48.国際化拠点整備事業(新規)【達成目標4-1-1】

平成21年度要求額:15,000百万円
  (平成20年度予算額:‐百万円)
  事業開始年度:平成21年度
  事業達成年度:平成25年度
  中間評価実施年度:平成23年度

主管課(課長名)

  • 高等教育局高等教育企画課(片山 純一)

関係課(課長名)

  • 高等教育局大学振興課(義本 博司)
  • 高等教育局学生支援課(下間 康行)

事業の概要等

1.事業目的

  我が国の高等教育の国際競争力の強化、留学生等に魅力的な水準の教育等を提供するとともに、留学生と切磋琢磨する環境の中で国際的に活躍できる高度な人材の養成を図るため、留学生を獲得するための環境整備を図るものである。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  「教育再生懇談会第一次報告」において「質の高い留学生を受け入れる重点大学30を選定し、重点的支援を行う。」と指摘されているのをはじめとして、「経済財政改革の基本方針2008」において「留学生受入の拠点となる質の高い国公私立大学をコンペ方式で全国・各分野をトータルで30校程度選定」など、国際的な拠点となる大学に対して国として支援を行っていくこととしたところである。

3.事業概要

  国公私立大学を対象に、当該大学の機能に応じた質の高い教育の提供と、海外の学生が我が国に留学しやすい環境を提供する構想のうち、30大学(総合的な教育研究分野の拠点20大学、個性的な教育研究分野の拠点10大学)を選定して以下のような取組を総合的に支援する。

英語による授業等の実施体制の構築

  • 主要な複数分野の学部・研究科で英語による授業のみで学位取得できる体制整備
  • 外国人教員の配置と教員の国際公募の実施

留学生受入れに関する体制の整備

  • 専門スタッフによる生活支援、就職支援や補完教育の実施
  • 留学生が我が国の大学に入学しやすくなるよう、9月入学の導入・実施

戦略的な国際連携の推進

  • 留学生受入のワンストップサービスを行う海外拠点設置を含めた国別受入計画の策定
  • 海外の大学とのダブル・ディグリー等連携プログラムの実施

国際化拠点整備事業概念図

4.指標と目標

指標

  (各大学の取組の多様性を確保しつつ)英語による授業で学位の取得ができるコースの開設や留学生受入のためのワンストップサービスの拠点の整備等の実施による留学生数(又は比率)や外国人教員数(又は比率)の増等

参考指標

  これまで実施された各大学における様々な国際化への取組の状況

目標

  (各大学の取組の多様性を確保しつつ)留学生の受入拠点として、選定した30大学において、英語による授業により卒業できる学部や研究科の導入を行い、現在実施されている英語による授業により卒業できる学部や研究科数の大幅な増加を目指し、「留学生30万人計画」の達成に寄与することを目指す。

効果の把握手法

  毎年度実施している「大学における教育内容等の改革状況調査について」や、独立行政法人日本学生支援機構が実施している「外国人留学生在籍状況調査」での調査を踏まえ、各大学での実施状況を把握する。また、事業中間年において、中間評価を行い、事業の進捗状況を把握するものとする。

(現状)
  • 英語による授業のみで学位を取得できる学部数 5大学6学部(平成18年5月現在)
  • 英語による授業のみで学位を取得できる研究科数 57大学101研究科(平成18年5月現在)
  • 留学生総数 117,927人(平成18年5月現在)
  • ワンストップサービスを実施している海外拠点数 0拠点(平成20年5月現在)

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  4‐1‐1「今後の課題及び政策への反映方針」において、「大学等の特色や個性に即した各種プログラムを継続的に実施することで、各大学等が自主的に特色・個性ある多様な取組を実施している。各大学等は申請の検討過程等で教育改革に意欲的に取り組むと共に、フォーラム等へ積極的に参加する等、各大学等において積極的・意欲的な教育改革の取組が実施されている。このように各種プログラムの定着、豊富化を行ったことにより、意欲的な取組が全国の大学等に広がっており、また各大学等における日常的な教育内容・方法の改善も進捗している。以上より本達成目標は想定どおり達成された。」との評価を受けているところであり、これらの成果を踏まえて、選定する30の大学において、複合的な取組を支援するものである。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  日本を世界により開かれた国とし、アジア世界との間のヒト、モノ、カネ、情報の流れを拡大するためには、海外の学生が我が国に留学しやすい環境を提供したり、海外との教育カリキュラムについての相互連携などを通じた大学教育の国際化が必要であり、「教育再生懇談会第一次報告」において「質の高い留学生を受け入れる重点大学30を選定し、重点的支援を行う。」と指摘されているのをはじめとして、「経済財政改革の基本方針2008」において「留学生受入の拠点となる質の高い国公私立大学をコンペ方式で全国・各分野をトータルで30校程度選定」といった取組の重要性が指摘されているところである。
  また、「留学生30万人計画」骨子においては、「留学生を引きつける魅力ある大学づくりとして、英語のみによって学位取得が可能となるなど大学等のグローバル化と大学等の受入れ体制の整備について支援を重点化して推進する。」とされているところである。
  以上の状況より、日本の大学が海外の有力大学と伍していくためには、国際的な拠点となる大学に対して国が支援を行っていく意義は大きい。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  本取組の実施主体は大学である。大学は公的な機関の役割も持っており、国は学問の府としての特性を踏まえた大学の自主性・自律性を尊重するとともに、その機能である大学の教育研究に対する国民の要請に応えるため、その自立的な改革に対して支援を行う。その中で、大学の国際化は「留学生30万人計画」を推進していく上でも重要な要因となるものであり、国が積極的に支援を行う必要がある。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策 施策目標4‐2

  グローバルCOE(高等教育局大学振興課)
   第三者評価に基づく競争原理により、国公私立大学を通じて、世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援し、もって国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進。(平成21年度要求額34,488百万円、事業開始年度:平成19年度、事業達成年度:平成23年度)

2.関連施策との関係

  本事業と同様に大学を対象とする事業として「グローバルCOE」を実施しているが、グローバルCOEは専攻を単位として、世界水準の教育研究拠点を整備するものであるのに対し、本事業は大学全体として留学生の受入や学生派遣など国際化拠点を整備するもので、体制整備、教育課程の整備など、大学が取り組もうとする改善内容の面で異なる。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

これまでの審議のまとめ(平成20年5月26日 教育再生懇談会第一次報告)(抜粋)

  ■「留学生30万人計画」に国家戦略として取り組む

  (1)国家戦略としての「留学生30万人計画」の策定と実現

  2 質の高い留学生を受け入れる先進的な重点大学を30形成し、重点的支援を行う
  次のような観点から、質の高い留学生を受け入れる重点大学30を選定し、重点的支援を行う。その際、国立大学に比べ支援が遅れている私立大学への支援に重点を置く。

  1. 重点大学では、例えば、留学生数を2割以上、特定学部での外国人教員3割採用、大学全体での英語授業の割合3割を目指すなどの取組を行う。この改革を実効性あるものにするため、特に私立大学への助成を重点的に行う。
  2. 重点大学の選定に際しては、地域配置、国公私立バランスに配慮する。
経済財政改革の基本方針2008(平成20年6月27日 閣議決定)(抜粋)

  ■戦略実行プログラム

  2 グローバル戦略

  B 教育の国際化

  文部科学省及び関係省庁は、高度人材受入れとも連携させながら、「留学生30万人計画」の実現、英語教育の強化に向けて、平成20年度から3カ年の取組を加速させる。

  (ア)「グローバル30(国際化拠点大学)」(仮称)の構想の具体化

  留学生受入れの拠点となる質の高い国公私立大学をコンペ方式で全国・各分野をトータルで30校程度選定し、以下の措置を講ずる。

  1. 英語で受講・卒業できるコースの創設。9月入学の拡大。内外の大学のネットワークを構築、交換留学・単位互換・ダブルディグリーの実施。また、大学院生の受入れを重視
  2. 国際公募による優秀な教員の採用。英語による教育コースは、世界でも一流の内容を確保。
  3. 海外校や海外ワンストップ拠点を展開し、大学が直接留学生をリクルート・選抜
  4. 支援措置の重点化(拠点大学に対する重点的支援。留学生教育については国立大学法人の授業料設定を弾力化等)
「留学生30万人計画」骨子(平成20年7月29日 策定)(抜粋)

  3.大学等のグローバル化の推進 ‐魅力ある大学づくり‐

  留学生を引きつける魅力ある大学づくりとして、英語のみによって学位取得が可能となるなど大学等のグローバル化と大学等の受入れ体制の整備について支援を重点化して推進する。

  1. 国際化の拠点となる大学を30選定し重点的育成。
  2. 国際化拠点大学やCOEでは原則英語のみによる学位取得を可とするなど、英語のみによるコースを大幅に増加し、国際的な教育研究拠点づくりを推進。
  3. 交換留学、単位互換、ダブルディグリーなど国際的な大学間の共同・連携や短期留学、サマースクールなどの交流促進、学生の流動性向上、カリキュラムの質的保証などにより大学等の魅力を国際的に向上。
  4. 専門科目での外国人教員の採用を増やし、教育研究水準を向上。
  5. 留学生の受入れや日本人学生の海外留学の推進を図るため、大学等における9月入学を促進。
  6. 留学生受入れのための大学等の専門的な組織体制を強化し、組織的な受入れを充実。
  7. 国費留学生等の優先配置、財政支援の傾斜配分、競争的資金やGPによる支援などにより、グローバル化を積極的に進める大学等への支援を重点化。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業は、本年1月の福田内閣総理大臣の施政方針演説の中で言及のあった、「新たに日本への『留学生30万人計画』を策定し、実施に移すとともに、産学官連携による海外の優秀な人材の大学院・企業への受入れの拡大を進めます。」や、これを踏まえた経済財政改革基本方針2008の経済成長戦略の中で、「「留学生30万人計画」の実現、英語教育の強化に向けて、平成20年度から3カ年の取組を加速させる。」として、「グローバル30(国際化拠点大学)」(仮称)の構想の具体化が上げられたところである。基本方針等で上げられた「留学生30万人計画」を達成するために、本事業は必要なものであり、これにより、平成18年度現在の英語のみで学位が取得できるコース(5大学6学部、57大学101研究科)の大幅な増加が見込まれるとともに、平成18年度現在の留学生12万人を2020年までに30万人に増加することにも大きく寄与することが見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  日本を世界により開かれた国とし、アジア世界との間のヒト、モノ、カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、留学生を引きつける魅力ある大学づくりとして、英語のみによって学位取得が可能となるなど大学等のグローバル化と大学等の受け入れ態勢の整備について支援を重点化して推進することは、4‐1‐1にある「大学における教育内容・方法等の改善・充実を図り、各大学の個性・特色を踏まえた人材の育成機能の強化」に結びつくものと考えられる。また、昨今、国際的な大学ランキングが留学に際して参考にされる状況になってきているが、我が国の大学は「留学生比率」「外国人教員比率」が低いことにより順位に影響を与える例もあり、大学の認知度の向上のためには、国際化が不可欠である。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は、15,000百万円である。

  (内訳)

  • 国際化拠点整備事業費補助金 15,000,000千円

2.アウトプット

  本事業では、平成21年度の早期に30校を選定する。また達成年度までに、英語による授業により卒業できる学部や研究科の導入を行い、現在実施されている英語による授業により卒業できる学部や研究科数の大幅な増加を目指す。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(15,000百万円)に対して、アウトプットとして、大学30校を選定することを通し、大学の国際化を図る拠点が整備され、本事業に基づいて行われる、留学生受入を促進するための体制整備を通して、海外の優秀な留学生を受け入れるとともに、教職員・学生の海外派遣など、国際的能力の高い人材の養成が加速するという波及効果を考えると、本事業は効率的・効果的に実施されると判断される。もって、我が国大学の国際化が飛躍的に向上され、かつ、「留学生30万人計画」に大いに貢献することで、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  大学教育内容の改善を推進していく上で、これまでも学部、学科や専攻などで様々な支援方策が取り入れられてきたが、留学生を受け入れるための拠点を整備する事業は他にはなく、また「留学生30万人計画」を海外大学と連携し教育内容の国際化を図ることに着目して支援を行うプログラムは他になく、また、「留学生30万人計画」を達成する上で、基幹となる大学は必要である。

E.公平性の観点

  本事業の支援対象は、全国の国公私立大学であり、公平性は担保できると判断する。

F.優先性の観点

  現在、政府として計画されている「留学生30万人計画」を2020年までに達成するためには、我が国へ留学生を呼び込む上で核となる拠点を整備し、「大学教育の国際化」を早期に実施する必要がある。

G.総括評価と反映方針

  大学が取り組む様々な国際化方策の中で優れた取組を選定し全学的に支援していくことは、知の源泉たる我が国の大学の認知度の向上や国際競争力の強化を進め、ひいては、世界の優秀な人材を獲得することとなることから、早期に30拠点を整備するため、平成21年度概算要求において反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。ただし、具体的な数値目標が「留学生30万人計画」に記載されているのであれば、その数値を「事業の概要等 4.指標と目標」の欄に記載する。

指摘に対する対応方針

  現時点で策定されている「留学生30万人計画」骨子においては、具体的な数値目標は示されておらず、適切な数値を記載することは困難である。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --