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81.データ統合・解析システム(拡充)【達成目標10-3-1】

平成21年度要求額:1,191百万円
  (平成20年度予算額:622百万円)
  事業開始年度:平成18年度
  事業達成年度:平成22年度
  中間評価実施年度:平成20年度

主管課(課長名)

  • 研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室(谷 広太)

関係課(課長名)

  • 研究開発局海洋地球課(生川 浩史)、宇宙開発利用課(中川 健朗)
  • 宇宙開発利用課宇宙利用推推進室(竹縄 圭二)

事業の概要等

1.事業目的

  国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」を構成する要素の一つとして、大気、陸域、海域、人間圏に関する多種多様の観測データや気候変動予測結果等の体系的な収集、合理的な管理、統合・解析処理することによって科学的・社会的に有用な情報として変換して、それを提供するためのシステムを構築する。観測データ及び情報を国際的に共有する仕組みを構築することにより、包括的、調整的、及び持続的な地球観測のための国際的な取組であるGEOSS(全球地球観測システム)10年実施計画の推進の一翼を担う。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  現在、地球観測データの活用範囲は、モデル予測、影響評価など多岐にわたっているために、利用者ニーズを的確に把握し、それに対応したデータの高度処理がなされ、その結果が多方面で活用されるシステムの開発の必要が生じてきている。こういった経緯から本事業が開始された。
  本事業は、平成18年度から、地球観測衛星や地上・海洋観測による各種観測データや気候変動予測研究による予測データ等を蓄積し、統合・解析、情報提供の役割を果たす、データ統合・情報融合コアシステム(以下、コアシステムと記す。)を構築するとともに、多種多様のデータの相互流通性を実現するための機能を整備している。また、気候変動・地球温暖化、水循環、生態系を中心とした分野を対象として、科学的・社会的に有用な情報を創出するための応用機能開発に取り組んでいる。具体的には、1高精度降雨予測や流域データ等の統合・解析によって利根川水系のダム管理を効率化するためのダム最適運用システムの構築、2地球観測データと生物分布予測モデルの統合による特定外来生物対策の高度化、3気象予報と作物育成モデルの統合による農作物生物管理の最適化などの応用機能の開発を進めている。このように、コアシステムの整備と応用機能の開発を平行して実施している。
  平成20年6月に実施された科学技術・学術審議会(研究計画・評価分科会地球環境科学技術委員会)による中間評価では、「気候変動・地球温暖化、水循環、生態系の個別分野毎にケーススタディがなされており、それぞれについて成果がでている。また、これらの分野で連携を持てるようになっていることは、災害への対応や被害規模の緩和を考える上で有用である。今後、各分野で行われている個別取組のさらなる総合化に向けて、様々な分野の利用者が共有的なデータにアクセスできる基盤情報システムとして拡張することが重要である。」と指摘された。この指摘に対応するには、分野横断的な応用機能開発を開始し、コアシステムを整備する必要があることから、本事業費を拡充する。

○データ統合・解析・情報提供のために蓄積された観測等のデータ量、及び本事業で執筆された論文数の推移

  平成18年度 平成19年度
蓄積された観測等のデータ量 14テラバイト 105テラバイト
原著論文等数(投稿中も含む) 17 42

3.事業概要

  21年度においては、20年度に引き続きデータ統合・解析システムの構築を実施するが、国内外の温暖化影響評価・適応策立案に資するためのデータ共有・情報提供に係わる応用機能開発の強化を図ることとし、それに必要となるデータ蓄積空間の整備を加速するとともに、データの相互流通性の実現を促進する。
  具体的には、中間評価で指摘された「気候変動・地球温暖化、水循環、生態系の各分野で行われている個別取組の更なる総合化」を踏まえて国内外で抱える水や農業などの地球規模課題解決に資するための分野横断的な応用機能開発を開始する。なお、分野横断的な応用機能開発の開始に伴い、取り扱う観測データの記述用語や保存形式などが多様化することから、データの相互流通性を実現するための機能の高度化を図る。また、今年度末までにデータ蓄積空間として700テラバイト分の磁気ディスク機器が整備される予定であるのに対し、蓄積されるデータ容量が600テラバイトと見積もられており、今後も取り扱う地球観測・気候変動予測データが増大することから、当初計画に沿ってペタバイト(1,000テラバイト)級のコアシステムの磁気ディスク装置を整備する。さらに、中間評価で指摘された「様々な分野の利用者が共有的なデータにアクセスできる基盤情報システムとして拡張する」に対しては、コアシステムの磁気ディスク装置内に解析処理空間を確保することが必要であることから、費用的に安価でデータを保存できる磁気テープ装置を導入することにより対応する。

スキーム図

4.指標と目標

指標・参考指標

  データ統合・解析・情報提供のために蓄積された観測等のデータ量、本事業で執筆された論文数

目標

  多種多様で大容量の地球観測データ及び気候変動予測データをペタバイト級のコアシステムに投入・管理し、多彩なニーズに対応した情報を創出するため、データを統合的に活用して解析処理を効率的に行い、科学的・社会的に有用な情報を提供するためのシステムを構築する。

効果の把握手法

  本事業の効果は、システム構築の過程で蓄積された観測等のデータ量、執筆された論文数にて把握することができる。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  達成目標10‐3‐1においても「開発中のプロトタイプシステムを使い、GEOSSへの貢献の一環として、当該システムのアジア地域における水資源管理や洪水・渇水被害軽減への有効性についても取組みを始める」との記載にもあるように、データ統合・解析システムの構築を引き続き推進していく。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  施策目標10‐3の目標を達成するため、各研究機関の地球観測データを体系的に活用することが求められている。このため、各研究機関の地球観測データを統合・解析する情報技術を開発することによって、地球環境変動への効果的な対応策の実現に貢献する必要がある。また、我が国の有する最先端の科学技術に関する知見を活用し、世界に対する情報提供が求められている。
  特にデータ統合・解析システムは、資源エネルギー供給の逼迫化や気候変動による自然災害の頻発等、我が国を取り巻く状況が大きく変化する中で、我が国が持続的に発展し、世界をリードしていくために長期的な国家としての見通しを持って取り組むべき重要技術として内閣府総合科学技術会議が選定した国家基幹技術の一つである「海洋地球観測探査システム」の中核をなすものであり、我が国が必要とする重要技術として開発する必要がある。
  また、中間評価として指摘を受けた、「気候変動・地球温暖化、水循環、生態系の各分野で行われている個別取組のさらなる総合化」及び「様々な分野の利用者が共有的なデータにアクセスできる基盤情報システムとして拡張する」に対応するため、分野横断的取組の開始し、それに伴って多様化する観測データの記述用語や保存形式、及び増大する地球観測・気候変動予測データに対して、ペタバイト級のコアシステムの磁気ディスク装置や磁気テープ装置等の整備を実施する必要があるので、本事業費を拡充する。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」の中核をなすデータ統合・解析システムでは、地球観測・気候変動予測・社会経済データを効果的に組み合わせて活用することで、地球温暖化、気候変動等による社会への重大な影響回避・緩和に向けて、国民ひいては人類に喫緊の有用な情報を提供することが可能である。さらに、データ統合・解析システムが持つ、世界に類を見ない大容量のコアシステムは、世界最高水準の研究機能の実現を図るものとして、国として重点的に推進していくべきものであり、我が国の国家的な目標の長期的な戦略の下に、国が自らその開発を進めるべきものである。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策

  ○21世紀気候変動予測革新プロジェクト(研究開発局海洋地球課)
  人類の生存基盤に重大な影響を及ぼす恐れがある地球温暖化等の気候変動問題について、効果的、効率的な政策及び対策の立案に資するため、より高精度の気候変動予測の実現を目的としている。
  (事業開始年度:平成19年度)

2.関連施策との関係

  「21世紀気候変動予測革新プロジェクト」は、地球温暖化等の気候変動に関する気候モデルを開発・高度化し、予測の精度を向上させ、より正確な科学的知見を提供することにより、気候変動問題に対するより適切な政策や対策の立案に資することを目的とするものであり、一方、本事業は、気候変動による社会への重大な影響の回避・緩和に向け、多種多様な地球観測・気候変動予測データを統合的に活用して解析処理し、有効な情報として提供するシステムの開発を目的とするものであり、異なるものである。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

・「G8北海道洞爺湖サミット首脳文書」(平成20年7月8日)

  記載事項(抜粋)
  環境・気候変動 31.(前半部略)地球観測データに対する需要の増大に応えるため、我々は、優先分野、とりわけ気候変動及び水資源管理に関し、観測、予測及びデータ共有を強化することにより、国連専門機関の事業を基礎とした全球地球観測システム(GEOSS)の枠内の努力を加速する。我々はまた、地球観測における開発途上国のキャパシティ・ビルディングを支援するとともに、相互運用性及び他のパートナーとの連携を促進する。

・「G8科学技術大臣会合議長サマリー」(平成20年6月15日)

  記載事項(抜粋)

  地球規模課題の解決に向けた国際協力による取組‐低炭素社会の実現のための研究開発‐
  6.気候変動のメカニズムを明快に理解することを可能とする観点から、最新の科学技術を用いた全地球観測、予測、データ共有の重要性が指摘された。

・「環境エネルギー技術革新計画」(平成20年5月19日 総合科学技術会議)

  記載事項(抜粋)

  2.国際的な温室効果ガス削減への貢献策

  (2)国際的枠組み作りへの貢献

  2.地球観測、気候変動予測及び影響評価への国際貢献
  開発途上国を中心とした海外への地球観測データや地域の環境影響評価・予測結果等の提供を通じ、国際貢献を図る。

・「科学技術外交の強化に向けて」(平成20年5月19日 総合科学技術会議)

  記載事項(抜粋)

  第4章 科学技術外交を推進するために取り組むべき施策

  1.地球規模の課題解決に向けた開発途上国との科学技術協力の強化

  (1)科学技術協力の実施及び成果の提供・実証

  4 我が国の優れた科学技術を活用し、アフリカなどの開発途上国における水や食糧問題等に対する取組みを実施する
  「開発途上国における水資源管理・洪水・渇水被害軽減に資する情報の提供」(文部科学省、国土交通省)

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  平成18年度に本事業を開始するに当たり、衛星観測データ、地上や海洋での観測データ、社会経済データ、気候変動予測結果などを統合的に処理するため、少なくともペタバイト級のデータを処理するシステムを構築することを目標としている。
  平成19年度末までに、データを蓄積するための空間として約600テラバイトの磁気ディスク装置を導入した。今後、磁気ディスク装置の増設することにより実施期間中にペタバイト級のデータを処理するシステムとして整備できるものと見込まれる。
  平成20年度においては、観測・気候変動予測データ(約600テラバイト)の蓄積を引き続いて実施するとともに、品質管理、統合、解析によって科学的・社会的に有用な情報へと変換して、それを国際的に共有するシステムの開発を着実に推進している。また、気候変動・地球温暖化、水循環、生態系の分野毎に創造的な価値を有する情報創出に向けた取組として9つの応用機能開発を継続して実施している。このことからも達成年度である平成22年度までに、目標の達成が見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  地球温暖化の影響評価やそれへの適応策を立てていくためには、地球環境の現状と将来を把握するための地球観測と気候変動シミュレーションが不可欠であるが、得られるデータの容量は膨大である。分散したデータを必要な時にダウンロードして解析する場合、その取得に要する時間はデータ量に比例して多くなる。したがって、世界に類のない大規模で集中的なデータ蓄積・統合・解析処理空間を整備することによって、多種多様で大容量の観測・予測データを利用した時空間的な変動を含めた解析を迅速に実施することが可能となり、そこで創出される情報が適切な温暖化影響評価・適応策立案に資するものと期待される。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の平成21年度予算規模は1,191百万円であり、その大半が本事業を実施するための委託費として想定される。

  (内訳)

  • 地球観測技術等調査研究委託費 1,189百万円
  • その他 1百万円

  ※ 内訳額は百万円単位で四捨五入をしているため、内訳額の総額は1,191百万円とは一致しない。

2.アウトプット

  我が国では既に多くの大学・研究機関などにおいて、広く地球観測が行われており、これらの観測で得られたデータを統合・解析し、広範囲の利用ニーズに応じた科学的、社会的に有用な情報として提供・活用を図ることができる。具体的には、例えば、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス収支、降雨や雲、河川流量などの観測データ及び地理情報などの社会経済データを統合することにより温室効果ガスモニタリングに必要な情報を提供するだけでなく、効果的な農作物の種まきや肥料散布の実施並びに効率的な収穫を実現するための情報、地球温暖化への影響評価・適応策立案に資する情報の創出及びアジア・アフリカ地域の水循環の理解や水資源管理に資する情報を提供することもできる。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(1,191百万円)に対して、アウトプットとして、国立大学法人東京大学に本事業を委託することを通し、1ペタバイト級の大容量データ蓄積・解析処理空間を有したシステムの整備、2研究分野によって異なる用語の関連付けや多様な保存形式のデータの活用を可能とするための相互流通性を確保するための技術開発、3大容量のデータの蓄積や品質管理、4科学的・社会的に有用な情報を創出するための応用機能開発が実施されることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効率的と判断する。

4.代替手段との比較

  地球に関する観測データ等の収集、統合化、解析、提供に関わるシステムの構築は、それが地球環境問題の解決などに積極的かつ主導的に取り組むための基盤となる等の理由から、大学や独法等の個別の研究機関が主体となるのではなく、国が主体となって実施すべき事業である。本システムの開発、構築は、我が国においても他に例がなく、他の代替手段を考えることができない。欧米においては、ようやくこのシステムの重要性が認識され始めた段階で、これからこの種のシステムの研究開発を重点項目としつつある状況であり、我が国におけるこのシステム構築への先見性は高く、世界を大きくリードしている。

E.公平性の観点

  本事業は、大規模な地球観測データ又は気候変動予測データの取扱実績のある研究機関からの企画提案に対してし、専門家による審査を経て、実施機関を決定したものである。また、応用機能開発で取り組んでいる各研究開発の規模についても、外部有識者の評価に基づいて決定されている。以上のことから、公平性は担保されていると判断する。

F.優先性の観点

  本事業を実施するにあたり、平成18年7月の総合科学技術会議による評価では、国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」に関する「研究開発の鍵となる重要なもの」と指摘されている。また、中間評価では、「今後、気候変動・地球温暖化、水循環、生態系の各分野で行われている個別取組のさらなる総合化に向けて、様々な分野の利用者が共有的なデータにアクセスできる基盤情報システムとして拡張することが重要である。」と指摘された。さらには、地球温暖化の影響評価及び適応策立案は早急に求められる課題となっていることから、観測・気候変動予測データから有用な情報を創出・提供するシステムの整備を進めている本事業は優先すべき政策と考えられる。

G.総括評価と反映方針

  地球温暖化の影響評価等に資するため、気候変動・地球温暖化、水循環、生態系の分野を横断的に扱う応用機能の開発を開始し、それに伴ってコアシステムの整備を加速するため、21年度概算要求に反映させる。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。ただし、定量的な指標を設定して進める必要がある。

2.外部評価、第三者評価等を行った場合のその概要等

  中間評価では、「当初の計画に沿って、全体戦略マップがしっかり描かれており、順調に進捗している。気候変動・地球温暖化、水循環、生態系の個別分野毎にケーススタディがなされており、それぞれについて成果がでている。また、これらの分野で連携を持てるようになっていることは、災害への対応や被害規模の緩和を考える上で有用である。今後、気候変動・地球温暖化、水循環、生態系の各分野で行われている個別取組のさらなる総合化に向けて、その道筋を明確にするとともに、様々な分野の利用者が共有的なデータにアクセスできる基盤情報システムとして拡張することが重要である。」と指摘された。

3.政策評価に関する有識者委員からの指摘・意見等

指摘に対する対応方針

  指摘事項1.については、指標について今後検討を行っていく方針。
  指摘事項2.については、データの共有化を促進する観点から、気候変動・地球温暖化、水循環、生態系分野を横断する応用機能開発及び相互流通性機能の開発を実施する。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --