施策目標7‐1 科学技術関係人材の育成及び科学技術に関する国民意識の醸成

科学技術創造立国の実現に向けて、若手・女性・外国人研究者などの多様多才な個々人が意欲と能力を発揮できる環境の整備をはじめとした初等中等教育段階から研究者等の育成まで一貫した総合的な人材育成施策を講じ、科学技術関係人材の質と量を確保する。また、科学技術の社会的信頼を獲得するために、成人の科学技術に関する基礎的素養(科学技術リテラシー)を高める活動を推進するとともに、幼少期から高齢者まで広く国民を対象として、科学技術に触れ、体験・学習できる機会の拡充を図る。

施策期間

 目標達成年度:平成22年度(基準年度:平成18年度)

主管課(課長名)

 科学技術・学術政策局基盤政策課(川端 和明)

関係局課(課長名)

 生涯学習政策局社会教育課(神代 浩)、初等中等教育局教育課程課(伯井 美徳)、同児童生徒課(磯谷 桂介)、研究振興局振興企画課(山脇 良雄)

施策の全体像

 若手・女性・外国人研究者などの多様多才な個々人が意欲と能力を発揮できる環境の整備をはじめとした初等中等教育段階から研究者等の育成まで一貫した総合的な人材育成、成人の科学技術に関する基礎的素養(科学技術リテラシー)を高める活動の推進、幼少期から高齢者まで広く国民を対象とした、科学技術に触れ、体験・学習できる機会の拡充を図る。このため、初等中等教育段階の人材育成、特に高等専門学校における人材育成、高等教育段階から研究者等の育成の3段階をそれぞれ達成目標7-1-1、7-1-2、7-1-3として設定するとともに、広く国民を対象とした、科学技術に触れ、体験・学習できる機会の拡充を達成目標7-1-4として設定し、それぞれ施策を推進している。

○達成目標7-1-1

 次世代を担う科学技術関係人材の育成に向け、子どもが科学技術に親しみ学ぶことができる環境を充実するとともに、理数に興味関心の高い子どもの能力を伸長することができる効果的な環境を提供するため、理数教育の充実を図る。この目標の達成度については、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)における科学技術コンテストの応募・表彰件数やSSH指定校生徒の専攻分野選択に影響した割合、理数分野に優れた学生の能力を伸ばす大学の取組状況、及びサイエンス・パートナーシップ・プロジェクトの調査結果で計ることができるため、以下の指標を用いて判断することとする。
・判断基準7-1-1イ:科学技術分野でのコンテストでの応募件数のSSH指定前との比較
・判断基準7-1-1ロ:科学技術分野でのコンテストでの表彰件数のSSH指定前との比較
・判断基準7-1-1ハ:理系学部専攻のSSH卒業生が「SSH参加が現在の専攻分野選択に影響した」と回答した割合
・判断基準7-1-1ニ:理数分野に強い学習意欲を持つ学生の意欲・能力を更に伸ばす取組を行う大学の進捗状況
・判断基準7-1-1ホ:サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトに関するアンケート調査で、科学技術や理科・数学に対する興味関心が増加した又はどちらかといえば増加したと答えた生徒の割合

○達成目標7-1-2

 専門高校において、地域社会との連携強化等により、産業社会のニーズに対応した人材養成を行う。この目標が達成されたかについては、モデル事業において生徒の実践力の習得や就労観・職業観の醸成が図られたか、学校が地域社会との連携をどれほど強化したかによってその効果を計ることができるため、以下の指標を用いて判断することとする。
・判断基準7-1-2イ:モデル事業において生徒の実践力の習得や勤労観・職業観の醸成が図られたとする学校数
・判断基準7-1-2ロ:モデル事業における1学校あたりの連携協力機関数の対前年度比

○達成目標7-1-3

 研究活動を活性化させるため、若手・女性研究者など多様な人材が能力を最大限発揮できる環境を整備する。若手研究者の活躍促進については、博士号取得者等が社会で活躍しているかによって、女性研究者の活躍促進については、事業の参加者が理系への進路に前向きになったかに関するアンケート結果及び女性研究者の割合等によって、技術士制度については、高度な専門的応用能力を有する技術者として公共的事業や製造の現場等での活躍が見込まれる技術士の増加状況によって、その効果を計ることができるため、以下の指標を用いて判断することとする。
・判断基準7-1-3イ:「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」1機関あたりの博士課程修了者及びポストドクターの就職者数
・判断基準7-1-3ロ:企業等における研究者数のうち、博士号を取得した研究者数の割合
・判断基準7-1-3ハ:博士課程修了者の就職率
・判断基準7-1-3ニ:「女子中高生の理系進路選択支援事業」に参加する前に、進路について理系か文系か迷っていた人のうち、理系への進路に前向きになった人の割合
・判断基準7-1-3ホ:大学(学部)へ入学した女性のうち、理系の学科に入学した女性の割合
・判断基準7-1-3ヘ:我が国における女性研究者割合
・判断基準7-1-3ト:技術士登録者数の推移

○達成目標7-1-4

 わかりやすく親しみやすい形で国民に科学技術を伝え、国民との対話を通じて説明責任と情報発信を強化する活動及び科学技術に関する基礎的な知識・能力の向上に資する取組を推進する。この目標が達成されたかについては、サイエンスチャンネルのモニター調査結果及び日本科学未来館・国立科学博物館の入館者数、及び科学技術週間標語の応募件数で計ることができるため、以下の指標を用いて判断することとする。
・判断基準7-1-4イ:科学技術週間標語の応募件数
・判断基準7-1-4ロ:日本科学未来館及び国立科学博物館の両者の入館者数の対前年度比
・判断基準7-1-4ハ:サイエンスチャンネル(科学技術番組)のモニター調査において、「知識・教養」を高める上での有用性に関する評価と「実用性」、「平明性」に関する評価の平均値

達成状況と評価

全体評価 A

 理数に興味・関心の高い生徒・学生の能力を伸ばすための取組、理科好きな子どもの裾野を拡大する取組及び若手・女性・外国人研究者の活躍を促進するための取組が着実に実施されるとともに、科学技術に関する高度な専門的応用能力を持って計画、設計等の業務を行う技術士の登録者数が着実に増加しており、科学技術関係人材の質と量が順調に確保されている。専門高校においては、地域社会等と連携した取組が着実に実施されており、産業社会のニーズに対応した人材育成が図られている。また、科学技術を国民に分かりやすく伝え、国民の科学技術に対する興味・関心と基礎的な知識・能力を高める取組も着実に実施されており、科学技術関係人材の育成及び科学技術に関する国民意識の醸成については、想定通り達成できていると判断される。

○ 判断基準7-1-1イ〜ホ(A)

判断基準イ 科学技術分野のコンテストでの応募件数のSSH指定前との比較
S=5倍(500%)以上の割合で増加した。
A=3倍(300%)以上5倍(500%)未満の割合で増加した。
B=3倍(300%)未満の割合で増加した。
C=増加がないまたは減少した。
判断基準ロ 科学技術分野のコンテストでの表彰件数のSSH指定前との比較
S=5倍(500%)以上の割合で増加した。
A=3倍(300%)以上5倍(500%)未満の割合で増加した。
B=3倍(300%)未満の割合で増加した。
C=増加がないまたは減少した。
判断基準ハ 理系学部専攻のSSH卒業生が「SSH参加が現在の専攻分野選択に影響した」と回答した割合
S=90%以上100%以下
A=50%以上90%未満
B=10%以上50%未満
C=10%未満
判断基準ニ 理数分野に強い学習意欲を持つ学生の意欲・能力を更に伸ばす取組を行う大学の取組進捗状況
S=大幅に進展した
A=着実に進展した
B=十分には進展しなかった
C=進展しなかった
判断基準ホ サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトに関するアンケート調査で、科学技術や理科・数学に対する興味関心が増加した又はどちらかといえば増加したと答えた児童・生徒
S=90%以上100%以下
A=50%以上90%未満
B=10%以上50%未満
C=10%未満

【「理数に興味関心の高い子どもの能力を伸長する」−理数に興味・関心の高い生徒・学生の個性・能力の伸長】
 SSHにおいて、科学技術分野のコンテストへの応募件数がSSH指定前に比べ5倍以上に増加し、また、科学技術分野のコンテストの表彰件数がSSH指定前に比べ3倍以上に増加している。さらに、理系学部専攻のSSH卒業生が「SSH参加が現在の専攻分野選択に影響した」と回答した割合が50%以上となっており、生徒の科学技術に関する能力を高める取組が着実に実施されている。
 また、理数学生応援プロジェクトにおいて、平成20年度には平成19年度と平成20年度に採択された10大学に対して支援を行うとともに、平成19年度採択大学に対する中間評価において、全ての大学が「一定の成果が期待できる取組であり、計画を推進すべき」または「一定の成果が期待できる取組であり、中間評価の所見に留意し計画を推進すべき」との評価を受けており、大学において、理数分野に関して強い学習意欲を持つ学生の意欲・能力を伸ばす取組が着実に推進されているところである。
 以上を勘案し、「理数に興味関心の高い子どもの能力を伸長する」という達成目標は、概ね順調に進捗しており、理数に興味・関心の高い生徒・学生の個性・能力の伸長に寄与していると判断。

【「子どもが科学技術に親しみ学ぶことができる環境を充実する」−理数好きな子どもの裾野の拡大】
 サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトに関するアンケート調査で、科学技術や理科・数学に対する興味関心が増加した又はどちらかといえば増加したと答えた生徒は50%以上となっている。したがって、サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトについて、「子どもが科学技術に親しみ学ぶことができる環境を充実する」という達成目標は、概ね順調に進捗しており、理数好きな子どもの裾野の拡大に寄与していると判断した。

(指標・参考指標)

  16 17 18 19 20
1.科学技術分野のコンテスト応募件数のSSH指定前と比べた比率 506% 558% 703% 841%
2.科学技術分野のコンテスト表彰件数のSSH指定前と比べた比率 426% 517% 423% 470%
3.理系学部専攻の卒業生が「SSH参加が現在の専攻分野選択に影響した」と回答した割合 59.9% 59.9%
4.理数学生応援プロジェクト 採択件数 5 5
申請件数 37 29
中間評価において「優れた成果が期待できると取組であり、計画通り推進すべき」または「一定の成果が期待できる取組であり、中間評価の所見に留意し計画を推進すべき」との評価を受けた大学数及び割合 大学数 5
割合 100%
5.サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトに関するアンケート調査で、科学技術や理科・数学に対する興味関心が増加した又はどちらかといえば増加したと答えた児童・生徒の割合 61.9% 71.6% 72.0% 72.3% 66.8%

○ 判断基準7-1-2イ、ロ(S)

判断基準イ 生徒の実践力の向上や勤労観・職業観の醸成が図られたとする学校の割合
S=80%以上
A=60%以上80%未満
B=40%以上〜20%未満
C=20%未満
判断基準ロ 1学校あたりの企業などの連携機関数の対前年度比
S=115%以上
A=105%以上115%未満
B=95%以上105%未満
C=95%未満

 「経済財政改革の基本方針2007」、「長期戦略指針「イノベーション25」について」、「経済成長戦略大綱」「キャリア教育等推進プラン」等に基づき、専門高校において、地域社会との連携強化等により、特色ある産業教育を支援するための事業を実施しているところである。
 大学・研究機関等と連携した特色ある取組を行う専門高校へ支援をする「目指せスペシャリスト」では、継続分を含めて平成20年度は34校で実施している。指定校の報告書によると、生徒の実践力の向上や勤労観・職業観の醸成が図られたと回答した学校は29校(85.3%)という状況である。

 平成19年度から経済産業省と共同で実施している、工業高校等の専門高校と地域産業界が連携して、地域のものづくり産業を担う人材を育成するための事業「ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業」においては、平成20年度からは「地域産業の担い手育成プロジェクト」として、43地域129校で実施している。
 指定地域の報告書によると、企業実習や企業技術者等による学校での実践的指導等を通して生徒の実践力の向上や勤労観・職業観の醸成が図られたとしている学校は、101校(78.3%)という状況である。なお、受入企業数は6,309社であり、1学校当たりでは48.9社、対前年度比で200.4%となっている。
 両事業とも判断基準イ、ロにおいてS又はAとなっており、概ね順調に進捗していると判断。

(指標・参考指標)

  16 17 18 19 20
1.目指せスペシャリスト「スーパー専門高校」 指定校数 19 33 36 36 34
新規指定数 (10) (14) (12) (10) (12)
2.専門高校等における「日本版デュアルシステム」推進事業 学校数 20 25 25 5
指定地域数 15 20 20 5
新規指定地域数 (15) (5)    
3.地域産業の担い手育成プロジェクト(旧、ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業) 学校数 79 129
指定地域数 23 43
新規指定地域数 (23) (20)
4.モデル事業において生徒の実践力の習得や勤労観・職業観の醸成が図られたとする学校数 目指せスペシャリスト 28 29
「日本版デュアルシステム」推進事業 5
地域産業の担い手育成プロジェクト(旧、ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業) 46 101
合  計 45 79 130
5.モデル事業における1学校あたりの連携協力機関数 「日本版デュアルシステム」推進事業 28 32.5 33.6
地域産業の担い手育成プロジェクト(旧、ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業) 24.4 48.9

※「地域産業の担い手育成プロジェクト」は、平成20年度から4分野(ものづくり・建設・農業・水産)に増加したため、学校数、指定地域数、連携協力機関数ともに増加している。

○ 判断基準7-1-3イ〜ト(A)

判断基準イ 「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」1機関あたりの博士課程修了者及びポストドクターの就職者数
S=前年度比で1.96倍(前年度の伸率)以上に増加
A=前年度比で1.95倍以下の増加
B=前年度比で変化無しあるいは0.96倍以下の減少
C=前年度比で0.97倍以上の減少
判断基準ロ 企業等における研究者のうち、博士号を取得した研究者数の割合
S=前年度比で1.06倍以上に増加
A=前年度比で1.05倍(過去3年の平均伸率)以下の増加
B=前年度比で変化無しあるいは0.05倍以下の減少
C=前年度比で0.06倍以上の減少
判断基準ハ 博士課程修了者の就職率
S=前年度比で1.02倍以上に増加
A=前年度比で1.01倍(過去3年の平均伸率)以下の増加
B=前年度比で変化無しあるいは0.01倍以下の減少
C=前年度比で0.02倍以上の減少
判断基準ニ 「女子中高生の理系進路選択支援事業」に参加する前に、進路について理系か文系か迷っていた人のうち、理系への進路に前向きになった人の割合
S=90%以上100%以下
A=50%以上90%未満
B=10%以上50%未満
C=10%未満
判断基準ホ 大学(学部)へ入学した女性のうち、理系の学科に入学した女性の割合
S=前年度比で1.03倍以上に増加
A=前年度比で1.02倍(過去3年の平均伸率)以下の増加
B=前年度比で変化無しあるいは0.02倍以下の減少
C=前年度比で0.03倍以上の減少
判断基準ヘ 我が国における女性研究者割合
S=前年度比で1.03倍以上に増加
A=前年度比で1.02倍(過去3年の平均伸率)以下の増加
B=前年度比で変化無しあるいは0.02倍以下の減少
C=前年度比で0.03倍以上の減少
判断基準ト 技術士の登録数
S=前年度比1.04倍以上に増加
A=前年度比で登録数が1.03倍(過去3年の平均伸率)以下の増加
B=前年度比で変化無しまたは0.03倍以下の減少
C=前年度比で0.04倍以上の減少

 博士号取得者等の社会の多様な場での活躍促進を図るため、平成19年度に引き続き「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」を実施した。平成20年度には平成18年度、19年度に採択した12機関への支援を実施し、各機関において博士号取得者等のキャリア選択に対する組織的な支援が進められた。その結果、博士号取得者等のキャリアパスの多様化は着実に促進され、1機関あたりの博士課程修了者及びポストドクターの就職者数は33.3人と対前年度比1.03倍に増加し、博士課程修了者の就職率は、63.2%と対前年度比1.07倍に増加した。
 また、女性研究者支援については、平成19年度に引き続き「女子中高生の理系進路選択支援事業」を実施した。平成20年度は11機関において、女子中高生に対してロールモデル情報の提供や研究者との交流機会の提供等の取組が行われた。本事業の参加者に対するアンケート結果では、参加前に進路について理系か文系か迷っていた人のうち、理系への進路に前向きになった人の割合は25.5%である。また、平成20年に大学(学部)へ入学した女性のうち、理系(理学、工学、農学、保健)の学科に入学した女性の割合は17.7%であり、対前年度比1.01倍に増加した。
 技術士制度は、科学技術に関する高度な専門的応用能力を持って計画、設計等の業務を行う者に対し、「技術士」の資格を付与することで優秀な技術者の養成・確保を図っている。技術士の登録者数は、平成20年度末現在では65,483名(対前年度比1.06倍)となり、着実に増加していることから、想定どおり順調に進捗している。

(指標・参考指標)

  16 17 18 19 20
1.「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」1機関あたりの博士課程修了者及びポストドクターの就職者数 16.4人 32.2人
(1.96倍)
33.3人
(1.03倍)
2.企業等における研究者のうち、博士号を取得した研究者数の割合 3.75%
(1.00倍)
3.89%
(1.04倍)
3.78%
(0.97倍)
4.30%
(1.14倍)
3.80%
(0.88倍)
3.博士課程修了者の就職率 56.4%
(1.04倍)
57.2%
(1.01倍)
57.4%
(1.00倍)
58.8%
(1.03倍)
63.2%
(1.07倍)
4.「女子中高生の理系進路選択支援事業」に参加する前に、進路について理系か文系か迷っていた人のうち、文系ではなく理系への進路に前向きになった人の割合 25.5%
5.大学(学部)へ入学した女性のうち、理系の学科に入学した女性の割合 19.6%
(1.05倍)
19.8%
(1.01倍)
20.4%
(1.03倍)
20.8%
(1.02倍)
21.1%
(1.01倍)
6.我が国における女性研究者割合 11.6%
(1.04倍)
11.9%
(1.03倍)
11.9%
(1.00倍)
12.4%
(1.04倍)
13.0%
(1.05倍)
7.技術士登録者数の推移 55,875人
(1.02倍)
58,314人
(1.04倍)
60,534人
(1.04倍)
61,794人
(1.02倍)
65,483人
(1.06倍)

• 判断基準7-1-4イ〜ハ(A)

判断基準イ 科学技術週間標語の応募件数
S=前年度比で大幅に増加
A=前年度比で増加
B=前年度比で変化無しあるいは減少
C=前年度比で大幅に減少
判断基準ロ 日本科学未来館及び独立行政法人国立科学博物館の両者の入館者数の対前年度比
S=前年度比で1.14倍(過去3年間の平均伸率)以上に増加
A=前年度比で増加
B=前年度比で変化無しあるいは減少
C=前年度比で大幅に減少
判断基準ハ サイエンスチャンネル(科学技術番組)のモニター調査において、「知識・教養」を高める上での有用性に関する評価と「実用性」、「平明性」に関する評価の平均値
S=4以上
A=3以上4未満
B=2以上3未満
C=2未満

 科学技術週間標語の応募件数は前年度から大幅に増加している。また、日本科学未来館の入館者数が増加し、国立科学博物館の入館者数は減少している(両館合計では前年度比0.93倍)。サイエンスチャンネル(科学技術番組)のモニター調査においては、「知識・教養」を高める上での有用性に関する評価が4.6、「実用性」に関する評価は3.8、「平明性」に関する評価が4.0で、平均値は5段階中4.1であり、尺度基準の3より高い評価が得られた。これらを総合的に判断すると、国民の科学技術に対する関心や理解は概ね向上していると考えられる。したがって、達成目標は、概ね順調に進捗していると判断した。

(指標・参考指標)

  16 17 18 19 20
1.科学技術週間標語の応募件数   3,396 5,442 6,709 10,169
2.日本科学未来館の入館者数(人) 628,184 712,426 778,629 795,497 907,921
3.国立科学博物館の入館者数(人) 1,196,364 1,618,886 1,761,257 1,907,826 1,610,348
4.サイエンスチャンネル 3.8 3.7 3.7 3.7 4.1
5.国民の科学技術への関心(%) 52.6 61.1

必要性・有効性・効率性分析

【必要性の観点】
 「知」をめぐる世界的な大競争時代を迎える中、我が国では少子高齢化・人口減少が急速に進んでおり、科学技術関係人材の質と量の確保をめぐる懸念が高まっている。このような中、科学技術や学術活動の基盤となる人材の養成・確保や社会の多様な場における活躍の促進は極めて重要な課題であり、「第3期基本計画」や「長期戦略指針『イノベーション25』」をふまえつつ、科学技術関係人材の養成・確保、活躍の促進に向けた取組を総合的に推進する必要がある。
 この課題については、「第3期科学技術基本計画」において、政府全体で着実に実行すべき主要施策として、若手・女性・外国人研究者などの多様多才な個々人が意欲と能力を発揮できる環境を形成するとともに、初等中等教育段階から研究者育成まで一貫した総合的な人材育成施策を講じること、また、社会・国民に支持される科学技術のために関係府省を含む様々な主体がそれぞれの役割を担い、適切に施策の推進を図ることとされており、文部科学省としても大学や公的研究機関の自主的な取組の加速を積極的に支援する必要がある。

【有効性の観点】
 若手・女性・外国人研究者など多様な人材が意欲・能力を発揮できる環境の整備及び地域社会のニーズに対応した人材養成の推進、理数教育の充実、国民が科学技術に触れ、体験できる機会の充実により、若手研究者の活躍促進や女性研究者割合の増加、子どもの科学技術に対する興味・関心、能力の向上といった効果が得られる見込みがあり、この数年における施策の効果が認められる。このため、引き続き科学技術関係人材の育成及び科学技術に関する国民意識の醸成の目指す効果の達成が見込まれる。

【効率性の観点】
(事業コスト)
 具体的な達成手段である「女子中高生の理系進路選択支援事業」「理数学生応援プロジェクト」等の事業では、意欲があり、優れた事業計画を提案した大学等を選定し重点的に資金を配分することにより、最小限のコストで求める効果を得ることができ、費用対効果の高い手段で実施している。
 また、「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」においては、業務の効率化に努めた結果、平成20年度の支援対象である12大学・法人すべてにおいて平成19年度より費用が減額している。
(事業アウトプット)
 本事業の実施により、若手研究者の活躍促進や女性研究者割合の増加、子どもの科学技術に対する興味・関心、能力の向上、といった効果が見込まれる。
(事業アウトカム)
 科学技術関係人材の支援施策を確実に実施することにより、わが国全体の研究開発や国際競争力の維持・向上等に大きく貢献することが期待される。

施策への反映(フォローアップ)

【予算要求への反映】
 これまでの取組を引き続き推進

【機構定員要求への反映】
 定員要求へ反映

【具体的な反映内容について】
 平成22年度においては、若手・女性・外国人研究者の活躍を促進するとともに、次の世代の挑戦する人材を確保する観点から理数教育の充実を図るため、必要な施策を推進する。また、基礎科学をリードする優秀で創造的な人材の育成のための体制の強化に伴い、基礎人材企画係長1人、基礎人材企画係員1人を定員要求する。

関連した行政活動(主なもの)

 特になし

備考

 関連達成目標 4-1-1,4-1-3,7-5-1

具体的な達成手段

※【22年度の予算要求への考え方】には、実績を踏まえ、より効率化に努める内容についても記入している。 

【事業概要等】 【20年度の実績】 【22年度予算要求への考え方】
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援
(開始:平成14年度 終了:− 20年度予算額:1,482百万円 ※一部は独立行政法人科学技術振興機構運営費交付金)
「将来の国際的な科学技術系人材の育成」を目的として、科学技術・理科・数学教育を重点的に実施する高等学校等をSSHとして指定し、理科・数学に重点を置くカリキュラム開発等を実施。 平成20年度は106のスーパーサイエンスハイスクール指定校に対して支援を行い、各校において特色ある理科・数学教育が展開され、生徒の科学技術に関する能力が向上した。 継続
理数に興味・関心の高い生徒・学生の個性・能力の伸長の効果が評価されており、引き続き本事業を実施することが必要。
理数学生応援プロジェクト(開始:平成19年度 終了:− 20年度予算額:150百万円 )
理系学部を置く大学において、理数分野に関して強い学習意欲を持つ学生の意欲・能力を更に伸ばすことに重点を置いた取組を支援する。 平成20年度においては、10大学において事業が実施され、各大学において、新しい入試・選抜方法の開発・実践、教育カリキュラムの開発・実践、工夫した取組が行われた。 継続
平成19年度採択機関の中間評価において、理数に興味・関心の高い生徒・学生の個性・能力の伸長に資する取組が推進されていることが確認されたため、引き続き本事業を実施することが必要。
目指せスペシャリスト「スーパー専門高校」(開始:平成15年度 終了:− 20年度予算額:120百万円 )
専門高校等を対象に、地域社会と連携した特色ある取組を行う専門高校等への支援を行い、将来の専門的職業人の育成の推進を図るため、「目指せスペシャリスト」事業を実施。 平成20年度においては、34校において事業が実施され、特色ある教育活動を行っている専門高校等に対する支援を行うことで、生徒の職業意識の啓発が見られ、専門的職業人の育成を促進し、専門高校等の活性化を図ることができた。 継続
教育振興基本計画において「専門校高等における職業教育の推進」を図ることとしている。「目指せスペシャリスト「スーパー専門高校」」及び「地域産業の担い手育成プロジェクト」においてこの目標の達成を目指しているところであり、引き続き両事業を実施することが必要。
地域産業の担い手育成プロジェクト(旧、ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業)(開始:平成19年度 終了:− 20年度予算額:390百万円 )
専門高校と地域産業界が連携(協働)して、生徒の長期間の現場実習、企業技術者等による学校での実践的指導、教員の高度技術習得等を通じ、地域の産業を担う人材を育成するための事業を実施。 平成20年度においては、合計4分野(ものづくり・建設・農業・水産)の関係省庁と連携を図りつつ、43地域において事業が実施され、将来の専門的な職業人の育成を促進することができた。 継続
同上。
科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業(開始:平成18年度 終了:平成20年度 20年度予算額:386百万円 )
大学、企業、学協会等がネットワークを形成し、人材と企業の「出会いの場」の創出、キャリア・コンサルティング、派遣型研修などの能力開発等を実施する。 平成20年度においては、平成18年度、19年度採択の計12機関において、シンポジウムの開催、個別コンサルティング等が行われ、アカデミック以外のキャリアパスに対するポストドクター等の意識改革が図られた。
また、様々な取組を通して、アカデミック以外の職に就いた者の報告もあり、博士号取得者等のキャリアパスの多様化が着実に推進された。
なお、業務の効率化に努めた結果、平成20年度の支援対象である12大学・法人すべてにおいて平成19年度より費用が減額している。
廃止
当初設定していた目的を達成したため、事業を終了した
科学技術振興調整費事業「若手研究者の自立的研究環境整備促進」(開始:平成18年度 終了:− 20年度予算額:7,700百万円 )
若手研究者の自立のための環境整備に組織的に取り組んでいる研究機関がテニュア・トラック制を導入する取組を支援する。 平成20年度においては、23件の応募があり、9件を採択。平成18年度、19年度採択の21件も含め、計28大学(30課題)において、若手研究者に研究スペースやスタートアップ資金が与えられ、自立的な研究環境の整備が促進された。 継続
我が国におけるテニュア・トラック制の導入機関は未だ限られており、引き続き本事業を実施し、一層の普及を図ることが必要。
科学技術振興調整費「イノベーション創出若手研究人材養成」(開始:平成18年度 終了:− 20年度予算額:1,000百万円 )
イノベーション創出の中核となる若手研究者等が、狭い学問分野の専門能力だけでなく、国内外の多様な場で創造的な成果を生み出す能力を身につける研究人材養成システムを構築する。 平成20年度においては、26件の応募があり、10件を採択。10大学において、国内外の企業・研究機関等での長期間の「実践プログラム」を開始するなど、創造的な人材を養成するためのシステムの構築に着手した。 継続
第3期科学技術基本計画において「社会の多様な場で活躍しうる博士号取得者の育成を強化する」こととしている。本事業においてこの目標の達成を目指しているところであり、引き続き本事業を実施することが必要。
女子中高生の理系進路選択支援事業(開始:平成18年度 終了:− 20年度予算額:34百万円 )
科学技術分野で活躍する女性研究者・技術者、大学生等と女子中高生の交流機会の提供や実験教室、出前授業の実施等、女子中高生の理系進路選択を支援する取組を実施する。 平成20年度においては、22件の応募があり、13件を採択した。
平成19年度に引き続き、女子中高生に対してロールモデル情報の提供等の取組が行われ、理系分野に対する興味や関心を喚起し、ひいては科学技術分野における女性の活躍が促進された。
継続
事業の効率化のため独立行政法人科学技術振興機構に移管
科学技術振興調整費事業「女性研究者支援モデル育成」(開始:平成18年度 終了:− 20年度予算額:1,500百万円 )
大学や公的機関が、女性研究者の研究と出産・育児等を両立するための支援等を行う仕組みを構築するモデルとなる優れた取組を支援する。 平成20年度においては、22件から応募があり、13件を採択。
平成18年度、19年度採択の20件も含め、計33機関において、研究支援者の配置など、出産・育児と研究の両立のための支援体制が構築され、優れた女性研究者を輩出するシステムを確立するととともに、意識改革が図られた。
継続
本事業は、平成20年度に行われた総合科学技術会議による中間評価において、「一定の成果をあげつつあると判断できる」と評価されており、引き続き本事業を実施することが必要。
技術士制度(開始:昭和32年度 終了:− 20年度予算額:− )
技術士法に基づき、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計等の業務を行う能力を有する者を認定することによって、科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的とする。 平成20年度において技術士の登録者数は65,483人となった。
技術士資格を付与することにより、優れた能力を有し、公益性を責務とする技術者が増加した。
科学技術分野の文部科学大臣表彰(開始:昭和34年度 終了:− 20年度予算額:31百万円 )
科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とする。 平成20年度には、各種表彰において、計1,183の個人、グループ及び学校を表彰した。
そのうち、40歳未満の若手研究者を対象とする「若手科学者賞」では、顕著な研究業績をあげた72名を表彰した。
継続
昭和34年度より継続している本大臣表彰は、科学技術に携わる者の意欲の向上を図るために効果的であり、引き続き本事業を実施することが必要。
科学技術広報啓発(開始:− 終了:− 20年度予算額:31百万円 )
広く国民一般の科学技術に対する関心と理解を深めるため、科学技術に関する広報啓発事業の実施、科学技術映像情報の提供、各種広報啓発資料の作成・配布を行う。 平成20年度における科学技術普及啓発行事の登録数は1,266件であった。全国的に科学技術関係行事が開催され、広く国民一般参加することにより、科学技術に対する関心と理解が深まった。 継続
例年、多数の科学技術普及啓発行事が登録されており、引き続き広く国民一般の科学技術に対する関心と理解を深めるために本事業を実施することが必要。

(参考)関連する独立行政法人の事業(なお、当該事業の評価は文部科学省独立行政法人評価委員会において行われている。評価結果については、独法評価書を参照のこと)

独法名 20年度予算額 事業概要 備考(その他関係する政策評価の番号)
独立行政法人科学技術振興機構 9,985百万円
※運営費交付金中の推計額
「国際科学技術コンテスト支援」
国際大会につながる国内での科学技術コンテストの開催、国際大会への生徒の派遣、国際大会の日本開催等を支援する。
「サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト」
第一線の研究者・技術者を講師とする学習活動など、大学や科学館等と学校現場との連携した取組を支援する。
「理科支援員等配置事業」
研究者・技術者、大学(院)生等の有用な外部人材を、理科支援員や特別講師として小学校に配置する。
「IT活用型科学技術情報発信事業」
科学技術番組等のコンテンツを制作し、CS放送やインターネットを通じて、一般家庭に配信。
「日本科学未来館事業」
最先端の科学技術や科学技術の理解増進手法に関する情報発信と交流のための総合的な拠点として、日本科学未来館を整備・運営する。
 
独立行政法人日本学術振興会 15,794百万円
※運営費交付金中の推計額
「特別研究員事業」
大学院博士課程(後期)学生や博士の学位を有する者等(ポストドクター)のうち優れた若手研究者に、一定期間資金を支給し、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら生活の不安なく研究に専念できる環境を整備する。
「出産・育児による研究中断からの復帰支援(特別研究員事業における復帰支援枠(RPD)の設定)」
優れた研究者が、出産・育児による研究中断後に、円滑に研究現場に復帰することを支援する。
 
独立行政法人国立科学博物館 3,125百万円
※運営費交付金中の推計額
「国立科学博物館事業」
自然史や科学技術史等に関する調査研究を行い、標本資料の収集・保管を進めるとともに、それらの成果を広く国民に提供することにより、自然科学及び社会教育の振興を図る。
 

官房部局の所見

 「理数学生応援プロジェクト」については、科学技術・学術政策としての事業目的の明確化を図った上で、中間評価の指摘事項に基づき現在委託を行っている大学の取組みを改善するとともに、今後、支援先の大学等の取組を通じて他大学等が独自の取組として普及させていく道筋を明確にすることが必要である。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --