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70.国際約束の履行に必要な国内保障措置制度の完成(拡充)【達成目標8-1-3】

平成21年度要求額:3,609百万円
  (平成20年度予算額:3,082百万円)
  事業開始年度:昭和52年度
  事業達成年度:平成25年度

主管課(課長名)

  • 科学技術・学術政策局原子力安全課保障措置室(室谷 展寛)

事業の概要等

1.事業目的

  • (1)我が国は、核不拡散条約(NPT)、日・IAEA保障措置協定等に基づき、国際原子力機関(IAEA)の保障措置を受け入れ、国内にある核物質が核兵器等に転用されないことについて、IAEAの確認を得た上で原子力活動を行っている。
  • (2)この国際約束を履行するため、我が国は核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という)による国内保障措置制度に基づき、国内にある核物質について、1.計量管理、2.封じ込め/監視、3.現場査察を柱とした保障措置活動を実施し、これにより得られた情報をIAEAに提供している。これを受けて、IAEAが核兵器等に転用されていないことを検認することによって我が国の原子力の平和利用が担保されている。
  • (3)平成21年度には新規事業として、これまで不完全であった「国内制度による認定」システム(日・IAEA保障措置協定第3条)の完成を目指すこととする。このため、保障措置活動等により得られた個別情報の整合性評価を行うことや、国全体の原子力活動を俯瞰した総合的評価等を行う国内保障措置制度を完成させる。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  • (1)我が国は、1977年に日・IAEA保障措置協定を締結以来、IAEA保障措置を受け入れ、その結果としてIAEAが毎年まとめる保障措置実施声明(Safeguards Statement)において、「保有する全ての核物質が保障措置下にあり平和的原子力活動の中にとどまっている」旨の保障措置結論を得ることで原子力の平和利用を担保してきている。
  • (2)しかし、本来我が国は自らの国内保障措置制度による不転用の認定(Findings)を行うべきところ、実際には査察結果等の国内保障措置活動から得られたデータ・情報をIAEAに提出するにとどまっている。結果として、評価、認定に関する業務を含めIAEAへの依存度は極めて高いものとなっており、このことについて、これまでも国内保障措置制度の完成が日・IAEA協議の場等で度々求められてきた。
  • (3)特に、近年では、イラン、シリア、北朝鮮、インド等の核開発問題のために、IAEAによる査察に対する要請がこれまでになく高まってきており、その一方で、一貫して原子力活動の拡大を図り、IAEA査察資源の3割をも活用している我が国に対して、米国等から批判的な意見が寄せられつつある。また、我が国保障措置についてはIAEA側が一方的に評価、認定を行うことから、我が国の対応は、受身のものとなり、フォローアップ査察等の実施の決定権もIAEAが握っており、かかる査察への対応の負担も非常に大きなものとなっている。
  • (4)さらに、六ヶ所再処理施設の本格操業開始によって、収去する試料が急増することによる質量分析計の整備、軽水炉によるプルサーマル開始に伴う保障措置の強化に対応するため監視システムを整備することが急務である。

  以上のことから、国際約束の履行に本来必要な、国内保障措置制度を完成させ、我が国自らの保障措置活動を評価、認定する能力を保有することを通じて、今後益々拡大する我が国の核燃料サイクルに対するIAEA保障措置への対応を効率化させることが、持続的な保障措置実現のため必要である。

3.事業概要

  上述の状況の中、平成21年度には従来の定常的な取組みに加えて、

  • (1)日・IAEA保障措置協定に規定された、我が国の保障措置制度による独自の評価、認定
  • (2)(1)を実施するための計量管理報告や保障措置検査等で得られた個別情報の整合性評価

  等を開始することで、日・IAEA保障措置協定で規定された国内保障措置制度を完成させることで、国際約束を完全に履行し、同時にIAEA保障措置への効率化と持続的保障措置を実現する。

スキーム図

スキーム図

4.指標と目標

指標

  IAEAが前年1年間の保障措置実施状況をまとめた保障措置声明(Safeguards Statement)において我が国が、「保有する全ての核物質が保障措置下にあり平和的原子力活動の中にとどまっている」旨の保障措置結論を得ること。

目標

  国際約束の履行に本来必要な、国内保障措置制度を完成し、我が国自らの保障措置活動を評価、認定する能力を保有することで、効率的かつ持続可能な形で我が国の原子力の平和利用が担保される。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  核物質が核兵器等に転用されていないことを確認するという目標は、国際約束そのものであるので、今後とも目標を達成し続ける必要がある。この確認は、本来的には、国の認定をIAEAが検認することにより行われる必要があるが、現在、我が国は関連情報をIAEAへ提供するにとどまっている。このため、文部科学省は、財団法人核物質管理センター等を活用しつつ、国内の核物質が核兵器等に転用されていないことの評価・認定を実施する体制を構築することが急務である。
  また、最近、世界中から注目されている大型再処理施設における核燃料物質の移動を監視するために必要な封印の度重なるき損や、少量の国際規制物資の保有を許可された事業者による許可数量を上回る物質の保管など、核物質管理の信頼を揺るがす事案が発生したこと、また、今後もますます増大・複雑化する我が国の核燃料施設に対するIAEA保障措置業務を効率化する必要があることから、IAEAからは、我が国による保障措置活動結果の評価・認定実施を含めIAEAとの役割分担を見直し、我が国のSSACを強化するよう強く求められており、これらに早急に対応する必要がある。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  • (1)IAEA保障措置の受け入れは国際約束に基づく義務であり、原子力の平和利用を担保する唯一の手段である。
  • (2)また、昨今の、イラン、シリア、北朝鮮、インド等の核開発問題のために、IAEAの査察に対する要請がこれまでになく高まってきており、一方で、我が国がIAEA査察資源の3割をも活用していることに対して、米国等から批判的な意見が寄せられつつある。またIAEAからも、昨今の核不拡散を取り巻く国際社会情勢をかんがみ、保障措置協定で規定された国内保障措置制度の完成が強く求められている。
  • (3)さらに、六ヶ所再処理施設の本格操業、軽水炉によるプルサーマル開始等、我が国の原子力活動は一貫して拡大していく中で、現在のIAEAに過度に依存した国内保障措置制度ではIAEAへの対応に膨大な資源が必要となり、持続的保障措置の実現は不可能であることから、早急に国内保障措置制度を確立し、IAEA保障措置への対応を効率化させることが必要である。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  保障措置の実施とそのために必要な体制の整備は、我が国が原子力開発利用を進めるに当たって国際約束により求められている国の責務である。

3.関連施策との関係

  特になし

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

北海道洞爺湖サミットにおける「議長総括」(平成20年7月9日)

  記載事項(抜粋)

  2.環境・気候変動
  「日本は、3S(1.保障措置、2.安全、3.セキュリティ)に立脚した原子力エネルギー基盤整備に関する国際イニシアティブを開始することを提案」しており、その中で保障措置(Safeguards)は、日本が主導する国際イニシアティブの3つの柱のうち、特に重要な柱の1つである。」

「2007年保障措置声明」(Safeguards Statement for 2007)

  記載事項(抜粋)

  1.Eighty-two States had both comprehensive safeguards agreements and additional protocols in force:
  「a. all nuclear material remained in peaceful activities.」(仮訳:「保有する全ての核物質が保障措置下にあり平和的原子力活動の中にとどまっている。)」

「平成21年度原子力関係経費の見積りに関する基本方針」(平成20年7月1日 原子力委員会決定)

  記載事項(抜粋)

  2.基本方針

  (6)原子力平和利用の厳正な担保と国際社会への対応の充実
  「六ヶ所再処理工場の本格稼動等に伴い国内におけるプルトニウムの平和利用の着実な進展が見込まれることを踏まえ、国内保障措置制度の一層の充実を図る。」

「経済成長戦略大綱」(平成20年6月27日 財政・経済一体改革会議改定)

  記載事項(抜粋)

  第1 国際競争力の強化

  3.資源・エネルギー政策の戦略的展開

  (4)原子力立国計画
  「初期投資負担の平準化など電力自由化時代における原子力発電の新・増設などの実現に向けた投資環境の整備、原子力発電拡大と核不拡散の両立に向けた国際的な枠組みづくりへの積極的関与、米国との戦略的関係構築(日米原子力エネルギー共同行動計画の開始)など国際的な政策協調の強化、次世代の技術開発や人材の維持・強化、放射性廃棄物対策の強化などを行い、より効果的な安全規制と保障措置体制の導入・定着を図りつつ、既設炉が本格的代替期を迎えると予想される2030年前後も、原子力発電が発電電力量に占める比率を30~40パーセント程度以上とする。」

「原子力政策大綱に示している平和利用の担保と核不拡散体制の維持・強化に関する取組の基本的考え方の評価について」(平成19年5月15日 原子力委員会決定)

  記載事項(抜粋)

  (1)国内法規制及び国際的な枠組みに基づいた、原子力の平和利用を担保する取組の推進
  「文部科学省、財団法人核物質管理センター及び事業者等は、この取組の中心となる保障措置活動が効果的にしかも効率的に行われるよう、特にその質の向上に配慮しつつ、IAEAとも連携して、継続的に改善活動を推進していくべきである。」

「原子力政策大綱」(平成17年10月14日 閣議決定)

  記載事項(抜粋)

  1‐2.現状認識 1‐2‐2平和利用の担保
  「今後、混合酸化物(MOX)燃料の軽水炉利用(プルサーマル)の実施や六ヶ所再処理工場の本格稼動に当たって、国と事業者は、平和利用の堅持と国際約束・規範の遵守の重要性を再認識するとともにこれらを実践する姿を国民や国際社会に明確に示していくことが重要となっている。」

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  日・IAEA保障措置協定において要請されている国内保障措置制度の完成には、IAEAが実施している評価制度に関する知識が必要であるが、これについては、これまでの日・IAEA協議の過程でほぼ入手されている。
  一部IAEA側としても開示できない情報があるものの、IAEAとしても日本が国内保障措置制度の完成を要請しており、協力的であるところ本目標の達成見込みは極めて高い。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  • (1)日・IAEA保障措置協定に規定された、我が国の保障措置制度による独自の評価、認定
  • (2)(1)を実施するための計量管理報告や保障措置検査等で得られた個別情報の整合性評価等を行えるよう国内保障措置制度を完成させることができれば、我が国自らの保障措置活動を評価、認定する能力を保持できる。これにより、これまでよりも緻密で迅速な保障措置活動が可能となり、より効率的に、原子力平和利用の担保が可能となる。

D.効率性の観点

1.インプット

(1)日・IAEA保障措置協定に規定された、我が国の保障措置制度による独自の評価、認定
  1. 国際約束の履行に必要な国内保障措置制度の強化のためIAEA等との高度な国際交渉
  2. 国内保障活動の評価手法を検討し、試行的に開始するための保障措置評価専門官を新規要求
  3. 国内保障措置実施結果の評価基準の調査、作成 等
(2)(1)を実施するための計量管理報告や保障措置検査等で得られた個別情報の整合性評価
  1. 六ヶ所再処理施設の本格操業開始によって、急増する収去試料を分析するための質量分析計の整備
  2. 軽水炉MOXのための監視システムの導入
  3. 原子力事業者による核物質の計量管理状況の監査 等
(3)平成21年度要求額

  3,609百万円のうち、200百万円(新規)(平成20年度予算額:3,082百万円)
  (日本型SSACの確立 113百万円、保障措置検査等技術の調査・研究 87百万円)

2.アウトプット

  1.を実施することで、我が国自らの保障措置活動を評価、認定する能力を保有することができ、それをIAEAが効率的に検認することができる。これにより、我が国の政策である核燃料サイクルも含めた原子力活動を効率的に行うことができる。

3.事業スキームの効率性

  当該事業が実施されれば、我が国自らの保障措置活動を評価、認定する能力を保有することを通じて、今後益々拡大する我が国の核燃料サイクルに対するIAEA保障措置への対応を効率化させることができる。

4.代替手段との比較

  国内保障措置活動結果を自ら評価することができなければ、我が国はIAEAによる保障措置活動に翻弄され、我が国の保障措置活動を増大させてしまう。また、新たな保障措置システムを整備しなければ、代替として保障措置実施者を増員して対応しなくてはならず、昨今の行政効率化の観点から効果的ではない。

E.公平性の観点

  本事業は、原子炉等規制法により義務付けられている核燃料物質を扱う事業者への保障措置検査や核物質の計量管理について、効果を維持しつつ効率化するものであり、公平性は担保できる。

F.優先性の観点

  • (1)1977年に日・IAEA保障措置協定が発効して以来、協定の要求事項である国内保障措置制度の完成がいまだになされていないことは問題であり、かかる事態は、早急に解消されるべきである。
  • (2)また、IAEAの査察資源の効率化、配分の適正化が求められている中で、IAEAの査察資源の3割をも活用している我が国に対し米国等から批判的な意見が寄せられつつあり、国内保障措置制度の完成による査察資源の削減は急務である。
  • (3)さらに、我が国のエネルギー政策の根幹をなす原子力エネルギーの利用を推進するためには、原子力の平和利用を確保する必要があり、このため、保障措置は着実に実施しなくてはならないので、極めて優先性が高い。(仮に保障措置が着実に実施されない場合、我が国の原子力活動に対して疑義がもたれ、原子力発電所をはじめとする核燃料サイクルが停止し、我が国の経済社会に多大な負の影響を及ぼす恐れがある。)

G.総括評価と反映方針

  • (1)平成21年度予算については、1.保障措置の着実な実施、2.我が国の保障措置制度による独自の評価、認定、3.2.を実施するための計量管理報告や保障措置検査等で得られた個別情報の整合性評価のための所要の経費を要求し、持続的な保障措置実現を図る。
  • (2)平成21年度機構定員については、我が国独自の保障活動の評価手法を検討し、試行的に開始するための保障措置評価専門官を新規要求する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --