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86.東海・東南海・南海地震の連動性評価研究(拡充)【達成目標10-8-1】

平成21年度要求額:1,181百万円
  (平成20年度予算額:495百万円)
  事業開始年度:平成20年度
  事業達成年度:平成25年度
  中間評価実施年度:平成22年度

主管課(課長名)

  • 研究開発局地震・防災研究課(増子 宏)

関係課(課長名)

  • 研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室(渡邉 淳)

事業の概要等

1.事業目的

  東海・東南海・南海地震の想定震源等における稠密な海底地震・津波・地殻変動観測や、富士山周辺における地震・地殻変動観測、さらにはシミュレーション研究等を行い、これら3つの地震や富士山噴火の発生についての時間的及び空間的な連動性評価を行うために必要な知見を獲得し、将来的な東海・東南海・南海地震等の短期発生予測の実現のための科学的基盤を構築するとともに、強震動予測、津波予測、被害想定研究等についても総合的に行うことにより、3つの地震が連動して発生した場合や、富士山が噴火した場合の人的・物的被害の軽減を目指す。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  東海・東南海・南海地震については、地震調査研究推進本部(以下、地震本部)によると、今後30年以内の発生確率がそれぞれ87パーセント(マグニチュード8程度)、60~70パーセント程度(マグニチュード8.1前後)、50パーセント程度(マグニチュード8.4前後)と非常に高く、また、中央防災会議によると、東海・東南海・南海地震の同時発生による最大被害想定は、死者2万5千人、経済的被害81兆円との予測がなされている。このように、東海・東南海・南海地震については、極めて切迫性が高く、推定される被害も甚大であり、過去の記録や最新の研究成果によると、これら3つの地震は将来連動して発生する可能性が高い。
  東南海・南海地震を対象とした調査研究については、平成19年度までで終了した「東南海・南海地震に関する調査研究」が存在し、紀伊半島潮岬沖の東南海・南海地震の想定震源域境界において、連動発生の構造要因となり得る、不整形構造の存在が確認される等の成果が得られた。一方で、3つの地震が連動して発生する可能性に直接着目した調査研究は行われておらず、このため、平成20年度より5ヵ年の事業として、「東海・東南海・南海地震の連動性評価研究」を開始した。
  なお、平成21年度からの10年程度の地震調査研究の基本となる「新たな地震調査研究の推進について」の中間報告(平成20年8月地震本部決定予定)(以下、新総合基本施策)においても、基本理念に、東海・東南海・南海地震に関する調査研究を推進することが、また、基本目標に、海溝型地震の連動発生の可能性評価を含めた地震発生予測の精度向上が掲げられていることを踏まえ、平成21年度は拡充要求を行う。
  また、我が国は、108にのぼる活火山を有する世界でも有数の火山国であり、有史以来、数多くの火山噴火災害をもたらしてきた。近年でも、火砕流により、多くの犠牲者を伴った雲仙普賢岳の噴火を始め、浅間山や三宅島の噴火など、たびたび被害を伴う噴火が繰り返し発生している。
  一方、地震活動と火山活動は同じ海洋プレートの沈み込みに起因する自然現象であり、マグマの蓄積が進んでいた火山において、周辺で発生した大地震が、噴火を誘発したと考えられる事例も数多く存在する。富士山では、1707年の宝永の東海・東南海地震の49日後に大規模な噴火が発生した。富士山は、過去1,200年に約10回の頻度で噴火を起こしたが、最後の噴火からすでに300年も経過しており、異常に長い休止期間が続いている。その一方で、2000年から2001年には、深部低周波地震活動が活発化し、地下20~30キロメートル付近でのマグマの蓄積が進んでいると考えられ、噴火がいつ起きてもおかしくない状態になっている。
  来るべき、連動型大地震が発生した場合に、宝永噴火のような大噴火が時をおかずに引き起こされることがあれば、震災復興作業中に大きな障害を及ぼし、産業が集中する東海地方、首都圏の機能回復に長時間を要することとなり、我が国の存亡を左右するほどの大きな衝撃を社会に与える。したがって、大地震の連動発生の評価研究を行うとともに、富士山噴火の連動の可能性の評価研究を行うことにより、連動発生した場合の人的・物的被害を大幅に軽減させることは、国の責務である。
  なお、科学技術・学術審議会の建議「地震予知のための新たな観測研究計画」と「火山噴火予知計画」においては、平成21年度開始の次期計画から、両計画が発展的に統合され、研究資源の有効活用体制が強化される。また、骨太の方針において、今年度より初めて「火山噴火への対策を推進する」ことが明記された。
  以上を踏まえ、平成21年度より、東海・東南海・南海地震と連動した富士山の噴火可能性を定量的に評価するための調査研究を新たに開始する。

3.事業概要

  本事業は、以下の(1)及び(2)のプロジェクトで構成される。

(1)東海・東南海・南海地震の連動性評価研究

  以下の2つのサブプロジェクトについて、有機的に連携を図りながら推進する。

1 東海・東南海・南海地震の連動性評価のための調査観測・研究

  東海・東南海・南海地震の想定震源域において、海底地震計約400台の稠密・広域展開による自然地震観測・地殻変動モニタリング等を行い、南海トラフ全域における精緻な地殻構造イメージングを行い、地下構造モデルを構築するとともに、固着すべり・連動の条件評価、シミュレーションの高度化等により、連動性評価モデル(地震発生予測モデル)の構築等を行う。
  平成21年度は、南海トラフでの調査観測(特に南海地震の想定震源域)や、地震計の長期観測化(チューニング)を本格化させるとともに、切迫度の高い日本海溝・千島海溝周辺における海底モニタリングについて、「日本海溝・千島海溝周辺の海溝型地震に関する調査研究」が平成20年度で終了することを踏まえて強化する。

2 連動を考慮した強震動・津波予測及び地震・津波被害予測研究

  東海・東南海・南海地震の連動に対応した防災・減災対策等の検討に必要な情報を提供するために、連動を考慮した強震動・津波予測、地震及び津波に関する広域被害予測、連動の際の復旧・復興に関する政策研究等を行い、東海・東南海・南海地震が連動して発生した際に被害が想定される地域における、人的被害削減戦略及び復旧・復興戦略を策定する。

(2)地震及び火山噴火発生の連動性評価研究

  富士山周辺における自然地震観測及び地殻構造調査を実施し、フィリピン海プレートと富士山マグマ溜りの位置及び状態を把握するとともに、歴史地震調査等により、富士山噴火履歴を解明し、東海・東南海・南海地震が発生した場合の富士山噴火シナリオを作成する。さらに、これらの調査結果を基にした数値シミュレーションにより、プレート周辺の応力場・ひずみ場を推定し、富士山のマグマ溜りから火道内までの噴火過程シミュレーションを実施する。

スキーム図

4.指標と目標

  効果把握のための指標には、事業の進捗状況を用いることとする。また、調査観測点数及び観測期間等については、活動実績として参考指標に用いる。
  達成年度までに、東海・東南海・南海地震の連動性評価研究サブプロジェクト1では、南海トラフ全域における精緻な地殻構造モデル及び連動を考慮した地震発生予測モデルを構築すること、サブプロジェクト2では、1の成果を踏まえて、地震の連動に対応した地域における防災・減災対策の検討に必要な情報を提供することを目標としている。また、地震及び火山噴火発生の連動性評価研究では、東海・東南海・南海地震発生時の富士山噴火シナリオの作成及び富士山噴火可能性評価の実施を目標としている。
  効果の把握手法としては、委託成果報告書等の内容を用いて、地震本部で策定した各種報告書の内容や、地震本部における議論等を踏まえた上で、事業の進捗を把握する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  本事業は、事業開始年度が平成20年度のため、19年度実績評価は受けていないものの、達成目標10‐8‐1「主な政策手段」にある「東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究」から得られた研究成果を活用した後継施策として平成20年度より開始しており、平成21年度も事業を継続する。なお、達成目標10‐8‐1「今後の課題及び政策への反映方針」において、「現状の長期評価や現状評価は、今後国難となり得る東海・東南海・南海地震の連動発生可能性等、詳細な地震の切迫性を情報提供できるものではない」ことが挙げられており、本事業はこの課題を解決するためのものである。また「我が国の火山観測・調査研究・防災体制が危機的状況にあることから、早急な体制強化が必要となる」ことも挙げられており、本事業の推進は必要となる。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  地震本部の新総合基本施策においては、これまでの10年の地震調査研究を省みた上で、「これまでに地震本部が実施してきた長期評価や現状評価は、例えば、東南海地震のみが発生した後に南海地震がどのように発生するかというような、地震の詳細な切迫度についての情報を提供できる水準に至っていない。特に、我が国の将来を見通したとき、国難となり得る東海・東南海・南海地震やそれらと前後して発生する可能性の高い地震を対象とした調査観測研究を強力に推進することは、最も重要な課題である。」とされており、基本理念に東海・東南海・南海地震に関する調査研究を推進することが、また、当面10年間取り組むべき基本目標に、海溝型地震の連動発生の可能性評価を含めた地震発生予測の精度向上が掲げられている。さらに、地震活動と火山活動は同じ海洋プレートの沈み込みに起因する自然現象であることから、地震現象を総合的に理解するためには、海溝型地震及び内陸地震の発生、マグマの生成・上昇等を統一的に理解する必要があるとされている。本事業は、平成21年度から開始する「地震及び火山噴火発生の連動性評価研究」も含めて、これらの趣旨に合致したものであることから、上述の事業開始に至る経緯も勘案した上で、その必要性は極めて高いと判断できる。また、本事業は、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法において、地震観測施設等の整備に努めなければならないとされていることを踏まえたものである。
  なお、地震本部政策委員会や、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会防災分野の研究開発に関する委員会においても、本事業の評価を行い、必要性を確認する。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  自然災害から国民の生命、財産等を守り、「犠牲者ゼロ」を目指した安全で安心な社会を実現することは、国の最も重要かつ基本的な責務である。我が国は世界有数の地震・火山噴火多発国であり、有史以来、数多くの地震災害を経験している。地震・火山噴火災害を最小限に抑えられるよう科学技術を最大限に活用していくことは、国として当然負うべき責務である。
  なお、平成7年1月に発生し、6,434人もの尊い命が失われた阪神・淡路大震災は、地震に関する調査研究の成果が国民や防災を担当する機関に十分伝達され活用される体制が整っていないという反省を生み、これを教訓に、同年7月に地震防災対策特別措置法が制定され、政府の特別の機関として、地震に関する調査研究を一元的に実施する地震本部が設立されている。本事業は、地震本部が策定する新総合基本施策等に基づき推進するものであり、そのデータ・成果は地震本部が行う評価等に活用されるとともに、中央防災会議等における防災計画の策定等に資するものとなることが想定されるため、行政・国が本事業に関与し、確実に関係機関に成果等を提供する必要があるといえる。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策

  ○ 地震・津波観測監視システム
   地震計、水圧計等の各種観測機器を備えた稠密かつリアルタイム観測可能な海底ネットワークシステムの技術開発を推進し、東南海地震の想定震源域である紀伊半島熊野灘沖に敷設することで、海域における高精度な予測モデルの構築、地震発生直後の地震・津波発生状況の早期検知、緊急地震速報・津波予測技術の高精度化等を実現し、迅速かつ的確な防災・減災対策への寄与を目指す。
  (事業開始年度:平成18年度)

  2.関連施策との関係
   関連施策である「地震・津波観測監視システム」により得られる東南海地震の想定震源域のリアルタイムの地震・津波データを本事業に活用することにより、高精度な地震発生予測モデルの構築が可能となるとともに、データ同化技術により、連動発生シミュレーションの高度化が図られるなど、両事業が密に連携することが所期の成果を挙げるために必要不可欠である。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

・「経済財政改革の基本方針2008」(平成20年6月閣議決定)

  記載事項(抜粋)

  第5章 安心できる社会保障制度、質の高い国民生活の構築

  3.良好な治安と災害に強い社会の実現等

  • 大規模地震、大規模水害・土砂災害、津波・高潮、豪雪、火山噴火等への対策を推進する。
・「海洋基本計画」(平成20年3月閣議決定)

  記載事項(抜粋)

  第2部 海洋に関する施策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

  5 海洋の安全の確保

  (2)海洋由来の自然災害への対策
  東海・東南海・南海地震を始めとする海溝型地震、海底活断層で発生する地震等の災害のメカニズムを科学的に解明することも重要である。このため、海底・地殻内等における高精度の調査観測・研究及び関連技術の開発、(中略)等を推進するとともに、これらの成果に基づく地震・津波の予測能力等の向上に取り組む。

・「社会基盤分野推進戦略」(平成18年3月総合科学技術会議)

  記載事項(抜粋)

  2.重要な研究開発課題

  • 地震観測・監視・予測等の調査研究
  • 火山噴火技術 等

  3.戦略重点科学技術

  1. 減災を目指した国土の監視・管理技術
    • 高機能高精度地震観測技術 等
・「自然災害の『犠牲者ゼロ』を目指すための総合プラン」(平成20年4月内閣府)

  記載事項(抜粋)

  2 「犠牲者ゼロ」を目指す施策の推進

  1 災害に「備える」ために為すべきこと(災害の特性に応じて)

  (1)地震

  1. 最先端の技術で立ち向かう
    • 東海・東南海・南海地震の連動性評価研究
・「噴火時等の避難に係る火山防災体制の指針」(平成20年3月内閣府)

  記載事項(抜粋)

  11.火山観測監視・調査研究体制の充実・支援

  • (1)観測監視体制の充実
  • (2)調査研究体制の充実
  • (3)観測監視業務に対する支援
・「新たな地震調査研究の推進について」中間報告(平成20年8月地震本部決定予定)

  記載事項(抜粋)

  第2章 基本理念と新しい総合的かつ基本的な施策の位置づけ

  1.地震調査研究の基本理念
  当面は、過去30年間の発生確率が高いだけでなく、発生した場合に我が国の社会・経済活動に深刻な影響を及ぼす東海・東南海・南海地震や、それらと前後して発生する可能性の高い地震、さらに首都直下地震等に関する調査研究を総合的かつ戦略的に推進する。

  第3章 今後推進すべき調査研究

  1.当面10年間に取り組むべき地震調査研究に関する基本目標

  (1)海溝型地震を対象とした調査観測研究による地震現象の解明
  基本目標として、

  • 海溝型地震の連動発生の可能性評価を含めた地震発生予測の精度向上

  を設定する。
  基本目標の達成に向けて、

  • 海域における重点的なリアルタイム地震観測網の整備
  • プレート境界の応力等の把握のための地震・地殻変動観測
  • 海陸統合の地殻構造調査
  • 海溝型地震の物理モデル構築のための調査研究
  • 海溝型地震の発生予測手法の開発

  等を、科学技術・学術審議会の建議による基礎的観測研究の成果も活用しつつ、総合的に推進する。

  2.横断的に取り組むべき重要事項

  (1)基盤観測等の維持・整備
  地震活動と火山活動は同じ海洋プレートの沈み込みに起因する自然現象であり、過去には大規模な海溝型地震が発生した直後に内陸の火山が噴火したという事例も報告されている。(中略)地震現象を総合的に理解するためには、海溝型地震及び内陸地震の発生、マグマの生成・上昇等を統一的に理解する必要があり、火山に関する研究を考慮した効率的な観測点配置とすることにも留意する。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  地震本部の設立以降、全国稠密な基盤観測網の整備、基礎研究の推進による知見の獲得、全国を概観した地震動予測地図の作成、緊急地震速報の開始等、多くの成果が上がっている。また、地震本部の方針の下、文部科学省が平成15年度からの5ヵ年計画で実施した「東南海・南海地震に関する調査研究」では、本事業開始の裏づけとなった東南海・南海地震の想定震源域境界における不整形構造の存在の確認や、地震サイクル毎の時間間隔や連動パターンを再現できる基礎技術の構築等の成果が上がっている。
  また、平成18年度からの4ヵ年計画で実施している「地震・津波観測監視システム」稼動後は、東南海地震の想定震源域においてリアルタイムに地震・津波データを得ることが可能となる。これに伴い、観測データが増大し、高精度な地震発生予測モデルの構築が可能となるとともに、データ同化技術によるシミュレーションの高度化も可能となる。
  このような我が国のこれまでの地震調査研究に関する研究開発の実績と経験、さらには他の事業の進捗状況等を考慮すると、得ようとする効果は確実に達成されるものと見込まれる。
  なお、地震本部政策委員会や、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会防災分野の研究開発に関する委員会においても、本事業の評価を行い、有効性を確認する。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  本事業の推進により、将来的な東海・東南海・南海地震等の短期発生予測の実現のための科学的基盤を構築するとともに、3つの地震が連動して発生した場合や、富士山が噴火した場合の人的・物的被害の軽減に寄与することから、上位目標達成のために必要な効果が得られるものと判断する。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業は、平成21年度は11.8億円程度(連動性評価のための調査観測・研究は9.3億円程度、強震動・津波予測及び地震・津波被害予測研究は0.5億円程度、地震及び火山噴火発生の連動性評価研究は2億円程度)、6年間で61億円程度(最終年度は地震及び火山噴火発生の連動性評価研究のみ)の予算規模を見込んでいる。

2.アウトプット

  南海トラフ全域にわたる精緻な地下構造や、富士山周辺の地下構造を明らかにするとともに、東海・東南海・南海地震の連動性を評価するために必要となる、高精度な地震発生予測モデルを構築する。また、3つの地震と連動した富士山の噴火シナリオや噴火シミュレーションを構築する。さらに、東海・東南海・南海地震発生予測モデルに基づき、連動を考慮した強震動と津波の発生予測、構造物被害予測を実施し、被害が想定される地域における人的被害削減戦略及び復旧・復興戦略を策定する。

3.事業スキームの効率性

  内閣府によると、東海・東南海・南海地震の同時発生による最大被害想定は、死者2万5千人、経済的被害81兆円との予測がなされており、また、富士山噴火による最大経済的被害は2.5兆円と推定されている。本事業のアウトプットは、地震防災対策の強化に大きく寄与し、上記のような地震・火山噴火による国民の生命・財産への甚大な被害を軽減する上で、その効果は計り知れない。このため、事業スキームの効率性は妥当であるといえる。

4.代替手段との比較

  本事業は、陸域及び海域の地震調査研究、火山研究、津波研究、シミュレーション研究、被害想定研究等を総合的に実施するものであり、各研究分野で最先端の技術や知見を持つ大学、独立行政法人、民間企業等の能力を結集させて、事業を進めていく必要があることから、独立行政法人の運営費交付金等による自主事業ではなく、国の委託費として、ポテンシャルの高い機関を公募選定した上で実施している。

E.公平性の観点

  我が国の地震調査研究を一元的に推進する地震本部が策定した新総合基本施策や、「今後の重点的調査観測について」に基づき実施される事業であり、また、東海・東南海・南海地震が発生した場合、我が国全体の社会・経済活動に深刻な影響を及ぼす可能性が高いため、政策効果は公平に分配されると判断する。

F.優先性の観点

  上述の通り、本事業が対象としている東海・東南海・南海地震については、今後30年以内の発生確率が極めて高く、発生した場合の被害は国家予算規模に匹敵するとの予測がなされていることから、新総合基本施策で、今後10年間に取り組むべき基本目標として「東海・東南海・南海地震を中心とした海溝型地震の連動発生の可能性評価を含めた地震発生予測の精度向上」が掲げられている。さらに、これらの地震が発生した場合に連動する可能性が指摘されている富士山噴火については、首都圏を中心として被害が甚大であると想定されている。このため、例えば東南海地震のみが発生した後に南海地震や富士山噴火がどのように発生するかというような、地震及び火山噴火の詳細な切迫度の情報提供を目指す本事業の優先性は極めて高い。
  なお、地震本部政策委員会や、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会防災分野の研究開発に関する委員会においても、本事業の評価を行い、優先性を確認する。

G.総括評価と反映方針

  平成21年度概算要求及び定員要求(火山防災専門職1名)に反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。ただし、本事業の進捗状況及び達成度を測るため、より具体的かつ定量的な指標を設定する必要がある。

指摘に対する対応方針

  指標については、現在も参考指標として調査観測点数及び観測期間等を設定しているところではあるが、今後も引き続き、本事業の性質も十分考慮した上で、具体的かつ定量的な指標について検討していく。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --