平成21年度要求額:132百万円
(平成20年度予算額:100百万円)
事業開始年度:平成19年度
事業達成年度:平成23年度
中間評価実施年度:平成21年度
特別支援学校や小・中学校等の特別支援教育に関する教育課程の編成や学習指導の方法等について実践研究を行い、教育課程の改善等に必要な資料を得るとともに、各学校における特別支援教育の改善・充実を図るものである。
特別支援学校においては、障害の重度・重複化、多様化が進んでおり、一人一人の実態に応じた教育課程や指導内容・方法の改善、自立と社会参加を目指した支援が求められている。小・中学校等においても、障害のある子どもに対する適切な指導を行うことが、法律上明確に位置付けられ、個々の児童生徒の障害特性等に応じた適切な指導や必要な支援が求められている。また、教育課程の基準である学習指導要領については、不断の見直しが求められており、国として指定校による実践研究を行い、特別支援学校等における教育課程の改善に必要な実践データを収集する必要がある。
さらに、平成19年12月の国連総会において、「世界自閉症啓発デー」が決議され、自閉症の子どもについて、社会全体への意識啓発のための手立てをとること等が盛り込まれた。こうした国際的な動向も踏まえ、自閉症についての正しい理解や障害特性等に応じた教育的な支援について検討するため、平成21年度より、従来の調査研究に加え自閉症の特性に応じた教育課程の編成、自閉症の児童生徒一人一人の特性に対応した指導内容・方法等の工夫など教育課程の在り方について調査研究を実施する。
これまで、本事業においては、特別支援教育に関する教育課程の改善等について研究を行い、学習指導要領の改善に関する検討に反映させるとともに、職業教育の改善等の取組により、就労支援の充実が図られた。
また、教育委員会等に対して、これらの成果を普及し、各学校における指導の改善・充実を図ってきたところである。
本事業はこれまで、1.特別支援教育研究協力校、2.PT、OT、ST等の外部専門家を活用した指導方法等の改善に関する実践研究事業、3.職業自立を推進するための実践研究事業の3つの内容を含むものとして実施してきた。
1は特別支援学校や小・中学校等の特別支援教育に関する教育課程の編成又は学習指導の方法等について実践研究を行い、教育課程の改善に必要な資料を得るとともに、その成果の普及を図り、もって特別支援教育の改善・充実に資するものである。
2は特別支援学校におけるPT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)等の外部専門家を活用した指導方法等の改善等について、モデル的に実践研究を行い、その成果の普及を図るものである。
3は学校・教育委員会、労働関係機関、企業等の緊密な連携・協力の下、地域の企業関係者と協力した職業教育の改善、新たな職域の開拓や現場実習の充実など、障害のある生徒の就労を促進するための実践研究事業を行うものである。
平成21年度においては、これらの研究事項を整理し、教育課程等の改善に関する実践研究として一体として実施することに加え、新たに自閉症の特性に応じた教育課程の在り方に関する調査研究を行うものである。
委託先からの研究報告書
本事業の効果は、指定された地域等において、アンケート調査等を実施し、教員・保護者等の意識や就職状況について検証する。
達成目標2-11-2の「今後の課題及び政策への反映方針」において、「職業教育の充実について更なる取組の推進を図り、成果を全国に普及させていくことが必要」と記述されており、当事業は職業教育の改善・充実を含む特別支援教育の改善・充実を図るものであり、必要な事業である。
特別支援学校においては、障害の重度・重複化、多様化が進んでいることから、一人一人に応じたきめ細かな指導の一層の充実が求められている。また、特別支援学校卒業後、自立し、社会参加していくため、国として教育、労働、福祉関係機関が一体となった施策の強化が求められている。
小・中学校等においては、LD、ADHD、高機能自閉症等の児童生徒が約6パーセント程度の割合で存在する可能性が示されており、これらの児童生徒を含め、小・中学校等における障害のある児童生徒等に対し、適切な指導及び必要な支援を行うことが求められている。
また、学習指導要領については、不断の見直しが求められており、国が教育課程の基準を改善するためには、国として実践研究を行い、その成果と課題を明らかにし、特別支援学校等における教育課程の改善に必要な実践データを収集していく必要がある。
さらに、平成19年12月の国連総会において、「世界自閉症啓発デー」が決議され、自閉症の子どもについて、社会全体への意識啓発のための手立てをとることを促すこと等が盛り込まれており、こうした国際的な動向も踏まえ、自閉症についての正しい理解や障害特性等に応じた教育的な支援について検討することが必要である。
これらの特別支援学校等における喫緊の課題に対応するためには、自立と社会参加に向けた指導の改善を図るための施策を総合的に行い、もって特別支援教育の改善・充実に資する本事業の拡充が不可欠である。
特別支援教育に関する喫緊の課題については、国において、モデル的な研究を行い、その成果を広く普及するとともに、課題の解決に向けた施策を講じていく必要がある。
特に、教育課程の基準は文部科学大臣が定めるものであり、国の責務として、改善に必要な資料を収集する必要がある。
○職業自立を推進するための実践研究事業(初等中等教育局特別支援教育課)
特別支援学校における障害のある生徒の就労を促進するための実践研究を行う。
平成21年度には、上記の事業を「特別支援教育研究協力校」のメニューの1つに組み込んで実施する。
第5章 安心できる社会保障制度、質の高い国民生活の構築
1.国民生活を支える社会保障制度の在り方等
4.福祉施策や健康対策等の推進
障害者の生活支援や就労支援・雇用促進等を進めるとともに、障害者自立支援法について、障害児支援の在り方など制度全般にわたる抜本的な見直しを行う。また、発達障害児・者に対する支援や精神障害者の地域移行を推進する。
2.未来を切り拓く教育
教育基本法の理念の実現に向け、新たに策定する「教育振興基本計画」に基づき、我が国の未来を切り拓く教育を推進する。その際、新学習指導要領の円滑な実施、特別支援教育・徳育の推進・・・など、新たな時代に対応した教育上の諸施策に積極的に取り組む。
基本的方向2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる
6.特別なニーズに対応した教育を推進する
改正教育基本法第4条第2項において、障害のある者への教育上の支援について新たに規定された。障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行う特別支援教育を推進する。
【施策】
◇特別支援教育の推進
幼稚園から高等学校までを通じて、発達障害を含む障害のある子ども一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な支援を行うため、特に、特別支援教育支援員の配置を促すとともに、小・中学校に在籍する障害のある児童生徒に対して「個別の指導計画」等が作成されるよう促すなど、体制整備を推進する。
また、特別支援学校については、外部専門家の活用を含めた教員の専門性の向上や就職率の改善のための取組への支援を推進する。あわせて、障害のある子どもと障害のない子どもとの相互理解を深めるための活動を推進する。
特別支援学校の在籍児童生徒等の増加に伴う大規模化等に対する地方公共団体等の取組を支援する。
本事業では、特別支援学校や小・中学校等の特別支援教育に関する教育課程の編成や学習指導の方法等について実践研究を行い、教育課程の改善等に必要な資料を得るとともに、各学校における特別支援教育の改善・充実を図ることを目指している。
各指定校や指定地域による研究について、外部有識者を含めた審査評価委員会により計画内容や成果の審査を行い、適切な指導助言を行うことや、研究成果について、研究報告書の作成・配付、文部科学省ホームページへの掲載、研究成果報告会の開催などを通じて、広く普及を図ることで、目標は達成できると見込まれる。
特別支援学校においては、障害の重度・重複化、多様化が進んでいることから、一人一人に応じたきめ細かな指導の一層の充実が求められている。また、特別支援学校卒業後、自立し、社会参加していくため、国として教育、労働、福祉関係機関が一体となった施策の強化が求められている。さらに、小・中学校等の通常の学級における障害のある児童生徒等に対し、適切な指導及び必要な支援を行うことが求められている。
こうした状況を踏まえ、特別支援学校や小・中学校等の特別支援教育に関する教育課程の編成や学習指導の方法等について実践研究を行い、教育課程の改善等に必要な資料を得ることは、すべての学校における障害のある子ども一人一人に応じた適切な指導や必要な支援を行うことに結び付くものと考える。
本事業の予算規模は132百万円である。
(内訳)
本事業では平成20年度までにのべ9道府県24の指定地域、及び35の指定校で研究を行っている。
本事業で行われる、教育課程の基準の改善に関する研究や、外部専門家を活用した指導内容・指導方法の改善、自閉症に対応した教育課程の在り方に関する研究などの成果を、研究報告書の作成・配付等を通じて全国に普及することで、本事業は効率的・効果的に実施されると判断される。
本事業の予算規模(132百万円)に対して、アウトプットとして、複数の指定先による研究が行われることを通し、全国で障害のある児童生徒等に対応した適切な指導や必要な支援が行われることを見込むと、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。
本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合は、当該自治体における研究のみであり、障害のある子どもを取り巻く環境(教育、福祉、医療、産業界など)の違いを考慮した評価や成果の活用が困難であり、本事業における十分な効果が期待できない。
国の委託事業として行うことにより、各都道府県や指定校間での情報交換や報告書の作成・配付等を通じて、より効果的な取組が期待できる。
本事業は、全国の都道府県及び国立大学法人等に対して公募し、外部有識者を含めた審査評価委員会による審査を経て、委託先を決定する予定であり、公平性は担保できると判断する。
特別支援学校においては、障害の重度・重複化、多様化が進んでいることから、一人一人に応じたきめ細かな指導の一層の充実が求められている。また、特別支援学校卒業後、自立し、社会参加していくため、国として教育、労働、福祉関係機関が一体となった施策の強化が求められている。
小・中学校等においては、LD、ADHD、高機能自閉症等の児童生が約6パーセント程度の割合で存在する可能性が示されており、これらの児童生徒を含め、小・中学校等における障害のある児童生徒等に対し、適切な指導及び必要な支援を行うことが求められている。
また、学習指導要領については、不断の見直しが求められており、国が教育課程の基準を改善するためには、国として実践研究を行い、その成果と課題を明らかにし、特別支援学校等における教育課程の改善に必要な実践データを収集していく必要がある。
さらに、平成19年12月の国連総会において、「世界自閉症啓発デー」が決議され、自閉症の子どもについて、社会全体への意識啓発のための手立てをとること等が盛り込まれた。こうした国際的な動向も踏まえ、自閉症についての正しい理解や障害特性等に応じた教育的な支援について検討する必要がある。
これらの課題への対応は障害のある子どもの教育における喫緊の課題であるため、本事業は優先すべき政策と考えられる。
21年度概算要求に反映する。
評価結果は妥当。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --