95.総合型地域スポーツクラブの育成・支援(拡充)【達成目標11-2-1】

平成21年度要求額:934百万円
  (平成20年度予算額:834百万円)
  事業開始年度:平成16年度
  事業達成年度:平成22年度

主管課(課長名)

  • スポーツ・青少年局生涯スポーツ課(坂元 譲次)

関係課(課長名)

  • なし

事業の概要等

1.事業目的

  総合型地域スポーツクラブを育成・支援することで国民の誰もが生涯にわたりスポーツに親しむことができる環境の整備を図る。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  生涯スポーツの振興のためには、優れた施設を拠点として、地域において子どもから高齢者、障害者まで様々なスポーツを愛好する人々が参加する地域スポーツクラブの育成、定着化が重要な課題であった。このため、地域スポーツセンターを拠点とする総合型のスポーツクラブ育成のためのモデル事業に対する補助とともに成果の全国普及による障害者を含めた地域住民が積極的に参加するスポーツクラブの育成を推進し、生涯スポーツの振興を図ることを目的として、平成7年より地方スポーツ振興補助金において支援が開始された。平成16年より文部科学省委託事業として実施している。
  本事業を通じ、その波及効果も含めて現在全国の市区町村の57.8パーセントで総合型地域スポーツクラブが育成されており、地域住民間の交流の活性化や世代を超えた交流が生まれるなど、一定の成果が得られている。

3.事業概要

  地域住民が自主的・主体的に運営し、子どもから高齢者まで誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも身近に多様なスポーツに親しむことができる総合型地域スポーツクラブの全国展開を推進するため、全国的な組織基盤を有する民間スポーツ団体を活用して、総合型地域スポーツクラブの設立に向けた基幹的活動に対する支援及び育成に必要な取組を実施する「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」やスポーツを取り巻く新たな課題を解決するため、広域スポーツセンターの機能を活用する「総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業」、クラブ育成率の低い地方自治体を対象に、未育成エリアミーティング(仮称)等を開催し、課題等の解決を図りながら総合型地域スポーツクラブの育成を促す「総合型地域スポーツクラブ特別支援事業」を実施する。

総合型地域スポーツクラブ育成推進事業及び総合型地域スポーツクラブ特別支援事業

スキーム図

総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業

スキーム図

4.指標と目標

指標

  総合型地域スポーツクラブの全市区町村に対する育成率

目標

  総合型地域スポーツクラブの全市区町村に対する育成率を100パーセントまで伸ばす。

効果の把握手法

  本事業の効果は、「総合型地域スポーツクラブに関する実態調査」(文部科学省)の結果及び「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」において実施する予定の設立効果に関する調査研究の結果等に基づき検証する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  達成目標11‐2‐1「今後の課題及び政策への反映方針」において、「平成18年9月に改定した「スポーツ振興基本計画」においては、生涯スポーツ社会の実現の到達目標の1つとして、平成22年までに、全国の各市区町村において少なくとも1つは総合型地域スポーツクラブを育成することとしていることから、残り約50パーセントの未育成市区町村の総合型地域スポーツクラブ育成に向けて効果的な取組を行う必要がある。」と記述されており、本事業の実施は不可欠である。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  体力・スポーツに関する世論調査(平成18年8月内閣府)のスポーツ振興についての国や地方公共団体への要望において、学校体育施設の開放・整備、地域のクラブやサークルの育成に対する要望が多く、総合型地域スポーツクラブの育成について国民からのニーズが強いものと考える。また、教育振興基本計画においては、「心身の健全な発達に重要な役割を果たすスポーツに国民のだれもが生涯を通じていつでも身近に親しむことができる環境を整備するため、総合型地域スポーツクラブ等、地域における総合的なスポーツの場の育成・整備をはじめとした取組への支援を推進する。」、「子どもが身体を動かす場や機会を確保する観点からも、総合型地域スポーツクラブの整備等、地域における身近なスポーツ環境の整備を推進する。」としており、生涯スポーツ社会の実現のために、総合型地域スポーツクラブの育成・支援を推進する必要がある。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  スポーツ振興基本計画では、国の責務として、「2010年(平成22年)までに、全国の各市区町村において少なくとも1つは総合型地域スポーツクラブを育成する。」ことを目標として、生涯スポーツ社会の実現を目指すことが掲げられている。本計画の目標を達成するためには、クラブ未育成市区町村の解消を図る必要があり、特に、育成率50パーセント以下の地方自治体への支援の強化を図る必要がある。一方、地方自治体の事業として実施することとした場合、地域における高齢者の運動機会、女性や障害者にとってのスポーツ環境等の課題について、総合型地域スポーツクラブが中心となって、他の機関との連携の元に解決していくことで地域住民のスポーツ参加意欲を喚起し、地域活性化につながるとともに、各地域の先駆的な事例を収集し、全国に普及させることで、全国の総合型地域スポーツクラブの自立・発展につながるといった波及効果を期待している本事業における十分な効果が期待できない。

3.関連施策との関係

○関連施策との関係(役割分担・連携状況)

  スポーツを日常生活文化として享受する生涯スポーツ社会の実現は、文部科学省の重要な政策課題である。この生涯スポーツ社会を21世紀の早期に実現するため、国民が日常的にスポーツを行う場として期待される総合型地域スポーツクラブの全国展開を最重点施策として計画的に推進することとしており、平成22年までに全国の市区町村において、少なくとも1つは総合型地域スポーツクラブを育成することを目標に施策を展開しているところである。
  総合型地域スポーツクラブ育成推進事業は、この目標を達成するため、生涯スポーツ社会の実現を目標に掲げる文部科学省が、総合型地域スポーツクラブの設立に向けた基幹的活動に対する支援及び育成に必要な取組を実施するものであり、全国の市区町村において、少なくとも1つは総合型地域スポーツクラブを育成するため、地域におけるスポーツ環境の整備・充実方策の1つのモデル事業として行っているものである。
  独立行政法人日本スポーツ振興センターが実施しているスポーツ振興事業助成においても総合型地域スポーツクラブに対する助成を行っているが、その対象は総合型地域スポーツクラブ既育成市区町村における新たなクラブの設立支援及び総合型クラブ設立後にクラブが行う様々な活動に対する支援を行っているものであり、対象が異なる。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

・「教育振興基本計画」(平成20年7月1日閣議決定)

  第3章(3)4いつでもどこでも学べる環境をつくる

  ◇地域における身近なスポーツ環境の整備
  心身の健全な発達に重要な役割を果たすスポーツに国民のだれもが生涯を通じていつでも身近に親しむことができる環境を整備するため,総合型地域スポーツクラブ等,地域における総合的なスポーツの場の育成・整備をはじめとした取組への支援を推進する。また,地域住民のニーズ等に応じた質の高い指導ができる人材の養成・確保・活用を促す。このような取組を通じ,成人の週1回以上のスポーツ実施率を50パーセントとすることを目指す。

・「スポーツ振興基本計画」(平成12年9月13日文部大臣告示(平成18年9月21日改定))

  1.生涯スポーツ社会の実現に向けた、地域におけるスポーツ環境の整備充実方策

  A.政策目標達成のため必要不可欠である施策

  ○ 総合型地域スポーツクラブの全国展開

   B.政策目標達成のための基盤的施策

  • (1)スポーツ指導者の養成・確保・活用
  • (2)スポーツ施設の充実
  • (3)地域における的確なスポーツ情報の提供
  • (4)住民のニーズに即応した地域スポーツの推進

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業は、総合型地域スポーツクラブを育成・支援することで国民の誰もが生涯にわたりスポーツに親しむことができる環境の整備を図ることを目的としてきた。
  平成20年7月1日現在において、育成率は57.8パーセントとなっている。今後、全国的な組織基盤を有する民間スポーツ団体を活用して、総合型地域スポーツクラブの設立に向けた基幹的活動に対する支援及び育成に必要な取組を実施する「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」やスポーツを取り巻く新たな課題を解決するため、広域スポーツセンターの機能を活用する「総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業」、クラブ育成率の低い地方自治体を対象に、未育成エリアミーティング(仮称)等を開催し、課題等の解決を図りながら総合型地域スポーツクラブの育成を促す「総合型地域スポーツクラブ特別支援事業」が実施されることにより、達成年度である平成22年度には、総合型地域スポーツクラブの全市区町村に対する育成率を100パーセントまで伸ばすことができると見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  今後、全国的な組織基盤を有する民間スポーツ団体を活用して、総合型地域スポーツクラブの設立に向けた基幹的活動に対する支援及び育成に必要な取組を実施する「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」やスポーツを取り巻く新たな課題を解決するため、広域スポーツセンターの機能を活用する「総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業」、クラブ育成率の低い地方自治体を対象に、未育成エリアミーティング等を開催し、課題等の解決を図りながら総合型地域スポーツクラブの育成を促す「総合型地域スポーツクラブ特別支援事業」が実施されることにより、総合型地域スポーツクラブ育成・支援が図られ、地域におけるスポーツ環境が充実する。したがって、達成目標11‐2‐1にある総合型地域スポーツクラブを育成・支援することで国民の誰もが生涯にわたりスポーツに親しむことができる環境の整備を図るという成果に結びつくものと考えられる。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は 934百万円である。

  (内訳)

  • 諸謝金 75千円
  • 職員旅費 1,893千円
  • 委員等旅費 221千円
  • 庁費 187千円
  • スポーツ振興事業委託費 932,117千円

2.アウトプット

  本事業では平成20年7月1日現在、計2,768クラブが設立されている。平成20年度は新規に200か所の育成を計画しており、また、平成21年度はクラブ育成率の低い地方自治体を対象に、未育成エリアミーティング等を開催し、課題等の解決を図りながら総合型地域スポーツクラブの育成を促進することとしており、達成年度までに全市区町村に少なくとも1つの総合型地域スポーツクラブ育成を目指している。
  本事業を通じて、地域における高齢者の運動機会、女性や障害者にとってのスポーツ環境等の課題について、総合型地域スポーツクラブが中心となって、他の機関との連携の下に解決していくことで地域住民のスポーツ参加意欲を喚起し、地域活性化につながるとともに、各地域の先駆的な事例を収集し、全国に普及させることで、全国の総合型地域スポーツクラブの自立・発展につながるといった波及効果を考えると本事業は効率的・効果的に実施されると判断される。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(934百万円)に対して、アウトプットとして、全国的な組織基盤を有する民間スポーツ団体を活用して、総合型地域スポーツクラブの設立に向けた基幹的活動に対する支援及び育成に必要な取組を実施する「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」やスポーツを取り巻く新たな課題を解決するため、広域スポーツセンターの機能を活用する「総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業」、クラブ育成率の低い地方自治体を対象に、未育成エリアミーティング等を開催し、課題等の解決を図りながら総合型地域スポーツクラブの育成を促す「総合型地域スポーツクラブ特別支援事業」を通じて、1クラブ育成率の低い地方自治体における総合型地域スポーツクラブの育成及び2全国の総合型地域スポーツクラブの自立・発展が図られることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合、地域における高齢者の運動機会、女性や障害者にとってのスポーツ環境等の課題について、総合型地域スポーツクラブが中心となって、他の機関との連携の元に解決していくことで地域住民のスポーツ参加意欲を喚起し、地域活性化につながるとともに、各地域の先駆的な事例を収集し、全国に普及させることで、全国の総合型地域スポーツクラブの自立・発展につながるといった波及効果を期待している本事業における十分な効果が期待できない。したがって国による実施がより効率的である。

E.公平性の観点

  本事業は、全ての地方自治体等を対象として公募を行い、専門家による審査を経て、実施先を選定する予定であり、また、本事業により得られた各地域の先駆的な事例を収集し、全国に普及させることとしており、公平性は担保できると判断する。

F.優先性の観点

  誰もがスポーツに親しむことのできる生涯スポーツ社会の早期実現のために地域におけるスポーツ環境の整備充実が求められている。教育振興基本計画においても、「心身の健全な発達に重要な役割を果たすスポーツに国民のだれもが生涯を通じていつでも身近に親しむことができる環境を整備するため、総合型地域スポーツクラブ等、地域における総合的なスポーツの場の育成・整備をはじめとした取組への支援を推進する。」、「子どもが身体を動かす場や機会を確保する観点からも、総合型地域スポーツクラブの整備等、地域における身近なスポーツ環境の整備を推進する。」としている。地域におけるスポーツ環境の整備充実のためには、国民が日常的にスポーツを行う場として期待される総合型地域スポーツクラブの全国展開を最重点施策として計画的に推進する必要があることから、本事業は優先すべき政策と考えられる。

G.総括評価と反映方針

  達成目標11‐2‐1「今後の課題及び政策への反映方針」において、総合型クラブ未育成市区町村の課題分析及び課題解決に向けた取組の検討を21年度予算要求に反映する。
  具体的には、クラブ育成率の低い地方自治体を対象に、未育成エリアミーティング等を開催し、課題等の解決を図りながら総合型地域スポーツクラブの育成を促す「総合型地域スポーツクラブ特別支援事業」等を実施する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --