施策目標11‐2 生涯スポーツ社会の実現

 国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現する。

施策期間

 達成年度:平成22年度(基準年度:平成13年度)

主管課(課長名)

 スポーツ・青少年局生涯スポーツ課(坂元 譲次)

関係局課(課長名)

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施策の全体像

 スポーツは、身体を動かすという人間の本源的な欲求に答えるとともに、爽快感、他社との連帯感等の精神的充足や楽しさ、喜びをもたらし、さらには、体力の向上や、精神的なストレスの発散、生活習慣病の予防など、心身の両面にわたる健康の保持に資するものである。特に、高齢化の急激な進展や、生活が便利になること等による体を動かす機会の減少が予想される21世紀の社会において、生涯にわたりスポーツに親しむことができる「スポーツライフ」を送ることは大きな意義がある。このため、国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現することを目的に、総合型地域スポーツクラブの全国展開による地域における身近なスポーツ環境の充実、また、先進的プログラムを用いた研修を通じて地域住民の多様なニーズに対応できるスポーツ指導者の養成・確保を図る。

○達成目標11-2-1

 生涯スポーツ社会の実現に向けて、国民の誰もが生涯を通じていつでも身近にスポーツに親しむことができる環境を整備する必要がある。「総合型地域スポーツクラブ」は、子どもから高齢者まで誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができるスポーツ環境として、生涯スポーツ社会の実現に大きな役割を担っているものである。このため、以下の指標を設定し、地域における身近なスポーツ環境が整備されているかを判断する。
 ・判断基準11-2-1 :総合型地域スポーツクラブが育成されている市区町村の割合

○達成目標11-2-2

 スポーツ指導者の確保、活用の充実のため、先進的な研修プログラムの開発・普及を通じて、指導者の質の向上を図るとともに、関係機関におけるスポーツ指導者の育成を推進する。そのため、質、量ともに国民のニーズに対応できるスポーツ指導者の確保・活用の進捗状況については以下の指標を設定し、定量的及び定性的な両面から評価する。
 ・判断基準11-2-2:質、量ともに国民のニーズに対応できるスポーツ指導者の確保・活用の進捗状況

達成状況と評価

全体評価 B

 平成18年度内閣府の実施した世論調査から推計すると成人の週1回以上の運動・スポーツ実施率は44.4%であり、経年的には着実に増加していることから、生涯スポーツ社会の実現に向けて順調に進捗していると判断できる。他方、スポーツ指導者の確保・活用については先進的な研修プログラムの元、指導者の養成が図られており、十分な進捗が得られているものの、地域のスポーツ環境の整備状況については、その方策の一つである「総合型地域スポーツクラブの全国展開」について既育成市区町村が約60%であり、進捗にやや遅れが見られる。

○判断基準11-2-1 (B)

判断基準 総合型地域スポーツクラブが育成されている市区町村の割合
S=101%以上
A=75%〜100%
B=50%〜75%未満
C=50%未満

 平成18年度内閣府の実施した世論調査から推計すると成人の週1回以上の運動・スポーツ実施率は44.4%であり、経年的には着実に増加していることから、生涯スポーツ社会の実現に向けて順調に進捗していると判断できる。一方、生涯スポーツ社会の実現のため、地域におけるスポーツ環境の充実を図るための方策の一つである「総合型地域スポーツクラブの全国展開」については既育成市区町村が平成20年7月現在、57.8%であり、地域におけるスポーツ環境は進捗にやや遅れが見られる。

(指標・参考指標)

  16 17 18 19 20
総合型地域スポーツクラブが育成されている市区町村の割合 22.5% 33.0% 42.6% 48.9% 57.8%
【参考】総合型地域スポーツクラブ数(育成中を含む) 1,117 2,155 2,416 2,555 2,768
【参考】総合型地域スポーツクラブを育成している市区町村 702 783 786 894 1,046
【参考】広域スポーツセンターが育成されている都道府県数 40 41 42 43
【参考】総合型地域スポーツクラブ設立により世代を超えた交流が生まれたと回答した割合 56.3% 56.4% 53.6% 58.9%
【参考】地域住民のスポーツ参加機会が増えたと回答した割合 48.4% 57.8%
【参考】総合型地域スポーツクラブ設立により元気な高齢者が増えたと回答した割合 33.2% 36.1% 36.8% 43.3%
  6 9 12 16 18
成人の週1回以上運動・スポーツ実施率※実施年度のみ 29.9% 34.7% 37.2% 38.5% 44.4%

(指標に用いたデータ・資料等)
 ・文部科学省調べ「総合型地域スポーツクラブに関する実態調査」
 ・内閣府「体力・スポーツに関する世論調査」(平成18年8月実施)より文部科学省推計

○判断基準11-2-2(A)

判断基準 質、量ともに国民のニーズに対応できるスポーツ指導者の確保・活用の進捗状況
S=大幅に図られた。
A=着実に図られた。
B=十分には図られなかった。
C=図られなかった。

 平成20年度に実施した「地域スポーツ指導者育成推進事業」における調査研究結果において、子どもと高齢者に焦点を絞ったプログラムや、スポーツ実施率の低い親世代(中年層)を対象としたプログラム、幼児の発育期に適切な指導ができる人材の育成を目的としたプログラム、スポーツだけに捕らわれず、リハビリや医療、フィットネスの各専門家が横断的に開発したプログラム等モデル地域において先進的な研修プログラムの開発が行われるとともに、各モデル地域において実施された講習会に多数の受講者が参加し、先進的なプログラムによる講習の元、より質の高い指導者の養成が図られた。また、関係機関における公認スポーツ指導者登録数も着実に増加しており、質、量ともに順調に進捗している。

(指標・参考指標)

公認スポーツ指導者登録者数 16 17 18 19 20
スポーツリーダー - - 106,180 112,076 126,884
ジュニアスポーツ指導員 3,704 3,625 3,794 4,100 4,266
スポーツプログラマー 3,996 4,107 4,243 4,460 4,531
フィットネストレーナー 1,065 1,046 989 886 814
アシスタントマネージャー 459 444 438 965 1,449
クラブマネージャー - - - 39 96

必要性・有効性・効率性分析

【必要性の観点】
 総合型地域スポーツクラブが単なるスポーツクラブとしての機能だけでなく、地域の交流拠点としての機能を有していることに鑑み、総合型地域スポーツクラブが核となって地域が有する様々な課題を解決する方策を検討し、その成果を全国に普及することは、地域におけるスポーツ振興だけでなく、地域住民の健康の保持増進や体力の向上、家庭のふれあい世代間交流による青少年の健全育成、放課後・学校週5日制の受け皿、地域の教育の再生からの観点からも大きな意義を有する。また、スポーツ振興基本計画においては、生涯スポーツ社会の実現の到達目標の1つとして、平成22年までに、全国の各市区町村において少なくとも1つは総合型地域スポーツクラブを育成することとしていることより、未育成市町村における総合型地域スポーツクラブの育成支援については重点的に資源を投入していく必要がある。
 スポーツ指導者については、スポーツを気軽に楽しみたい人や健康増進を目的として運動・スポーツを行いたい人に対応できる指導者が少ないなど、スポーツ指導を受ける側と指導者側のニーズのギャップや、総合型地域スポーツクラブの全国展開などによる質の高い技術・技能を有するスポーツ指導者に対するニーズの増加が課題となっており、そのニーズの高度化・多様化が指摘されており、スポーツ振興、生涯スポーツ社会の実現に当たって、指導者が果たす役割は大きくなっている。このような状況を鑑みれば、地域の実態や住民のニーズに応じた人材を育成することを目的として、指導者の養成・確保の推進を図る必要がある。

【有効性の観点】
 「平成20年度総合型地域スポーツクラブに関する実態調査」(平成21年1月文部科学省)によると、クラブ設立による地域の変化は、

  1. 「地域住民間の交流が活性化した」が55.2%
  2. 「世代を超えた交流が生まれた」が58.9%
  3. 「地域住民のスポーツ参加機会が増えた」が57.8%

となっており、総合型地域スポーツクラブの全国展開は地域の活性化に寄与するものであり、生涯スポーツ社会の実現のために非常に有効である。

【効率性の観点】
 (事業アウトプット)
本事業の実施により、

  1. 国民の誰もが生涯を通じていつでも身近にスポーツに親しむことができる環境が整備される、
  2. 地域住民のニーズ等に応じた質の高い指導ができる人材が充実、

といった効果が見込まれる。
(事業アウトカム)
 「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」、「総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業」の実施により

  1. 全国の400クラブの育成が促進される
  2. 総合型地域スポーツクラブが核となり、子どもや女性、障害者、高齢者等のスポーツへの参加機会の確保等地域が有する課題を解決することができる

 ことにより、国民の誰もが身近にスポーツを親しむことができる生涯スポーツ社会の実現が期待される。
以上より、事業の波及効果も認められ、効率性の観点から見ても妥当である。

施策への反映(フォローアップ)

【予算要求への反映】
 これまでの取組を引き続き推進

【機構定員要求への反映】
 特になし

【具体的な反映内容について】
 達成目標11-2-1について、総合型地域スポーツクラブ未設置市町村の課題分析及び課題解決に向けた取組を検討するとともに、引き続き総合型地域スポーツクラブの設立効果に関する調査研究を実施する。

 達成目標11-2-2について、「地域スポーツ指導者育成推進事業」等で開発したプログラムの普及・促進、全国体育指導委員研究協議会の開催等を通じて、スポーツ指導者の質の向上を図るとともに、地域の実態・住民のニーズに応じた指導ができる指導者を育成できる仕組みづくりについて検討する。

関連した行政活動(主なもの)

 特になし

備考

 特になし

具体的な達成手段

 ※ 【22年度の予算要求への考え方】には、実績を踏まえ、より効率化に努める内容についても記入している。

【事業概要等】 【20年度の実績】 【22年度の予算要求への考え方】
総合型地域スポーツクラブ育成推進事業 (開始:平成16年度 終了:平成22年度 20年度予算額:738百万円)
子どもから高齢者まで、地域住民の誰もが身近にスポーツに親しむことができる場となる総合型地域スポーツクラブの全国展開を一層推進する。 委託したもののほか、その波及効果によるクラブを含め、平成19年7月から平成20年7月までの間に、全国でクラブ数が213増加 継続(総合型地域スポーツクラブ創設に向けた準備活動に対する支援については、21年度からスポーツ振興くじの助成により補助率を引き上げ実施。文部科学省においては、総合型地域スポーツクラブ育成に向けた情報発信や育成アドバイザーの派遣、研修会の開催等を実施
総合型地域スポーツクラブ充実・強化のための環境整備等 (開始:平成13年度 終了:平成22年度 20年度予算額:6百万円)
総合型地域スポーツクラブマネージャー研修会、全国広域スポーツセンター育成連絡協議会の開催 総合型地域スポーツクラブマネージャー研修会及び全国広域スポーツセンター育成連絡協議会を各1回開催 継続(総合型地域スポーツクラブマネージャー研修会は民間においてネットワークが形成され、自発的に取組が進められているため廃止)
総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業 (開始:平成19年度 終了:平成21年度 20年度予算額:69百万円)
スポーツを取り巻く様々な課題を解決するため、広域スポーツセンターの機能を活用し、総合型地域スポーツクラブを核としたモデル事業を実施する。 広域スポーツセンターを設置する都道府県教育委員会等9地域において、モデル事業を実施し、総合型クラブを核とした課題別プロジェクトを実践 終了
スポーツ参加促進のための普及啓発 (開始:昭和63年度 終了:平成‐ 年度 20年度予算額:155百万円)
全国スポーツ・レクリエーション祭等の開催 全国スポーツ・レクリエーション祭は平成20年10月に滋賀県で開催され、参加者(選手・監督等)数が5,156人であった。 継続(執行実績を踏まえ、例年通り開催)
指導者養成研修会の開催等 (開始:昭和24年度 終了:平成22年度 20年度予算額:26百万円)
全国体育指導委員研究協議会、野外活動指導者研修会の開催等 【開催地】
・全国体育指導委員研究協議会:千葉県
・野外活動指導者研修会:沖縄県
継続(野外活動指導者研修会については民間を含む青少年関係機関において活発に開催されるようになったため廃止)
地域スポーツ指導者育成推進事業 (開始:平成20年度 終了:平成22年度 20年度予算額:62百万円)
住民のニーズや地域の実態に応じた指導ができるスポーツ指導者を育成する研修プログラムを開発するためのモデル事業を新たに実施 【調査研究委託地域】 9地域 21年度から執行実績を踏まえ、支援する拠点数を厳選し、継続

(参考)関連する独立行政法人の事業(なお、当該事業の評価は文部科学省独立行政法人評価委員会において行われている。評価結果については、独法評価書を参照のこと)

独法名 20年度予算額 事業概要 備考(その他関係する政策評価の番号)

官房部局の所見

 達成目標11-2-2について、特にスポーツ指導者の活用を示す指標の設定を検討すること。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --