1.専修学校教育創造開発プラン(新規) 【達成目標1‐2‐3】

平成22年度要求額:1,022百万円
(平成21年度予算額: ― 百万円)
事業開始年度:平成22年度
事業達成年度:平成23年度

主管課(課長名)

 生涯学習政策局生涯学習推進課 (藤野公之)

関係課(課長名)

 ―

事業の概要等

1.事業目的   

 専修学校の振興のため、1.その教育の高度化を推進する観点から先進的な教育プログラムの開発を行うとともに、2.産業界の要請に応じた教育内容の更新・充実や教員の資質向上を不断に進めていくために、研究・研修、評価・改善、企業との連携等の活動を組織的に推進するモデル的な取組を委託し、その成果の普及を図る。

2.事業に至る経緯・今までの実績 

  •  専修学校は「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成すること」を目的として制度が創設され、その制度の柔軟性を活かした実践的で専門的な知識・技術等を有する人材の育成を行っており、日本経済を支える高度な職業専門人を養成する機関として重要な役割を担っている。平成20年7月に閣議決定された「教育振興基本計画」においても、基本的方向として「専修学校等について、社会の変化に即応した実践的な職業教育及び専門的な技術教育を行う機能が発揮されるための取組を促す」とされている。
  •  産業構造の転換、社会情勢(ニート・フリーター問題、若年者の早期離職、雇用情勢の悪化等)の変化等に対応するため、文部科学省では、中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会等において、今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について審議を行っており、その審議経過報告によれば、産業界からは知識・技能の高度化・複雑化に対応できる実践的能力を有する人材が求められており、また社会人についても職業に関する実践的な知識・技能の高度化等を図るため、生涯を通じた学び直しが必要な状況となっている。
  •  専修学校教育についても、若者の職業的・社会的自立の促進や、職業に関する知識・技術の高度化への対応など、多様な学習ニーズに応じた教育機会の充実等が求められており、これらの要請に応える新たな教育プログラムを開発・提供したり、学校全体のカリキュラムや学校運営の不断の見直し・改善を進めていくことがますます重要となっているが、そのための組織体制の整備は、各学校において未だ十分に進んでいない状況である。
  • 以上に鑑み、先進的な取組を行う専修学校を研究指定校に指定し、1.産業界のニーズや社会の要請に応える高度・多様な職業教育プログラムの開発や、2.教育の質向上を不断に進めていくための組織的な取組に関する調査研究を行い、その成果を普及する本事業を実施する。
○平成20年度専修学校教育重点支援プランの実績
  • 教育プログラム開発等の委託件数 30件

3.事業概要  

 専修学校の振興を目的とした、教育プログラムの開発や体制整備を推進するため、専修学校等を研究指定校として指定し、調査研究を行い、その成果を普及する事業を行う。

<具体例>

○教育プログラムの開発

 社会人の「学び直し」ニーズ向け、ニート・フリーター向け、中退・不登校者向けのプログラム、企業活動の複雑化に対応した高度化プログラム、新規産業の人材ニーズに対応した育成プログラム

○教育の質向上に向けた組織体制の整備

 組織的な研究・研修、評価・改善、産業界との連携体制の構築 など

 

4.指標と目標  

【指標】

 人材ニーズに対応した教育プログラムの開発数の増加及び体制整備に資する連携体制構築数の増加

【目標】

 多様な学習ニーズに対応した教育プログラムの開発により、若者の社会・職業への円滑な移行がなされ、早期離職者やニート・フリーター問題等が改善したり、地域や企業ニーズに応える人材が養成されたり、中退・不登校者等の社会参加に向けた学習機会が提供されたりすること。また、専修学校間の連携や、評価・改善の取組が推進することで、教員の資質向上や産業界の人材ニーズ等を的確に捉える仕組み作りがなされること。これらの取組により、専修学校全体の振興が図られること。

事業の事前評価結果

A.20年度実績評価結果との関係  

 本事業は達成目標1‐2‐3「専修学校において職業教育機能を活用した多様な学習機会の充実を図る。」と関連があり、本事業の目的は専修学校における多様な学習機会の充実や専修学校全体の高度化のための体制整備及びその成果の普及であるため、予算の効率化を図り実施するものである。

B.必要性の観点  

1.事業の必要性  

 専修学校教育について、めまぐるしく変化する社会の人材ニーズに対応するための継続的な教育プログラム開発による教育内容の多様化・高度化や、専修学校教員の資質向上や評価制度等の質の保証のための体制整備等の実施は、企業等の要請に応える人材養成機関である専修学校の振興を図ることとなり、ひいては日本経済の維持・発展に資するものであることから、本事業の実施が必要である。

2.行政・国の関与の必要性  

 社会の人材ニーズに即応した教育プログラム等の開発は、若年早期離職やニート・フリーター等の社会問題の改善に資するものであり、社会環境の変化や雇用情勢の悪化に的確に対応した人材養成は、国が率先して推進すべき課題である。
 また、これらのプログラムをより効果的に活用するためにも、各専修学校の組織体制の整備を図り、研修や評価等を通じて専修学校全体の高度化を図る取組が必要であり、全国的な取組として行政が主導的に連携体制の構築を進め、成果の普及に努めることが必要である。

3.関連施策との関係  

1.主な関連施策 施策目標1‐2

○「専修学校を活用した就業能力向上支援事業」(生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室)
 若者を中心とした早期退職者やニート、定年を迎える高齢者、子育てにより仕事を中断した女性等の就職困難者を対象に、専修学校の持つ職業教育機能を活用した実践的な就業能力の向上に資するプログラムを提供する講座をモデル事業として実施する事業(事業開始年度:平成21年度、事業達成年度:平成21年度)

2.関連施策との関係

 「専修学校を活用した就業能力向上支援事業」との関係については、若者の早期離職者や若年無業者・フリーター等への教育プログラムの開発及び講座の提供についてのモデル事業であるが、「専修学校を活用した就業能力向上支援事業」が対象を限定した短期的な教育プログラムの開発及び提供を目的としたものであるのに対し、本事業は対象を限定せず、社会人として必須の能力である基礎的・汎用的能力や、社会の先進的なニーズに対応するための教育プログラムの開発及びその体制整備を目的としたものである。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等  

 教育振興基本計画 第3章 基本的方向1 3.P17、「中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会 審議経過報告」(平成21年7月) 4.1.(2)P25、骨太09 第1章 4.(3)1.1.)
民主党政策集(INDEX2009) P24.37.43

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み  

 本事業を経年にわたり実施することで、多様な社会の人材ニーズに対応した教育プログラムの開発や、その活用の効率的な推進のための体制整備が進捗し、優れた成果が広く普及されることになる。これにより、専修学校教育全体の振興が図られるとともに、日本経済を支える有為な人材が育成されることが期待され、目標の達成が見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか 

 プログラム開発等を実施し、その成果を広く社会に普及することは、他の多くの専修学校(や大学等)にとって貴重なデータとなり、専修学校等における多様な学習機会の提供に影響を与えることとなる。これにより多様なニーズに対応した学習機会の提供も行われることとなり、施策目標1‐2に必要な効果が見込まれる。

D.効率性の観点

1.インプット  

平成22年度概算要求予定額:1,022百万円

〔内訳〕

  • 諸謝金 785千円
  • 職員旅費 1,101千円
  • 委員等旅費 1,077千円
  • 庁費 8,600千円
  • 生涯学習振興事業委託費 1,010,240千円

2.アウトプット  

 平成22年度委託予定箇所数は80箇所である。平成23年度以降も同じ委託件数を目標としている。
 本事業で開発されたプログラムや新たな体制等が、他の専修学校における同種の取組の活性化につながることで、専修学校全体の振興が図られ、さらなる波及効果を生むことになると言える。

3.事業スキームの効率性 

 本事業の予算規模に対し、アウトプットとして80箇所に本事業を委託することを通じ、1.教育プログラムの開発、2.体制の整備、3.成果の普及による事業の全国的な展開が図られることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効率的であると判断する。

4.代替手段との比較  

 本事業は国の委託事業として実施されるが、地方自治体の事業として実施することとした場合、成果の普及が全国に展開されることにならず、全国的な波及効果を期待する本事業の目標達成には十分な効果が得られない。また、国が広く研究指定校を選定することで、各地域における取組が広く情報提供されることとなり、情報交換が活発化され、より優れた取組を生むという効果も期待される。

E.公平性の観点  

 本事業は、全国の専修学校に対して公募し、有識者による審査を経て、研究指定校を決定する予定であり、公平性は担保できると判断する。

F.優先性の観点  

 現在の経済情勢の悪化、また将来人口減少社会・高齢化社会をむかえる我が国にとって、即戦力人材や将来の労働人口の確保は経済成長を持続するために喫緊に取り組むべき課題である。人材養成には一定の時間を要するものであり、本事業は緊急に対応すべき政策であると考えられる。

G.総括評価と反映方針

 ヒアリング等の指摘を踏まえ、過去の専修学校の関連施策における実績を活用し、効率的な事業実施を目指し、22年度概算要求に反映する。

H.審議会や外部有識者の会合等を利用した中間評価の実施予定

 現時点では予定していない。

指摘事項と対応方針

【指摘事項】

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

 「4.指標と目標」については、事業実施の成果をはかるようなアウトカム指標の設定を検討すること。

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要

 特になし

3.政策評価に関する有識者委員からの指摘・意見等

 キャリア教育・職業教育関連事業について、省全体で一貫性を持って推進すること。

【指摘に対する対応方針】

  • 今後、指摘の指標については検討する。
  • 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について、平成21年1月から、中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会において、初等中等教育段階から高等教育段階を通じた審議を行っているところである。

 同部会等における議論も踏まえつつ、キャリア教育・職業教育関連事業を推進する予定である。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成22年02月 --