22.発達段階に応じたキャリア教育支援事業(新規)【達成目標2-2-3】

平成21年度要求額:127百万円
  (平成20年度予算額:‐百万円)
  事業開始年度:平成21年度
  事業達成年度:平成24年度

主管課(課長名)

  • 初等中等教育局児童生徒課(磯谷 桂介)

関係課(課長名)

事業の概要等

1.事業目的

  児童生徒が勤労観・職業観を身に付け、主体的に進路を選択・決定できるようにするため、小・中学校等の発達段階を通じた組織的かつ総合的なキャリア教育プログラムのうち、小中連携、教員の資質向上、外部人材の活用、教材開発などの【調査研究課題】を踏まえ、地域単位で取り組み、学ぶ意欲の向上等特段の効果が期待される市町村を選定する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  「キャリア教育実践プロジェクト」(平成20年度をもって廃止)を通して、中学校を中心に5日間の職場体験を「キャリア・スタート・ウィーク」として実施してきたが、キャリア教育を効果的・効率的に推進していくためには、職場体験の事前・事後指導の充実方策の検討や小学校での重複指導を避ける等、上級学校を見据えた施策を推進することが必要である等の課題を得た。
  平成21年度新規事業においては、これまでの事業によって得られた課題に対する解決策(モデルケース)を見出し、これらの課題を共有する学校・地域に示すことが必要であるとの認識のもと、キャリア教育を効果的・効率的に実施することが困難な地域のうち、1つ以上の課題に対する解決策を模索・実践することによって、特段の効果が期待できる地域を選定・支援する。

3.事業概要

  「キャリア教育実践プロジェクト」を通して得られた具体的な課題は、以下の通りである。

課題

  • 小中連携による重複指導の回避、一貫したプログラムの開発
  • 職場体験受入先の開拓・負担軽減
  • 教員の理解促進
  • 外部人材の活用
  • 地域(保護者・住民・事業所等)に対して協力を促す効果的な広報活動
  • 産業構造や地理的制約(例:離島・山間部等の僻地)等の地域の実情を踏まえた対応策
  • 職場体験の教育効果を高めるための工夫策
  • 教員の負担軽減のための教材開発 等

  本事業は、キャリア教育を効果的・効率的に実施することが困難な地域のうち、上記1つ以上の課題に対する解決策を模索・実践することによって、特段の効果が期待できる地域を選定・支援する。
  具体的には、政令指定都市・中核市・特例市の人口20万人以上を有する市、離島・山間部等の僻地を抱える市町村(複数の市町村を含む)等、地域の規模・性格が異なる3地域を1県において選定し、各地域が、上記の課題に対する対応策を計画・実践することによって、解決策を模索する。
  これらの取組を、12県において実践した結果、提示された課題解決型のキャリア教育地域モデルを、国が開催するワークショップを通して、課題を共有する地域に情報提供した上で、普及・定着を図る。
  なお、本事業において選定した1県3地域(12県36地域)における実施計画は以下の通りである。

  • 平成21年度
    • キャリア教育地域モデルの計画・実施
  • 平成22年度
    • キャリア教育地域モデルの実施、課題の検証、解決方法の実施、計画
  • 平成23年度
    • キャリア教育地域モデルの実施、課題の検証、解決方法の実施

  その後、平成24年度においては、キャリア教育地域モデルを提示し、全国の地域へ普及・啓発を図る。

スキーム図

4.指標と目標

指標

  • 12県(36地域)それぞれにおけるキャリア教育地域モデルの実施にあたっての進捗状況
  • モデル地域内の学校等の意識の変容(例:児童生徒に勤労観、職業観が身に付いたか等)
  • ワークショップの参加者数

目標

(年度目標)
  • 12県(36地域)が、それぞれのキャリア教育地域モデルを計画・実施する。
  • ワークショップを開催する。
(達成年度までの目標)
  • 12県(36地域)が、自らの地域モデルを提示する。

効果の把握手法

  本事業の効果は、12県(36地域)において、それぞれのキャリア教育地域モデルを提示できたかどうか、モデル地域内の児童生徒、教員、事業所等の意識がどのように変容したかにより把握する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  達成目標2‐2‐3において、キャリア教育の実施にあたって、職場体験を効果的に位置付けたカリキュラムの改善・充実を図ること、受入企業、事業所等の確保のためのシステムづくりについて、市町村によって温度差があることから、市町村単位のモデルケースが必要であることなどが、指定地域・指定校から報告され、これらの課題を踏まえ、今後は、市町村等の地域を単位として、学校を中心とした地域ぐるみでのキャリア教育の普及・定着を図るための方策を検討しているとなっており、本事業を新規に実施することは必要不可欠である。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  児童生徒が勤労観・職業観を身に付け、自己の進路を主体的に選択・決定できる能力を育むためには、児童生徒の発達段階・学校種に応じた組織的・系統的なキャリア教育を効果的・効率的に実施することが必要である。
  しかし、学校が置かれる地域の規模・性格によっては、キャリア教育を効果的に実施することが困難な課題を抱えており、国が、これらの課題に対する解決策(モデルケース)を示し、全国に普及・定着させることが必要であると考える。

2.行政・国の関与の必要性

  中学校を中心に5日間の職場体験を「キャリア・スタート・ウィーク」として実施してきたが、効果的・効率的にキャリア教育を推進していくためには、職場体験の事前・事後指導の充実方策の検討や小学校での重複指導を避けるなど、上級学校を見据えた施策を推進することが必要である。
  このことは、キャリア教育等推進プランに小学校段階からの体系的なキャリア教育が盛り込まれるとともに、中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」において、「教育内容に関する主な改善事項」の一つに「キャリア教育の充実」があげられている。
  以上の理由から、国として早急に小学校からの発達段階に応じたキャリア教育を充実させる取組のモデルを構築し、全国の学校に普及を図る必要がある。

3.関連施策との関係

1.主な関連施策

  ○「高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究」
   高等学校、特に普通科高校におけるキャリア教育を充実するため、1)高等学校におけるキャリア教育、2)高等学校卒業者及び中退者への各支援の在り方について検討すること等の調査研究を実施している。

  ○「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト(産業競争力強化人材育成事業)」(経済産業省)
   地元産業界、教育委員会、学校、行政、地域住民等の地域の関係者と密接な連携を図り、実際に学校現場で授業を実施、もしくは外部講師の派遣や企業と学校間の調整を行う「民間コーディネーター」を各地域に配置している。

2.関連施策との関係

  本事業は児童生徒に勤労観・職業観を身につけさせるため、小中連携、教員の資質向上、外部人材の活用、教材開発などの【調査研究課題】を踏まえ、異なる産業構造や地理的制約のある市町村を地域単位として取り組みを行うものであり、「高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究」や「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト(産業競争力強化人材育成事業)」とは異なる取組単位で施策を行うこととしている。

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

教育振興基本計画(平成20年7月1日閣議決定)

  第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策

  (3) 基本的方向ごとの施策

  基本的方向1 社会全体で教育の向上に取り組む

  3 人材育成に関する社会の要請に応える
  一人一人の社会的自立を実現するとともに、我が国社会の活力の維持・向上の観点から、教育と職業や産社会との相互のかかわりを一層強化し、人材育成に関する社会の要請を踏まえた教育を推進する。このため、キャリア教育を推進するとともに、産業界と連携して、また、初等中等教育段階から高等教育段階に至る教育の連続性に配慮しつつ、職業教育を推進する。あわせて、グローバル化に対応し得る国際的通用性のある高度専門職業人の養成を推進する。

  【施策】
  ◇地域の人材や民間の力も活用したキャリア教育・職業教育,ものづくりなど実践的教育の推進
  子どもたちの勤労観や社会性を養い、将来の職業や生き方についての自覚に資するよう、経済団体、PTA、NPOなどの協力を得て、関係府省の連携により、キャリア教育を推進する。特に、中学校を中心とした職場体験活動や、普通科高等学校におけるキャリア教育を推進する。

  基本的方向2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる

  2 規範意識を養い、豊かな心と健やかな体をつくる

  【施策】
  ◇勤労観・職業観や知識・技能をはぐくむ教育(キャリア教育・職業教育)の推進
  子どもたちの勤労観や社会性を養い、将来の職業や生き方についての自覚に資するよう、経済団体、PTA、NPOなどの協力を得て、関係府省の連携により、小学校段階からのキャリア教育を推進する。特に、中学校を中心とした職場体験活動や、普通科高等学校におけるキャリア教育を推進する。

  (4)特に重点的に取り組むべき事項

  ◎ キャリア教育・職業教育の推進と生涯を通じた学び直しの機会の提供の推進

  ○キャリア教育や専門高校における職業教育の推進
  中学校を中心とした職場体験活動をはじめ、キャリア教育を推進する。

キャリア教育等推進プラン(平成19年5月29日:キャリア教育等推進会議)(抄)

  本プランは、社会全体として青少年一人一人を育成し、その社会的自立に向けた力をはぐくむキャリア教育等の推進を図るため、関係府省の密接な連携の下、

  1. 小学校から大学院まで各学校段階を通じた、体系的なキャリア教育等を推進し、
  2. 関係機関等が連携し、学校、企業、保護者等の共通理解と協力の下、一丸となってキャリア教育等の実践に取り組み、

  を基本的な視点として策定するものである。
  国は、本プランに基づき、必要な施策を推進するとともに、地方公共団体や各学校、企業・団体等に対し、本プランの趣旨・内容を周知し、適切な指導、働き掛け又は支援等を行うことにより、広く国民を挙げての取組推進を目指すこととする。

若者の自立・挑戦のためのアクションプラン(平成18年1月17日(改訂))(抄)

  アクションプラン(改訂版)のポイントは、以下の3点である。

  1. 小学校から大学・大学院まで、地域や産業界との密接な連携による、体系的な人材育成の推進

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業において指定した12県(36地域)が、それぞれの3カ年の実施計画(計画・実施・課題の検証・解決方法の実施)を通して、キャリア教育を効果的・効率的に実施することが困難となっている原因(課題)に対する解決策を見いだすことが見込まれる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  本事業(3カ年)を通して提示された、12県(36地域)それぞれのキャリア教育地域モデルをもとに、キャリア教育を効果的・効率的に実施することが困難な学校・地域に対して情報提供することによって、キャリア教育を全国的に普及・定着を図ることができると考える。

D.効率性の観点

1.インプット

  本事業の予算規模は127百万円である。

  (内訳)

  • 諸謝金 17,551千円
  • 職員旅費 1,111千円
  • 委員等旅費 11,000千円
  • 教職員研修費 97,165千円

2.アウトプット

  全国12地域で、小・中学校等の発達段階を通じた組織的かつ総合的なキャリア教育プログラムを実施する。

3.事業スキームの効率性

  学校を中心とした市町村等の地域ぐるみでのキャリア教育の普及・定着を図るため、キャリア教育の課題に対応し、学ぶ意欲の向上等特段の効果が期待される市町村のモデルを構築すること、その成果を全国の学校に普及させることは、事業の目的に照らして最も合理的である。

4.代替手段との比較

  本事業は、国としてのモデル事業で行うが、都道府県ごとの事業として実施した場合、各地域のみの取組に終始し、全国的な普及効果が期待できないと考える。

E.公平性の観点

  構築される市町村モデルを、全国の学校に普及させることを想定している。

F.優先性の観点

  政府において、平成20年7月1日に教育振興基本計画を閣議決定し、今後5年間において「特に重点的に取り組むべき事項」としてキャリア教育の推進が取り上げられたところであり、本事業は優先すべき政策であると考える。

G.総括評価と反映方針

  平成21年度概算要求に反映する。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --