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85.数学・数理科学と他分野との融合の推進(新規)【達成目標10-7-3】

平成21年度要求額:30百万円
  (平成20年度要求額:‐百万円)
  事業開始年度:平成21年度
  事業達成年度:平成23年度

主管課(課長名)

  • 研究振興局基礎基盤研究課(大竹 暁)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

  本事業では、国際シンポジウムの開催、研究フォーラム等の国内シンポジウムの開催を行うことにより、数学・数理科学と他分野との融合を推進することを目的とする。現在、連携・融合を阻害している要因である、出会いの場やコミュニケーション不足を改善するために、数学を必要とする分野の研究者と数学者が集まる場をつくり、ネットワーク作りを促進する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  科学技術政策研究所「忘れられた科学-数学」(平成18年5月)では、日本における数学研究の現状について、数学分野の比率、数学への公的研究費投入額、数学研究者人口、数学博士号取得者の定職率など様々な問題点が指摘されている。一方、世界に目を向ければ、OECD/CSTP/GSFにおいて「産業における数学WS」が開催され(平成19年3月)、また、米国ではNSFが支援する大学院の幅広い数学プログラムなどがあるように、多様な産業分野や他の重点科学技術分野からの数学への期待は大きいものとなっている。
  このように、多様な産業分野や他のすべての科学技術分野の基盤として数学の振興は不可欠であることから、文部科学省では、従来から、科学研究費補助金、21世紀COEプログラムなどにより数学を振興してきたところであるが、これらに加えて、数学と他分野との連携・融合研究を一層推進するための新たな試みとして、科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業に対して平成19年度の戦略目標「社会的ニーズの高い課題の解決へ向けた数学/数理科学によるブレークスルーの探索」を提示し、19年度には個人型研究(さきがけ)を開始し、20年度からはチーム型研究(CREST)を実施している。
  このような新たな試みが功を奏するためには、数学者と産業界や他分野の研究者との交流により数学・数理科学と他分野との相互作用が増大することが必要不可欠であるが、現状では、必ずしも異分野間のコミュニケーションや出会いの場が十分に確保できているとは言えない。
  そこで、平成21年度より本事業を開始し、数学者と数学を必要とする他分野や産業分野の研究者・技術者との出会いの場を提供し、活発なコミュニケーションの中から新たな発想が生み出されるような土壌を構築することとする。

3.事業概要

  我が国では、欧米主要国に比べて、純粋数学が応用数学や数理統計学に比べて支配的であることから、他分野や産業・社会経済におけるニーズと数学研究のシーズとの連携・融合が不十分であり、様々な分野の研究者と数学者が顔を突き合わせて議論する研究フォーラム等の場も存在しない。
  本事業では、数学・数理科学と他分野との融合・連携を推進する中核機関を公募により採択し、平成21年度から3年間、以下の活動を行うことにより、数学と他分野とのネットワーク作りを促進する。

  1. 国際シンポジウムや国内シンポジウム、研究フォーラム等の開催
  2. インターフェース人材の確保・育成

概念図

  <融合推進のスキーム>

融合推進のスキーム

4.指標と目標

目標

  数学と他分野との融合を阻害している要因である出会いの場や、コミュニケーション不足を改善するために、数学を必要とする分野の研究者と数学者が集まる場をつくり、ネットワーク作りを促進する。

指標

  以下のような指標を用いて、総合的に判断する。

  • シンポジウム等に参加した研究者数、技術者数とそれぞれの専門分野
  • シンポジウム等に参加した研究者、技術者の意識の変化(アンケート等)
  • インターフェースを果たし得る人材の確保・育成状況

  達成目標の効果を定量的指標のみで把握することは困難であるが、中核機関には年度報告書の提出を義務付け、シンポジウム等の開催結果(参加者数、参加者の専門分野、討論の概要等)を報告させるとともに、その一環としてシンポジウム参加者等へ意識調査(アンケート又はインタビュー)を行うことにより、異分野間のコミュニケーション促進効果を推定する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  平成20年度までに、新興・融合分野として光・量子科学技術の研究を推進してきたが、平成21年度においては、これらに留まらず、新興・融合分野の新たな発展を目指し、数学等の他分野への応用を1つの新興・融合分野として、数学・数理科学を軸とした他分野との融合を促進するための本施策を開始する。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  数学・数理科学は、諸科学の礎となる学問分野であり、他分野との連携・融合により、多くの領域においてブレークスルーをもたらすものである。また、各重点科学技術分野や産業・社会経済におけるニーズに対応した諸問題を解決するためには、複雑な自然・生命現象、社会現象等を解明することが必要であり、数理科学的手法(モデル化等)が不可欠である。このため、欧米諸国においても、数学・数理科学と他分野との融合研究を振興するプログラムや、異分野間の研究者がface-to-faceで議論する場としての融合研究拠点の構築や研究集会・研究フォーラムの開催等を行っている。
  我が国においては、数学・数理科学と他分野との連携・融合を促進するための施策としては、平成19年度の戦略目標「社会的ニーズの高い課題の解決へ向けた数学/数理科学によるブレークスルーの探索」の下で実施されている、「さきがけ(平成19年度開始)」と「CREST(平成20年度開始)」のみであり、必ずしも融合・連携が活発に行われているとは言えない。
  特に、純粋数学の比率が高い我が国では、数学者と他分野の研究者とが交流する機会は限定されており、数学(特に純粋数学)と他分野との間には共通理解の土壌(共通言語)が存在しないと言われている。また、他分野や産業・社会経済における実施の諸問題から数学の土俵に乗せられる人材や異分野間のインタープリター的役割を果たし得る人材(インターフェース人材)も不足している。
  このため、本事業において、数学・数理科学と他分野や産業分野の研究者が相互に交流し、知的触発を得られる出会いの場(シンポジウムやフォーラム等)を構築することにより、異分野の研究者・技術者間でのネットワーク作りを促進することが必要である。また、平成19年度から開始した戦略的創造研究推進事業において、具体的研究課題を推進するとともに、これに合わせて数学との融合について様々な分野の人が集まり議論する場を提供する本事業を推進することにより、双方の事業推進に相乗効果が得られることが期待される。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  本事業では、数学・数理科学と他分野や産業分野との融合のためのフォーラムやシンポジウムを開催し、これらの分野におけるオールジャパンでのネットワーク作りを目指すものであるため、個別の独立行政法人等の直轄事業として実施するのではなく、行政・国の関与により行うことが必要である。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策

  ○ 戦略的創造研究推進事業(独立行政法人科学技術振興機構)
  戦略目標「社会的ニーズの高い課題の解決へ向けた数学/数理科学によるブレークスルーの探索」の下で、「さきがけ(平成19年度開始)」、「CREST(平成20年度開始)」による研究推進事業を行っている。(事業開始年度:平成19年度)

  ○ グローバルCOEプログラム(文部科学省
  グローバルCOEプログラムにおいては、世界水準の研究を行う大学の教育研究拠点に対して、高度な人材育成機能を加味した重点的支援により、世界最高水準の大学づくりの支援を行うこととしている。平成20年度には、数学関連の拠点4大学が採択されており、数学に関する国際的な教育拠点形成を目指し、数学のトップリーダの育成、若手人材育成教育プログラム等が開始されている。(事業開始年度:平成19年度)

2.関連施策との関係(役割分担・連携状況)

  戦略的創造研究推進事業の下で実施する具体的な研究課題の推進とともに、これに合わせて、数学と他分野との融合について様々な分野の人が集まり議論する場を提供する本事業を推進することにより、双方の事業推進に相乗効果が得られることが期待される。
  また、グローバルCOEプログラムによる各大学での教育プログラムの推進により、我が国の数学・数理科学分野の中核となる教育研究拠点の形成や研究者の育成が期待されるが、これらはいずれも、数学・数理科学の分野内若しくは比較的近い分野間又は大学内での連携や情報交換にとどまっている。本事業では、数学・数理科学と他分野との融合の推進を目的として、既存の取組みにおける限定された範囲内での連携を打破し、オールジャパンでのネットワーク作りを目指すものである。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

・「第3期科学技術基本計画」(平成18年3月28日 閣議決定)

  記載事項(抜粋)

  第2章 科学技術の戦略的重点化

  3.分野別推進戦略の策定及び実施に当たり考慮すべき事項

  (1)新興領域・融合領域への対応
  ・・・新たな知の創造のために、既存の分野区分を越え課題解決に必要な研究者の知恵が自在に結集される研究開発を促進するなと、異分野間の知的な触発や融合を促す環境を整える必要がある。

・「分野別推進戦略」(平成18年3月22日 総合科学技術会議)

  記載事項(抜粋)

  4.推進方策

  (1)総論

  5.産業に直結する、目的基礎研究を中心とした新たな認識形成

  (b)・・・どのような情報通信技術も、数学的成果を利用していることは明らかである。数学研究者の育成の強化は、今後30年を考えた場合の情報通信技術、さらには他の領域における科学技術の進展に必須の政策である。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業では、連携・融合を推進する中核機関を公募により選定し、1.国際シンポジウムや研究フォーラム等の開催、2.インターフェース人材の確保・育成等を行うこととする。本事業を行う中核機関は、数学や数理科学研究の基盤及び他分野への応用におけるノウハウを有する機関を選定し、このような優位性を生かして事業を推進することとしているため、本目標の達成が見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  本事業で開催される国際シンポジウムや研究フォーラム等には、産学官の研究機関から多様な専門分野の研究者・技術者が多数参加し、活発な意見交換・知的交流が行われ、将来の融合研究へと発展していく契機になると期待され、数学・数理科学と他分野や産業分野の研究者が相互に交流し、知的触発を促すネットワーク作りを促進することが可能となる。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は、30百万円である。

  (内訳)

  • 科学技術試験研究委託費 28,830千円
  • 事務費 1,170千円

2.アウトプット

  平成21年度には、連携・融合を推進する中核機関を公募により選定し、国際シンポジウムを1回程度、研究フォーラム等の国内シンポジウムを3~4回程度開催し、数学・数理科学と他分野や産業分野との知的交流の場を設定する予定である。これらのシンポジウム等には、産学官から多様な専門分野の研究者・技術者が多数参加する見込みであり、これを契機に新たなネットワーク作りが促進されると考えられる。

3.事業スキームの効率性

  本事業では、1年当たり30百万円(かける3年間)で、年間4~5回のシンポジウムや研究フォーラム等を開催する予定であり、数学分野はもちろんのこと、数学の導入が期待される他分野や産業界からも多数の研究者・技術者が参加する見込みである。純粋数学が主流の我が国では、数学者と他分野や産業分野の研究者・技術者が一堂に会するシンポジウム等の開催はあまりなされていないため、年数回のシンポジウム等を3年間にわたって実施することにより得られる効果は大きい。

4.代替手段との比較

  本事業は国の委託事業として実施するが、これを研究者や各種団体等の自主事業として実施することとした場合は、特定の分野に特化した通常のシンポジウムや研究フォーラムの開催にとどまってしまい、多様な分野への広がりが期待できない。また、本事業においては、数学者や他の数学を必要とする分野の研究者が、これまでは、大学内や個人研究者間の連携にとどまっており十分に情報交換・連携されてこなかったことを打破するべく行うものであるため、研究者や大学等が自主事業で行うことは馴染まず、また本事業の目標を実現できない。

E.公平性の観点

  本事業では、数学・数理科学と他分野との融合・連携を推進する中核機関を公募により採択するものであり、また、採択にあたっては、産学官の外部有識者からなる審査検討会(仮称)による審査を経る予定であるため、公平性は担保できると考える。

F.優先性の観点

  科学技術政策研究所「忘れられた科学-数学」(平成18年5月)や文部科学省委託業務「イノベーション創出のための数学研究の新興に関する調査報告書」(平成20年3月)によれば、諸科学、産業技術のイノベーション創出の鍵となる数学研究を振興するために、異分野コミュニケーション不足、出会いの場や時間不足という連携・融合の阻害要因を解消する必要があると指摘されている。また、諸外国でも、イノベーションの鍵を握っている数学と他分野との融合研究を支援する各種プログラムが実施されており、我が国でも数学と他分野との融合を推進するための仕組みを早急に構築する必要がある。また、平成19年度にさきがけ、平成20年度にCRESTを開始した戦略的創造研究推進事業において具体的研究課題を推進するとともに、これに合わせて数学との融合研究について様々な分野の人が集まり議論する場を提供する本事業を開始することにより、双方の事業推進に相乗効果が得られることが期待される。

G.総括評価と反映方針

  21年度概算要求に反映

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。ただし、シンポジウム等によるネットワーク形成を進めるに当たっては、継続的にその効果を検証し、改善を図る必要がある。また、定量的な指標を設定して進める必要がある。

指摘に対する対応方針

  • 本事業の推進にあたっては、毎年度の成果報告等により効果を検証し、必要に応じて、事業内容の検証及び見直しを行うこととする。
  • すべての指標について定量的に設定することは困難であるが、シンポジウム等に参加した研究者数など数値化可能なものについては、具体的な事業の内容に応じて、定量的な設定を検討していくこととしたい。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --