59.大学病院連携型高度医療人養成推進事業(拡充)【達成目標4-1-3】

平成21年度要求額:3,000百万円
  (平成20年度予算額:1,500百万円)
  事業開始年度:平成20年度
  事業達成年度:平成24年度

主管課(課長名)

  • 高等教育局医学教育課(新木 一弘)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

  若手医師にとって魅力あるキャリア形成システム構築をし、質の高い専門医、臨床研究者を養成する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  近年、我が国においては、高齢化による疾病構造の変化、国民の医療ニーズの多様化・複雑化の中で、これらに対応できる医療人の育成が一層重要となってきている。
  大学病院は、従来より医療人を養成するための教育機関、新しい医療技術の研究・開発を行う研究機関、また地域の中核的な病院として高度な医療を提供する診療機関としての重要な役割を担ってきた。
  しかし、新医師臨床研修制度の導入に伴う研修医の減少などの影響により、幅広い臨床能力を身につけた優れた専門医及び臨床研究者の減少、大学病院の機能が低下など、将来の医師養成に対する懸念が顕在化している。
  こうした状況を打破するため、本事業が開始され、事業開始年度である今年度は、28件の応募を得て、平成20年7月16日の選定委員会において19件の取り組みが選定された。

3.事業概要

  複数の大学病院が緊密に連携し、それぞれが得意とする分野の相互補完を図ることにより、学会が認定する専門医・高度な臨床研究者を養成する。また、大学病院の機能強化が図られることにより、地域医療への貢献の推進に繋がる。
  21年度に関しては、優れた医療人材の育成を更に推進するため、20年度選定大学に対する継続支援はもとより、11件の新規取組の選定も行う。

スキーム図

4.指標と目標

指標

  • キャリア形成支援部門の設置
  • 教育等に必要な環境整備や指導体制の構築
  • 専門医養成のための教育研修プログラムの開発

目標

  当該プログラムに参加する専門研修医の増。最終的には専門医・臨床研究者の増及び地域医療への貢献。

効果の把握手法

  • 事業参加者数の把握。
  • 本事業に採択された大学に対しても人材養成等の状況調査を実施し効果を検証する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  特になし

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  近年、我が国においては、高齢化による疾病構造の変化、国民の医療ニーズの多様化・複雑化の中で、これらに対応できる医療人の育成が一層重要となってきている。
  質の高い医療人養成等による医療の質向上、研修医の循環による地域医療への貢献を行うためには、複数の大学病院が緊密に連携し、それぞれが得意とする分野の相互補完を図ることにより、学会が認定する専門医の養成など、質の高い医療人養成の推進に向けた取組に関する支援を行うことが不可欠である。
  平成20年度は19件の取り組みを選定したところであるが、更に対象を拡大し医師不足に対応必要があるため、事業を拡充することとしたい。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  本事業は、国公私立大学を通じた競争的環境において、優れた医療人材育成の取組を支援し、我が国の医療の質の向上、地域医療への貢献を行うことから、行政・国の積極的関与が必要である。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策 達成目標4‐1‐3

  ○看護職キャリアシステム構築プラン(高等教育局医学教育課)
  看護師の人材養成システムの確立を図る大学の取り組みを支援するため、体系立てられた看護教育プログラムの開発、看護用キャリアセンターやスキルラボ(臨床技能学習のための施設)の整備等の支援を行う。(平成21年度要求額2,000百万円、事業開始年度:平成21年度、事業達成年度:25年度)

  ○大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム(高等教育局大学振興課)
  国公私立の大学、短期大学、高等専門学校が連携して行う取り組みを対象に、全国の各地域において、多様で特色ある大学間の戦略的連携を促進するための連携取り組みを支援する。

2.関連施策との関係(役割分担・連携状況)

  ○本事業と同様に、医療人養成を行う事業として「大学病院連携型高度医療人養成推進事業」を実施している。
  本事業が、大学病院に勤務する看護職のキャリアシステム構築を目指しているのに対し、「大学病院連携型高度医療人養成推進事業」では医師を対象に支援をする点は異なるものの、医療人の質向上を図ることにより社会に貢献するという共通の目的は共有している。
  また、「戦略的大学連携支援事業」については事業の対象や直接の目的は異なるものの「各大学等がそれぞれの特色を生かして行う社会貢献の取組の充実を図る」という共通の目標達成に寄与する。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

「経済財政改革の基本方針2008」(平成20年6月27日閣議決定)

  記載事項(抜粋)

  第5章 安心できる社会保障制度、質の高い国民生活の構築

  1.国民生活を支える社会保障制度の在り方等

  【具体的手段】

  1. 質の高い医療・介護サービスの確保
    • 医師不足の解消や‐関係職種間の役割分担の見直し‐を進める。
「社会保障の機能強化のための緊急対策‐5つの安心プラン‐」(平成20年7月29日)

  記載事項(抜粋)

  2 健康に心配があれば誰もが医療を受けられる社会

  1. 臨床研修病院の機能強化、病院・診療所のネットワーク化等医師不足に対して講ずべき対策

  【21年度における新規事業又は既存事業の充実を検討(概算要求予定)】

  〔大学の医学教育環境の整備〕《文部科学省》

  • 大学病院が医師、コメディカルスタッフの養成機能を強化するための方策の充実

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業において、複数の大学病院が緊密に連携し、それぞれが得意とする分野の相互補完を図るシステムが確立することにより、医師の資質向上や大学病院が有する医師派遣機能が強化されることから、国民の要請に応えられる質の高い専門医や臨床研究者の養成に資するとともに研修中及び研修終了後により多くの医師が地域医療に貢献することが見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  大学病院が拠点となり、連携大学病院等との緊密連携のもと、優れた医師等の養成を行うことは、達成目標4‐1‐1にある国公私立大学等の連携等を通じた地域貢献の取組など、各大学等がそれぞれの特色を生かして行う地域貢献の取組の充実を図るという成果に結びつくものと考えられる。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は3,000百万円である(100百万円かける30件)。

  (内訳)

  • 大学改革推進等補助金 3,000,000千円

2.アウトプット

  本年度は19件の取り組みを選定し、幅広い医師養成に対するニーズに対応することとしているところであるが、平成21年度は合計30の取組を選定することとしたい。
  各取組においては教育プログラムの開発、キャリア支援部門の設置などにより、活発な専門医養成のための取組が行われることにより、国民の要請に応えられる質の高い専門医や臨床研究者の養成が行われるとともに研修中及び研修終了後により多くの医師が地域医療に貢献するなど、効率的・効果的な実施が行われる。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(3,000百万円)に対して、30事業において、優れた医師養成の為の取組が行われ、多数の専門医・臨床研究者の育成が行われるため、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  本事業は、国公私立大学を通じた競争的環境の中で、優れた教育プログラムを持つ大学病院に対し重点的に財政支援を行うものであり、国立大学への運営費交付金や私立大学への各種補助金などにより実施することとした場合には、競争的環境の醸成が期待できない。

E.公平性の観点

  本事業は、国公私立の設置形態にかかわらず公平に支援が可能であるとともに、大学の枠を超えた広域的な取組として、他の医療機関とも連携を図りながら実施するため、公平性は担保されると判断する。

F.優先性の観点

  我が国における医師養成・確保は喫緊の課題であり、本年6月に取りまとめられた「社会保障の機能強化のための緊急対策‐5つの安心プラン‐」においても「大学病院が医師、コメディカルスタッフの養成機能を強化するための方策の充実」が求められていることから、最優先で行われるべき事業である。

G.総括評価と反映方針

  平成21年度概算要求に反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。ただし、今後より具体的な目標の設定を検討する。

指摘に対する対応方針

  指摘を踏まえ、検討していく。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --