平成21年度要求額:728百万円
(平成20年度予算額:393百万円)
事業開始年度:平成20年度
事業達成年度:平成26年度
中間評価実施年度:平成24年度
近年、子どもを取り巻く生活環境の急激な変化を背景として、心と体の両面に関わる様々な健康課題として、ストレスによる心身の不調などメンタルヘルスに係る課題への対応や、ぜん息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患への対応、さらには、薬物乱用、感染症の問題など、粘り強い継続的な取組が必要とされる課題が顕在化している。
これらの健康課題への取組に当たっては、正しい理解に基づく迅速かつきめ細かい対応が必要であり、それぞれの課題は学校のみでは十分な対応ができないものも少なくなく、地域や家庭との連携・協力による総合的な取組が必要である。
児童生徒の現代的健康課題に適切に対応するため、学校だけでなく地域の専門家や関係機関等と連携を図りながら、学校保健の取組を一層推進することにより、児童生徒等が安心して学校生活を送ることができるようにするとともに、併せて、児童生徒等が生涯を通じて健康で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう取組を進める。
社会環境や生活様式の急激な変化により、喫煙、薬物乱用、アレルギー疾患、各種感染症、生活習慣病、メンタルヘルスなど、児童生徒の心身に様々な健康課題が生じている現状を踏まえ、児童生徒が持つ個別の心身の健康課題にきめ細やかに対応することが必要不可欠であることから、学校保健の取組を一層推進するため、「学校すこやかプラン」における各事業が実施されてきた。
現在までに、学校における保健活動の中心的な役割を担う学校保健委員会の設置率が増加しているほか、薬物等に対する意識等調査において、薬物は絶対に使うべきでない」と回答した児童生徒の割合が増加してきているなど一定の成果が得られている。
○「学校保健委員会の設置率」の推移及び「薬物等に対する意識調査」における調査結果
平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | |
---|---|---|---|---|---|
学校保健委員会の設置率 (公立学校全体)1. |
77.5% | 79.3% | 80.6% | 81.9% | 83.9% |
薬物乱用防止教室の開催率 (公立の中学校)2. |
55.3% | 55.5% | 59.5% | 60.9% | 57.9% |
薬物乱用防止教室の開催率 (公立の高等学校)2. |
68.9% | 62.7% | 71.5% | 72.6% | 69.0% |
「薬物等に対する意識等調査」において「薬物は絶対に使うべきでない」と回答した児童生徒の割合 (公立の小学校6年生)3. |
(平成12年11月)
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(平成18年2月)
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「薬物等に対する意識等調査」において「薬物は絶対に使うべきでない」と回答した児童生徒の割合 (公立の中学校3年生)4. |
(平成12年11月)
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(平成18年2月)
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「薬物等に対する意識等調査」において「薬物は絶対に使うべきでない」と回答した児童生徒の割合 (公立の高等学校3年生)5. |
(平成12年11月)
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(平成18年2月)
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子どもを取り巻く生活環境の急激な変化を背景として、心と体の両面に関わる様々な健康課題が顕在化する中、児童生徒の現代的健康課題に適切に対応するため、学校だけでなく地域の専門家や関係機関等と連携を図りながら、学校保健の取組を一層推進するため、下記の事業等を実施している。
平成21年度は、1.「スクールヘルスリーダー派遣事業」において派遣するスクールヘルスリーダーを1県あたり17校10回から27校20回に、2.「子どもの健康を守る地域専門家総合連携事業」において、派遣専門医を1県当たり60回から100回に、3.「薬物乱用防止教育推進事業」において、第3次薬物乱用防止5か年戦略が策定されたことに伴い、薬物乱用防止の啓発活動等を拡充する。
また、新たに、学校保健法の改正に伴い法制化される「学校環境衛生の基準」の完全実施に万全を期すため「学校環境衛生管理マニュアルの作成」を行うとともに、子どもの健康上の課題に学校全体で取り組む体制を整備するため、その中心である保健主事の資質向上を図るため「保健主事実務ハンドブックの作成」を実施する。
本事業の効果は、1、2、3について、調査を実施し、設置状況や開催状況、児童生徒等の意識の変化等について検証する。4は事業の実施状況により把握する。
平成19年度 現状 |
平成20年度 目標 |
平成21年度 目標 |
平成22年度 目標 |
平成23年度 目標 |
平成24年度 目標 |
平成25年度 目標 |
達成年度 目標 |
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公立小学校・中学校における学校保健委員会の設置率 | 83.9% | ‐ | 100% | ‐ | 100% | ‐ | 100% | ‐ |
公立中学校・高等学校における薬物乱用防止教室の開催率 |
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‐ | 80%以上 | ‐ | 80%以上 | ‐ | 100% | ‐ |
「薬物は絶対に使うべきではない」と回答した児童生徒の割合 |
【17年度】
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‐ | ‐ | 100% | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ |
スクールヘルスリーダーの派遣状況 | ‐ | 対象学校のうち20%に月1回程度 | 対象学校のうち40%に月2回程度 | 対象学校のうち60%に月3回程度 | 対象学校のうち80%に月4回程度 | 対象学校全てに週1回 | ‐ | ‐ |
平成19年度実績評価においては、引き続き学校保健に関する施策の充実を図ることが求められていることから、取組の充実を図っていく必要がある
近年、子どもを取り巻く生活環境の急激な変化を背景として、心と体の両面に関わる様々な健康課題として、ストレスによる心身の不調などメンタルヘルスに係る課題への対応や、ぜん息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患への対応、さらには、薬物乱用、感染症の問題など、粘り強い継続的な取組が必要とされる課題が顕在化している。
これらの健康課題への取組に当たっては、正しい理解に基づく迅速かつきめ細かい対応が必要であり、それぞれの課題は学校のみでは十分な対応ができないものも少なくなく、地域や家庭との連携・協力による総合的な取組が必要である。
以上のことから、学校保健の取組を推進し、学校における児童生徒の現代的健康課題にきめ細やかな対応を行うためには、本事業「学校すこやかプラン」の拡充が不可欠である。
また、平成20年6月には、学校保健の充実を図るため、学校保健法の一部が改正され学校保健に関して、地域の実情や児童生徒等の実態を踏まえつつ、各学校において共通して取り組まれるべき事項について規定の整備が行われたところである。
公教育における児童生徒等の健康の保持増進を図るための必要な措置を図ることは、国及び地方公共団体に課された責務である。また、本事業は、全国的な学校保健に関する事例を踏まえる必要があること、児童生徒等の保健に対する意識、ノウハウ、財政状況等が地方公共団体において差異があることから、一定の取組を地方公共団体や学校に促すものとして国が実施するものである。
本事業は、学校保健に関連する事業を「学校すこやかプラン」として取りまとめ、総合的に目標に向けて取り組んでいるものであるため、関連施策はない。
第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策
(3)基本的方向ごとの施策
基本的方向2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる
2 規範意識を養い、豊かな心と健やかな体をつくる
◇ 食育の推進、地域の医療機関等との連携による心身の健康づくり
また、様々な心身の健康問題に対応し、子どもが安心して学校生活を送ることができる環境を整備するため、学校、保護者、地域の保健部局や医療機関等の連携による健康教育の推進を図るとともに、全ての小・中学校における教育面と管理面から成る学校保健に関する計画の策定、小学校から高等学校までの養護教諭未配置校等へのスクールヘルスリーダーの週1回程度派遣を目指す。
本事業では、これまで、学校保健に関する様々な取組を実施することにより、学校における保健活動の中心的な役割を担う学校保健委員会の設置率が増加したほか、薬物等に対する意識等調査において、薬物は絶対に使うべきでないと回答した児童生徒の割合が増加してきているなど一定の成果を得ている。
平成19年度においては、
となっている。今後「学校すこやかプラン」を継続的に実施することにより、各学校へ効果的な実施方法等が波及することにより、達成年度の平成26年度には、目標である数値の達成が見込まれる。
子どもの様々な健康課題に対応して、学校保健の取組を継続的に充実していくことにより、個々の児童生徒等が安心して学校生活を送ることができるようになる。
また、学校における健康教育を通じて、児童生徒等が生涯を通じて健康で活力ある生活を送るための基礎が培われることも期待される。
このように、本事業の実施を通じ、学校全体での保健活動が取り組まれ、児童生徒等が安心して学校生活を送ることができるようにすることにより、施策目標2‐5「健やかな体の育成と学校安全の推進」における児童生徒が心身ともに健やかで安全に成長していくことができるよう、学校・家庭・地域が連携して心身の健康と安全を守ることのできる体制の整備を推進するとともに、児童生徒が自らの心身の健康をはぐくみ、安全を確保することのできる基礎的な素養の育成を図るという目標に結びつくものと考えられる。
本事業の予算規模は730百万円である。
(新規)
(拡充)
(継続)
(内訳)
本事業では、「教育振興基本計画」にも掲げられているように、様々な心身の健康問題に対応し、子どもが安心して学校生活を送ることができる環境を整備するため、学校、保護者、地域の保健部局や医療機関等の連携による健康教育の推進を図る一環として、養護教諭未配置校等へのスクールヘルスリーダーの週1回程度派遣を目指すため、平成21年度においては、1養護教諭未配置校等のうち40パーセントの学校へのスクールヘルスリーダーの週1回程度派遣を行う。2全ての都道府県において専門医を学校に派遣し専門医による保健指導を行う取組を行う。3「第3次学物乱用防止5か年戦略」に掲げられている青少年による薬物乱用の根絶及び薬物乱用を拒絶する規範意識の向上するため、警察官、麻薬取締官OB等の外部講師を活用して薬物乱用防止教室を全ての中学校・高等学校で開催するよう指導。5学校環境衛生管理マニュアル、保健主事実務ハンドブック等を全ての学校に配付することとしている。
本事業の取組により、学校・家庭・地域が連携して子どもの保健管理・保健指導等の取組を行うことの重要性が認識され、積極的に参加することにより、子どもが安全・安心に学校生活を送るための環境が整備されると判断している。
(達成目標については、事業の概要等 4.指標と目標 参照)
本事業の予算規模(730百万円)に対して、各都道府県・指定都市教育委員会に本事業を委託することを通し、1養護教諭未配置校等へのスクールヘルスリーダーが派遣され、学校・家庭・地域が連携して子どもの保健管理・保健指導等を行う取組が実施される、2子ども自身が自らの健康を保持増進するための能力を習得させることを見込まれると、本事業のインプットとアウトプットの関係は効果的と判断する。
本事業は国の委託事業により行うが、地方自治体の事業として実施することとした場合には、特色ある取組を行う地域等を広く全国に周知し、他の地域等が特色ある多様な取組を実施する波及効果を期待している本事業について十分な効果が期待できない。
また、国の委託事業として行うことにより、各都道府県・指定都市教育委員会が、全国連絡協議会等での情報交換等を通じて、他の地域の効果的な取組を把握することにより、地域の実情に応じた各学校の取組が推進されるという波及効果も期待できる。
本事業は、事業の対象を全ての都道府県・指定都市教育委員会としていることから、公平性を担保できると判断。
学校教育を円滑に実施するためには、子どもが健康であることはもちろんのこと、学校教育を実施するうえで、子どもが健やかに成長していくことのできる環境の確保がなされることが不可欠の前提となるものであることから、優先すべき政策と考えられる。
事業開始当初、薬物の事業に特化し、達成年度を平成19年度として、学校保健に関する取組を実施していた。薬物のみならず、ストレスによる心身の不調などメンタルヘルスに係る課題への対応や、ぜん息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患への対応、さらには、感染症の問題など、子どもの健康課題に総合的に取り組む必要があることから、平成20年度に「学校すこやかプラン」として学校保健に関する施策をまとめ、効果的な事業実施を目指することとしたところである。
事業開始年度を平成20年度、達成年度を平成26年度としているが、平成20年7月に閣議決定された「教育振興基本計画」と歩調を合わせ、平成24年度に中間評価を実施することとする。
評価結果は妥当。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --