47.義務教育費国庫負担金(拡充)【達成目標3-1-1、3-1-2】

平成21年度要求額:1,676,776百万円
  (平成20年度予算額:1,679,576百万円)
  事業開始年度:平成21年度
  事業達成年度:平成21年度

主管課(課長名)

  • 初等中等教育局財務課(関 靖直)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

  義務教育は、国民として必要な基礎的資質を培うものであり、憲法上の国民の権利、義務にかかわるものであって、国は、地方公共団体とともに義務教育にかかる費用を無償にし、国民の教育を受ける権利を保障する義務を負っている。
  そのため、国は義務教育費国庫負担制度により、義務教育に必要な経費のうち最も重要なものである教職員の給与費について、その3分の1を負担している。
  このことにより、義務教育に対する国の責任を果たすと同時に、この制度を通じて全国すべての学校に必要な教職員を確保し、都道府県間における教職員の配置基準や給与水準の不均衡をなくし、教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られている。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  義務教育無償制や教育の機会均等と教育水準の維持向上という目的を達成するため、義務教育費国庫負担制度は、昭和15年の制度創設以来、義務教育に必要な経費のうち最も重要なものである教職員の給与費について国庫負担している(昭和25年度~27年度にシャウプ勧告に基づき一時的に廃止されたが、全国知事会からの要請もあり昭和28年度に復活した)。
  その間、国と地方の役割分担、国と地方の財政状況等を踏まえて、国庫負担の対象の見直しが行われており、昭和18年度に旅費が、昭和37年度に共済費が、それぞれ国庫負担の対象として追加されている。その後、昭和60年度に旅費及び教材費が、平成元年度に恩給費が、平成15年度に共済費長期給付及び公務災害補償基金負担金が、平成16年度に退職手当及び児童手当が、それぞれ国庫負担の対象から外れ一般財源化されている。さらに、平成18年度には国の補助金等の整理及び合理化を目的として、国庫負担割合を2分の1から3分の1に引き下げている。

3.事業概要

  公立義務教育諸学校(小学校、中学校、中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の小・中学部)の教職員の給与費について、都道府県が負担した経費の3分の1を国が負担している。

スキーム図

4.指標と目標

指標

  1. 各都道府県における公立小・中学校教員定数の充足状況
  2. 主幹教諭のマネジメント機能の強化等に係る教員定数の加配措置の効果

目標

  1. 全ての都道府県において、公立小・中学校の教員数が、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(以下「義務標準法」という。)第6条により算定される標準定数を充足する。
  2. 教員定数の加配措置により主幹教諭のマネジメント機能の強化等を図る。

効果の把握方法

  1. 毎年度行っている義務標準法第19条に基づく報告により把握する。
  2. 主幹教諭のマネジメント機能の強化等に係る教員定数の加配措置の効果について、該当する都道府県に対して調査を行う。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  達成目標3‐1‐1及び3‐1‐2「今後の課題及び政策への反映方針」において、「全国すべての地域において優れた教職員を必要数確保し、義務教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、今後も引き続き事業を実施する」ことや、「今後も、特に緊急の対応を要する今日的な教育課題の解決に向け、教職員定数を措置し、学校教育の質的向上を図る」ことが記述されており、本事業の拡充は不可欠である。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  義務教育費国庫負担制度は、義務教育無償の原則に則り、公立義務教育諸学校の教職員の給与費について都道府県が負担した3分の1を国が負担するものであり、全国すべての地域において必要な教職員を確保し、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る役割を担っている。
  また、優れた教員を確保するため、メリハリある教員給与体系の実現に取り組むとともに、子どもたちの学力の向上と規範意識の育成を図る観点から、教員が子ども一人一人に向き合う環境をつくるため、教職員定数の改善に取り組むこととしており、教育の質的向上を図る観点からも本事業は重要な役割を担っている。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  義務教育は、国民として必要な基礎的資質を培うものであり、憲法上の国民の権利、義務にかかわるものであって、国は、地方公共団体とともに義務教育にかかる費用を無償にし、国民の教育を受ける権利を保障する義務を負っていることから、義務教育費国庫負担制度による財源保障は国の責務である。

3.関連施策との関係

  特になし

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

●「教育振興基本計画」(抄)(平成20年7月1日閣議決定)

  第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策

  (3)基本的方向ごとの施策

  基本的方向2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる

  1 知識・技能や思考力・判断力・表現力、学習意欲等の「確かな学力」を確立する
  「知識基盤社会」の時代を担う子どもたち一人一人の「生きる力」をはぐくむため、

  • ア 基礎的・基本的な知識・技能の習得
  • イ 知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等
  • ウ 学習意欲などの主体的に学習に取り組む態度

  を重要な要素とする「確かな学力」を養い、世界トップの学力水準を目指す。

  【施策】

  ◇学校現場の創意工夫による取組への支援
  学校現場の創意工夫による取組を支援するため、学級編制基準の弾力化、習熟度別指導・少人数指導の教員や小学校高学年での専科教員の適正配置、定数の適正化、地域の実情に応じた学校選択制の普及、教材開発などの教員のチームによる取組の支援、図書の充実を図る。

  3 教員の資質の向上を図るとともに、一人一人の子どもに教員が向き合う環境をつくる
  教員は、子どもたちの心身の発達にかかわり、その人格形成に大きな影響を与える存在であり、その資質・能力を絶えず向上させるため、適切な処遇や教員の養成・研修の充実、厳格な人事管理を促す必要がある。教員が、授業等により一人一人の子どもに向き合う環境をつくるため、教職員配置の適正化や外部人材の活用、教育現場のICT化、事務の外部化等に総合的に取り組む。

  【施策】

  ◇メリハリある教員給与体系の推進
  人材確保法に基づく優遇措置を縮減するとともに、メリハリのある教員給与体系の中でがんばる教員の適切な処遇を推進する。

  ◇教員が子ども一人一人に向き合う環境づくり
  教員が子ども一人一人に向き合う環境づくりの観点から、教職員配置の適正化を行うとともに、スクールカウンセラー、特別支援教育支援員、部活動の外部指導者等の学校の専門的・支援的スタッフや退職教員・経験豊かな社会人等の外部人材の積極的な活用を図る。

  (4)特に重点的に取り組むべき事項

  ◎教員が子ども一人一人に向き合う環境づくり

  ○教員の資質向上
  メリハリある教員給与体系の推進、実践的指導力の育成のための教員養成課程の改善、多様で質の高い人材の確保のための採用方法の改善、厳格な人事管理や研修の充実の促進、平成21年度から教員免許更新制が円滑に実施されるよう必要な取組等を行う。

  ○教員の子どもと向き合う環境づくり
  教職員配置の適正化を行うとともに、退職教員や経験豊かな社会人などの外部人材の積極的な活用、「学校支援地域本部」などの地域住民による学校支援の取組、調査の見直し、教育現場のICT化、事務の簡素化・外部化などの取組を支援する。

●「経済財政改革の基本方針2008について」(抄)(平成20年6月27日閣議決定)

  2.未来を切り拓く教育
   教育基本法の理念の実現に向け、新たに策定する「教育振興基本計画」に基づき、我が国の未来を切り拓く教育を推進する。その際、新学習指導要領の円滑な実施、特別支援教育・徳育の推進、体験活動の機会の提供、教員が一人一人の子どもに向き合う環境作り、学校のICT化や事務負担の軽減、教育的観点からの学校の適正配置、定数の適正化、学校支援地域本部、高等教育の教育研究の強化、競争的資金の拡充など、新たな時代に対応した教育上の諸施策に積極的に取り組む。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  義務教育費国庫負担制度は、義務教育無償の原則に則り、公立義務教育諸学校の教職員の給与費について都道府県が負担した3分の1を国が負担することにより、全国すべての地域において必要な教職員を確保し、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることを目的としている。
  本事業は、全ての都道府県において、5月1日現在における公立小・中学校の教員定数の充足率(都道府県ごとに、義務標準法第6条に基づき算定した教員定数に対する実際に各都道府県が配置した教員数の割合)が100パーセントとなることを目標としているが、平成19年度においては、教員定数を充足している県が43県、未充足となっている県が4県(未充足4県の平均充足率は99.8パーセント)となっている。
  なお、未充足となっている4県については、5月2日以降、随時、教員を配置しており、年度末までには未充足は解消されている。
  このような状況から、年度内において充足率100パーセントを達成することができると見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  本事業の実施によって、義務教育に対する国の責任を果たすと同時に、この制度を通じて全国すべての学校に必要な教職員を確保し、都道府県間における教職員の配置基準や給与水準の不均衡をなくし、教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られ、ひいては上位目標である達成目標3‐1‐1及び3‐1‐2にある全国全ての地域において優れた教職員を必要数確保し、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るという成果に結びつくものと考えられる。

D.効率性の観点

1.インプット

  • 平成21年度要求予算額
    • 義務教育費国庫負担金に必要な経費 1,676,776百万円

2.アウトプット

  義務教育費国庫負担制度により、義務教育に必要な経費のうち最も重要なものである教職員の給与費について、その3分の1を負担することにより、各地方公共団体の財政状況にかかわらず、全国どの地域においても安定的に公立義務教育諸学校に必要な教職員が配置され、全国的な義務教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られるなどの成果が見込まれる。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(1,676,776百万円)に対して、全国どの地域においても安定的に公立義務教育諸学校に必要な教職員が配置され、全国的な義務教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られており、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  義務教育は、国民として必要な基礎的資質を培うものであり、憲法上の国民の権利、義務にかかわるものであって、国は、地方公共団体とともに義務教育にかかる費用を無償にし、国民の教育を受ける権利を保障する義務を負っている。そのため、使途の限定のない地方交付税措置ではなく、目的を特定した国による財源保障が必要である。

E.公平性の観点

  義務教育費国庫負担制度は、憲法26条に規定されている義務教育無償の原則に則り、教育の機会均等と水準の維持向上を図ることを目的として、公立の小・中学校(中等教育学校の前期課程を含む。)及び特別支援学校の小・中学部の教職員の給与費について都道府県が負担した経費の3分の1を国が負担するものであり、公平性が担保されている。

F.優先性の観点

  義務教育は、国民として必要な基礎的資質を培うものであり、憲法上の国民の権利、義務にかかわるものであって、国は、地方公共団体とともに義務教育にかかる費用を無償にし、国民の教育を受ける権利を保障する義務を負っていることから、義務教育費国庫負担制度による財源保障は、他の事業と比しても優先して実施すべきものである。

G.総括評価と反映方針

  これまでの事業の効果を出来る限り把握・検証し、21年度概算要求に反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --