「生命現象の統合的全体像の理解」を目指した研究を推進するとともに「研究成果の実用化のための橋渡し」を特に重視し、国民への成果還元を抜本的に強化する。
目標達成年度:平成22年度(基準年度:平成18年度)
研究振興局ライフサイエンス課(石井 康彦)
研究振興局研究振興戦略官(渡辺 正美)
ライフサイエンスは、国民の健康長寿や安全の確保を実現するとともに、食糧自給率向上や産業競争力強化、新産業創出につながる科学技術として期待されている。そのため、ライフサイエンスは、第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)において重点推進4分野の1つとして位置づけている。文部科学省では、このような方針に沿って様々なライフサイエンス分野の研究開発を進めている。
具体的には、分野別推進戦略(平成18年3月28日総合科学技術会議)を踏まえて、脳科学研究、重要なターゲットとなるタンパク質の機能解析などの「生命現象の統合的全体像の理解」を目指した研究、幹細胞・再生医学研究や革新的医薬品・医療機器の創出に向けた橋渡し研究などの「研究成果の実用化のための橋渡し」等を推進するとともに、バイオインフォマティクス、バイオリソースなどのライフサイエンス研究を支える世界最高水準の基盤を整備し、以下に示す達成目標の下で、研究開発の進捗状況を管理し、国民への成果還元を行っていくこととしている。
蓄積された知見、技術を活用し、医学・薬学への貢献、産業応用に向けて生命現象のさらなる解明を図る。以下の指標を用いて判断することとする。
革新的がん医療技術や臨床研究・臨床への橋渡し研究などを通じ、先端的医療の実現に資する知見の蓄積、技術の開発、またそれに必要な環境の整備を図る。以下の指標を用いて判断することとする。
新興・再興感染症克服技術など、社会の安全・安心の確保に必要な知見の蓄積、人材の養成等を図る。以下の指標を用いて判断することとする。
ライフサイエンス研究を支える世界最高水準の基盤を整備する。以下の指標を用いて判断することとする。
全体評価 A
平成20年度においては全体として以下の進展があった。
「生命現象の統合的全体像の理解」に関しては、社会的・科学的意義の高い脳科学研究を戦略的に推進するため、「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について(第1次答申案(中間取りまとめ))」(平成20年1月23日科学技術・学術審議会)を策定した。これと並行して、平成20年度から、脳科学研究戦略推進プログラムを開始し、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発(情報脳)、及び独創性の高いモデル動物の開発(基盤技術開発)について研究開発拠点の整備等を実施した。
「研究成果の実用化のための橋渡し」については、我が国のiPS細胞研究等を日本全体で戦略的に進めていくため、これまでの取組や支援の実施状況を確認するとともに、総合科学技術会議により策定された「iPS細胞研究の推進について(第一次取りまとめ)」(平成20年7月3日)等も踏まえ、今後の効果的・効率的な研究推進体制の推進方策として「iPS細胞研究等の加速に向けた総合戦略 改訂版」(平成21年1月20日文部科学大臣決定)を策定した。また、関係府省においてそれぞれ推進が図られている橋渡し研究・臨床研究について、我が国として一つの戦略に基づき、統一的かつ重点的な取り組みを進めるため、内閣府・文科省・厚労省・経産省の4大臣等から構成される「健康研究推進会議」を設置(平成20年7月)し、先端医療開発特区(スーパー特区)の運用や「健康研究推進戦略」の策定(平成21年7月)等を行った。このような推進方策の策定をはじめとして、ライフサイエンス分野の研究開発を戦略的に推進したところである。
判断基準イ | 「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について(第1次答申)」を踏まえ、「社会に貢献する脳科学」を目指した研究開発拠点等の整備状況及び各研究開発拠点等において重点的に推進すべき政策課題対応型研究の進捗状況 |
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S=答申を踏まえて実行される脳科学研究について、研究開発拠点等の整備が順調に行われ、研究についても想定以上の成果が出ている。 A=答申を踏まえて実行される脳科学研究について、研究開発拠点等の整備が順調に行われ、研究についても順調に進捗している。 B=答申を踏まえて実行される脳科学研究について、研究開発拠点等の整備が進められているが、研究について進捗が遅れている。 C=答申を踏まえて実行される脳科学研究について、研究開発拠点等の整備が遅れており、研究についても進捗が遅れている。 |
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判断基準ロ | 技術開発研究における、難解析性タンパク質の構造・機能解析に必要な技術の開発と基盤構築の進捗状況及び国が研究目標として定めた学術研究や産業振興において重要なターゲットとなるタンパク質の構造解析の進捗状況 |
S=重要なターゲットとなるタンパク質の構造解析について、技術開発研究と連携し、研究が極めて順調に進捗している。 A=重要なターゲットとなるタンパク質の構造解析について、技術開発研究と連携し、研究が順調に進捗している。 B=重要なターゲットとなるタンパク質の構造解析について、技術開発研究と連携しているが、研究が若干遅れている。 C=重要なターゲットとなるタンパク質の構造解析について、技術開発研究と連携が図られておらず、研究も遅れている。 |
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判断基準ハ | 発生・分化等の生命科学に関する基本的問題の解明の基盤の構築状況及び疾患の発症機構の解明や新しい治療法につながる研究の進捗状況 |
S=発生・分化等の生命科学に関する基本的問題の解明の基盤が順調に構築され、研究についても想定以上の成果が出ている。 A=発生・分化等の生命科学に関する基本的問題の解明の基盤が順調に構築され、研究についても順調に成果が出ている。 B=発生・分化等の生命科学に関する基本的問題の解明の基盤の構築が進められているが、研究について進捗が遅れている。 C=発生・分化等の生命科学に関する基本的問題の解明の基盤の構築が遅れており、研究についても進捗が遅れている。 |
社会への貢献を明確に見据えた脳科学研究を戦略的に推進するため、平成20年度より立ち上げた「脳科学研究戦略推進プログラム」において、「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」(情報脳)及び「独創性の高いモデル動物の開発」(基盤技術開発)について、研究開発拠点の整備等を実施した。特に、「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」については、人がどのような画像を見ているかをヒトの脳活動パターンから再構築することに成功する等、予想以上の成果が出ている。今後は、平成21年6月23日に取りまとめられた科学技術・学術審議会の第1次答申「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について」を踏まえ、脳と心身の健康(健康脳)に関する研究拠点の整備等が求められる。
「ターゲットタンパク研究プログラム」において、学術研究や産業振興において重要なターゲットとなるタンパク質の構造解析について、目標数(200)を超えた成果を得た。なお、平成21年度からは、生命現象の統合的理解に向けて、従来なしえなかった大規模・多面的なゲノム情報等の解析等を行う「革新的細胞解析研究プログラム(セルイノベーション)」と統合し、「革新的タンパク質・細胞解析研究イニシアティブ」として一体的に進めることにより、効果的な研究の推進を図ることとしている。
「ゲノムネットワークプロジェクト」において、ゲノム機能情報の集中的解析に関し、転写制御ネットワークの要素測定技術を確立し、細胞の働きに対する遺伝子の発現情報の解析や、細胞の働きを制御するプロモーターの配置を予測するための転写開始点の情報等の基盤データについて、計画値を超えて提供した。また、ヒトcDNAクローン等研究用リソースの収集については、概ね収集予定のクローンを整備したほか、得られた情報を体系化して提供するプラットフォームよりデータの一般公開を行い、一般に成果の還元を行なうなど、順調に進捗し、当初目標を達成した。
(指標・参考指標)
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
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イ プロジェクトの成果の論文数 | − | − | − | − | 約130 |
ロ 学術研究や産業振興において重要なターゲットとなるタンパク質の構造解析数【目標:200】 | − | − | − | 約70 | 266 |
ハ ヒトゲノム転写開始点情報(累積) 【目標:事業終了時1,000万】 |
約1,000万 | 約1,800万 | 約4,300万 | 約4,300万 | 約10,300万 |
ハ 遺伝子発現情報(累積) 【目標:事業終了時2,000】 |
1,600 | 1,911 | 2,315 | 2,315 | 2,315 |
判断基準イ | 橋渡し研究支援機関の整備状況と各支援拠点における研究進捗状況 |
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S=シーズの開発戦略策定等を行うための橋渡し研究支援機関の充実強化や生物統計家等の必要な人材の確保・登用・育成体制整備、GMP基準での試験物製造等の研究費確保等、支援機関の体制が整備され、当該機関が支援している研究についても想定以上の成果が出ている。 A=シーズの開発戦略策定等を行うための橋渡し研究支援機関の充実強化や生物統計家等の必要な人材の確保・登用・育成体制整備、GMP基準での試験物製造等の研究費確保等、支援体制の整備が順調に行われ、当該機関が支援している研究についても順調に進捗している。 B=シーズの開発戦略策定等を行うための橋渡し研究支援機関の充実強化や生物統計家等の必要な人材の確保・登用・育成体制整備、GMP基準での試験物製造等の研究費確保等、支援体制の整備が進められているが、当該機関が支援している研究について進捗が遅れている。 C=シーズの開発戦略策定等を行うための橋渡し研究支援機関の充実強化や生物統計家等の必要な人材の確保・登用・育成体制整備、GMP基準での試験物製造等の研究費確保等、支援体制の整備が遅れており、当該機関が支援している研究についても進捗が遅れている。 (参考:プロジェクト終了時に、各拠点において有望な基礎研究成果を2件ずつ治験の段階に到達) |
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判断基準ロ | 世界最大規模のバイオバンクに集められた試料や一塩基多型(SNP)解析データを活用した疾患関連遺伝子研究の進捗状況 |
S=重点対象疾患としている21疾患について、最終年度までに各疾患の原因遺伝子の特定等が行われるよう疾患関連遺伝子研究等を実施し、想定以上に進捗している。 A=重点対象疾患としている21疾患について、最終年度までに各疾患の原因遺伝子の特定等が行われるよう疾患関連遺伝子研究等を実施し、想定通りに進捗している。 B=重点対象疾患としている21疾患について、最終年度までに各疾患の原因遺伝子の特定等が行われるよう疾患関連遺伝子研究等を実施しているが、一部について想定より進捗が遅れている。 C=重点対象疾患としている21疾患について、最終年度までに各疾患の原因遺伝子の特定等が行われるよう疾患関連遺伝子研究等を実施しているが、想定通りに進捗していない。 |
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判断基準ハ | 各種施策を踏まえた、わが国の幹細胞・再生医学研究の体制を強化するための研究開発拠点等の整備状況及びこれらにより推進される再生医療の実現化のための研究の進捗状況 |
S=幹細胞・再生医学研究の体制を強化するための研究開発拠点等の基盤が順調に構築され、研究についても想定以上の成果が出ている。 A=幹細胞・再生医学研究の体制を強化するための研究開発拠点等の基盤が順調に構築され、研究についても順調に成果が出ている。 B=幹細胞・再生医学研究の体制を強化するための研究開発拠点等の基盤の構築が進められているが、研究について進捗が遅れている。 C=幹細胞・再生医学研究の体制を強化するための研究開発拠点等の構築が遅れており、研究についても進捗が遅れている。 |
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判断基準ニ | 粒子線がん治療に係る人材育成事業の進捗状況 |
S=5年間でコア人材40名程度の育成を目指し、人材育成カリキュラムの策定や、既存粒子線治療施設を活用したOJTによる研修の実施など、計画以上に事業が進捗している。 A=5年間でコア人材40名程度の育成を目指し、人材育成カリキュラムの策定や、既存粒子線治療施設を活用したOJTによる研修の実施など、計画通り事業を実施している。 B=5年間でコア人材40名程度の育成を目指し、人材育成カリキュラムの策定や、既存粒子線治療施設を活用したOJTによる研修の実施などを予定しているが、カリキュラムの策定や設備など体制整備に遅れが見られ、事業の進捗が遅れている。 C=5年間でコア人材40名程度の育成を目指し、人材育成カリキュラムの策定や、既存粒子線治療施設を活用したOJTによる研修の実施などを予定しているが、カリキュラムの策定や設備など体制整備が進まず、事業が大幅に遅れている。 (参考:事業終了時において、コア人材40名程度の育成を目標としている。初年度は研修用の設備整備やカリキュラムの作成等を行い、2年目から3名、3年目は9名、4年目は14名、5年目は15名育成することを予定) |
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判断基準ホ | 研究拠点の整備の進捗度合いと、分子イメージング研究・専門人材育成の達成度 |
S=PET基盤技術開発研究や分子プローブの設計及び創薬、機能評価、応用に関する研究、大学等との連携による分子イメージング専門人材の育成など、分子イメージング研究体制の整備が計画以上に進捗したことにより、既に外部機関と連携し、共同研究しており具体的な成果が出ている。 A=PET基盤技術開発研究や分子プローブの設計及び創薬、機能評価、応用に関する研究、大学等との連携による分子イメージング専門人材の育成など、分子イメージング研究体制の整備が計画どおりに行われ、既に外部機関と連携し、共同研究する体制が整っている。 B=PET基盤技術開発研究や分子プローブの設計及び創薬、機能評価、応用に関する研究、大学等との連携による分子イメージング専門人材の育成など、分子イメージング研究体制の整備が計画から若干遅れているため、既に外部機関と連携し、共同研究する体制に遅れがある。 C=PE基盤技術開発研究や分子プローブの設計及び創薬、機能評価、応用に関する研究、大学等との連携による分子イメージング専門人材の育成など、分子イメージング研究体制の整備が計画から遅れており、既に外部機関と連携し、共同研究することができない。 |
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判断基準ヘ | 専門支援機関による支援の下での、臨床試験実施計画書の作成状況 |
S=専門支援機関による支援の下、すべての課題において、臨床試験実施計画書の作成にとりかかっている A=専門支援機関による支援の下、ほぼすべての課題において、臨床試験実施計画書の作成にとりかかっている B=専門支援機関による支援の下、半数程度の課題において、臨床試験実施計画書の作成にとりかかっている C=ほぼすべての課題において、臨床試験実施計画書の作成の目処が立たない |
「橋渡し研究支援推進プログラム」において、平成19、20年度に採択した橋渡し研究拠点において、医療としての実用化が見込まれる有望な基礎研究の成果を臨床へ橋渡しするため、各拠点において開発戦略や知財戦略の策定、薬事法を目指した試験物の製造及び必要な人材の確保等、支援機関としての体制整備が順調に進められている。また、各拠点において、10件程度のシーズに対し橋渡し研究支援が進められており、企業へライセンスアウトしたものも1件存在するなど、橋渡し支援機関の整備および研究支援については、順調に進捗している。
「個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト」において、世界最大規模のバイオバンクに収集した試料等を活用した疾患関連遺伝子研究は、平成20年度から第2期事業の課題として開始しており、第1期で収集した47疾患から第2期で重点化した21疾患のうち、国民の健康に特に大きな影響を与える「がん関連疾患領域」(6疾患)及び「メタボリック・シンドローム関連疾患領域」(6疾患)について、集中的に大規模な全ゲノム解析を実施した。また、これらの解析データを活用した疾患関連遺伝子研究を実施する機関を公募により採択し、研究を開始するなど、順調に進捗している。なお、重点化した疾患のうち残りの9疾患については、当初予定通り、21年度に疾患関連遺伝子研究を実施する機関を公募し、研究を開始する予定である。
「再生医療の実現化プロジェクト」において、iPS細胞等研究を総合的に実施できる「ヒトiPS細胞等研究拠点」及びiPS細胞等研究の基盤となる「iPS細胞技術プラットフォーム」を整備するとともに、「研究用幹細胞バンク整備領域」、「幹細胞操作技術開発領域」、「幹細胞治療開発領域」の個別研究事業を開始した。成果としては、ウイルスを用いない方法でマウスiPS細胞の樹立に成功したほか、ヒトiPS細胞から血小板等の各種血液細胞への分化誘導に成功した。さらに、脊髄を損傷したマウスにヒトiPS細胞から作製した神経前駆細胞を移植することにより、症状を改善するなどの成果を挙げている。また、約30機関が参加する「文部科学省iPS細胞等研究ネットワーク」を活用し、国際競争を見据えた知的財産戦略や管理・活用体制の強化を行った。ヒトiPS細胞等幹細胞研究の基盤整備、再生医療関連技術の開発について、順調に進捗している。今後は、「iPS細胞研究等の加速に向けた総合戦略 改訂版」を踏まえ、iPS細胞研究の一層の加速化を図るとともに、日本全体で研究を総合的かつ効率的に進められるよう、より具体的な目標を設定し、これに沿った取組を遂行していく。
「粒子線がん治療に係る人材育成事業」において、粒子線がん治療に特化した固有の知識・技術を有する放射線腫瘍医、医学物理士、診療放射線技師等を養成するため人材育成カリキュラムを実施し、放射線腫瘍医1名、医学物理士2名、診療放射線技師2名の育成を開始している(うち、診療放射線技師2名については、基礎研修及びOJTの所定の研修を修了)。また、平成19年度に策定した人材育成カリキュラム、基礎研修に使用するテキスト及びOJTガイドブックの見直しを実施するとともに、パンフレットの作成、サイトの開設、入門セミナーの開催により、本プログラムの広報を積極的に行うなど、順調に進捗している。
「分子イメージング研究プログラム」において、PET疾患診断研究拠点において、世界最高レベルの超高比放射能標識の利点を活かしたプローブ開発を展開し、今まで当初の計画(30種類)以上である57種類の分子プローブの製造法を確立するとともに、その内11種類については、臨床評価を実施している。また、創薬候補物質探索拠点では、高速C−メチル化反応の開発を進めるとともに、高速C—メチル化反応を用いていくつかの化合物のPETプローブ化に成功している。また、分子プローブの機能評価法を確立し、分子イメージング技術を用いた薬物動態の有用性を確認した。さらに、両拠点と連携する個別研究開発課題及び人材育成について、大学・民間等の外部機関と共同研究・人材育成を実施するなど、全体として順調に進捗している。
「革新的ながん治療法等の開発に向けた研究の推進」において、これまでに優れた成果が現れているがん免疫療法や分子標的治療法に係る基礎研究成果を臨床に応用する取組を進めており、実施している6課題すべてについて、前臨床試験を終了し、臨床試験実施計画書を作成した。さらに、5課題については人に投与する臨床試験(治験)を実施するなど、大学等においてはこのような取組に関する経験がほとんど蓄積されていない中、ほぼすべての課題において臨床試験実施計画書の作成に取りかかることとし、当初予定以上に進捗している。
(指標・参考指標)
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
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ハ 疾患特異的iPS細胞の樹立数 | − | − | − | − | 5 |
ニ 粒子線がん治療に係る人材育成プログラムの研修開始者数(下段は研修修了者数) | − | − | − | 0 | 52 |
ホ 分子プローブの製造法の開発・実用化数(累積) 【目標:毎年プローブを10個開発】 | − | 8 | 24 | 42 | 57 |
判断基準 | 新興・再興感染症研究研究拠点の整備の進捗度合いと、拠点を利用した研究の達成度 |
---|---|
S=研究拠点が整備され、拠点を利用した研究についても予想以上の成果が出ている。 A=研究拠点の整備が順調に行われ、拠点を利用した研究についても順調に進められている。 B=研究拠点の整備が進められているが、拠点を利用した研究について開始が遅れている。 C=研究拠点の整備が遅れており、拠点を利用した研究についても開始が遅れている。 |
「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」において、これまでアジア・アフリカ6カ国及び国内に設置した新興・再興感染症の研究拠点で各研究機関と現地機関との共同研究等を進めるとともに、感染症研究の人材養成を進めている。また、研究ネットワークの更なる拡充を図るため、新たにフィリピンとガーナの2カ国で研究拠点を整備した。また、本プログラムの研究内容に関する情報発信や研究者同士の意見交換を目的として、「新興・再興感染症に関するアジア・アフリカリサーチフォーラム」を国内で開催するなど、感染症研究体制の整備およびその研究について順調に進捗している。
判断基準イ | ライフサイエンス関係データベースの整備、基盤構築と統合データベース公開サービスの提供についての計画・目標達成度 |
---|---|
S=データベース整備、基盤構築が計画以上に達成され、公開サービスも目標以上に出来ている。 A=データベース整備、基盤構築が計画通りに達成され、公開サービスも目標通りに出来ている。 B=データベース整備、基盤構築の計画の一部に遅れが見られ、公開サービスも目標の一踏未達が見られる。 C=データベース整備、基盤構築の遅れが顕著であり、支障が生じており、計画どおりに進展していない。 |
|
判断基準ロ | 国として戦略的に整備する必要があるバイオリソースについて体系的に収集、保存し、提供するための体制整備の進捗状況 |
S=生物遺伝資源の収集が想定以上に実施されており、プロジェクト実施機関における体制の整備が極めて順調に進捗している。 A=生物遺伝資源の収集が着実に実施されており、プロジェクト実施機関における体制の整備が順調に進捗している。 B=生物遺伝資源の収集が実施されており、プロジェクト実施機関における体制の整備が進捗している。 C=生物遺伝資源の収集が十分になされておらず、プロジェクト実施機関における体制の整備に進捗が見られない。 |
ライフサイエンス関係データベースの整備等については、「統合DBプロジェクト中間評価委員会」(平成20年6月)において、計画に対して順調以上に進捗しているとの評価を受けた。平成20年度末時点で、ライフサイエンス関係DB、596(目標250)の所在情報等を収載したカタログDBを公開した。また、文献情報や遺伝子、タンパク質データ等、236(目標200)の横断検索を実現した。DBの受け入れについても11件(目標15)を達成し、順調に進捗している。
「ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)」において、プロジェクト実施機関における体制の整備も進み、生物遺伝資源の収集が着実に実施されている。例えば、平成20年度には、マウスが3,261系統→3,885系統、シロイヌナズナが544,235系統→570,399系統と着実に保存系統数も増やしており、引き続き生物遺伝資源の収集・保存・提供を着実に実施した。
(指標・参考指標)
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
---|---|---|---|---|---|
イ ライフサイエンス関係データベースの整備、基盤構築と統合データベース公開サービスの提供についての計画・目標達成度 | |||||
カタログDB数 | - | - | - | 約150 | 337 |
横断検索DB数 | - | - | - | 10 | 200 |
DB受け入れ数 | - | - | - | 5 | 12 |
ロ バイオリソースの系統保存数(理化学研究所バイオリソースセンター保有リソース数)(すべて累積数) | |||||
実験動物(マウス)(系統数) | 1,668 | 2,075 | 2,859 | 3,261 | 3,885 |
実験植物(シロイヌナズナ)(株数) | 264,662 | 366,153 | 390,185 | 544,235 | 570,399 |
遺伝子材料(動物、微生物)(株数) | 764,968 | 785,062 | 914,148 | 1,605,396 | 3,284,668 |
細胞材料(動物、がん等、及びヒト細胞)(株数)(使切試料含む) | 2,521 | 5,806 | 6,872 | 8,167 | 8,800 |
【必要性の観点】
第3期科学技術基本計画において、ライフサイエンス分野は重点推進4分野の1つに位置づけられており、また総合科学技術会議の策定した「分野別推進戦略」においても、ライフサイエンス研究の研究開発力・産業競争力の国際比較と重要度を踏まえると、知的資産の増大、経済的効果、社会的効果、国際競争力確保の観点から、これまで国が推進してきた領域について、ひきつづき重点的な投資を行う必要があるとされている。
【有効性の観点】
平成20年度に最終年度を迎えた事業については、概ね目標を達成しており、現行の各事業においても、事業終了年度までに各達成目標において示した研究開発の成果を見込んでいる。各事業の実施にあたっては、推進委員会・評価委員会を組織し、採択課題および機関における役割分担を明確にするほか、今後の課題および推進方策について検討し、効率的な事業の実施を図っている。
【効率性の観点】
(事業アウトプット)
本施策の実施により、1.医学・薬学への貢献や産業応用に向けた生命現象が解明される、2.先端的医療の実現に資する知見が蓄積される、3.社会の安全・安心の確保に必要な知見の蓄積および人材が養成される、4.研究支援のための基盤が整備される、5.国家的・社会的要請の高い研究分野が推進される、といった効果が見込まれる。
(事業アウトカム)
ライフサイエンス分野の研究開発を着実に推進することにより、国民の健康長寿や安全の確保の実現、食料自給率向上や産業競争力強化および新産業創出に大きく貢献することが期待される。
以上より、施策の波及効果も認められ、効率性の観点から妥当である。
【予算要求への反映】
これまでの取組を引き続き推進
【機構定員要求への反映】
特になし
【具体的な反映内容について】
特になし
※【22年度の予算要求への考え方】には、実績を踏まえ、より効率化に努める内容についても記入している。
【事業概要等】 | 【20年度の実績】 | 【22年度予算要求への考え方】 |
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ターゲットタンパク研究プログラム(開始:平成18年度 終了:平成20年度 20年度予算額:5,200百万円) | ||
過去の施策で得られた成果や基盤を活用しつつ、学術研究や産業振興に重要なタンパク質を標的とし、それらの構造・機能解析のための技術開発と研究を行う。 | 大型放射光施設(SPring-8、フォトンファクトリー)における新規ビームライン建設や化合物ライブラリー整備などの基盤整備を進めた。 個別のタンパク質について、構造と機能研究を進め、植物ホルモンの一種であるジベレリンの受容体構造の解析に成功するなどの成果を得た。 化合物ライブラリーについて、我が国初の大規模公的化合物ライブラリーとして、民間企業を含む一般研究者に対して公開を開始した。 |
平成21年度から本事業を発展させた「革新的タンパク質・細胞解析研究イニシアティブ」を実施するため、廃止 |
脳科学研究戦略推進プログラム(開始:平成20年度 終了:平成25年度 20年度予算額:2,300百万円) | ||
高齢化、多様化、複雑化が進む現代社会が直面する様々な課題の克服に向けて、脳科学に対する社会からの期待が高まっている状況を踏まえ、「社会に貢献する脳科学」の実現を目指し、社会への応用を明確に見据えた脳科学研究を戦略的に推進する。 | 平成20年度は、脳情報を解読・制御することにより脳機能を理解するとともに脳機能や身体機能の回復・補完を可能とする「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」及び脳科学研究の共通的な基盤となる先進的なリソースとなる「独創性の高いモデル動物の開発」について公募を実施し、前者については、研究開発拠点とそれを補完する要素技術等を開発する個別課題を合計19課題採択し、後者については、研究開発拠点を1課題採択し、拠点整備等を進めた。 「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」については、人がどのような画像を見ているかをヒトの脳活動パターンから再構築することに成功する等、予想以上の成果が得られている。また、「独創性の高いモデル動物の開発」については、順調に進捗している。 |
「長期的展望に立つ脳科学研究の基本構想及び推進方策について(第1次答申)」を踏まえ、脳科学研究をより一層推進していく必要がある。 |
ゲノム機能解析等の推進(開始:平成16年度 終了:平成20年度 20年度予算額:1,500百万円) 【平成20年度達成年度到来事業】 |
||
遺伝子やタンパク質の相互作用等の集中的解析のデータの活用により、細胞からのシグナル伝達から転写に至るネットワークの解析を行い、各種疾患、生命現象のシステムを解明し、革新的な治療法、創薬等の実現を目指す。 | 転写制御ネットワークの要素測定技術を確立し、獲得した転写因子の発現情報等の基盤データについて、計画値を超えて提供した。 ヒトcDNAクローン等研究用リソースの収集については、概ね収集予定のクローンを整備した。 プラットフォームよりデータの一般公開を行い、一般に成果の還元を行うなど、当初目標を概ね達成した。 |
当初目標を概ね達成したため平成20年度で終了 |
橋渡し研究支援推進プログラム(開始:平成19年度 終了:平成23年度 20年度予算額:1,750百万円) | ||
基礎研究の成果を臨床へ橋渡しするための支援機関を拠点的に整備し、がんや難治性疾病等の重大な疾患に対する有望な基礎研究の成果を着実に実用化させ、国民へ医療として定着させることを目指す。 | 平成19年度に採択した橋渡し研究拠点において、基礎研究の成果を臨床へ橋渡しするため、開発戦略や知財戦略の策定、試験物の製造などの橋渡し研究の支援を行う機能の整備・強化を進めている。 また、平成20年度は、橋渡し研究支援拠点を新たに公募で1拠点採択し、支援機能の整備を進めている。 |
「健康研究推進戦略」(平成21年7月策定)等を踏まえ、橋渡し研究をより一層推進していく必要がある。 |
個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト(第2期)(開始:平成20年度 終了:平成24年度 20年度予算額:2,794百万円) | ||
オーダーメイド医療の実現化を目指し、世界最大規模のバイオバンクに集められた試料や一塩基多型(SNP)解析データを活用し、疾患関連遺伝子研究を推進する。 | 平成20年度は、重点化した疾患のうち、国民の健康に特に大きな影響を与える、「がん関連疾患領域」及び「メタボリック・シンドローム関連疾患領域」について集中的に大規模な全ゲノム解析を実施した。 また、これらの解析データを活用した疾患関連遺伝子研究を実施する機関を公募により採択し、研究を開始した。 (参考)「がん関連疾患領域」: 肺がん、胃がん、大腸がん・直腸がん、前立腺がん、乳がん「メタボリック・シンドローム関連疾患領域」: 高脂血症、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、安定・不安定狭心症 |
「健康研究推進戦略」(平成21年7月策定)や「新健康フロンティア戦略」(平成19年4月)等を踏まえ、個人個人に応じた医療の実現に向けた研究開発をより一層推進していく必要がある。 |
再生医療の実現化プロジェクト(第2期)(開始:平成15年度 終了:平成24年度 20年度予算額:2,000百万円) | ||
細胞移植・細胞治療等によってこれまでの医療を根本的に変革する可能性を有する再生医療について、iPS細胞等を用いた革新的な幹細胞操作技術や治療技術等を世界に先駆け確立し、その実用化を目指す。 | iPS細胞等研究を総合的に実施できる「ヒトiPS細胞等研究拠点」及びiPS細胞等研究の基盤となる「iPS細胞技術プラットフォーム」を整備するとともに、「研究用幹細胞バンク整備領域」「幹細胞操作技術開発領域」「幹細胞治療開発領域」の個別研究事業を開始した。 成果としては、ウイルスを用いない方法でマウスiPS細胞の樹立に成功したほか、ヒトiPS細胞から血小板等の各種血液細胞への分化誘導に成功した。さらに、脊髄を損傷したマウスにヒトiPS細胞から作製した神経前駆細胞を移植することにより、症状を改善するなどの成果を挙げている。 また約30機関が参加する「文部科学省iPS細胞等研究ネットワーク」を活用し、国際競争を見据えた知的財産戦略や管理・活用体制の強化を行った。 事業の総括として、ヒトiPS細胞等幹細胞研究の基盤整備、再生医療関連技術の開発について、順調に進捗している。また約30機関が参加する「文部科学省iPS細胞等研究ネットワーク」を活用し、国際競争を見据えた知的財産戦略や管理・活用体制の強化を行った。事業の総括として、ヒトiPS細胞等幹細胞研究の基盤整備、再生医療関連技術の開発について、順調に進捗している。 |
「iPS細胞(人工多能性幹細胞)等の策定に向けた総合戦略 改訂版」及び「iPS細胞研究ロードマップ」を踏まえ、幹細胞研究をより一層推進していく必要がある。 |
分子イメージング研究プログラム(開始:平成17年度 終了:平成21年度 20年度予算額:1,200百万円) | ||
生物を構成するタンパク質などの様々な分子の挙動を生物が生きた状態のまま画像として捉える分子イメージング研究を、創薬と疾患研究を中心に推進する。 | 平成20年度は、PET疾患診断研究拠点においては、世界最高レベルの超高比放射能標識の利点を活かしたプローブ開発を展開し、今まで当初の計画(30種類)以上である57種類の分子プローブの製造法を確立するとともに、その内11種類については、臨床評価を実施した。 創薬候補物質探索拠点では、高速C−メチル化反応の開発を進めるとともに、高速C—メチル化反応を用いていくつかの化合物のPETプローブ化に成功した。また、分子プローブの機能評価法を確立し、分子イメージング技術を用いた薬物動態の有用性を確認した。 さらに、両拠点と連携する個別研究開発課題及び人材育成について、大学・民間等の外部機関と共同研究を実施した。 |
平成21年度が事業最終年度のため、事後評価及び今後のあり方について、それぞれ有識者委員会で検討し、分子イメージング研究を引き続き推進することが必要とされた。 |
粒子線がん治療に係る人材育成プログラム(開始:平成19年度 終了:平成23年度 20年度予算額:80百万円) | ||
粒子線によるがん治療に特化した専門的な知識・技術を有する放射線腫瘍医、医学物理士等の人材を育成するための人材育成カリキュラムの策定、既存の施設を活用したOJT(OntheJobTraining)の実施等、本格的な人材育成プログラムの実施に向けた措置を講ずる。 | 平成20年度は、粒子線がん治療に特化した固有の知識・技術を有する放射線腫瘍医、医学物理士、診療放射線技師等を養成するため人材育成カリキュラムを実施し、放射線腫瘍医1名、医学物理士2名、診療放射線技師2名の育成を開始。うち、診療放射線技師2名については、基礎研修及びOJTの所定の研修を修了した。 また、人材育成カリキュラム、基礎研修に使用するテキスト及びOJTガイドブックの見直しを実施するとともに、パンフレットの作成、サイトの開設、入門セミナーの開催により、本プログラムの広報を積極的に行った。 |
「がん対策推進基本計画」(平成19年6月策定)等を踏まえ、放射線療法等に係る人材育成をより一層推進していく必要がある。 |
革新的ながん治療法等の開発に向けた研究の推進(開始:平成16年度 終了:平成20年度 20年度予算額:600百万円) 【平成20年度達成年度到来事業】 |
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「がん対策基本法」等に基づき、これまでに得られたがんに関する基礎研究等の成果を新たな免疫療法など次世代のがん治療法につなげる橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)を推進する。 | 実施している6課題すべてについて、前臨床試験を終了し、臨床試験実施計画書を作成した。さらに、5課題については人に対する臨床試験(治験)を実施している。 [事業期間全体の総括] 本事業について、当初採択していた10課題に対し、研究の重点化を図るため、平成18年度に中間評価を踏まえて6課題に絞り込みを行った。平成20年度末時点において、これら6課題すべてについて当初目標である臨床試験実施計画書の作成が終了しており、さらに5課題は臨床試験のフェーズに入っている。このことから、本事業の目標は想定以上に達成したと判断。 |
当初目標を概ね達成したため平成20年度で終了 |
新興・再興感染症拠点形成プログラム(開始:平成17年度 終了:平成21年度 20年度予算額:2,500百万円) | ||
国内外における新興・再興感染症研究の拠点となる研究機関の整備・充実を図り、拠点を中心とした共同利用・共同研究の枠組みを構築し、医学・獣医学などの分野を超えた融合的な研究を推進する。これらを通じて、新興・再興感染症対策への迅速な対応に資する基礎的知見の蓄積、人材の養成・確保を図る。 | 平成20年度は、これまでに設置した新興・再興感染症の研究拠点において、各研究機関により研究を進めるとともに、人材養成に取り組んでいる。 また、研究ネットワークの拡充を図るため、新たに2カ国において拠点を形成した。また、本プログラムの研究内容に関する情報発信や研究者同士の意見交換を目的として、「新興・再興感染症に関するアジア・アフリカリサーチフォーラム」等を開催した。 |
平成21年度が事業最終年度のため、事後評価及び今後のあり方について、それぞれ有識者委員会で検討し、新興・再興感染症研究を引き続き推進することが必要とされた。 |
統合データベースプロジェクト(開始:平成18年度 終了:平成22年度 20年度予算額:1,100百万円) | ||
我が国のライフサイエンス関係のデータベースの利便性の向上を図るため、データベースの統合化及び利活用のための基盤技術開発、人材育成等を行い、データベースの統合的活用システムを構築する。 | 生命科学系データベース、約350(目標250)の所在情報等を収載したカタログデータベースを公開した。 文献情報や遺伝子、タンパク質データ等、約200(目標200)の横断検索を実現した。 データベース受け入れ、12件(目標15)達成した。 |
(独)科学技術振興機構バイオインフォマティクス推進センターの事業と一体的運用を図ることでより政策効果を高めるべく、平成23年度からの統合に向けて段階的移行を進めることとしている。 |
ナショナルバイオリソースリソースプロジェクト(開始:平成19年度 終了:−(3年ごとに評価を実施予定)20年度予算額:1,400百万円) | ||
ライフサイエンス研究を支えるため、研究用動植物(マウス等)や、各種細胞、各種生物の遺伝子材料等のバイオリソースのうち、国として戦略的に整備する必要があるものについて体系的に収集、保存し、提供するための体制の整備並びにバイオリソースの更なる品質向上のための開発を推進する。 | プロジェクト実施機関における体制の整備も進み、生物遺伝資源の収集が着実に実施されている。例えば、平成20年度には、マウスが3,261系統→3,885系統、シロイヌナズナが544,235系統→570,399系統と着実に保存系統数も増やしており、順調に進捗。 | バイオリソースは生き物であり一度途絶えると二度と復元することができないという性格を持つことから、我が国の国家戦略にとって重要な意味を持つバイオリソースの継続性を図ることは必須であるため、平成21年度より研究開発基盤整備補助金として補助金化して継続 |
(参考)関連する独立行政法人の事業(なお、当該事業の評価は文部科学省独立行政法人評価委員会において行われている。評価結果については、独法評価書を参照のこと)
独法名 | 20年度予算額 | 事業概要 | 備考(その他関係する政策評価の番号) |
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理化学研究所 | 運営費交付金の内数 | ○脳科学総合研究事業 我が国の脳科学を総合的に牽引する中核的研究機関として役割を果たすとともに、分子から神経回路を経て心に至る脳の仕組みを解読するといった科学の飛躍的進歩をもたらす研究を推進する。 ○植物科学研究事業 代謝物解析と遺伝子探索に重点をおいて、植物の生長、形態形成、環境応答などの植物に特有な制御・応答メカニズムの解明研究を実施し、植物の質的・量的な生産力の向上を目指す。また、遺伝子組換え作物の安全性評価に資するため、在来種との実質同等性を解析するための基盤を整備する。 ○発生・再生科学総合研究事業 細胞治療・組織再生など医学的応用につながるテーマの基礎的・モデル的研究を効率的に推進し、得られる成果を広く応用分野に発信するとともに、発生生物学の新たな展開に貢献する。 ○免疫・アレルギー科学総合研究事業 国民的課題である免疫・アレルギー疾患の克服を目指した免疫システムの基礎的・総合的研究を推進する。 ○ゲノム医科学研究事業(遺伝子多型研究事業) ヒトゲノムの遺伝子領域におけるSNP(一塩基多型:個人ごとの塩基配列の違い)情報を活用し、自己免疫疾患や関節リウマチ疾患等について、疾患関連遺伝子を同定し、創薬をはじめとする新しい治療法や診断法等の開発に資する。 ○分子イメージング事業 低分子化合物や高分子化合物に対する放射性元素による標識合成の技術開発、生活習慣病や難治性疾患の予知・診断・治療薬の開発へつながる研究開発、分子イメージング技術の高度化を目指した開発等を行う。また、分子イメージング技術を適用した新たな創薬プロセスを推進するための技術的基盤を確立する。 ○バイオリソース事業 生物遺伝資源(バイオリソース)を有効に活用し、我が国のライフサイエンス研究の推進及び基盤的整備を図る。ナショナルバイオリソースプロジェクトに収集・保存・提供の中核的機関として参画。 |
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放射線医学総合研究所 | 運営費交付金の内数 | ○重粒子線がん治療研究 高度先進医療としての重粒子線がん治療を進めるとともに、膵がん等の難治がんの治療法開発に向けた臨床試験の展開や、より効果的・効率的な治療を目指した最適な照射法(次世代照射システム)の開発研究等を推進する。 ○分子イメージング研究 腫瘍の性質の評価を含めた早期診断、精神・神経疾患の発症前診断・薬効評価等を可能とする分子イメージング研究に関し、世界最高水準のPET(陽電子放射断層撮像法)基盤技術を基に疾患の病態研究や治療評価法等について、研究開発等を推進する。 |
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科学技術学術振興機構 | 運営費交付金の内数 | ○バイオインフォマティクス推進センター事業 膨大なゲノム情報等の解析の格段の効率化・省力化、利用の高度化等を実現するため、革新的なゲノム解析ツールの研究開発等、バイオインフォマティクス研究を推進する。国民的課題である免疫・アレルギー疾患の克服を目指した免疫システムの基礎的・総合的研究を推進する。 |
○21年度に開始された事業の概要、予定指標(※これらは20年度実績評価の結果に関係するものではない)
【事業概要等】 | 【目標・設定予定の指標】 | 【22年度予算要求への考え方】 |
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革新的細胞解析研究プログラム(終了:平成25年度 21年度予算額:5,800百万円の内数) | ||
革新的な解析能力を持つ次世代シーケンサーを拠点整備した「シーケンス拠点」と大量データを扱う「データ解析拠点」を構築し、これらの基盤を活用し、オミックス研究(遺伝子の働きの変化等)、リアルタイムイメージング解析、バイオインフォマティクスを一体に行う「先導研究」を実施する。 | 【目標】 1.大量かつ多面的なゲノム情報の統合解析により細胞・生命プログラムを解明するために、革新的な解析能力を持つシーケンス拠点並びにデータ解析拠点を国として重点的に整備する。 2.遺伝子の働きの変化や細胞内の情報の伝わり方などについての解析、細胞情報の経時・連続計測等による、細胞・生命プログラム解読に向けた先導研究を拠点と連携し、推進する。 【設定予定の指標】 ・大量かつ多面的なゲノム情報の解析等に必要なシーケンス拠点、データ解析拠点の整備状況 ・細胞・生命プログラム解読に向けた先導研究の進捗状況 |
先導的生命科学研究戦略作業部会報告書(平成20年7月30日)では、取り組むべき細胞系として、「発生・分化、がん、免疫、神経など」を挙げているが、平成21年度は、発生・分化、がんについてのみ先導研究を実施している。このため、平成22年度要求においては、シーケンス拠点の本格稼働を踏まえ、対象細胞を拡充し、免疫・神経などを対象とした先導研究を新たに実施する。 また、シーケンス解析量の増加に対応するため、データ解析拠点の運転経費の増額する。 |
今後とも、当該年度に各々のプロジェクトがどこまで進捗することが想定されていたのかについて、わかりやすく記述すること。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --