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施策目標7‐2 科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への責任ある取組の推進

 科学技術の社会的信頼を獲得するために、生命倫理問題が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への対応を強化する。

施策期間

 目標達成年度:平成22年度(基準年度:平成18年度)

主管課(課長名)

 研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室(永井 雅規)

関係局課(課長名)

 −

施策の全体像

 科学技術の社会的信頼を獲得するために、研究の発展・動向を踏まえ、生命倫理に関する法令・指針に基づいた規制を適切に実施することにより社会的影響等科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への対応を行う。

○達成目標7-2-1

 研究の発展・動向を踏まえ、生命倫理に関する法令・指針に基づいた規制を適切に実施する。この効果については、以下の指標によって判断することとする。
 ・判断基準7-2-1:法令や指針の運用等の実施状況

達成状況と評価

全体評価 A 

○ 判断基準7-2-1(A)

判断基準 法令や指針の運用等の実施状況
S=法令や指針の運用等が適切に実施された
A=法令や指針の運用等がほぼ適切に実施された
B=法令や指針の運用等が一部不適切であった
C=法令や指針の運用等が不適切であった

 平成20年度においては、現下の生命倫理上の諸課題(平成16年から継続中の懸案を含む。)について、文部科学省において精力的に検討を進めた結果、それぞれ以下のとおり、一定の結論が得られるなど、具体的な進展が図られた。

  • ヒトES細胞等からの生殖細胞の作成の是非については、基本となる報告書を取り纏め(平成21年2月、科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会)
  • 「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」(以下「ES指針」という。)における手続等の緩和については、ヒトES細胞の使用計画に対する国の二重審査を廃止し、今後は届出でよいとする基本的方向性について結論(平成21年3月、生命倫理・安全部会の下の専門委員会)
  • 人クローン胚の作成・利用に係る関係指針の整備については、具体的な指針改正案を取り纏め、総合科学技術会議に諮問(平成20年10月)
  • 生殖補助医療研究を目的としたヒト受精胚の作成・利用に関するガイドラインについては、基本となる報告書を取り纏め(平成21年2月、生命倫理・安全部会)

また、関係指針の運用を着実に実施した。
以上より、研究の発展・動向を踏まえた生命倫理に関する法令・指針の整備・運用は、適切に実施されたと判断できる。
具体的な達成状況と評価は、以下のとおり。

(1)ヒトES細胞等に関する規制
1.ヒトES細胞等からの生殖細胞の作成の是非に関する検討
 現行ES指針においては、ヒトES細胞からの生殖細胞の作成が禁止されているが、平成19年11月の山中教授によるヒトiPS細胞の樹立成功の報告を受け、平成20年2月、生命倫理・安全部会において、ヒトES細胞、ヒトiPS細胞及びヒト組織幹細胞(以下「ヒトES細胞等」という。)からの生殖細胞の作成の是非については、その研究上の有用性や生命倫理上の観点からの検討を進めることとし、その結論が得られるまでの間は、(ES細胞のように指針に基づく具体的な禁止措置が講じられていない)ヒトiPS細胞及びヒト組織幹細胞についても、当面の措置として、生殖細胞の作成は行わないことを求める旨の決定を行った。

 本件は、当該決定を受けて、生命倫理・安全部会の下に作業部会を設置し、平成20年4月よりヒトES細胞、ヒトiPS細胞等からの生殖細胞の作成の是非について加速的に検討を進めていたものであるが(月1回の頻度で作業部会を開催)、平成21年2月、同部会において、ヒトES細胞、ヒトiPS細胞等からの生殖細胞の作成を容認すべき(ただし、当該生殖細胞からヒト胚の作成は当面行わない。)との最終的な結論を得た。

2.ES指針における手続等の緩和
 平成20年11月、総合科学技術会議生命倫理専門調査会において「ES指針やその運用上の手続について、所要の見直しの検討が行われるべきである。」との決定が行われたことを受け、文部科学省(生命倫理・安全部会の下の専門委員会)において、具体的なES指針における手続等の緩和の在り方について検討を開始し、平成21年3月には、ヒトES細胞の使用計画に対する国の二重審査を廃止し、今後は届出でよいとする基本的方向性について結論を得た。(なお、その後も他の見直し(緩和)事項について検討を進めた結果、同年5月、生命倫理・安全部会において、最終的にこれらの検討結果を反映した具体的な指針改正案を決定し、文部科学省より総合科学技術会議に諮問を行った。)

3.ES指針の着実な実施
 平成20年度は、ES指針に基づく樹立、分配機関の設置及び使用計画の大臣確認申請(変更申請を含め、計55件)について、文部科学省として、生命倫理・安全部会の下の専門委員会の審査結果に基づき、これらの指針適合性に関する確認を着実に実施した。
 また、ES指針について周知徹底を図るため、HPにおける広報活動のほか、ヒトES細胞の使用機関等に対し指針に関する説明(講演等)を行うなど、その適切な運用に向けた取組を継続して実施した。

4.目標の達成状況
 平成20年度においては、幹細胞(ES細胞やiPS細胞等)に関する研究の発展・動向に対応して、ヒトES細胞等からの生殖細胞の作成の是非やES指針における手続等の緩和などの諸課題について、従来以上に迅速な検討を図ることにより、それぞれ一定の成果(結論等)が得られたことから、制度的枠組みの見直しやその整備に向けた検討は、全体として、適時適切かつ迅速に実施されたと考えられる。(評価結果:S)

(指標・参考指標)

  平成18年度 平成19年度 平成20年度
ES指針に基づく樹立計画(変更を含む。)の審査件数 2 4(2) 2
ES指針に基づく分配機関の設置計画(変更を含む。)の審査件数 - 0 1
ES指針に基づく使用計画(変更を含む。)の審査件数 15 58(34) 52
実施中のES指針に基づく樹立、分配機関の設置及び使用計画の件数(各年度とも、3月末現在) 40 41 55
ES指針の違反件数 0 0 0

 平成19年度の括弧内の件数は、ES指針の改正に伴う審査件数(内数)(文部科学省調べ) 

(参考指標の設定根拠)
 法令や指針の運用等の状況を客観的に判断する参考指標として、ES指針に基づく樹立計画、分配機関の設置計画及び使用計画の審査件数並びに各年度において進行中のこれらの計画件数の合計を用いた。

(2)クローン技術等規制法及び特定胚指針に基づく規制
 1.人クローン胚の作成・利用に関する指針の整備に向けた検討
 本件は、平成16年に総合科学技術会議において、人クローン胚の作成・利用を、他に治療法のない難病等に関する再生医療の研究に限定して容認する旨の決定が行われたことを受けて、文部科学省として、人クローン胚を作成・利用するに当たっての手続や遵守事項等を定めた指針の整備に向けて、生命倫理・安全部会において検討を行っていたもの。

 平成20年度においては、前年度(平成20年2月)に生命倫理・安全部会で取り纏められた報告書に基づき、具体的な指針の改正案(クローン技術等規制法に基づく特定胚の取扱いに関する指針、及びES指針の改正案)の作成を進め、パブリックコメントを経て、同年10月、当該改正案について総合科学技術会議に諮問を行った。(平成21年4月、当該諮問に対し総合科学技術会議より「妥当である」旨の答申が出され、改正指針が翌5月20日に公布・施行された。)

2.目標の達成状況
 平成20年度においては、長期にわたる懸案であった人クローン胚の作成・利用に関する指針について、文部科学省として具体的な指針の改正案を取り纏め、総合科学技術会議に諮問を行うことにより、具体的な進展が図られた。(評価結果:A)

(3)生殖補助医療研究を目的としたヒト受精胚の作成・利用に関するガイドラインの策定に向けた検討
1.ガイドラインの策定に向けた検討
 本件は、平成16年に総合科学技術会議において、文部科学省(及び厚生労働省)は生殖補助医療研究を目的としたヒト受精胚の作成・利用に関するガイドラインの具体的な内容を検討し、策定するべきとの決定が行われたことを受けて、文部科学省として、生命倫理・安全部会において検討を進めていたもの(厚生労働省(厚生科学審議会科学技術部会)との共同による審議)。

 平成20年度においては、本件検討を加速的に行い(夏頃からは月1回ペースで開催)、平成21年2月、生命倫理・安全部会において、ガイドラインを策定する上で基本となる報告書「生殖補助医療研究目的でのヒト受精胚の作成・利用の在り方について」を取り纏めた。(その後、平成21年4月、当該報告書は厚生科学審議会科学技術部会においても決定された。)

2.目標の達成状況
 平成20年度においては、平成16年からの懸案であった本件ガイドライン(指針)の策定に関して、文部科学省として、その基本となる報告書を取り纏めたことにより、当該ガイドラインの策定に向けた進展が図られた。(評価結果:A)

必要性・有効性・効率性分析

【必要性の観点】
 ライフサイエンスの発展に伴い生じる生命倫理に係る諸課題への対応のうち、人クローン胚を含む特定胚の取扱いについては、人の尊厳の保持、人の生命及び身体の安全の確保並びに社会秩序に影響を与えることのないよう、適正に取り扱われることを確保する必要がある。また、ヒトES細胞を用いる研究については、ヒトES細胞がヒト胚を滅失して樹立されるものであること、また、すべての細胞に分化すること等の生命倫理上の問題を有することから、適正に取り扱われる必要がある。さらに、生殖補助医療研究を目的としたヒト受精胚の作成・利用については、研究に用いるヒト受精胚の取扱いや、未受精卵の提供者である女性の保護等について適切な枠組みを整備する必要がある。以上の観点から、ライフサイエンスの発展に伴う生命倫理上の課題に対応するための指針の整備に係る検討や、その円滑な運用が必要である。

【有効性の観点】
  ライフサイエンス研究の発展等に伴う生命倫理上の諸課題への対応については、現在までに、クローン技術等規制法やES指針に基づく特段の違反事例はなく、ヒトES細胞を用いた研究等が指針に基づき適切に実施されてきている。

【効率性の観点】
(事業アウトプット)
 本事業により、ヒトES細胞等からの生殖細胞の作成、ES指針の手続等の緩和その他の生命倫理上の諸課題について、文部科学省において精力的に検討を進めた結果、それぞれ一定の結論が得られるなど、具体的な進展が図られた。また、本事業を通じて生命倫理に係る関係指針の運用の着実な実施が図られた。
(事業アウトカム)
 ライフサイエンスの発展に伴い生じる生命倫理上の諸課題について、研究の発展・動向を踏まえた指針の整備に係る検討を行うなどにより、最先端のライフサイエンス研究の発展と社会との調和に貢献している。

施策への反映(フォローアップ)

【予算要求への反映】
 これまでの取組を引き続き推進。

【機構定員要求への反映】
 特になし

【具体的な反映内容について】
 ライフサイエンスの発展に伴い生じる生命倫理上の諸課題への対応については、ヒトES細胞等からの生殖細胞の作成や、生殖補助医療研究を目的としたヒト受精胚の作成・利用について、具体的な指針の整備に向けた検討を行う。また、ES指針における手続等の緩和については、総合科学技術会議からの答申に基づき、速やかに改正指針を公布・施行する。さらに、ヒトES細胞の樹立計画、分配機関の設置計画及び使用計画に係る審査等を引き続き着実に実施する。

関連した行政活動(主なもの)

○特定胚の取扱いに関する指針及びES指針の改正の総合科学技術会議への諮問
○生命倫理・安全部会の開催
○同部会遺伝子組換え技術等専門委員会の開催
○同部会特定胚及びヒトES細胞等研究専門委員会の開催
○同専門委員会ヒトES細胞等からの生殖細胞作成・利用作業部会の開催
○同部会生殖補助医療研究専門委員会の開催

備考

 特になし

具体的な達成手段

 ※【22年度の予算要求への考え方】には、実績を踏まえ、より効率化に努める内容についても記入している。

【事業概要等】 【20年度の実績】 【22年度の予算要求への考え方】
ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(開始:平成13年度 終了:− 20年度予算額:−)
ヒトES細胞の研究利用の適正な実施を確保するため、ヒトES細胞の樹立計画、分配機関の設置計画及び使用計画について所要の規制を行う。 指針に基づき、計55件の大臣確認申請があった。
特段の指針違反の事例はなかった。
継続
ヒトES細胞の樹立及び使用を行う研究について、人の尊厳を侵すことなく、適切な推進を図るため引き続き本事業を実施することが必要。
特定胚の取扱いに関する指針(開始:平成13年度 終了:− 20年度予算額:−)
クローン技術規制法に基づき、人クローン胚を含む9種類の特定胚の取扱いを規制し、同法の目的である人の尊厳の保持、人の生命及び身体の安全の確保、社会秩序の維持を確保する。 指針に基づく届出はなかった。
指針違反等の事例もなかった。
継続
社会との調和のとれた科学技術の発展を期するため、クローン人間や人と動物の交雑個体などの生成を禁止するとともに、クローン技術等による胚の作成等を規制するため引き続き本事業を実施することが必要。

(参考)関連する独立行政法人の事業(なお、当該事業の評価は文部科学省独立行政法人評価委員会において行われている。評価結果については、独法評価書を参照のこと) 

独法名 20年度予算額 事業概要 備考(その他関係する政策評価の番号)

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

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