90.「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」に基づく子どもの体力向上支援事業(新規)【達成目標11-1-1】

平成21年度要求額:227百万円
  (平成20年度予算額:‐百万円)
  事業開始年度:平成21年度
 事業達成年度:平成23年度

主管課(課長名)

  • スポーツ・青少年局生涯スポーツ課(坂元 譲次)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

  「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果等を分析、活用することにより、各教育委員会、学校が自らの子どもの体力の向上に係る施策の成果と課題を把握し、その改善を図る

2.事業に至る経緯・今までの実績

  昭和60年頃から子どもの体力の低下傾向が続いており、子どもの体力低下により将来的に社会全体の活力が失われる事態が危惧されている。そこで、教育振興基本計画において、児童生徒の体力等の状況を把握し、体育・健康に関する指導の改善に活用するため、全国体力・運動能力等調査を実施する。あわせて、その結果から児童生徒の体力と運動能力等の関係を分析・検証し、学校や地域における体力向上の取組を推進させることにより、(略)子どもの体力を上昇傾向に転じさせ、昭和60年頃の水準への回復を目指すことを求められており、本事業が開始された。

3.事業概要

  子どもの体力が低下傾向にある中で、子どもの体力向上に向けた取組を進めていくためには、各地域における子どもの体力の状況、運動習慣、生活習慣等との相関関係について、全体的にきめ細かに把握・分析する必要があり、また、都道府県、市町村、学校それぞれの段階における子どもの体力向上に係る施策の成果と課題を整理する必要がある。そのため、平成20年度より「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」を実施している。「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果等を分析、活用することにより、各教育委員会、学校が自らの子どもの体力の向上に係る施策の成果と課題を把握し、その改善を図るため、都道府県・政令指定都市教育委員会において関係機関と連携しつつ、調査結果等の詳細な分析を行うとともに、改善に資する具体的方策を提案・実施する。

スキーム図

4.指標と目標

指標

  「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果等

目標

  子どもの体力を上昇傾向への転換、昭和60年頃の水準への回復を目指す。

効果の把握手法

  本事業の効果は、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果等に基づき検証する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  達成目標11‐1‐1「今後の課題及び政策への反映方針」において、「子どもの体力の低下傾向に歯止めをかけるためには、子どもの体力向上に向けた取組をより効果的に進める必要がある。そのために、各地域における子どもの体力の状況、運動習慣、生活習慣等との相関関係について、全体的にきめ細かに把握・分析し、また、都道府県、市町村、学校それぞれの段階における子どもの体力向上に係る施策の成果と課題を整理する必要がある。」と記述されており、本事業の実施は不可欠である。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  教育振興基本計画において、「学校や地域におけるスポーツの振興を通じて、生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣や意欲、能力を育成する。これにより、子どもの体力の低下に歯止めをかけ、上昇傾向に転じさせ、(略)昭和60年頃の体力水準への回復を目指す」としており、そのために各地域における子どもの体力の状況、運動習慣、生活習慣等との相関関係について、全体的にきめ細かに把握・分析し、また、都道府県、市町村、学校それぞれの段階における子どもの体力向上に係る施策の成果と課題を整理する必要がある。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合には、各都道府県・政令指定都市において、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を分析、活用して提案された、子どもの体力向上にかかる施策の改善に資する具体的方策を収集し、全国に普及させるとともに、各地域において子どもの体力向上のためのより効果的な取組が実施される波及効果を期待している本事業における十分な効果が期待できない。
  一方、民間団体等により実施される場合には、民間団体等は収益を上げる必要があるため、自らの利潤追求を目的として、収集したデータの分析結果を商品開発等に結びつけ、また、短期間で収益を得ることができる方策に偏り、より効果的な方策の収集が行われない可能性がある。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策 施策目標11‐1

  ○元気アップ親子セミナーの全国開催
  子どもの体力向上や生活習慣の重要性を保護者に意識付けるとともに、親子で一緒に体を動かすことができる機会を提供する。

2.関連施策との関係

  本事業は、平成20年度より実施している「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果等を分析、活用することにより、各教育委員会、学校が自らの子どもの体力の向上に係る施策の成果と課題を把握し、その改善を図るため、都道府県・政令指定都市教育委員会において関係機関と連携しつつ、調査結果等の詳細な分析を行うとともに、改善に資する具体的方策を提案・実施するものであり、「元気アップ親子セミナーの全国開催」は、保護者に対して、子どもの体力向上や生活習慣の重要性についての理解を促し、親子で一緒に体を動かす機会を提供するものである。本事業により得られた成果を実施し、更にセミナー等を通じて保護者等の意識喚起が図られるなど、それぞれの施策が連携することにより「スポーツの実施を通じて、子どもの体力の低下傾向に歯止めをかける。」という共通の目標達成を図るものである。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

・「教育振興基本計画」(平成20年7月1日閣議決定)

  第3章(2)施策の基本的方向
  スポーツがフェアプレイの精神を培うなど人間形成に重要な役割を果たすことに留意しつつ,学校や地域におけるスポーツの振興を通じて,生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣や意欲,能力を育成する。これにより,子どもの体力の低下に歯止めをかけ,上昇傾向に転じさせ,全国体力・運動能力等調査等による検証を行いつつ,昭和60年頃の体力水準への回復を目指す

  (4)特に重点的に取り組むべき事項
  (略)また,体力等の全国的な状況の把握・分析を行い,その結果を踏まえ,学校や地域における体力向上の取組を促す。
  これらの取組を通じて,子どもの体力を上昇傾向に転じさせ,昭和60年頃の体力水準への回復を目指す。

・「スポーツ振興基本計画」(平成12年9月13日文部大臣告示(平成18年9月21日改定))

  1.スポーツの振興を通じた子どもの体力の向上方策

  A.政策目標達成のため必要不可欠である施策

  • (1)子どもの体力向上国民運動の展開
  • (2)子どもを惹きつけるスポーツ環境の充実

  B.政策目標達成のための基盤的施策

  • (1)教員の指導力の向上
  • (2)子どもが体を動かしたくなる場の充実
  • (3)児童生徒の運動に親しむ資質・能力や体力を培う学校体育の充実
  • (4)運動部活動の改善・充実

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業は、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果等を分析、活用することにより、各教育委員会、学校が自らの子どもの体力の向上に係る施策の成果と課題を把握し、その改善を図ることを目的としている。今後、各都道府県・政令指定都市において、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を分析、活用して提案された、子どもの体力向上にかかる施策の改善に資する具体的方策を収集し、全国に普及させ、各地域において子どもの体力向上のためのより効果的な取組が実施されることにより、達成年度である平成23年度には、目標である子どもの体力を上昇傾向へ転じさせ、昭和60年頃の水準への回復を達成することができると見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  各都道府県・政令指定都市において、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を分析、活用して提案された、子どもの体力向上にかかる施策の改善に資する具体的方策を収集し、全国に普及させ、各地域において子どもの体力向上のためのより効果的な取組が実施されることにより子どもの体力向上が図られる。したがって、達成目標11‐1‐1にある子どもの体力の低下傾向に歯止めをかけるという成果に結びつくものと考えられる。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は 227百万円である。

  (内訳)

  • スポーツ振興事業委託費 226,558千円
  • 職員旅費 374千円

2.アウトプット

  本事業では開始年度から達成年度まで毎年度64都道府県・政令指定都市での実施を計画している。
  平成21年度には各都道府県・政令指定都市における「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の分析結果が報告され、平成22年度は分析結果を受けて、各都道府県・政令指定都市において「子どもの体力向上支援プログラム」が策定される。事業達成年度においては、各都道府県・政令指定都市においてプログラムの普及がなされるとともに成果について報告される。
  また、本事業を通じて、各都道府県・政令指定都市において提案された、子どもの体力向上にかかる施策の改善に資する具体的方策を全国へ普及することで、各地域において子どもの体力向上のためのより効果的な取組の実施につながるという波及効果を考えると本事業は効率的・効果的に実施されると判断される。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(227百万円)に対して、アウトプットとして、毎年度64都道府県・政令指定都市で実施することを通じて、1子どもの体力向上にかかる施策の改善に資する具体的方策の収集及び2各地域における子どもの体力向上のためのより効果的な取組の実施が推進されることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合には、各都道府県・政令指定都市において、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を分析、活用して提案された、子どもの体力向上にかかる施策の改善に資する具体的方策を収集し、全国に普及させるとともに、各地域において子どもの体力向上のためのより効果的な取組が実施される波及効果を期待している本事業における十分な効果が期待できない。したがって国による実施がより効率的である。

E.公平性の観点

  本事業は、64都道府県・政令指定都市で実施する予定であり、これをモデルとして全国に普及するため、公平性は担保できると判断する。

F.優先性の観点

  昭和60年頃から子どもの体力の低下傾向が続いており、子どもの体力低下により将来的に社会全体の活力が失われる事態が危惧されている。教育振興基本計画においても、「学校や地域におけるスポーツの振興を通じて、生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣や意欲、能力を育成する。これにより、子どもの体力の低下に歯止めをかけ、上昇傾向に転じさせ、(略)昭和60年頃の体力水準への回復を目指す」としている。子どもの体力の向上のためには、各地域における子どもの体力の状況、運動習慣、生活習慣等との相関関係について、全体的にきめ細かに把握・分析し、また、都道府県、市町村、学校それぞれの段階における子どもの体力向上に係る施策の成果と課題を整理する必要があることから、本事業は優先すべき政策と考えられる。

G.総括評価と反映方針

  達成目標11‐1‐1「今後の課題及び政策への反映方針」において、子どもの全国的な体力の状況等を把握・分析し、地域の特色を活かした運動習慣や生活習慣等を改善するための取組などを実践的に行うモデル事業の実施を21年度予算要求に反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --