32.子ども安心プロジェクト(拡充)【達成目標2-5-3】

平成21年度要求額:2,023百万円
  (平成20年度予算額:1,856百万円)
  事業開始年度:平成19年度
  事業達成年度:平成24年度
  中間評価実施年度:平成22年度

主管課(課長名)

  • スポーツ・青少年局学校健康教育課(松川 憲行)

関係課(課長名)

  • 文教施設企画部施設企画課(長坂 潤一)
  • 生涯学習政策局参事官(椿 泰文)
  • スポーツ・青少年局企画・体育課(鬼澤 佳弘)

事業の概要等

1.事業目的

  学校内外における子どもの安全が確保され、子どもが安全に学校生活を送ることができるように地域社会全体で子どもの安全を見守る体制の整備を図るとともに、児童生徒が安全な生活を営んでいくための知識や態度の育成を行う。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  近年、学校内外において、不審者による子どもや教職員の安全を脅かす事件・事故、交通事故や自然災害による被害が発生するなど、子どもの安全を確保することが極めて重要な課題となっていることから本プロジェクトが開始され、地域社会全体で子どもの安全を見守る環境の整備を図る「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」の実施、学校における防犯教室の開催を支援するため、教職員や警察官等防犯教室の講師に対する講習会の実施などを通じて、学校安全に関する取組を推進してきた。
  現在までに、安全教育の推進やボランティアによる学校内外の巡回等が増加するなど一定の成果が得られている。

  ○学校の安全管理の取組状況に関する調査(文部科学省)

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.防犯マニュアルを活用している学校の割合 96.3% 96.4% 97.5% 97.7%
2.子どもの安全対応能力の向上を図るための取組を実施している学校の割合 66.7% 69.8% 80.4% 80.6%
3.地域のボランティアによる学校内外の巡回・警備が行われている小学校の割合 64.2% 86.7% 91.0%

  3については、平成15年度については、未調査

3.事業概要

  地域社会全体で子どもの安全を見守る環境の整備を図る「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」の実施、学校における防犯教室の開催を支援するため、教職員や警察官等防犯教室の講師に対する講習会の実施など、各種施策を行い、学校安全に関する取組を推進してきたところである。
  平成21年度においては、「子ども安心プロジェクト」を更に充実させ、各学校や学校安全ボランティアに対する警備のポイント等を行う警察官OB等からなるスクールガード・リーダーを2,880人から3,264人に拡充し、より一層充実させるとともに、学習指導要領の改訂、学校安全に関する事項を新たに設けた学校保健安全法の施行を踏まえ、学校安全に関する適切な対応について理解が深まるよう学校安全教育・管理に関する資料を作成・配付を行うこととしている。

スキーム図

4.指標と目標

指標

  1. 防犯マニュアルを活用している学校の割合
  2. 子どもの安全対応能力の向上を図るための取組を実施している学校の割合
  3. 地域のボランティアによる学校内外の巡回・警備が行われている小学校の割合

目標

  それぞれの指標で、100パーセントの取組が行われることを目標としている。

効果の把握手法

  本事業の効果は、「学校の安全管理の取組状況に関する調査」により、指標1~3について把握し検証する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  達成目標2‐5‐3については、平成19年度実績評価においては、引き続き学校安全に関する施策の充実を図ることが求められていることから、取組の充実を図っていく必要がある。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  近年、学校内外において不審者による子どもや教職員の安全を脅かす事件・事故、交通事故や自然災害による被害が発生するなど、子どもの安全を確保することが極めて重要な課題となっている。
  こうした課題に対応するため、保護者や地域の関係団体等の協力を得て、地域社会全体で子どもの安全を見守る体制を整備するとともに、子ども自身に危険を予測・回避する能力を習得させるための取組を進める必要がある。また、平成20年6月には学校安全の充実を図るため、学校保健法の一部が改正され学校安全に関する規定の整備が行われたところである。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  公教育における児童生徒等の安全の確保を図るための必要な措置を図ることは、国及び地方公共団体に課された責務である。また、本事業は、全国的な学校安全に関する事例を踏まえる必要があること、児童生徒等の安全の確保に関する意識、ノウハウ、財政状況等が地方公共団体において差異があることから、一定の取組を地方公共団体や学校に促すものとして国が実施するものである。

3.関連施策との関係

  本事業は、学校安全に関連する事業を「学校安心プロジェクト」として取りまとめ、総合的に目標に向けて取り組んでいるものであるため関連施策はない。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

「教育振興基本計画」(平成20年7月1日:閣議決定)

  第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策

  (3)基本的方向ごとの施策

  基本的方向4 子どもたちの安全・安心を確保するとともに、質の高い教育環境を整備する。

   1 安全・安心な教育環境を実現する
  ◇地域のボランティア等との連携による学校内外の安全確保
  学校や通学路等において子どもたちが安全に過ごせるよう、学校と地域のボランティアや関係機関との連携による地域ぐるみで子どもの安全を守る環境の整備や、子ども自らが安全な行動をとれるようにするための安全教育の取組を推進する。その一環として、小学校におけるスクールガードリーダーを、5校に1人程度の割合で配置することを目指す。あわせて、事件・事故や自然災害から子どもの安全を確保するため、すべての小中学校において、教育面と管理面から成る学校安全に関する計画の策定を目指す。

【その他の答申等】
  • 「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」(平成20年1月17日:中央教育審議会答申)
  • 「学校保健法等の一部を改正する法律」(平成20年6月18日:公布)
  • 「経済財政改革の基本方針2008(平成20年6月27日:閣議決定)
  • 「犯罪から子どもを守るための対策」(平成17年12月20日(最終改訂19年12月21日):犯罪から子どもを守るための対策に関する関係省庁連絡会議策定・犯罪対策閣僚会議了承)
  • 「子どもの安全・安心加速化プラン」(平成18年6月20日:犯罪対策閣僚会議)

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  学校安全については、平成14年度から平成18年度において、子どもの安全確保に向けた取組を実施しており、平成19年度からは、更に地域社会全体で子どもの安全を見守る体制を整備するとともに、子ども自身に危険を予測・回避する能力を習得させることを目的としている。
  本プロジェクトでは、1.防犯マニュアルを活用している学校の割合、2.子どもの安全対応能力の向上を図るための取組を実施している学校の割合、3.地域のボランティアによる学校内外の巡回・警備が行われている小学校の割合を一義的な指標として、全ての小学校で、1~3について100パーセントとなることを目指している。
  平成18年度においては、全国平均が197.7パーセント280.6パーセント391.0パーセント(平成19年度は調査中)となっている。
  今後とも、学習指導要領の改訂、学校安全に関する事項を新たに設けた学校保健安全法の公布を踏まえ、学校安全に関する適切な対応について理解が深まるよう学校安全教育・管理に関する資料の作成・配付等による学校の危機管理の向上を図るとともに、スクールガード・リーダーの充実により、地域社会全体で子どもの安全を見守る体制を整備することによって目標を達成することができると見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  子どもが安全に学校生活を送ることができるように地域社会全体で子どもの安全を見守る体制の整備を図るとともに、児童生徒が安全な生活を営んでいくための知識や態度の育成を行うことにより、施策目標2‐5「健やかな体の育成と学校安全の推進」における児童生徒が心身ともに健やかで安全に成長していくことができるよう、学校、家庭、地域が連携して心身の健康と安全を守ることのできる体制の整備を推進するとともに児童生徒が自らの心身の健康をはぐくみ、安全を確保することのできる基礎的な素養の育成を図るという目標に結びつくものと考えられる。

D.効率性の観点

1.インプット

  本プロジェクトの予算額 2,023百万円である。

  (新規)

  • 「『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」の改訂 50,463千円

  (拡充)

  • 地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業 1,854,400千円

  (継続)

  • 教職員向け安全教育資料の作成・配付 35,870千円
  • 防災教育教材の作成・配付 14,087千円
  • 防犯教室の推進 26,135千円
  • 交通安全教育推進事業 9,000千円
  • スポーツ施設等安全管理推進事業 13,203千円
  • 学校施設の安全対策事業 4,525千円
  • 地域で子どもの安全を見守る全国ネットワークシステムの運用 15,466千円

  (内訳)

  • 諸謝金 11,075千円
  • 職員旅費 726千円
  • 試験研究旅費 284千円
  • 委員等旅費 12,273千円
  • 庁費 11.762千円
  • 試験研究費 14,378千円
  • 教職員研修費 114,339千円
  • 初等中等教育等振興事業委託費 1,858,312千円

2.アウトプット

  本プロジェクトでは、「教育振興基本計画」にも掲げられているように、小学校におけるスクールガード・リーダーを5校に1人程度の割合で配置することを目指すため、平成21年度においては、3,264人のスクールガード・リーダーを配置し、全国の小学校等の巡回・指導が実施されるとともに、全学校に対する教職員向け参考資料及び児童向け資料の配付することとしている。
  本プロジェクトの取組により、
  子どもが安全に学校生活を送るための環境が整備されると考えられる。

  [5カ年の計画]

スクールガード・リーダー配置計画 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
2,880人 3,264人 3,648人 4,096人 4,544人

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(2,023百万円)に対して、都道府県・指定都市教育委員会に本事業を委託することを通し、1全ての小学校等でスクールガード・リーダーの巡回等が実施される2子ども自身に危険を予測・回避する能力を習得させることが見込まれることから、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。

4.代替手段との比較

  本事業は、国の委託事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合には、特色ある取組を行う地域等を広く全国に周知し、他の地域等が特色ある多様な取組を実施する波及効果を期待している本事業について十分な効果が期待できない。
  また、国の委託事業として行うことにより、各都道府県・指定都市教育委員会が、全国連絡協議会等での情報交換を通じて、他の地域の効果的な取組を把握することにより、地域の実情に応じた各学校の取組が推進されるという波及効果も期待できる。

E.公平性の観点

  本事業は、全ての子どもの安全を確保することを目的に事業を実施していることから、都道府県・指定都市教育委員会の全てを対象としており、公平性を担保できると判断する。

F.優先性の観点

  近年、学校内外において不審者による子どもや教職員の安全を脅かす事件・事故、交通事故や自然災害による被害が発生しており、子どもが安全に学校生活を送ることができるように地域社会全体で子どもの安全を見守る環境を整備するとともに、児童生徒が安全な生活を営んでいくための知識や態度を育成することは重要な課題となっていることから、本プロジェクトは優先すべき政策と考えられる。

G.総括評価と反映方針

  事業開始当初は、達成年度を平成18年度に設定していたが、学校内外における事件・事故、交通事故や自然災害による被害が発生していることから、学校内外における子どもの安全を、より一層推進する観点から、事業の拡充を図るとともに、達成年度を平成24年度まで延長している。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --