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80.21世紀気候変動予測革新プログラム(拡充)【達成目標10-3-1】

平成21年度要求額:2,520百万円
  (平成20年度予算額:2,232百万円)
  事業開始年度:平成19年度
  事業達成年度:平成23年度
  中間評価実施年度:平成21年度

主管課(課長名)

  • 研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室(谷 広太)

関係課(課長名)

  • 研究開発局海洋地球課(生川 浩史)

事業の概要等

1.事業目的

  人類の生存基盤に重大な影響を及ぼす恐れがある地球温暖化等の気候変動問題について、効果的、効率的な政策及び対策の立案に資するため、より高精度の気候変動予測の実現を目的としている。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  平成14年度~18年度に、世界でも有数の性能を誇るスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を活用し実施した本事業の前身である「人・自然・地球共生プロジェクト」の研究成果は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書(平成19年11月)で多数取り上げられ、平成19年のIPCCのノーベル平和賞受賞にも貢献した、IPCCは約5~6年に一度報告書を作成しているので、次回となるIPCC第5次評価報告書にさらに正確な科学的知見を与えるため、同事業の後継として、平成19年度から本事業を実施している。本年に入り、IPCCで予測すべきシナリオが示され、そのシナリオで予測するには当初予定していた資源量、計算機量では足りないので、本事業費を拡充する。

3.事業概要

  「地球シミュレータ」の能力を最大限に活用して、確度の高い温暖化予測情報を信頼度情報と併せて提供するとともに、温暖化の影響として近年特に社会的関心が高い極端現象(台風、豪雨等)に関する解析を行う。具体的には、1.温暖化予測モデルの高度化、2.温暖化予測モデルの不確実性の定量化・低減、3.自然災害分野の影響評価への適用性の実証の3つの課題を有機的に結合した形で研究開発を実施する。
  特に、平成21年度以降については、G8北海道洞爺湖・サミット、G8ハイリゲンダム・サミットにおける首脳宣言や「環境エネルギー技術革新計画」、「科学技術外交の強化に向けて」で指摘された気候変動予測や開発途上国における気候変動の抑制・適応への我が国の貢献等の重要性を受け、より精度の高い予測を行うために全球大気モデルの改良を行うとともに、アジアの特定脆弱地域における自然災害の出現頻度や強度の詳細な変化予測を補充し研究を強化して推進する。さらに本事業で得られた成果を保管するためのサーバを構築し、気候変動予測に関する情報を諸外国と共有することによりIPCCの第5次報告書に向けたアプローチを継続する。

スキーム図

4.指標と目標

指標・参考指標

  論文執筆数、口頭発表数、IPCC報告書の日本人執筆者数、IPCC報告書作成に取り上げられた論文数

目標

  IPCC第5次評価報告書(2013年頃予定)への貢献をはじめ、気候変動に対する政策検討、技術的対策の立案に資することを目指す。

効果の把握手法

  本事業の効果については、研究の結果として執筆・発表された論文数により把握することができ、また、今後研究成果を公開していくことで一般国民へ気候変動問題の科学的知見を与えていくことができると考えられる。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  気候変動予測研究については、達成目標10‐3‐1「脱温暖化社会の構築のための政策立案および対策の確立を推進するためには、健全な意思決定のための科学的基礎の構築が必要とされており、より精緻な予測モデルの開発と高い信頼度を有する予測情報の創出が急務」とあることからも、平成21年度も引き続き、現象と過程に関する研究を行い、各種モデルの開発を進め、それらのモデルを用いた数値実験や計算結果の解析を行いながら予測精度を向上させる。また、実際の大気・海洋諸現象のメカニズム解明とその予測を高精度で実現するシミュレーションプログラムの開発を進め、信頼のおける技術を確立することが必要である。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  地球温暖化・気候変動は、全人類が共通に直面する大きな課題となっており、第3期科学技術基本計画においても「気候モデルを用いた21世紀の気候変動予測」「気候変動リスクの予測・管理と脱温暖化社会設計」は、世界と協調して正確な気候変動の予測を行い、地球温暖化に適応できる将来社会を設計し実現する科学技術として、5年間の集中投資が必要な戦略重点科学技術として位置づけられている。
  本プログラムは2013年頃取りまとめ予定の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書への貢献をはじめ、気候変動枠組み条約の究極的な目的である「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させる」を達成するために必要な低炭素社会の構築のための国内外の政策検討、さらには、台風、熱波、集中豪雨等の極端現象による災害リスク増大に対処するための対策を確立する上で、不可欠な情報を与えるものであり、平成19年度から開始している。本年に入り、IPCCで予測すべきシナリオが示され、そのシナリオで予測するには当初予定していた資源量、計算機量では足りないので、引き続きIPCCへ貢献し続けるためにも、本事業費を拡充し、早急にこの変更に対応する必要がある。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  平成20年7月に行われた北海道洞爺湖サミットにおける首脳文書「気候変動」部分において、地球観測データに対する需要の増大に応えるために、気候変動及び水資源管理に監視、観測、予測及びデータ共有の強化が言及されている中で、国民生活全般に影響を及ぼす気候変動の予測の高精度化や極端現象の影響評価に関わる予測モデルの研究開発等は多種多様な研究機関の非常に密接な連携が必要であり、国が実施しなければ実現出来ないため、その成果の普及も併せて国家の政策として推進していくべきものである。
  また、国が実施することにより、様々な研究機関の綿密な連携を図り、スムーズな情報交換を行うことにより、事業を効果的かつ効率的に行うことが可能となる。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策

  ○施策目標10‐3 (文部科学省研究開発局海洋地球課)
  気候変動や地球ダイナミクス等、環境・海洋分野の諸問題は、人類の生存や社会生活と密接に関係していることから、これらの諸問題を科学的に解明し、国民生活の質の向上と安全を図るための研究開発成果を生み出す。
  (事業開始年度:19年度)

  ○地球観測システム構築推進プラン(文部科学省)
  特に我が国は、地球観測に関する政府間会合(GEO)の執行委員国を務めるなど国際的なリーダーシップを発揮しており、国際協力によって構築される地球観測システムへ積極的に貢献することが強く求められる立場にある。地球温暖化対策、水循環の把握などを通じ、我が国及びアジア諸国に多大な利益をもたらすことが期待されるため、地球観測システムの構築にむけて先導的に取り組むべき課題を実施している。
  (事業開始年度:17年度)

  ○データ統合・解析システム(文部科学省)
  国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」を構成する要素の一つとして、大気、陸域、海域、人間圏に関する多種多様の観測データや気候変動予測結果等の体系的な収集、合理的な管理、統合・解析処理することによって科学的・社会的に有用な情報として変換して、それを提供するためのシステムを構築する。観測データ及び情報を国際的に共有する仕組みを構築することにより、包括的、調整的、及び持続的な地球観測のための国際的な取組である全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画の推進の一翼を担う。
  (事業開始年度:18年度)

2.関連施策との関係

  本事業は気候変動予測研究の成果を活用して全世界的に貢献していく事業であるのに対し、「地球観測システム構築推進プラン」においては地球観測・気候変動の観測研究を行っており、その研究成果は本事業の気候変動予測の確実性を増す上でも非常に重要なものとなり、両者は共通の達成目標10‐3‐1へ寄与している。
  また、本事業は地球温暖化等の気候変動に関する気候モデルを開発・高度化し、予測の精度を向上させ、より正確な科学的知見を提供することにより、気候変動問題に対するより適切な政策や対策の立案に資することを目的とするものであり、一方、「データ統合・解析システム」は、気候変動による社会への重大な影響の回避・緩和に向け、多種多様な地球観測・気候変動予測データを統合的に活用して解析処理し、有効な情報として提供するシステムの開発を目的とするものである。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

・「G8北海道洞爺湖サミット首脳文書」(平成20年7月8日)

  記載事項(抜粋)
  環境・気候変動 31.(前半部略)地球観測データに対する需要の増大に応えるため、我々は、優先分野、とりわけ気候変動及び水資源管理に関し、観測、予測及びデータ共有を強化することにより、国連専門機関の事業を基礎とした全球地球観測システム(GEOSS)の枠内の努力を加速する。我々はまた、地球観測における開発途上国のキャパシティ・ビルディングを支援するとともに、相互運用性及び他のパートナーとの連携を促進する。

・「G8科学技術大臣会合議長サマリー」(平成20年6月15日)

  記載事項(抜粋)

  地球規模課題の解決に向けた国際協力による取組‐低炭素社会の実現のための研究開発‐
  気候変動のメカニズムを明快に理解することを可能とする観点から、最新の科学技術を用いた全地球観測、予測、データ共有の重要性が指摘された。

・「環境エネルギー技術革新計画」(平成20年5月19日 総合科学技術会議決定)

  記載事項(抜粋)

  2.国際的な温室効果ガス削減への貢献策

  (2)国際的枠組み作りへの貢献

  2.地球観測、気候変動予測及び影響評価への国際貢献
  地球上の地域ごとの気候変動予測など、観測・予測精度の向上を図り、IPCCの第5次評価報告に向けてより一層の貢献を果たし、国際的枠組み作りへの有効な情報、知見を提供する。
  また、開発途上国を中心とした海外への地球観測データや地域の環境影響評価・予測結果等の提供を通じ、国際貢献を図る。

・「科学技術外交の強化に向けて」(平成20年5月19日 総合科学技術会議)

  記載事項(抜粋)

  第4章 科学技術外交を推進するために取り組むべき施策

  2.我が国の先端的な科学技術を活用した科学技術協力の強化

  (1)国際共同研究等の主導的な実施

  1.低炭素社会の実現を目指し、温室効果ガスの排出を大幅に削減するために、革新的な環境・エネルギー技術開発を推進する。
  「地球シミュレータによる気候変動予測データの提供」(文部科学省)

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  すでに本事業の前身である「人・自然・地球共生プロジェクト」の研究成果はIPCCの第4次評価報告書作成に貢献しており、本事業で実施している気候モデル評価・世界気候予測・地域気候予測等の分野では、報告書に取り上げられた全論文数のうち日本の論文数が全体の6パーセント~7パーセントにも及んでいる。本事業の研究成果も2013年頃発表予定の第5次評価報告書への貢献が見込まれている。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  本事業の研究成果がIPCC第5次評価報告書(2013年頃予定)へ貢献し、気候変動に対する政策検討、技術的対策の立案に資するものとなれば、研究成果はさらにその他様々な国際的枠組みへ貢献し、各種政策決定に寄与していくことが見込まれる、達成目標10‐3‐1「人工衛星、ブイ等を活用し大気、海洋、陸域における観測や南極域における研究・観測を行い、「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」の推進に寄与するとともに、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書へ科学的根拠を提供できる確度の高い予測モデルの開発を行うことで、地球環境・気候変動観測・予測分野における国際的な枠組みに貢献し、各種政策決定に寄与する。」に貢献する。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は、平成21年度からは年間2,520百万円での実施を予定している。また、本事業を実施するための必要不可欠な計算機資源として地球シミュレータを予定している。

  (内訳)

  科学技術試験研究委託費 2,515百万円
  その他 5百万円

2.アウトプット

  本事業の実施により、極端現象を含めた詳細な気候変動予測を行うことにより、温暖化の災害リスクに及ぼす影響を精度良く推定し、我が国をはじめ、世界各国の適応策検討、さらには温暖化抑制の必要性に関して、世界共通の理解促進に資する。また、気候変動枠組条約における温室効果ガス削減目標の議論に伴い、気候システムに対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準で温室効果ガス濃度を安定化させるための検討が行われている中で、予測モデルを高精度化することにより、気候‐炭素循環フィードバックを評価し温室効果ガス排出削減目標を濃度目標と対応付けることが可能となる。更には、各種の温室効果ガス濃度安定化シナリオに対応した、来世紀以降までに及ぶ長期の海面上昇などの具体的な予測が可能となる。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(2,520百万円)に対して、より精度の高い予測を行うために全球大気モデルを改良し、気候変動予測を行うことにより、アウトプットとして、我が国をはじめ、世界各国の適応策・温暖化抑制策の検討に関して貢献していくことを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  本事業は国の委託事業により行うため、各委託先の連携・情報交換等を通じて、より信頼度の高い予測情報が気候変動対策に応用可能になる、という効果が見込まれ、委託事業という形態以外の形態を取る場合に比べて、本事業の実施形態は効率的であると言える。また、大学や独法等が自主的に実施する場合と比べ集中的な取組が行えるといえる。

E.公平性の観点

  本事業の研究成果がIPCC第5次評価報告書へ貢献することにより、日本政府関係省庁(文部科学省、経済産業省、環境省、気象庁)へ地球温暖化に関する科学的な根拠を持った知見が与えられ、気候変動に対する政策検討、技術的対策の立案に資するものとなることから、国民生活全体への広い貢献が大いに期待される。なお、公募により本事業の拡充を予定している。

F.優先性の観点

  現在、地球温暖化・気候変動問題については、人類の生存基盤を脅かすおそれのある喫緊の地球規模の課題となっている。その問題解決のための時間的猶予はなく、本事業の研究成果を地球温暖化・気候変動への適応策、緩和策につなげていくことが極めて重要である。

G.総括評価と反映方針

  より精度の高い気候変動予測を行うため、全球大気モデルの改良を行うとともに、気候変動の影響を受けやすいアジア諸国における自然災害の出現頻度や強度の変化予測を強化する。さらに本事業で得られた成果を集約し、気候変動予測に関する情報を蓄積・共有することによりIPCC第5次評価報告書へのインプットに向けたアプローチを継続するために、平成21年度概算要求に反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。ただし、定量的な指標を設定して進める必要がある。

指摘に対する対応方針

  指摘事項1.については、指標について今後検討を行っていく方針。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --