • 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について、平成21年1月から、中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会において、初等中等教育段階から高等教育段階を通じた審議を行っているところである。
     同部会等における議論も踏まえつつ、キャリア教育・職業教育関連事業を推進する予定である。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年02月 --