平成21年度要求額:100百万円
(平成20年度予算額:‐百万円)
事業開始年度:平成21年度
事業達成年度:平成27年度
中間評価実施年度:平成24年度
「万人のための教育(EFA)」は、国連「ミレニアム開発目標(MDGs)」の8つの目標の1つであり、世界教育フォーラム(2000年:ダカール)において掲げられた識字率の改善、初等教育の完全普及等の6つの目標(ダカール行動枠組み)を達成するため(主に2015年が達成目標年)に、国際社会が積極的に取り組んでいる大きな課題である。
2008年を中間年としてEFAの評価が行われているが、EFA達成のために検討すべき課題は初等教育の完全普及だけではなく、中等、高等教育の充実、教育の質の向上など、多様な課題に対応する必要がある。
また、ユネスコにおいてもEFAという枠組みに限らず、地球規模の教育課題に対し、より効果的なプログラムに対する支援を求めている。
これらの状況から、アジア・太平洋地域において効果的な事業を実施するために、「アジア・太平洋地域教育信託基金」を拠出し、ユネスコ・バンコク事務所を拠点に、アジア・太平洋地域の教育の充実とEFAの目標達成に寄与する。
我が国は平成6年から「ユネスコ・エイズ教育特別信託基金」、平成14年から「万人のための教育信託基金」をユネスコ・バンコク事務所に拠出し、アジア・太平洋地域のエイズ教育や初等教育の充実などを支援したところ、コミュニティー・ラーニング・センター(CLC)の設置支援などを通じたノンフォーマル教育の充実を始め、EFAやエイズ教育の推進にある程度の成果を修めてきた。
一方、万人のための教育(EFA)が本年中間年を迎え、現在までの取組の成果について議論されることとなっているが、6つの目標を2015年までに達成することが難しい状況にある。また、アジア・太平洋地域の教育課題が、初等教育の普及から、青年、成人に対する教育の充実、高等教育の質の保証などに広がっていることに鑑み、新たな枠組みでアジア・太平洋地域の教育支援を実施する必要性が高い。
そこで、現存の「ユネスコ・エイズ教育特別信託基金」、「万人のための教育信託基金」を発展的に解消し、新たに「アジア・太平洋地域教育協力信託基金」を創設する。
事業内容については、ユネスコ・バンコク事務所と調整の上、実施する事業を決定。現在考えられる主な事業内容は下記の通り。
ユネスコは、世界の全ての子供達の義務教育へのアクセスの確保、成人識字の改善等を内容とするEFAの達成を最優先に掲げ、世界教育フォーラム(平成12年、ダカール)で採択された「ダカール行動枠組み」においては2015年(平成27年)までに成人(特に女性)識字率の50パーセント改善等を目標としている。サンクトペテルブルクサミット「G8教育大臣会合」(2006年平成18年、ロシア)においてもユネスコ及び先進国によるEFAへの支援強化が確認されたところであり、ダカール枠組み策定から2015年までの中間年にあたる2008年にユネスコが実施する評価・調査結果を元に、更に支援を継続していく必要がある。
EFAの目標達成を始め、様々な教育課題の克服は、ユネスコのみならず、多くの国際機関が達成に努めているところ、我が国が目標達成に貢献することは、教育分野における国際貢献につながり、上位目標である「国際協力の推進」に寄与するものである。
国際協力の推進のためには国が率先して協力することが不可欠。特に国際連合の専門機関であるユネスコを通じた協力については、ユネスコの国内の推進機関である日本ユネスコ国内委員会およびその設置機関である文部科学省が戦略的に実施することが効果的である。
なお、ユネスコへの拠出金は外務省が実施しているが、世界遺産及び無形文化遺産への協力を外務省が実施し、教育に対する協力は文部科学省が行っている。
○「持続可能な開発のための教育交流・協力信託基金」
ユネスコに信託基金を拠出する事業
その事業対象がESDの普及促進に寄与するものであり、本信託基金が対象とする事業とは異なる。
4.関係する施政方針演説、審議会の答申等
2000年4月に、セネガルのダカールで開催された「世界教育フォーラム」において、1990年代の万人のための教育(EFA: Education for All)に向けた取組は一定の成果をあげたものの、いまだに学校に通うことのできない子どもや、機能的識字能力をもたない成人も多く存在しているとして、新たに「EFAダカール目標」が採択。
2000年9月のミレニアム・サミットで採択されたミレニアム宣言を契機にとりまとめられたミレニアム開発目標(MDGs: Millennium Development Goals)においても、「EFAダカール目標」のうち2つ(初等教育の完全普及の達成、ジェンダー平等推進と女性の地位向上(教育における男女間格差の解消)が盛り込まれた。
開発問題で、開発途上国への教育支援の国際的枠組みである「万人のための教育」(EFA: Education for All)の一層の推進に合意。
EFAの国際的な取組が、2015年(平成27年)までの目標達成を目指しており、ユネスコをコーディネーターとして国際機関によるEFA達成の取組が実施されていることから、平成27年度までに達成ができる見込みである。
EFAの目標達成を始め、様々な教育課題の克服は、ユネスコのみならず、多くの国際機関が達成に努めているところ、我が国が目標達成に貢献することは、教育分野における国際貢献につながり、上位目標である「国際協力の推進」に寄与するものである。
事業費:100百万円 (政府開発援助ユネスコ事業等拠出金:100万円)
毎年、ユネスコ・バンコク事務所が実施するプログラムを支援(年間10件程度)。ユネスコの実施する事業を参考に様々なプロジェクトが実施される予定。
本事業の予算規模(99百万円)に対して、アウトプットとして、1教育の優先課題に対する国連機関等関係機関とのパートナーシップの強化、2教育システムにおける計画、運営能力開発のための国際的枠組みの構築、3政策対話、調査研究等の推進が行われることを通し、アジア・太平洋地域の教育の充実とEFAの目標達成に寄与することを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。
EFA等国際的な教育事業を実施しているユネスコに対し、信託基金を拠出すること、アジア・太平洋地域の教育情勢を熟知しているユネスコ・バンコク事務所を支援することは他の国際機関等と比べても効率性は高い。
本事業は、国の事業として行うが、他省庁の事業として実施することとした場合は、教育分野に対する知見が十分でないこと、ユネスコとの連絡調整が効率的に行えないことから、十分な効果が期待できない。また、民間、NPO等による支援は教育の対象分野に偏りがあったり、その資金が十分でないなど、包括的に支援することが期待できない。
ユネスコは教育に関する国際協力を行う国際機関であり、我が国におけるユネスコ活動に関する助言、企画、連絡及び調査を行う機関である日本ユネスコ国内委員会が文部科学省に設置されていることから、文部科学省がユネスコの事業を支援することは行政目的に照らして妥当である。
ユネスコの現在の教育分野における優先事項として、EFAとESDが挙げられることから、EFAを中心としたプログラムを支援する優先性は高い。
21年度概算要求に反映する。
評価結果は妥当。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --